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「利益の出る資金繰り表」とは?自社に合った項目の立て方を知ろう

資金繰り表はお金の流れを反映した計算書です。金融機関へ融資をお願いに行ったときにはじめて聞くという方が多いかもしれません。一体どのような目的で作成するものなのか、決まったフォーマットがあるのか、損益計算書ではなぜダメなのか、それぞれ細かく解説します。

この記事の目次

資金繰り表とは

資金繰り表とは、来月は手元にどれだけの資金があるのか? 今月の運転資金は大丈夫か? などがわかる「取引の現金・預金部分に着目した計算書類」です。貸借対照表、損益計算書等に並び財務三表の1つであるキャッシュフロー計算書と、資金繰り表の目的は同じですが、キャッシュフロー計算書は計算様式が決まっているのに対して、資金繰り表は使い勝手がいいように独自にアレンジして作成します。そのため資金繰り表は「内部管理用の計算書類」として用いるのが一般的です。

「利益が出ているのにお金が手元に残っていない」という感覚をお持ちの事業主や経営者が多いようですが、正確な経営判断を行うために、資金繰り表は有用な計算書と言えます。なお、税務申告書での添付書類として求められていないため馴染みが無い方も多いですが、「融資」を受ける際に必要になる場合があります。

現金・預金部分に着目した計算書類という意味は?

資金繰り表は、貸借対照表や損益計算書では分からない部分を反映してくれます。貸借対照表や損益計算書は、収益に対して「実現主義」を採用し、費用に対しては「発生主義」を採用しています。

実現主義は「収益の獲得がほぼ確実になったタイミング」で収益認識を求めています。例えば、10月に売れた商品を掛け販売し、11月に入金予定である場合に、10月に売上を計上することになります。一方の発生主義も実現主義と似ていて、「費用の発生タイミング」に費用計上を求めていますので、10月にクレジット払いした経費が11月に引き落とされる場合、10月の費用として計上する事を求めています。つまり、実際のお金の動きよりも、帳簿の方が先に動きます。

このようなズレが原因で、「手元にお金はないけど利益は出ている」という感覚が生じている事業主や経営者が多いのです。しかし、資金繰り表では「実際のお金の動き」をベースにして手元現金を計算しますので、事業主や経営者の感覚とマッチします。黒字倒産は利益と手元現金とのミスマッチが原因で引き起こりますが、これを防ぐ効果もあります。

資金繰り表を自分用にアレンジしよう

資金繰り表を作成するためには「何を目的とするか」が最も重要になります。基本的には、資金ショートが起きないような危機管理や投機判断を前提に作成する事が多いので、資金ショートが起こらない「分かりやすい」資金繰り表の作成が必要です。

正しい資金繰り表と失敗する資金繰り表

資金繰り表を作成する際には、以下の点を意識すると、ご自身の経営判断に合うフォーマットが作成できると思いますので参考にしてください。

(1)複数口座ある場合には、各口座の資金繰り表と総合の資金繰り表を用意する

一つの口座でも資金ショートが起これば取引先に迷惑が掛かり、信用が落ちれば取引が停止や取引の取りやめと言った事態にもなり兼ねません。総合的な資金繰り表では不安な場合には、各口座の資金繰り表を作成するようにしましょう。

(2)未来予測を含める場合は、楽観的ではなく取引実態も含めた厳格な計画を作成する

厳格な資金計画が立てば、投資や多額の経費を支払いするタイミングが判断できます。これが楽観的すぎると二の足を踏んでしまいます。例えば、あるビジネスチャンスがあり、トレンドに乗るために広告費を多く使いたい時に資金繰り表があれば、来月・再来月の手元資金の予定額が即時に判断できます。しかし、資金繰り表がない、もしくは楽観的なものであれば意思決定が遅くなり、ビジネスチャンスを逃す可能性があります。

(3)作成の頻度は高めが良い(細かくしすぎると作成頻度が減ってしまう恐れあり)

