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所得税の青色申告承認申請書とは?個人事業主で開業するなら提出しよう!

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

個人事業主としてお店を開いた場合、ぜひとも届け出ておきたい書類があります。それが、青色申告承認申請書という書類です。この書類を提出することで、様々な所得税計算上の優遇を受けることができます。どのような書類なのか見ていきましょう。

この記事の目次

所得税の青色申告承認申請書とは?

個人事業主なら、ほとんどの方が耳にしたことがある青色申告という言葉。青色申告とは、簡単に言えば、所得税の申告のための帳簿をしっかりとつける代わりに、所得税の計算上有利な制度を活用できるようにする制度です。そして、この制度の適用を受けるために提出するのが、「所得税の青色申告承認申請書」と呼ばれる書類です。
「所得税の」とついているのは、会社などの法人にも同じように青色申告の制度があります。法人用は「青色申告の承認申請書」という名前です。途中まで記載してから、法人用だと気付くことを防ぐためにも、区別しておきましょう。

青色申告承認申請書は、所得税の計算上の優遇を受けるための書類です。そのため、必ず提出しなければならないというわけではありません。しっかりと帳簿をつけるという条件のもと青色申告の承認を受けることができるのですが、もともと店舗経営者にとって、業績把握のためにも、売上や仕入れ、経費の管理は基本事項です。ぜひとも青色申告の承認は受けておきましょう。

青色申告の3つのメリット

青色申告の承認によって受けることができる所得税計算上の主なメリットには、次のようなものがあります。

メリットその1 青色申告特別控除を受けられる

青色申告によって確定申告する場合、しっかりと帳簿をつけているため、白色申告に比べて所得税の計算が正確な分、手間もかかります。そこで、青色申告の場合、特別に、所得の計算において10万円または65万円を経費とは別に引ける制度です。

65万円の控除を受けるには、確定申告書に貸借対照表を添付する必要があります。貸借対照表の作成には基本的な簿記の知識が必要となってきますので、10万円の場合に比べてハードルが高く、帳簿作成の手間もかかります。

ただし引くことで赤字になる場合は、所得が0円になるまでが限度です。

メリットその2 家族への給料を経費計上できる

個人事業主は、原則として、生計を同じくする配偶者や親族(親、祖父母、子、孫など)に対して給料を支払っても経費に計上することはできません。しかし、青色申告を行う場合には、配偶者や親族(子や孫については年末に15歳以上になっている者のみ)のうち、専ら事業に従事している者に対して、通常の従業員に支払う金額と同程度の給料を支払うことで、経費に計上することができます。これを青色事業専従者給与といいます。
青色事業専従者給与の支給のためには、青色申告承認申請書とは別に、「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を、税務署に提出する必要があります。

メリットその3 赤字を3年間繰り越すことができる

青色申告を受けることで、その年に発生した純損失の金額をその翌年から3年間で発生する黒字と相殺することができます。この制度を純損失の繰越控除といいます。
純損失とは、事業所得や不動産所得などの赤字(ほかに給与所得などの所得があって相殺できる場合は、相殺後の赤字。)の合計額ことをいいます。通常は事業所得の赤字を指すものとして理解しておけばよいでしょう。特に店舗の開店準備などで多くの出費を伴う1年目は、赤字になりやすいものです。青色申告者であれば、その赤字を2年目以降の黒字と相殺できるので、2年目以降の所得税の納税額を少なくすることができます。

青色申告承認申請書を提出するためのポイント

まずは、青色申告承認申請書や関連する届出書の提出先や提出時期から見てみましょう。

  青色申告承認申請書 青色事業専従者給与に関する届出書
提出先 納税地を管轄する税務署 納税地を管轄する税務署
提出時期 青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで
(1月16日以降に開業した場合は、開業日から2月以内。)
青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(1月16日以降に開業したり新たに家族を従業員とした場合には、その開始した日や家族を従業員とした日から2か月以内。)

この2つの届出書には、提出期限が設けられています。1日でも提出期限を過ぎてしまうと、その年については制度の利用ができなくなってしまいます。大災害など、よほどの事情がない限り、どのような事情であっても税務署が考慮してくれることは一切ありません。提出期限には十分注意して、余裕をもって届出書を提出するようにしましょう。

青色申告承認申請書の記入例

通常青色申告承認申請書は、開業届と合わせて提出します。そのため納税地や屋号など共通で記入できる箇所については、開業届と同じ内容を記入しておきましょう。その他青色申告承認申請書の記載にあたってのポイントは以下の通りです。

簿記方式

簿記方式とは、どのように帳簿をつけていくのかということです。
「複式簿記」と「簡易簿記」の2つがあります。複式簿記とは、貸方と借方に分けて帳簿をつける方法で、簡易簿記とは、決まった帳簿を用意して、それに記入していく方法です。複式簿記には、基本的な簿記の知識が必要です。
貸方や借方といった言葉で、どのように帳簿をつければよいかということがイメージできない場合は、簡易簿記を選択しましょう。簡易簿記は、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳の5種類の帳簿を使います。店舗運営なら、日々の現金の出し入れや、仕入れ先への未払い分の管理、日々の経費管理、内装設備など固定資産の管理ということで帳簿を使い分けることになります。

選択する方法は、青色申告特別控除にも影響し、複式簿記なら65万円、簡易簿記なら10万円が控除額となります。

備付帳簿名

青色申告を行うには、帳簿付けが不可欠です。まずは、簡易簿記であれば、上記で記載した通り現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳の5種類の帳簿により管理します。複式簿記の場合、この5つに加えて、最低限、預金出納帳、総勘定元帳、仕訳帳が加わります。

このように、様々な帳簿が登場しますので混乱してしまいますが、会計ソフトを導入すれば、簡易簿記と複式簿記の区分に合わせて、適切な帳簿を作成してくれます。個人事業主用の会計ソフトであれば、年間1~2万円ほどで利用することができますし、税理士など外部専門家に依頼することもできます。店舗を経営していると、日々の業務が忙しく、帳簿付けなど事務作業はどうしても後回しになりがちです。そんな方については、専門家に依頼したほうがスームズな場合もあります。

まとめ

  • 青色申告の承認を受けるには、帳簿付けが不可欠である
  • 青色申告の主なメリットには、青色申告特別控除・家族への給与の経費計上・赤字の繰越がある
  • 青色申告承認申請書の提出期限は厳守する
  • 備え付ける帳簿については、どのように帳簿付けを行うかで適切に選択する

店舗経営者にとって、どれだけ売り上げたか、どれだけお金を使ったかといった業績の把握のためにも帳簿付けは重要な業務です。どうせ帳簿をつけるなら、青色申告の承認を受けてしっかりとした帳簿を作成しましょう。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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