急なキャンセルがあっても損害を最小限にするために飲食店がするべき8つのこと
福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士
「つい先日宴会をキャンセルされて大打撃・・・」この様に、急なキャンセルによる損害に頭を悩ます飲食店経営者が後を絶ちません。ところがキャンセルをされても、お店が損しないように工夫する方法があるのをご存知でしょうか。今回はその具体的な8つの方法をご紹介します。
この記事の目次
キャンセル料の回収は難しい
残念ながら、キャンセル料の回収は難しいのが実情です。民法上では予約をした段階で契約を締結したことになるので、キャンセルした段階で契約不履行となり、キャンセル料を請求できるというのが法的な考え方です。ところが実際はキャンセルしたお客さまがお店に来ることはなく、キャンセル料を請求するための情報(住所やクレジット情報など)も分からないため、キャンセル料の回収は現実的には難しいと言わざるを得ません。
そのため予約とは当日までの仮状態であることと再認識し、”損をしない工夫”と”キャンセルされない工夫”をすることが大切です。
損をしない工夫
キャンセルされても損をしない方法は十分にあります。
1.メニューの工夫
キャンセルによる大きな損害の一つは、キャンセル分の食材の仕入れが無駄になってしまうことです。そこで、例えば新たに食材調達をしなくてもよいメニュー構成で予約を承れば、万が一キャンセルされた場合でも仕入れた食材をほかのお客さまのために使うことができ、無駄になることはありません。
普段から食材の在庫管理を徹底していればこそ、キャンセルを見越した食材調達ができるとも言えます。キャンセルがあっても食材が無駄にならないよう、在庫のシェルフライフとホールディングタイムを明確にすることが大切です。下記の記事では食材の在庫管理の鉄則をご紹介していますので、ご参考ください。
2.手付金(前金)の交渉
手付金を払ってもらい、同意の上でキャンセル時には手付金を返金しないという方法もあります。大人数の予約時は幹事に一度来店してもらうか振込してもらうなどの方法で、事前に手付金を支払ってもらえないか交渉をしてみるのも一つの手段です。
3.SNSを利用した空席案内
急な当日キャンセルが発生した場合は、SNSなどを活用して空席案内をすることで、お客さまがタイムリーに情報を受け取ることができ、新規の来店や予約につながるケースもあるでしょう。
キャンセルされない工夫
そもそもキャンセルされないようにするには、予約時にとりあえずの仮予約なのか、他の飲食店にするか迷っているのかを確認し、キャンセル予防策を講じることが大切です。
4.予約のリマインド
予約時にとりあえずの仮予約の場合の予防策です。1週間前~前日までに予約のリマインド電話を行い、キャンセルの意思がないか確認することが有効です。
5.自動キャンセル期限の設定
予約時にとりあえずの仮予約の場合の予防策です。仮予約の場合は期限を切り、連絡がなければ自動的にキャンセルとなることについて同意を得ておくのも一つの方法です。
6.キャンセル料の設定
予約時にとりあえずの仮予約の場合の予防策です。キャンセルポリシーを事前に伝えておき、キャンセルした場合はキャンセル料がかかることを伝えます。キャンセル料の回収は難しいですが、こうすることで抑止効果が期待できます。
7.会社名のヒアリング
予約時にとりあえずの仮予約の場合の予防策です。会社の宴会など、何らかの所属団体からの予約の場合は、会社名や所属団体名を聞いておくことで、できる限り自主的にキャンセルを控えようとする力学が働くため効果的です。
8.特典の設定
他の飲食店にするか迷っている場合のキャンセル予防策です。あなたのお店を選んでくれる特典を予約時と来店時の2つ作り、お客さまにお伝えします。例えば予約限定の特別なメニューやドリンクのサービスを提供する、10名以上のコース料理注文の場合は幹事1名分のコース料金を無料にするなど、お店独自の取り組みをしましょう。
これらの予防策を講じるには、ほとんどの場合電話口でお客さまと会話し、内容について了承をもらうことが必要です。そのため電話対応時に不快な思いをさせるようなことがあれば、それだけでキャンセルの理由になってしまうこともあるでしょう。そうならないためには、お客さまが気持ちよくご来店いただける電話対応をする必要があります。下記の記事では電話対応をする際におさえておくべきポイントをご紹介していますので、ご参考にしてください。
【接客マナー】電話対応はどうすればいい?正しい対応方法を教えます
まとめ
飲食店がキャンセルによって損しないためにおさえておくべきポイントは、下記の通りです。
- キャンセル料の回収が難しいことを前提に考える
- キャンセル時に食材の仕入れが無駄にならないメニュー構成で予約を承る、手付金の交渉をするなどの方法を実施する
- そもそもキャンセルが起きないよう、”とりあえずの仮予約”なのか、他の飲食店にするか迷っているのかを確認し、キャンセル予防策を講じる
上記を実践することで、急なキャンセルがあっても損害を最小限にする店舗経営ができるようになります。ぜひやってみることをおすすめします。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士
公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。
上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。