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【2024年4月版】個人事業主がもらえる給付金には何がある?助成金、補助金の情報もあわせて紹介

給付金

事業拡大や資金繰りのための資金を調達するには、給付金、助成金、補助金を活用する方法があります。今回は、個人事業主が申請できる給付金、助成金、補助金について、それぞれの違いなどを解説します。

この記事の目次

給付金、補助金、助成金の違いを確認

給付金、補助金、助成金は、国や地方自治体などから支給されるお金のことです。どれも原則として返済は不要です。ここでは、それぞれの特徴や違いを解説します。

給付金

給付金は、おもに個人(個人事業主を含む)に給付されるお金です。受給の要件を満たしていれば、申請により受け取ることができます。基本的に返済の義務はなく、使用や用途も自由であることが多いです。

助成金

助成金は事業者を対象におもに雇用や労働環境を整えるために給付されるお金です。受給の要件は厳しいものもありますが、要件を満たしていれば申請によって受け取れるものがほとんどです。基本的に返済義務はありません。助成金の多くは厚生労働省が担当しています。

補助金

補助金は、事業者(法人や個人事業主など)が対象のものが多いです。受給の要件を満たしていても、審査を通らないと受け取ることができない場合もあります。全体の予算枠や採択件数が決まっている場合は、上限に達した時点で受付が終了となります。基本的に返済義務はありませんが、交付を受けたあとに報告が義務付けられているものもあります。補助金の多くは経済産業省が担当しています。

<給付金・補助金・助成金のおもな特徴>
  おもな特徴
給付金
  • 個人(個人事業主を含む)に給付される場合が多い
  • 受給要件を満たしていれば申請することで受け取ることが可能
  • 基本的に返済義務はない
  • 使用用途も自由であることが多い
助成金
  • 事業者を対象に、雇用や労働環境などに関連するものが多い
  • 受給要件が厳しいものもある
  • 受給要件を満たしていれば申請することで受け取れるものが多い
  • 基本的に返済義務はない
補助金
  • 事業者(法人や個人事業主など)が対象のものが多い
  • 受給要件を満たしていても審査に通過しないと受け取れない場合もある
  • 予算や採択件数が決まっている場合は、その上限に達した際に受付が終了する
  • 基本的に返済義務はないが、補助金交付後に報告が義務付けられているものもある

個人事業主が利用できる給付金(2024年4月現在はなし)

2024年4月現在、個人事業主が利用できる給付金はありませんが、過去に利用できた給付金や、事業内容にかかわらず利用できる給付金について、おもなものを解説します。

過去に申請できた給付金の例

  • 持続化給付金

    新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされるなどの理由で、売上が前年同月比50%以上減少している事業者に、事業全般に広く使える給付金が支給されました。現在、申請受付は終了しています。

  • 月次支援

    金緊急事態措置・まん延防止等重点措置にともなう飲食店の休業・時短営業、そして外出自粛等により、月間売上が減少した事業者が相次ぎました。これを受け、2019年または2020年の同じ月と比べて50%以上減少した中小法人・個人事業者を対象に、事業全般に広く使える月次支援金が2021年に支給されました。現在、申請受付は終了しています。

事業形態にかかわらず申請可能な給付金

  • 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金

    食費等の物価高騰について、特に影響を受ける低所得の子育て世帯に対し、生活の支援を目的とした給付金が支給されます。支給対象者は、一定の要件を満たす低所得のひとり親世帯または子育て世帯で、給付額は児童1人当たり一律5万円となっています。

個人事業主が利用できる助成金

個人事業主が利用できるおもな助成金について解説します。

<おもな助成金の制度>
  概要 助成金
人材開発支援助成金 職業訓練を実施した際の経費や賃金の一部を助成 コースによって異なる
トライアル雇用助成金 安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した事業者に助成 月額最大4万円
(精神障害者を雇用する場合は月額最大8万円)
業務改善助成金 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた事業者に対して、設備投資などにかかった費用の一部を助成

