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会社設立のメリットや設立までの流れを専門家が解説

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会社設立にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。また、具体的にどのようなステップを踏む必要があり、どれくらいのお金がかかるのでしょうか。今回は、近い将来、会社の設立を検討している個人事業主の方が知っておきたい基礎知識について解説します。

この記事の目次

株式会社と合同会社

現在設立ができる会社の形態は「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4種類。そのなかでも設立件数の多い「株式会社」と「合同会社」の2つの概要について確認します。

株式会社とは

株式会社とは、株式を発行して集めた資金を用いて経営・運営を行う会社のことを指します。株主(株式会社に出資した人)は、出資する代わりに利益の一部を受け取ることができたり、株主総会を通して会社の経営に参加したりすることもできます。株式会社の特徴の1つに、会社の所有者である出資者(株主)と、経営者(会社を運営する人)がわかれていることがあります。ただし、出資者と経営者は同じ人でも構いません。

合同会社とは

合同会社とは、会社の所有者である出資者が経営者と同一である会社のことを指します。それにより、株式会社と比較して迅速な意思決定が可能であるといった特徴があげられます。2006年施行の会社法により新しく設けられた会社形態です。

会社を設立するメリット

会社を設立するとどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットは下記のとおりです。

  • 社会的信用が得られる
  • 資金調達がしやすくなる
  • 節税効果が期待できる

詳細を確認してみましょう。

社会的信用が得られる

会社を設立する際に、会社の商号や代表者名、住所、資本金、事業目的などを記載した必要書類を法務局に提出し、登記を行う必要があります。登記された内容は誰でも見ることができるため、事業に関する開業届の提出のみで事業が開始できる個人事業主と比較して、社会的信用も得やすくなります。

資金調達がしやすくなる

会社を設立した場合、損益計算書や賃借対照表などの作成や会計処理を月次で行います。個人事業主と比較して、財務状況を正確に把握することができるため、金融機関からの融資が受けやすくなります。また、株式会社であれば、新株を発行することで出資を募ることも可能です。

節税効果が期待できる

事業で得た利益に対して、個人事業主の場合は所得税、株式会社や合同会社の場合は法人税を納付することになります。

所得税は所得が増えればその分納付する税額も増える累進課税です。所得税の税率は7段階に区分され、最高税率は45%となっています。

一方、法人税の税率は、所得が800万円以下と800万円超で異なりますが、最高税率は23.20%となっています。一定規模の利益が出る場合であれば、所得税よりも法人税のほうが税負担の面で有利になります。

そのほか、会社の場合、個人事業主と比較して経費にできる範囲が広い、欠損金を10年間繰り越せるといったメリットもあり、節税効果が期待できます。

会社を設立するデメリット

続いて、会社を設立する主なデメリットは下記のとおりです。

  • 会社設立までに多くの時間や費用がかかる
  • 事務負担が増加する
  • 社会保険に加入する必要がある

詳細を確認してみましょう。

会社設立までに多くの時間や費用がかかる

会社を設立するためには、定款の作成や会社の登記、資本金など、さまざまな手続きが必要です。開業届を提出するだけで事業を始められる個人事業主と比べて、多くの時間や費用がかかります。

事務負担が増加する

個人事業主の会計処理は、簡単な記帳のみで済ませることも可能です。一方で会社を設立した場合、複式簿記による記帳が必須になるなど、個人事業主と比較して複雑な事務処理が求められます。そのほか、社会保険や労働保険、年金などの手続きや株主総会の開催などの事務処理の負担も増加します。

社会保険に加入する必要がある

会社を設立した場合、社会保険(健康保険や厚生年金保険)に加入する必要があります。所得によっては、個人事業主が加入する国民健康保険や国民年金の保険料よりも負担する保険料が高くなる可能性があります。また、健康保険と厚生年金保険の保険料を、被保険者と会社で50%ずつ負担すること(労使折半)になりますので、従業員が増えると会社が負担する保険料も増えることになります。

会社設立の流れ

会社を設立するには、多くの手続きが必要です。必要書類の不備などを避けるためにも、会社を設立するまでの流れや手続きなどについて確認します。

会社設立の流れ

1.会社概要を作成する

どのような会社を設立するのか、会社の概要を具体的に決める必要があります。主な項目は下記のとおりです。

  • 事業の目的
  • 商号(会社名)
  • 本店の所在地
  • 資本金
  • 会社設立日
  • 事業年度(会計年度)
  • 役員の構成

2.会社印を作成する

会社の代表者印(実印)や銀行印、角印、ゴム印などを作成します。会社設立登記の申請をする場合は、会社の代表者印(実印)の印鑑届書の提出が必要ですが、オンラインで登記申請を行う場合は、印鑑届書の提出は任意となりました。ただし、契約や融資の申請など、実務上では実印の押印を求められる場面が多いため、会社の代表者印(実印)の印鑑届書は提出したほうがよいでしょう。

