赤字になると会社は潰れる?赤字に備えて今すぐ知るべき確定申告のポイント
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
赤字になると倒産してしまうのでは、と考え、不安を抱く経営者の方もいらっしゃいます。ところが赤字に備えた簡単なポイントをおさえておくことで、これらの不安を軽減させることが可能です。赤字に備えてあらかじめ対策しておくことで、万が一赤字に陥っても焦らず対応できるでしょう。また赤字に対する過度な不安を抱くことなく、健全な経営を進めていくことができます。
この記事の目次
赤字になると会社はつぶれる?
赤字になったとしても即座に会社がつぶれるわけではありません。そもそも赤字とは収入よりもコストが多いことを言います。
例えば収入が20万円でコストが30万円だった場合、収入よりもコストが上回るため、赤字となります。ところがその赤字を補てんするだけの10万円の蓄えがあれば、事業の継続が可能です。
そのためコストが一時的に収入を上回ったとしても、赤字に対応できるだけの貯蓄があれば即座に倒産するわけではありません。
青色申告と白色申告で赤字の取り扱いは変わる?
青色申告と白色申告では赤字の税制上の取り扱いが変わり、青色申告では翌年に赤字を繰り越せることが大きな特徴です。税制上、赤字は「欠損金」と呼びますが、この欠損金を翌期に繰り越した状態のことを繰越欠損金と言います。
赤字を繰越欠損金として扱うことで、法人税が安くなるのです。例えば当期に赤字になった場合、翌期に赤字を繰り越すことで、翌期に黒字になったとしてもその収益から赤字分を差し引いて法人税が計算されます。
そのため翌期の黒字分に本来課税される法人税より、繰越欠損分を差し引いた分だけ法人税が安くなります。
青色申告の場合は翌年に繰越欠損金として赤字を繰り越すことができるものの、白色申告にはこの繰越制度がないという大きな違いがあるため注意しましょう。また青色申告をする場合は青色申告の承認申請書を税務署に提出する必要があります。
青色申告の承認申請書の詳細については、下記の記事もご参照ください。
青色申告の承認申請書とは?青色申告を受けるために必要な手続きを解説
赤字を翌期に繰り越す条件は?
赤字を翌期に繰り越す条件は全部で4つあります。
- 青色申告をしていること
- 連続して確定申告をしていること
- 帳簿書類を保存していること
- 10年以内に開始した事業年度の赤字であること
繰越欠損金として計上するには、青色申告をする以外にも上記の条件が必要ですのでおさえておきましょう。
また④についてですが、例えば2019年3月度の赤字であれば、10年後の2029年度まで繰り越すことが可能です。
赤字の繰り越しの具体例をご説明すると、下記のようになります。
2019年度:100万円の赤字(確定申告で100万円の赤字を翌期に繰り越す)
2020年度:10万円の黒字(確定申告で2019年度分の赤字と相殺して、100-10=90万円の赤字を翌期に繰り越す)
2021年度:200万円の黒字(2020年度分の赤字と相殺して200-90=110万円の黒字として確定申告する)
まとめ
赤字に備えて今すぐ知るべき確定申告のポイントは下記の通りです。
- 赤字になっても即座に倒産するわけではない
- 赤字を繰越欠損金として繰り越すためには、青色申告することが必要
- 繰越欠損金として扱うには連続して確定申告をしていること、帳簿書類を保存していること、10年以内に開始した事業年度の赤字であることも必要
これらのポイントを知り、行動に移すことで万が一赤字に陥った場合でも十分に対策することができ、過度な不安感を抱くことなく健全な経営を進めていくことができるでしょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/