生産性向上のための設備投資にかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額のいずれか安いほうの金額

地域雇用開発助成金 雇用機会が不足している地域の事業主が、事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する求職者を雇い入れた場合に助成 基本的な助成額は50万円から800万円

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、事業者が雇用する従業員に、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を実施した場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が支給される制度です。人材開発支援助成金には、下記の7コースが設けられており、助成額や申請方法などは各コースによって異なります。

  1. 人材育成支援コース

    雇用する従業員に対して、「職務に関連する知識や技能を習得させるための訓練」「厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練」「非正規雇用労働者を対象とした正社員化を目指す訓練」を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。

  2. 教育訓練休暇等付与コース

    有給の教育訓練休暇制度を導入して、従業員がこの休暇を取得して訓練を受けた場合に助成されます。

  3. 人への投資促進コース

    デジタル人材・高度人材を育成する訓練、従業員が自発的に職業能力開発を行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション)を実施した場合に、訓練の経費や期間中の賃金の一部が助成されます。

  4. 事業展開等リスキリング支援コース

    新規事業の立ち上げなどの事業展開に伴い、必要となる知識や技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や期間中の賃金の一部が助成されます。

  5. 建設労働者認定訓練コース

    認定職業訓練または指導員訓練のうち、建設関連の訓練を実施した場合を想定したコースです。建設労働者に有給で認定訓練を受講させた際、訓練経費の一部や期間中の賃金の一部が助成されます。

  6. 建設労働者技能実習コース

    雇用する建設労働者に、技能向上を目的とした実習を有給で受講させた場合に、訓練経費や期間中の賃金の一部が助成されます。

  7. 障害者職業能力開発コース

    障害者の職業に必要な能力を開発・向上させるため、一定の教育訓練を継続的に実施する施設の設置・運営を行う場合に、その費用の一部が助成されます。

トライアル雇用助成金

トライアル雇用助成金は、職業経験の不足などの理由によって安定的な就職が困難な求職者を、ハローワーク等の紹介によって一定期間、試行雇用した事業者に支給される助成金の制度です。トライアル雇用助成金には、下記の3コースが設けられています。

  1. 一般トライアルコース

    事前にトライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、これらの紹介によって、対象の従業員を原則3カ月の有期雇用で雇い、一定の要件を満たした場合に、月額最大4万円(※)の助成金が最長3カ月支給されます。
    ※対象の従業員が母子家庭の母もしくは父子家庭の父の場合は、いずれも1人あたり月額最大5万円となります

  2.  障害者トライアルコース

    事前に障害者トライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、これらの紹介によって対象障害者を原則3カ月の有期雇用で雇い、一定の要件を満たした場合に、月額最大4万円の助成金が最長3カ月支給されます。なお、精神障害者を雇用する場合は、月額最大8万円の助成金が最長6カ月支給されます。

  3.  障害者短時間トライアルコース

    精神障害者または発達障害者で、週20時間以上の就業時間での勤務が難しい人を雇用する場合、事前に障害者短時間トライアル雇用求人をハローワーク等に提出し、これらの紹介によって、対象障害者を3カ月から12カ月の短時間トライアル雇用(週10時間以上20時間未満)で雇い、一定の要件を満たした場合に、月額最大4万円の助成金が最長12カ月支給されます。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性向上のための設備投資(機械設備やコンサルティング導入、人材育成・教育訓練など)を行い、事業場内最低賃金を一定額(金額は申請コースによって異なる)以上引き上げた事業者に対して、その設備投資などにかかった費用の一部が支給される助成金の制度です。助成額は、かかった費用に一定の助成率をかけた金額か助成上限額の、いずれか少ないほうの金額となります。

地域雇用開発助成金

地域雇用開発助成金には、下記の2コースが設けられています。

  1. 地域雇用開発コース

    雇用機会が不足している地域(求人件数が少ない地域など)の事業主が、事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する求職者を雇った場合に、設置整備費用および対象の従業員の増加数に応じて助成金が支給されます。

