在庫管理とキャッシュフローの関係とは?在庫管理の重要性を理解して経営を改善しよう
事業活動の取引において「モノ」を扱う事業主には、在庫管理という業務が必ずといっていいほど重要となります。しかしながら、取り扱う「モノ」の数量や種類、受発注の頻度などが多ければ多いほど後回しにされやすい業務になりがちです。そうした在庫管理の目的や重要性、メリット、デメリットについて解説し、在庫管理の負担を手助けしてくれるシステムについても紹介します。
この記事の目次
在庫管理とは
まず、在庫管理に触れる前に、在庫とは何か理解する必要があります。
在庫とは
在庫は、飲食店であれば使っていない材料、小売店であれば販売前の仕入れた商品を指し、簡単に言えば将来「お金になるモノ」を指します。商品を仕入れた後、在庫が期末時点で残っていた場合には、決算整理仕訳(決算特有の仕訳)を通じて商品として資産計上することになります。また資産は、「将来的に収益へ代わる財産」であり、この財産は「将来のお金に代わるもの」と考えられています。このような観点から「在庫=将来お金になるもの」という認識としても広く知られるようになりました。
在庫管理とは
在庫管理は、「在庫数を把握する」といったイメージをお持ちの方が多いかと思いますが、経営において求められる在庫管理とは「必要なモノを、必要な時と場所にて管理し、品質水準を適切に維持すること」です。簡単に言うと、適正在庫を保つための諸活動ということになります。また、この在庫管理活動はPDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の頭文字を取ったもの)を循環させ、一度やったら終わりではなく、継続していくことが重要になります。
小売業における在庫管理の具体例
- 商品の需要を分析(POSシステム等)し、適正な数の在庫を確保する
- 入庫管理(仕入れた日付の管理等)を徹底し、老朽化在庫等のリスクを減らす
- 出庫時に在庫への検品マニュアルを作成し、効率的かつ効果的に不良品リスクを下げる
- 棚卸頻度を増やし、管理表と実際残高の相違を少なくする
在庫管理の方法
在庫管理の基本として、4つの業務を組み立てる必要があります。また、これらをアレンジして自社に合う在庫管理のサイクルを構築することが重要です。
(1)入庫管理
商品を新しく仕入れた際の業務です。納品、検品、検収、入荷処理という流れを経て、新たな在庫として登録します。取引先から入庫した在庫だけではなく、他拠点から移動された在庫も管理が必要となります。
(2)出庫管理
商品を出荷して販売する際の業務です。出荷の検品をしたのち、発送、もしくは顧客へ引き渡します。そして、出庫処理をすることで在庫を減らします。
(3)返品管理
顧客からの返品が発生した際の業務です。こちらは入出庫(顧客からの返品と仕入れ先への返品)のどちらにも伴うもので、商品代金に影響があるため、新品のモノと混在しないよう別の管理を行う必要があります。
(4)棚卸
棚卸は、在庫の数や品質を調査する業務です。在庫管理では、全ての商品について日々在庫数の変動が伴うことを考慮し、できる限り在庫の変化をリアルタイムで把握する必要があります。しかしながら、実際には様々な要因(データの二重入力や入力ミス等)により記録と現物を一致させることは難しいため、定期的に棚卸を行う必要があります。
在庫管理の目的
「モノ」を扱う事業活動においてなぜ在庫管理が必要とされるのか、企業内と企業外の2つの視点から在庫について考えることで、その目的が分かります。
企業内の視点
在庫管理を見た場合、「キャッシュフロー(お金の流れ)」を改善することが在庫管理の目的といえます。
「必要なモノを、必要な時と場所にて管理し、品質水準を適切に維持」を計画的に実施することで、「過剰仕入」を抑制、つまり過剰な資金流出を防ぐことができます。さらに、在庫をあるべき場所(よく売れる地域にて管理)に保管することで、輸送費や人件費も抑制することができます。このような在庫管理活動によって企業内のキャッシュフローは改善されていきます。
倒産する会社の中には、大量に抱えた在庫が原因で、在庫を保管するための維持費や人件費などを払う運転資金が確保できず、事業活動の継続が困難となるとケースも少なくありません。このように、事業継続のための運転資金を確保するためにも的確な在庫管理が必要になります。
企業外の視点
顧客の要望に応えることが在庫管理の目的になります。
在庫を持たなかった場合、顧客が欲しいと思う商品を顧客が欲しいタイミングで提供できないため、顧客は競合他社へ流れしまう恐れがあります。また、不良品を顧客に納品してしまうとクレームになり、企業イメージの悪化へ繋がります。
在庫管理の重要性
