在庫削減!お店のムダな在庫を減らすために知っておきたい基本ノウハウ
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
取扱い商品が多いアパレル店や雑貨店のオーナーは、経営課題のひとつとして在庫管理・在庫削減を挙げる人が多いのではないでしょうか。ここでは、在庫を適切にコントロールするために知っておきたい在庫管理の基礎知識やノウハウを紹介します。削減すべき在庫とそうでない在庫を見極めてムダを減らし、経営の効率化につなげましょう。
この記事の目次
小売店にとって在庫はメリット?デメリット?
在庫はむやみに削減すれば良いものではなく、在庫を持つことのメリット・デメリットを踏まえて適切に判断することが大切です。
メリット
小売店にとって、在庫を持つことには以下のようなメリットがあります。
- 品切れによる販売機会のロス(損失)を防ぐことができる
- 陳列にボリューム感を出し、お客様の購買意欲を高めることができる
- 急な需要の増加にも速やかに対応できる
- 不良品の代品をすぐに用意できる
欠品や品揃えの悪い陳列棚はお客様の購買意欲を低下させるおそれがあるため、ある程度の在庫は確保しておきましょう。
デメリット
売れ残りなどの不要な過剰在庫は、以下のようなデメリットにつながります。
- 大幅な値下げ・廃棄による収益悪化をまねく
- 季節はずれや時代遅れなどの商品の陳腐化をまねく
- 在庫を保管・管理するための費用がかさむ
需要や売れ行きから適正な在庫量を見極め、在庫を持ち過ぎないよう注意しましょう。
削減しない方が良い在庫とは?
在庫には、上記のようなメリットを踏まえて常時保有しておいた方が良い定番在庫の他、戦略的に残しておくべき在庫があります。
戦略在庫とは?
例えば、取引先のメーカーが新製品や注力商品のキャンペーンを行う場合、小売店が協力する形で一定数量の在庫を抱えるケースです。
戦略在庫は売り切ることを前提として持つものですが、需要を見誤り、処分対象となる不良在庫として残るケースがよくあります。売れ行きが良ければ定番商品になる可能性もありますが、不良在庫になると収益の圧迫につながります。
戦略在庫を保有する際はターゲットや陳列方法などの施策をよく検討し、適正在庫数を見極めましょう。
在庫の目的を把握しよう
このように、一口に在庫といっても目的はさまざまです。棚卸しの際など、何のための在庫か商品ごとにチェックする機会をつくると良いでしょう。
在庫削減に役立つABC分析とは?
ABC分析によって商品ごとにランク付けする方法も在庫管理・削減に役立ちます。
ABC分析とは、一定期間の累計売上金額を商品ごとに算出し、お店全体の売上に占める割合から以下のようなグループに分類する方法です。
- Aグループ:売れ行きが良く、売上構成比が高い売れ筋商品
- Bグループ:そこそこの売れ行きが期待できる中堅商品
- Cグループ:売れ行きが良くない死に筋商品
アパレルなどシーズンや流行に合わせた商品管理が求められる小売店では、ABC分析に基づいた仕入れ計画を立てるケースが多いようです。
在庫管理という点では、以下のような方向性で考えることができます。
Aグループ
発注量・在庫を増やし、売り場面積を大きくすると売上アップにつながります。ただし、高い需要がいつまで続くかを注視する必要があります。
Bグループ
現状の売上を維持するために一定の在庫を確保するのが基本です。同時に、売れ筋商品へと成長させるための販売促進策を検討しましょう。
Cグループ
できる限り在庫を減らし、売り切るために値引きセールなどを検討します。品揃えを演出するために、売れ行きが悪くてもあえて残すという考え方もあります。
数多くの商品を取り扱っている小売店では、こうした分析を取り入れることによって、発注量や発注方法を適切に見直すことができるでしょう。
在庫管理については以下の記事も参考にしてください。
(在庫の整理と分析でコストダウン!業務効率化にもつながる在庫管理法:AR-237)
「在庫回転期間」はどれくらい?売れ筋・死に筋がわかる在庫管理のキホン
まとめ
小売店の在庫を削減するためのポイントをまとめると、以下のようになります。
- 在庫の要・不要や目的をチェックしよう
- 適正在庫量を見極め、過剰在庫が残らないような施策を検討しよう
- 発注量を見直すためにABC分析などを活用しよう
在庫は必要に応じて過不足なく保有することが理想的ですが、その見極めはとても難しいです。今回の内容を参考に、在庫をどの程度削減すべきか検討し、ムダのない在庫管理に役立ててください。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/