資金繰り表にはフォーマットがありませんので、自由に作ることができます。項目(売上の区分や経費の区分)を多く記載することで、作成の手間がかかり、作成の頻度が少なくなってしまうことがあります。ざっくりとしすぎるのは良くありませんが、細かくしすぎるのも良くありません。月1回程度作るのがよいでしょう。

(4)事業の内容にあった収入・支出区分を設定する

様々な事業を行っている場合には、その事業毎に資金繰り表を作成するのも良いでしょう。また、支出については関連するものを一括りにして、自身が一番知りたい内容を細かくした方が判断に最適である場合もあります。

例えば、飲食店経営の場合、人件費は役員報酬、従業員給与やアルバイト代、社会保険料を一括りにして、材料費の内訳として魚代、肉代、アルコール代、その他飲料代等細かくしておくことで、季節的なトレンドが分かり必要な仕入れ予測を助けてくれる場合があります。

これらを総合してご自身の目的の上で作成されたものが、正しい資金繰り表です。インターネット等で検索した一般的なフォーマットがご自身の目的に合っていなければ、フォーマットを用いた資金繰り表では正確な判断が出来ない場合があります。

資金繰り表を作成して利益を伸ばそう

資金繰り表は利益を伸ばすために必要な計算書です。損益計算書では分からない部分(掛代金の回収サイトや会社のキャッシュフロー安全性等)を補完する形にありますので、非常に有用です。損益計算書で計算する利益はあくまで計算上の数字なので、実際に算出した利益の分お金が手元にあるとは限りません。しかし、利益を出すには何かを購入することや、経費を支払う必要があるため支出が先に伴います。そこで、分析しやすい資金繰り表を作成し、予測精度を高めていければ、投資判断を即座に行い、利益を伸ばすことが可能になります。

分析しやすくすることで利益を獲得する

資金繰り表は「内部報告用」の計算書類のためご自身の目的に合わせて作成するものですが、ご自身の経営判断だけでは利益獲得に限界を感じてしまうタイミングがあります。そこで、「外部報告用」にあたるキャッシュフロー計算書の作成方法を、資金繰り表の作成時にも活用することで、より精度が上がり、期間毎や類似業種間の比較など分析がしやすくなります。

その結果、利益獲得の可能性が増えます。また、業種ごとのキャッシュフロー計算書上の適正割合などは書籍等でも出ていますので、ご自身の事業と比較しやすくなりますし、分析に精通した専門家などからのアドバイスも受けやすくなります。なお、キャッシュフロー計算書では、資金繰りの区分を以下のように分類しています。

  1. 営業収支(営業活動によるキャッシュフローと言う)
    本業の活動で得たお金と本業に関する支出を記載する区分
  2. 投資収支(投資活動によるキャッシュフローと言う)
    固定資産に分類されるような支出があった場合に記載する区分
  3. 財務収支(財務活動によるキャッシュフローと言う)
    役員、銀行借入や返済などを記載する区分

キャッシュフロー計算書のノウハウを経営判断に活かそう

営業収支は本業にあたる資金繰りであるため、赤字は即改善が必要です。投資収支については「将来的に収益を獲得する可能性」に着目していますので赤字でも構いませんが、過度な設備投資をすると投資資金の回収が難しくなります。また、設備投資については資金繰り上、「支出額」を計上しますが、損益計算書では「減価償却費(一定の期間で費用計上)」で計上するため、ここでも利益と手元現金にずれが生じます。財務支出は営業支出や投資支出を補完するものなので、過度な借入等でない限り問題はありません。

まとめ

  • 資金繰り表は内部管理用に作成する計算書類
  • 資金繰り表は随時作成する事で危機管理や投資判断に有用になる
  • キャッシュフロー計算書のノウハウを活用すれば比較分析が容易になり、売上アップの期待も

資金繰り表は、会社を守るために重要な書類ですが、本業に力を入れすぎて後回しにされがちです。迅速な経営意思決定を行わなければいけないタイミングで資金繰り表が無く、判断が遅れてチャンスを逃してしまえば、ビジネスに飛躍はありません。ぜひこの機会に作成してみてください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

https://sola-cpa.com/

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