店舗販売やインターネット販売、代理店販売や他社在庫販売等、流通経路が多々存在するため、「モノ」を扱う商売は複雑化しました。そのため、適正な在庫管理によって顧客に必要とされる商品を常に保つ経営ができなければ、前述の倒産企業のような状況になってしまいます。
また在庫を保つとしても、商品とは経年劣化するものなので、売上のタイミングも重要です。このように、経営において在庫管理は要となる大事な業務といえます。
既に前述しているものもありますが、在庫管理のメリット3つを詳細に記載します。
在庫管理の効果①:適正在庫を保ち、過剰在庫が少なくできる
過剰在庫の大きな原因は「在庫がないと不安」という意識が大きいです。その理由は在庫がどれだけあり、今はどれだけ必要なのかといった適正在庫がわからないので、この不安を拭うために在庫を多く持ってしまうのです。しかしながら、在庫管理を的確に行うことができれば、過去の入出荷や在庫の情報を把握でき、仕入と売上の実績から顧客の需要に対する予測を立てることできるため、その情報に基づいて仕入を行うことで、過剰在庫を減らしやすくできます。さらに、適正在庫を保つことは、資金繰りや顧客に対する安心にもつながる大きなメリットになります。
在庫管理の効果②:欠品を未然に防げる
消費者のニーズは季節や流行、社会情勢による影響もあり、常に一定のものとは限りません。急な需要による欠品もあれば、繁忙期での人手不足による在庫状況に気付かず、欠品になるケースもあります。しかしながら、在庫管理を的確に行うことができれば、一定の在庫に達した場合に発注する仕組みづくりを設けることが可能となり、欠品による損失を防ぐことができます。
在庫管理の効果③:品質の安定化を図れる
長期間保管している商品は経年劣化するため、在庫管理によって在庫状況を把握することで、商品の入出荷を繰り返し、劣化した在庫を抱えるといったリスクを防ぐことができます。
在庫管理の課題と解決策
在庫庫管理を行うことは、事業主に対してメリットのみではありません。
在庫管理の課題:時間と労力がかかる
在庫管理には、取り扱う商品や数量について、前述の「在庫管理の方法1~4」といった様々な工程があるため、商品が多ければ多いほど作業も多くなり、在庫管理を行う時間と労力が必要となります。
在庫管理の課題への解決策
手書きやExcelを扱った方法では限界があり、規模が大きくなれば、入力や伝達の際に発生する人為的なミスを見落とすことが多くなります。このようなアナログ的な管理に対しては、システムを導入することにより、作業時間の短縮や業務効率化を図ることできます。
しかし、同時にシステムの導入には、導入費用から保守料など、様々な費用が発生します。さらには、システムの操作できる人員や、システムを管理できる人員(若しくは操作や管理に係る人件費)や退職による引継ぎコストも必要となるため、人件費もかかります。そこで、デメリットを最小限に抑えるために留意したい2点を紹介します。
(1)マニュアル作成と研修
在庫管理は、事業全体で取り組む必要あるため、在庫管理を始める前に運用マニュアルやルールを作成して、現場で共有することが大事です。事前にマニュアルに則した研修を行うことで、現場でのシミュレーションを図ることができ、リスクヘッジに取り組むことができます。システムの導入にしても同様に、ベンダーによる指導を受けることで、システムの操作方法やシステムへの意識づけが可能となります。
(2)費用対効果
現在では、コストがかからない(若しくはかなり低価格な)在庫管理のシステムも存在します。導入による作業時間の短縮や業務効率化を図れるため、マニュアルや導入時のセッティングなどで一時的にコストが高くなりますが、中長期的な目線で計画的に在庫管理を行えば、コストが安くなります。
まとめ
- 「在庫=お金になるモノ」のように、在庫管理は売上に直結した重要な業務
- 適正在庫に保つことは、過剰在庫を減らし、顧客の満足度向上にもつながる
- システム導入は、作業時間の短縮や業務効率化につながる
- クラウドサービスの利用は手間が省けて便利
在庫管理は非常に手間がかかり、後回しにされがちな業務です。在庫管理の目的や重要性を理解することで、在庫管理がいかに事業活動において重要な役割を持っているか理解いただけたのではないでしょうか。中長期的な目線で見なければなりませんが、システムを上手に活用して在庫管理を行えば、業務効率化やコスト削減にもつながります。改めて在庫管理という業務について、考えてみてはいかがでしょうか。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士
公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。
上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。