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「商圏」とは?店舗を開業するときの商圏調査の方法を紹介

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

どのオーナーも自分のお店には、多くのお客さまに足を運んでもらいたいと思うはずです。しかし、どこからお客さまは来店されるのかをしっかり調べた上で開店されるオーナーは案外少ないものです。今回は「商圏」の意味を始め、どのような調査をすべきかを紹介します。商圏調査の目的と方法を理解し、多くのお客様が来店する自分らしいお店づくりを実現しましょう。

この記事の目次

商圏とは?

言葉の通り、「『商』いをする=お店を開業する」にあたり、来店していただけるお客さまの距離的な限界値(範囲)を商圏と呼んでいます。

商圏を見る方法としては、「徒歩圏内」「自転車圏内」「車・バイク圏内」「公共交通圏内」というように来店手段に分けて考えます。

しかし、お客さまの来店動機が最近、様変わりしてきています。インターネット検索を活用して事前に行く店を決めてから行動するようになってきています。

そこでお客さまこのように大別できます。

  1.  近隣に住む人、お店の場所まで所要で来る人
  2.  来店動機をネット検索等でつくる人

今回は「1.」の場合にフォーカスをして説明します。

商圏調査とは?その準備は?

店がある地域に支持されるようになるためには、自店の商圏を理解すること、つまり商圏調査が大切です。

商圏調査の目的

商圏調査の種類は2つあり、それぞれ目的は以下の通りです。

  1. 未来の顧客を明確にするための商圏調査
    来店して欲しいお客さまはどこに多くいるのかを推測するため
  2. 競合を知るための商圏調査
    競合店を調査し、良いことはお店の特長に取り入れ、悪いことは逆に差別化要素にするため

それぞれの具体的な調査項目は後程紹介します。

事前準備

次に実際に街を歩いてみる前に準備をしておくこととして、2つあります。

地図上で街を理解する

  • 紙の地図で、お店を中心に半径1・2・3㎞の円をコンパスで書く
  • 円内に「幹線道路」「高架されていない線路」「川・池・湖」等の『寸断要素』を探す
  • 駅や大規模商業施設など人が集まる場所をチェックする
  • ターゲット顧客が集まりそうな場所をチェック(例:主婦がターゲット顧客ならば幼稚園・学校等)

統計等のデータをインターネットで入手する

  • 経済産業省や総務省が主管する人口統計/年齢別統計/一世帯あたりの人数統計等を使って、ターゲット顧客層がどこに住んでいるかを大まかに把握して適宜地図に書き込んでいく
    おすすめ統計ポータルサイト 
    独立行政法人統計センターが管理運営するe-Stat
    http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do

持ち物

出かける前に以下を準備するとスムーズに調査が実施できます。

  • 両手がふさがらない鞄
  • 防寒対策
  • 履きなれた靴
  • 時計/ストップウォッチ(時間計測用)
  • 地図をはさむバインダー
  • 筆記用具
  • スマートフォン(現在位置確認用)
  • メモ用ICレコーダー

それでは「来店顧客を明確にするための商圏調査」と「競合を知るための商圏調査」の方法をそれぞれ紹介します。

来店顧客を明確にするための商圏調査の方法とは?

では実際の調査はどのように実施するのでしょうか。

前提

商圏調査は、「曜日」「時間帯」「場所」「動点・定点観察」「天候」によって左右されるため何度も行いましょう。

調査項目

地図情報は正しいか

  • (例)顧客導線になるメイン道路が工事中で、今後6か月は集客としては見込めない状態だった
  • (例)川による寸断要素だと把握していたのに、新しい橋が架かる予定の工事計画標識を発見した
  • (方法)集客商業地域・旗艦店や場所等を調べ、集客能力を観察する

曜日別にどのような変化があるのか

  • (方法)平日/土曜日/日曜日・祝日に分けて同じ場所でもどのような変化があるのかを確認する
  • (方法)集客商業地域・旗艦店や場所等を調べ、集客能力を観察する
  • (例)ビジネス街で日曜日にランチ弁当を店頭販売してもあまり売れないことを事前に知っておく

時間帯別で人がどのように動くのか

  • (方法)朝7-9の通勤通学/11-14昼食時/15-18買い物等/18時以降で、歩測が速い場合は家路へまっすぐ帰宅する等の推理をする

動点観察

  • (方法)通勤通学をする人と同じように歩き、物件前の道路を歩いている人のスピードを図ったり、どこを見ながら歩いているのかを観察したりする。

定点観察

  • (方法)ある場所に立ち、人の流れや目的地、動機を類推しながら観察する。時間帯との関連性が高い

天候

  • これまでの観察結果が天候によって変化することもあるので再度チェックしておく。

競合を知るための商圏調査

商圏調査の内容で競合店の調査も欠くことができません。売上を競うことになりそうな競合店はしっかり調査をしておきたいものです。それでは競合の認定方法と、調査項目を説明します。