  2. 沖縄若年者雇用促進コース

    事業所の設置または整備に伴い、沖縄県内に居住する35歳未満の若年求職者を3人以上雇い、その定着を図る県内の事業主に対し、当該の雇用した者に支払った賃金に相当する額の1/4(中小事業主については1/3)が1年間(従業員の定着状況が良好な事業主に対しては2年間)助成されます。

個人事業主が利用できる補助金

個人事業主が利用できるおもな補助金について解説します。

<おもな補助金の制度>
  概要 助成金
事業再構築補助金 新分野展開や事業・業種転換などに要する経費の一部を補助 補助限度額は最大5億円
(サプライチェーン強靭化枠)
小規模事業者持続化補助金 小規模事業者等が自ら作成した経営計画にもとづく販路開拓等の取り組みなどに要する経費の一部を補助 補助限度額は最大250万円
(インボイス特例の適用時)
IT導入補助金 中小企業等が行うバックオフィス業務の効率化やセキュリティ対策に向けたITツール等の導入などに要する経費の一部を補助 補助限度額は最大450万円
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 中小企業・小規模事業者等が直面する制度変更などに対応するために行う設備投資等にかかる経費の一部を補助 補助限度額は最大8,000万円

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新分野展開や新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰またはこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲のある中小企業等の挑戦を支援するため、それに要する経費の一部を補助する制度です。補助額は、申請枠によって異なります。(補助上限額は最大5億円)

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が自ら作成した経営計画にもとづく販路開拓等の取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助する制度です。補助額は、申請枠によって異なります。(補助上限額は最大250万円)

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業等が行うバックオフィス業務の効率化やセキュリティー対策に向けたITツール等の導入を支援するため、それに要する経費の一部を補助する制度です。補助額は、申請枠によって異なります。(補助上限額は最大450万円)

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応するため、新製品・サービスの開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資等にかかる経費の一部を補助する制度です。補助額は、申請枠によって異なります。(補助上限額は最大8,000万円)

利用の際の注意点

給付金、助成金、補助金の制度を利用する際のおもな注意点を解説します。

申請すれば必ず支給されるわけではない

受給の要件を満たしても、採択件数や予算が設けられているなどの場合は、支給されないことがあります。また、事業期間が設けられている場合は、事業期間外の支出は経費として認められないなど、受給の対象とならないこともあります。

手続きに手間がかかる

各制度には公募期間が設けられていることが多く、この期間内に提出する書類を準備して申請する必要があります。申請書や事業計画書などの提出書類を普段の業務と並行して作成しなければならないため、前もって実施日程等を確認して計画を立てておくとよいでしょう。

申請から支給までに時間がかかる

申請から実際に支給されるまでに時間がかかる場合も多く、申請から支給されるまで1年以上かかることもあります。支給されるまで時間がかかることを想定して計画し、利用する必要があります。

まとめ

  • 給付金、補助金、助成金は、国や地方自治体などから支給されるお金のことで、原則として返済は不要
  • 給付金、補助金、助成金の制度には、さまざまな種類がある
  • 給付金、補助金、助成金には、申請から実際に支給されるまでに時間がかかる場合があるなどの注意点もある

個人事業主が申請できる給付金、助成金、補助金、それぞれの違いなどについて解説しました。給付金、補助金、助成金の制度の申請には、提出書類の作成などの準備に時間がかかる、煩雑な事務処理が増えるなどのデメリットもありますが、生産性を向上させたり雇用を安定させたりするなどの効果が期待できるメリットもあります。各制度を利用する場合は、事前に申請から支給までの計画を立てておくことが大切です。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中田 真(なかだ まこと)ファイナンシャルプランナー

中田FP事務所 代表/CFP®認定者/終活アドバイザー/NPO法人ら・し・さ 正会員/株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師/元システムエンジニア・プログラマー。給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP®資格を取得。現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。https://nakada-fp.com/

 

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