【軽減税率】レシート記載方法…「部門1」「野菜」などの総称は?
消費税増税・軽減税率によって対象品目の区分(どの商品が税率8%で、どの商品が10%なのか)を明示することになります。しかし、レジの機能によっては登録できる商品が限られているものもあります。区分記載請求書等のもとでは、どの程度までの記載が認められるのかを説明します。
この記事の目次
商品の名称は、商品の種類ごとでもOK
2019年10月1日から実施される消費増税・軽減税率制度により、税率は2つに分かれます。軽減税率制度においては、請求書等は区分記載請求書等保存方式で記載します。
八百屋や喫茶店など個人が経営するお店などで簡易なレジシステムを使っていて品目に制限がある場合、どの程度まで記載すれば区分記載請求書等として問題ないのかということがわからないという事業者もいらっしゃるでしょう。
区分記載請求書等保存方式では、下記6つの記載事項があります。
- (1)発行者の氏名や名称
- (2)取引の年月日
- (3)取引の内容(何を販売したのかということ)
- (4)相手先の氏名や名称
- (5)軽減税率の対象品目である旨
- (6)税率ごとに区分して合計した税込対価の額
この中で、(3)「取引の内容」については、どの程度まで詳細な記載が必要なのでしょうか?
商品登録数が限られるレジにおいては、扱う品目が多く登録しきれない場合も考えられます。このようなケースにおいては、「野菜」「雑貨」といった商品の種類ごとの記載でも問題ありません。
もし野菜以外の食料品も扱うのであれば、総括して「飲食料品」という記載でも問題ありません。大根、トマト、箸……などといった、個別の品目まで記載する必要はないということです。ちょうど飲食店などが手書きの領収書を発行する場合に、「飲食代として」と記載して、個別に注文を受けたメニューまでは記載しないのと同じことです。
ただし、お酒を扱う場合には、「酒類」といった品目の区分を作りましょう。お酒も「飲食料品」に含まれますが、軽減税率の対象品目と同じ表記にすると、区別がつかなくなってしまう恐れがあります。
品目の種類がわからないような記載はNG
お店によっては、お店の内部だけでわかるような記載でレシートを発行しているケースがあります。例えば、「部門1」「部門2」といった形です。この記載方法だと、受け取った相手方が、何を購入したのかということが不明確です。
かならず、最低でも「飲食料品」「雑貨」などといった、商品の種類がわかるような記載がされるようにレジを設定しておきましょう。
不特定多数のお客様を相手にする場合は、相手先の氏名・名称の記載は不要
質問の回答とは直接関係ありませんが、区分記載請求書等の記載事項の一つに、(4)「相手先の氏名や名称」があります。
この要件について、小売業・飲食店など不特定多数のお客様を相手にするような場合は、さすがに、一人一人のお客様の名前を確認して、レシートや領収書に書きこんでいくということは現実的ではありません。そのため、不特定多数のお客様を相手にするような商売においては、相手先の氏名や名称は記載しなくてもよいということになっています。
お客様の要望があれば領収書に宛名を書くことはありますが、お店にとって宛名は必ずしも必要というわけではないということです。
ただし、毎月野菜を卸している飲食店などの事業者については、不特定多数とはいえないので、相手先の名称(店名など)を記載しなければいけません。
まとめ
- 区分記載請求書等に記載する取引の内容は、「野菜」「雑貨」などの商品種類がわかる程度の記載でよい
- 「部門1」など商品の種類が、第三者にわからないような記載は、区分記載請求書等の要件を満たさない
- 不特定多数のお客様を相手にする場合は、相手先の氏名や名称を区分記載請求書等に記載する必要はない
商品の登録数に制約があるレジを使っている場合も、軽減税率の対象品目かどうかがわかるような品目の表示を心がけましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/