競合店と認定する方法

同業であるかどうか

飲食店であれば、イタリアン・フレンチ・専門バル等の業種でターゲッティングします。いわば当たり前のことです。ここでのオススメは「敵対する方向ではなく、お互いに情報交換し切磋琢磨する」「先輩オーナーの懐に飛び込んでみる」というスタンスです。本当の情報とはこのような行為から見つけ出せることも多いからです。良いところはマネ、そうでないことは反面教師にすることでお店の差別化要素が見えてきます。

利用目的が同じかどうか

お店のコンセプトが「リラックスした時間を提供したい」と設定したならば、飲食店に限らず、「スパ・エステ・映画館・バー」などの「時間消費型レジャー」まで範囲になります。細かくサービス内容が分解、専門化されている今は、ここまで視野に入れて「お客さまは何のためにどこに行くのか」を想像し続けることが大切です。

しかし、現段階ではまずは同業からにしましょう。利用目的までの調査は開店後でも良いかもしれません。商圏調査以外にもやるべき準備はたくさんあるはずです。時間を有効活用して実施してください。

調査項目

同業の場合
商品の品質はもちろんのこと、以下の項目は最低観察します。

  • 接客サービスレベル
  • 清潔感
  • 価格と値頃感
  • 顧客層と同伴人数
  • 客席数と着席率
  • スタッフ数
  • トイレ個数
  • 顧客のウェイト/オーダー待ち/商品待ち/飲食中/飲食後の表情と会話量
  • 会計時の印象
  • 推測客単価
  • 一客購入点数

利用目的が競合する場合(事例:リラックス)

  • 椅子テーブルの形状、座り心地
  • 店内照明の照度
  • 商品アイテム/商品構成
  • 価格帯
  • BGM
  • 内装装飾品
  • スタッフ服装
  • 平均滞在時間(一客をモニタリング)
  • 推測客単価

見るべき視点の基本は「顧客がどんなサービス・商品を求めているか」を推測することです。繰り返し調査することで当初は見えなかったことも推測できるようになります。

商圏は刻々と変化する

当然のことですが、商圏は刻々と変化をしていきます。個人単位のレベルでは引っ越しや出生、死亡等があり、町自体を考えると20年から30年の期間で世代交代が行われ、子どもの世代が転居、独立をしていきます。

このような状況変化をつぶさに観察するにはやはり、「自分の足と目、耳」を使うことになります。休日や数時間の空き時間を利用して常に歩き回る、聞き回るという情報収集は怠らないようにしましょう。少なくともこの3点は踏まえておきましょう。

  • 9~10月・3~4月の引っ越しシーズン
  • 大規模商業施設の新設、閉鎖
  • 大型マンションの新規建設

また、競合店等が閉店していないかの確認も定期的に行うべきです。突然売上が増え、原材料の欠品やオペレーションの混乱を防ぐこともできます。

まとめ

  • 商圏とは来店していただけるお客さまの距離的な限界値(範囲)である
  • 商圏調査の目的は「未来の顧客を明確にするため」と「競合を把握するため」
  • 顧客を明確にするための商圏調査の狙いは統計データと地図情報の正確性を実際の眼で確認すること
  • 競合店を把握するための商圏調査は同業の調査と同一利用目的施設調査の二つがある
  • 商圏変化への対応は継続調査

商圏調査は義務感で実施するのではなく町の新しい一面を発見できるという楽しさを持って臨んでください。また、ご家族・ご友人等と楽しく街並みを観察してみてください。新しい視点も増え、アイデアも生まれやすくなります。この習慣は開店後も大切です。仕事を楽しめればさらに充実感を得られます。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)氏

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京都板橋区生まれ。株式会社チームのちから代表取締役、「店長養成道場」道場主、店舗経営コンサルタント、AllAbout「店舗経営のノウハウ」オフィシャルガイド、一般社団法人インターナショナル・バリューマネジメント協会 代表理事。大学卒業後、株式会社ロッテリアに入社。その後店舗経営コンサルティング企業へ転職し、店舗の直接立て直しを100回以上経験。また、FC化事業にも多くの経験を持つ。

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