3.定款を作成する

定款とは、会社の事業内容や役員の任期など、会社の概要をまとめた書類のことです。「1.会社概要を作成する」の内容をまとめて定款を作成します。

4.定款の認証を受ける

作成した定款の認証を受ける必要があります。定款の認証手続き方法は、公証役場への提出だけでなく、オンラインで認証できる電子定款もあります。なお、合同会社の場合、定款の認証手続きは不要となります。

5.資本金を払い込む

会社設立登記の前に会社の口座は作成できないため、発起人の個人口座に資本金を払い込みます。また、発起人が複数人いる場合は、いずれか1人の個人口座に資本金を払い込みます。

6.登記申請書類を作成する

登記申請書や役員の就任承諾書など、会社設立登記の申請に必要な書類を作成します。なお、登記申請書類のテンプレートは、法務局の公式サイトでダウンロードできます。

出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」
(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html)

7.会社設立の登記申請を行う

登記申請書類の準備ができたら、本店所在地を所轄する法務局に登記申請書類を提出します。提出方法は窓口だけでなく郵送も可能です。なお、オンラインによる申請も可能ですが、マイナンバーカードや専用ソフトのインストールなどが必要となります。

会社設立のための「やることリスト」

会社を設立するために事前に準備しておきたい内容について、主な項目を「やることリスト」としてまとめました。

会社設立のための「やることリスト」

会社設立に必要なお金

前述の「会社を設立するデメリット」でも説明しましたが、会社設立には費用がかかります。ここでは、どういった費用がどのタイミングで発生するのかを確認してみましょう。

株式会社の設立に必要なお金

株式会社の設立時に必要な主な費用は、下記のとおりです。

費用 金額
定款用の収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
定款認証手数料
  • 資本金の額が100万円未満の場合:3万円
  • 資本金の額が100万円以上300万円未満の場合:4万円
  • その他の場合:5万円
  • そのほか、定款の謄本手数料として、約2,000円(250円/ページ)
登録免許税 資本金の額の0.7%(15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)

なお、株式会社の設立に必要な書類の作成や手続きの代行などを専門家に依頼した場合は、別途費用が発生します。

合同会社の設立に必要なお金

合同会社の設立時に必要な主な費用は、下記のとおりです。

費用 金額
定款用の収入印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
登録免許税 資本金の額の0.7%(6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円)

なお、株式会社同様、合同会社の設立に必要な書類の作成や手続きの代行などを専門家に依頼した場合は、別途費用が発生します。

「設立後」に確実に必要となるお金

株式会社と合同会社の設立後に必要な主な費用は、下記のとおりです。

費用 金額
住民税均等割(※)

7万円(資本金の額が1,000万円以下、従業者数50人以下の場合) 

※ 法人住民税の均等割は、都道府県民税均等割と市町村民税均等割によって構成され、都道府県民税均等割は資本金の額による5つの区分、市町村民税均等割は資本金の額と従業者数による9つの区分に分けられています。

社会保険料 給与支払金額に応じた一定割合の金額

そのほか、株式会社の設立後に必要な費用としては、決算公告費用(官報公告や新聞掲載などで必要な費用)や株主総会費用などがあります。なお、会計処理や事務処理などを専門家に依頼した場合は、別途費用が発生します。

まとめ

  • 会社設立には、社会的信用が得られるといったメリットがある一方で、多くの時間や費用がかかるなどのデメリットがあることを理解する
  • 会社設立には、登記申請書類の作成・提出など多くの手続きが必要となるため、設立までの一連の流れを事前に把握する
  • 個人事業主と比較して、会社設立には多くの費用がかかるため、どのタイミングでどのくらいの費用が発生するのかを事前に把握する

会社設立までの流れや必要なお金など、会社設立を検討している方であれば知っておきたい基礎知識について解説しました。会社設立に必要な手続きや書類、資金などについて事前にしっかり準備をしておくとよいでしょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中田 真(なかだ まこと)ファイナンシャルプランナー

中田FP事務所 代表/CFP®認定者/終活アドバイザー/NPO法人ら・し・さ 正会員/株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師/元システムエンジニア・プログラマー。給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP®資格を取得。現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。https://nakada-fp.com/

 

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