経費科目をきちんと管理しよう!経営者のための簿記知識
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
経費や支出を管理する必要性は感じつつも、帳簿には難解な言葉も多く、ハードルが高いと言われる経営者の方も多くいらっしゃいます。ところが経費科目の基本をおさえ、しっかりと管理することは経費の計上漏れを防いだり、経営判断に役立てられたりもできるのです。そこで今回は経営者が知っておきたい帳簿の知識として、経費科目(経費に関する勘定科目)についてお伝えします。
この記事の目次
経費に関する勘定科目とは
勘定科目とは帳簿に記載するお金の区分のことで、それぞれの支出や収入に対して特定の勘定科目が指定されています。特に経費に関しては様々な支出があり、まずはそれぞれの経費がどの勘定科目に該当するのかを知ることが大切です。
経費の勘定科目を知ることで得られるメリット3つ
経費の勘定科目を知り、それに応じた帳簿管理をすることで下記のメリットが得られます。
経費の勘定科目に即した帳簿管理をするメリット
- 経費の区分(=勘定科目)に即した会計管理をすることで、自分の会社の経費の動きを随時チェックできる
- 正しく経費区分し管理することで経費の計上漏れを防げる銀行などの利害関係者に、財務状況を分かりやすく表示できる
経費の勘定科目は帳簿上での経費に必ず必要な存在なので、まずはそれぞれの勘定科目に何が該当するかを知りましょう。
経費の勘定科目は帳簿上での経費に必ず必要な存在なので、まずはそれぞれの勘定科目に何が該当するかを知りましょう。
覚えておきたい経費の勘定科目
小売業を例に、代表的な経費の勘定科目とその内容を見てみましょう。
代表的な経費の勘定科目
- 仕入:商品の購入代金など
- 租税公課:事業税、固定資産税、収入印紙など
- 水道光熱費:水道、ガス、電気、灯油など
- 通信費:電話代、インターネット接続料、事業で使用する携帯電話料金、切手など
- 旅費交通費:通勤定期代、高速料金、出張旅費、時間駐車場代など
- 広告宣伝費:告知広告などの広告費用
- 接待交際費:事業用の茶菓子代、飲食費、贈答品の費用など
- 消耗品費:コピー用紙、文房具、包装紙、帳簿など
- 給与賃金:従業員に支払う給与、賃金、退職金、従業員の被服や食事などの現物給与もこれに当たる
- 福利厚生費:従業員の慰安、衛生、医療、保健などを目的に支出する費用
- 地代家賃:店舗、倉庫、事務所などの敷地の地代、建物の借料など
- 減価償却費:取得金額が10万円を超える建物や車両などの償却資産を、所定の方法によって計算した償却費
- 雑費:既存の勘定科目にない用途の費用のうち、事業に必要な経費
上記のうち、法人の場合、接待交際費に関しては税金の計算上の費用(損金といいます。)に算入できる金額に制限があります。接待交際費のポイントについては下記の記事もご参照ください。
交際費は経費にならないって本当?税金にも関わる、交際費の考え方
勘定科目を設定する時の注意点は?
これから帳簿管理を始める方は、勘定科目を設定する段階からスタートする方もいらっしゃるでしょう。そこで今後のスムーズな帳簿管理のために、勘定科目を設定する時に注意すべき点は下記の通りです。
- 業界用語、略称は勘定科目として設定しない
- 同じ仕訳をするときは、同じ勘定科目を使い続ける
- 帳簿管理用の勘定科目と、決算書の勘定科目を統一する
これらを徹底することで、帳簿を管理する従業員が違っても常に経費の使用状況を確認することができます。
まとめ
会社経営者がおさえるべき経費科目のポイントは下記の通りです。
- 勘定科目とは帳簿に記載するお金の区分のことで、それぞれの支出や収入に対して設定されている
- • 勘定科目に即した帳簿管理をすれば、経費の使用状況を随時チェックできたり、経費の計上漏れを防げるなど様々なメリットがある
- あらゆる経費がどの勘定科目に入るかを知る
- 勘定科目を設定する際は業界用語を使わず、関連書類の勘定科目と統一し、同じ勘定科目を使い続ける
正しい帳簿の知識を身に着け、実践することで帳簿は経営判断の資料としても活躍するでしょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/