自分らしいお店づくりを応援する情報サイト

Airレジ マガジン > 経営ノウハウ記事 > 【完全解説】源泉徴収票の見方を図で解説~手取り税額や控除、還付金など疑問解決

【完全解説】源泉徴収票の見方を図で解説~手取り税額や控除、還付金など疑問解決

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

源泉徴収票に書かれている意味を理解できていますか? 給与計算システムに委ねているから実はまったくわからないという人が多いのではないでしょうか。この記事を読むことで、所得税などの税額(源泉徴収額)・課税される所得、社会保険料等の金額などの意味や、どこを見ればよいかがわかります。会社員の方は自分の課税前の給与と手取りがどれくらいなのか参考になりますし、雇用主の方は従業員から聞かれた際に即答できるようになります。源泉徴収票の画像を使ってわかりやすく説明します。

この記事の目次

源泉徴収票の見方は?

源泉帳票票の項目4つの見方を解説していきます。

給与所得の源泉徴収票(例)

①支払金額

従業員に支払った給与と賞与の支給総額です。いわゆる年収と言われる部分の金額となります。

②給与所得控除後の金額

支払金額から給与所得控除を引いた金額です。個人事業主は、売上から仕入商品などの必要経費を引いて所得税を計算します。給与をもらっている従業員は、個人事業主の必要経費の代わりに給与所得控除を支払金額から差し引きます。年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表を使えば、支払金額から一瞬で給与所得控除後の金額に変換することができます。是非活用してみてください。

国税庁:年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表

③所得控除の額の合計額

所得控除をすべて足し合わせた金額です。たとえば基礎控除38万円と配偶者控除38万円と扶養控除38万円が適用される場合は、114万円となります。所得控除の額の合計額は、所得税を計算するために優遇した合計額を表しています。

④源泉徴収税額

従業員がその年に支払う所得税と、復興特別所得税を合わせた金額です。

⑤配偶者控除の額

配偶者の合計所得が38万円(給与収入のみであれば103万円)以下の場合に、13万円~38万円(配偶者が70歳以上の場合は、16万円~48万円)の控除を受けられます。本人の所得状況によって、控除額が変わります。

⑥扶養控除

子その他配偶者以外の親族で生計を一にしている者の合計所得が38万円(給与収入のみであれば103万円)以下の場合に、38万円~63万円の控除が受けられます。対象となる親族は年齢16歳以上に限られ、年齢によって控除額が変わります。

⑦社会保険料等の金額

その年に給与天引きされた社会保険料や、個人で納付した国民年金保険料や国民健康保険の金額として、年末調整で控除を受けた金額の合計額です。

⑧生命保険料の控除額

その年に支払った生命保険料の金額や、保険の種類に応じて、決められた計算方法に従って計算した金額です。12万円を上限に控除をうけられます。保険の種類に応じて、一般生命保険料、介護保険保険料料、個人年金保険料の3つに分かれ、種類ごとの支払った保険料額も源泉徴収票に記載されます。

⑨地震保険料の控除額

その年に支払った地震保険料の金額について、5万円を上限に、支払った保険料の金額の控除を受けられます。

⑩住宅借入金等特別控除の金額

住宅ローン控除とも呼ばれ、年末時点で残っている住宅ローンの金額に応じて、納めるべき所得税の金額から直接引くことができます。居住を始めた年によって住宅ローン控除の上限も変わります。

中途就職者の源泉徴収票

中途就職者の源泉徴収票とは、年の途中から採用した従業員から提出してもらう源泉徴収票です。所得税の計算は1月1日から12月31日と決まっているため、4月1日から働きはじめた従業員は中途就職者として扱われます。

中途就職者が前職で1月1日から3月31日までに受け取った給与がある場合は、原則として前職分と一緒に年末調整をします(ただし、副業先からの源泉徴収票は除きます)。源泉徴収票があれば、前の会社からいくら給与をもらっていたのかが分かります。年末調整の時期までに、前の会社から作成・発行してもらった源泉徴収票を提出してもらいましょう。

中途退職者の源泉徴収票

中途退職者の源泉徴収票とは、年の途中で退職した従業員へ渡さなければならない源泉徴収票です。基本的には退職後1年以内に渡します。既に退職済となっていることから郵送などの手段によって渡すのが一般的です。書留や配達記録郵便で送付すれば、中途退職者が確実に受領したことがわかるため安心です。万が一紛失して再発行を希望する連絡があった場合は、対応する必要があります。

従業員が退職したときの手続きは、こちらの記事を参考にしてみてください。

従業員の退職で会社側に必要な手続きと書類とは?社会保険や雇用保険など注意点も

還付申告のための源泉徴収票

年末調整後に従業員が還付申告を行うときに、源泉徴収票が必要です。年末調整で還付金を受け取ったあとに、さらに還付申告をして還付金を受け取る人がいます。もしもあなたの従業員が、還付申告ができるにもかかわらず会社から源泉徴収票をもらえなければ、還付申告することができません。源泉徴収票を年末調整をした翌年の1月末日までに交付すれば、従業員はスムーズに還付申告することができます。

まとめ

源泉徴収票を見れば【年収・所得金額・優遇された金額・所得税の総額】がわかります。そして経営者が気をつけたいポイントは、下記の3つにまとめられます。

  • 中途就職者の源泉徴収票がなければ年末調整で正しい税額が計算できない
  • 中途退職者の源泉徴収票は退職後1ヶ月以内に発行する
  • 年末調整をした従業員の源泉徴収票は1月末日までに交付する

これらのポイントをおさえれば、従業員の税金を適切に管理し、経営責任を果たすことができます。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

Airレジ マガジン編集部

自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。

この執筆者の記事一覧
中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/