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経営環境変化対応資金とは?融資制度の概要や利用できる人などわかりやすく解説

経営環境変化対応資金

経営環境変化対応資金とは、政府系金融機関の日本政策金融公庫(以下、公庫)が行う融資制度です。別名セーフティーネット貸付といわれています。突発的な自然災害や経済環境の変化により業況が悪化した、またはしそうな事業者に対し、公庫は経営環境変化対応資金による資金繰り支援を行っています。どのような融資制度なのか見ていきましょう。

この記事の目次

経営環境変化対応資金を利用できる人

経営環境変化対応資金を利用するには、中小企業か小規模事業者が対象となります。公庫は大きく3事業あり、経営環境変化対応資金を取り扱っているのは、国民生活事業と中小企業事業です。利用には次の要件を満たす必要があります。

要件

社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方が利用できます。

  1. 最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
  2. 最近3カ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
  3. 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
  4. 最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、0.1カ月以上悪化している方
  5. 社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
  6. 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
  7. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
  8. 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方

経営環境変化対応資金の概要と融資限度額

経営環境変化対応資金は運転資金と設備資金どちらでも利用でき、融資限度額は国民生活事業で4,800万円、中小企業事業で7億2千万円です。返済期間は運転資金で8年以内(うち据置期間3年以内)、設備資金は15年以内(同3年以内)です。

金利は国民生活事業で2.03%、ただし、【ご利用いただける方】の5に該当する方のうち、原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響またはウクライナ情勢の変化の影響を受けており、かつ、最近における売上高総利益率または売上高営業利益率が前期に比し5%減少している方は1.63%になります。

中小企業事業で1.08%(貸付期間5年以内の場合)、5に当てはまる方のうち、原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響またはウクライナ情勢の変化の影響を受けており、かつ、最近における売上高総利益率又は売上高営業利益率が前期に比し5%以上減少している方については、基準金利-0.4%(上限2.5%)(2023年2月15日時点)になります。

経営環境変化対応資金は、売上が増加しているが、社会情勢により先行きの資金繰りに不安がある企業で、売上減少要件を満たせないため、公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付が利用できない企業が活用します。

経営環境変化対応資金の申し込み先

経営環境変化対応資金を活用したい場合は、事業を行っている地域の公庫に申し込みます。公庫は全国各都道府県に支店があります。(沖縄県は沖縄振興開発金融公庫本支店が行います。)

必要書類

経営環境変化対応資金では次の書類が必要です。

  1. 借入申込書
  2. 最近2期分の決算書(個人事業主の場合は最近2期分の確定申告書)
  3. 試算表(直近決算後6カ月以上経過している場合)
  4. 見積書(設備資金の場合)
    公庫と取引がない場合は追加で次のものが必要です。
  5. 法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(個人事業主の場合は不要)
  6. 企業概要書
  7. 代表者の運転免許証またはパスポート
  8. 許認可証のコピー(飲食店などの許可・届け出等が必要な事業を営んでいる場合)

経営環境変化対応資金の申請期限と流れ

申請期限

経営環境変化対応資金の申請期限はありません。(2023年2月15日現在)いつでも受付可能です。

申請の流れ

  1. 事業を行っている地域の公庫へ相談
    事業所所在地の公庫支店に相談します。融資制度の概要や資金使途、進め方、必要書類などの説明を受けます。
  2. 必要書類の準備
    必要書類を準備します。揃ったら公庫の担当者に渡します。
  3. 審査
    公庫による審査があります。希望融資額が減額されたり、融資が受けられない場合があります。
  4. 融資決定
    審査を通過すれば融資決定です。
  5. 融資実行に向けた必要書類の準備・提出
    公庫から融資実行に必要書類が届きますので準備し、提出します。
  6. 融資実行
    通帳や契約書などの準備が整えば融資実行になります。

経営環境変化対応資金の利用に関する注意点

新型コロナウイルス感染症特別貸付との比較

経営環境変化対応資金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない企業ですが、先行きの資金繰りに不安がある企業が利用できます。売上減少の要件を満たせる場合、新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する方が金利や審査、スピードで有利です。サブスクリプション型のビジネスなどで当面売上減少の見込みがない場合は、経営環境変化対応資金を利用することになります。

代表者保証

経営環境変化対応資金は、基本的に代表者が連帯保証人とならないといけません。なお決算内容により、金利を0.2%上乗せすることで代表者の保証を免除する「経営者保証免除特例制度」を利用することができます。

元金据え置き

経営環境変化対応資金は、制度上元金の据え置きが3年までとなっています。ただし実際の運用上3年まで認めてくれることはまれで、長くて1年くらいまでと考えておきましょう。

返済期間

経営環境変化対応資金の返済期間は、運転資金で8年以内、設備資金で15年以内です。新型コロナウイルス感染症特別貸付の場合、運転資金で15年以内、設備資金で20年以内です。新型コロナウイルス感染症特別貸付に比べ短くなっています。

まとめ

  • 公庫の経営環境変化対応資金は、中小企業や小規模事業者といったさまざまな規模の企業が受けられる
  • 国民生活事業で4,800万円、中小企業事業で最高7億2千万円までの融資が受けられる
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を受けていない企業でも、先行きの資金繰りに不安がある企業は利用することができる
  • 基本的に代表者が連帯保証人となる必要がある
  • 元金の据え置き期間が比較的短い

公庫の経営環境変化対応資金は、中小企業や小規模事業者が受けられる融資制度です。無担保で最高7億2千万円までの融資が受けられます。売上が増加したことにより、新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用できない企業でも融資を受けやすくしてある制度ですので、先行きの資金繰りに不安のある企業は検討されてみてはいかがでしょうか。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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