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はじまりはブルーシート。いまでは都内に4店舗展開する人気店「青二才」の経営哲学とは?

高根千聖(たかね ちさと)編集者

中野の有名店、「青二才」。中野に住む酒好きなら知る人ぞ知る日本酒バルです。「もっと気軽に楽しく日本酒を」をコンセプトに、中野、神保町など都内計4店舗を構える同店は、リーズナブルな価格とカジュアルな雰囲気で多くの人に愛されています。青二才を立ち上げるまでの経緯や経営哲学、実現のための手段について、代表の小椋道太さんと中野店に勤める後藤慎矢さんにお話をうかがいました。

この記事の目次

人と人とを結びつけるコミュニティスペースを作りたい

小椋さん(以下、小椋):「青二才」をはじめて10年になりますが、飲食店を経営している理由は、「人と人とを結びつける場を提供したい」から。あらゆる人が訪れるコミュニティスペースを作りたいと考えています。青二才をオープンする前のことです。

当時飲食店で働いていた僕は、自分の店を持つという夢を抱えながらも、労働時間や給与額を考えると夢を実現させられるのは20年以上先になりそうだと気付き、将来に悩んでいました。このままではいけないと思いつつも何をしていいかわからず、休日に井の頭公園で友人とふたり、お酒を飲んでいたんです。

井の頭公園ではストリートミュージシャンや自作のイラストやアクセサリーを販売しているアーティストたちがレジャーシートを広げて思い思いの活動をしています。

目標に一歩も近づけていなかった自分には、彼らがキラキラして見えました。悶々とした気持ちを友人に話すと「公園で飲み屋をやっちゃえば?」と。翌週から公園にブルーシートを広げて、小さなお店を出しました。

お酒を販売するには販売業免許が必要。そこで、僕がお酒やおつまみを持ち込み、参加者からは会費をいただくという、お花見のような免許がいらないスタイルでスタートしました。もちろん、会費さえ払えば誰でも参加できます。ほぼ毎週出店していると、リピーターができました。

そこで感じたのは、自分で出した店をリピートしてくれるお客さんができた喜びです。当時は経験も人脈もお金もありませんでしたが、そのレジャーシートのお店のようなものを続けていると、1度参加した人が友達を引き連れて来てくれて毎週客数は増加。最初は4人用の小さなブルーシートだったのが、10畳の巨大なブルーシート3~4枚になり、いつしか毎週100人ほどが集まる大規模なお店になっていました。

ブルーシート時代の写真。子供連れからアーティストなど、さまざまな人の集う場となった

僕は楽しいことが大好き。ブルーシートでお店を経営しながら集団の中心にいる喜びを感じたのはもちろん、そこで知り合った人同士が仕事を一緒に始めたり、カップルができたり、やがて結婚したりしたこともありました。人と人を結びつける中継地点のようなコミュニティスペースを作る楽しさを感じ、自分が作りたいのはこういう場だと気づいたんです。

知り合いの店舗を借りて日曜日だけ、店舗営業を始めた

小椋:真冬を除いて3年ほど続けたブルーシート居酒屋は口コミで話題となり、人の輪をぐんと広げました。公園のアーティストたちに声をかけて巻き込むと、お酒が飲めない人や家族連れにも参加してもらえるようになり、飲食というツールで人が集まり、楽しい場所を作ることに手応えを感じました。

ちょうどそのころ知り合いが独立し、店をオープン。日曜休業であることを聞き、日曜日だけ店舗を貸してもらえないか相談したんです。「日割分の家賃を払う、お酒や料理は店の在庫を使わず自分で用意する」と話したところ、快諾。日曜だけ自分の店として営業を始められたのは幸運だったと思います。

カウンター8席テーブル8席の店でしたが、今まで公園にいた100人ぐらいの人たちも飲みに来てくれました。

小椋道太さん
1980年生まれ岐阜県出身。実家が飲食店を経営していたことから幼少期より飲食店経営者を夢見る。大学在学中よりアルバイトで飲食業界に携わり、卒業後は和食料理店で修行。2007年、阿佐ヶ谷に「青二才」をオープン。現在、都内で4店舗経営している。

井の頭公園での活動が認められ、政策金融公庫から融資が下りた

小椋:その形態を続けて1年。お客さんから展望を聞かれるうちに自分だけの店舗を持つことを決心します。そこで僕のパートナーとなってくれたのが神谷という男性です。彼は高校時代の同級生であり、現在も一緒に仕事をしています。

当初は自分たちのお金だけで用意するつもりでしたが、少し足りません。金策に走りました。政策金融公庫に融資の相談に行ったところ、飲食業らしい経験がないため不安だったのですが、井の頭公園での活動が認められて融資が下りました

資金も集まり、阿佐ヶ谷に一号店をオープンさせたのは2007年のことでした。

中野店が日本酒の入り口となれば嬉しい

小椋:一号店の阿佐ヶ谷店はビールや日本酒、カクテルなどドリンクメニューを300種類ぐらい用意していました。二号店を出すことになり、同じ形態の店をやっても面白くないため、違う形態のお店にしたいと思いました。そこで考えたのは、日本酒です。とはいえ、日本酒を飲まなければいけない雰囲気は出したくなかった。なぜなら、日本酒専門店に足を踏み入れることへハードルの高さを感じる人が多いためです。

そういった人に向けて青二才中野店では、日本酒を頼まなければならない雰囲気を消すために、さまざまな種類のお酒を用意し、フードメニューも充実させました。お客さまが希望するなら、ずっとビールでも大丈夫です。ただ、「せっかくなら日本酒ちょっとだけ飲んでみようかな」というくらいの軽い気持ちで、日本酒を楽しんでもらえたら嬉しいと思っています。

どの蔵元さんも良い日本酒を作っているので、青二才中野店では美味しい日本酒を味わってもらえている自負はあります。新しい日本酒に出会って美味しさを知ってもらいたいし、日本酒を通じて人と人のコミュニケーションを深めてもらえたら嬉しいです。

気軽に日本酒を楽しんでもらうため、メニューを形容詞に

小椋:これを実現させるために、まずは日本酒メニューを工夫しました。「高い酒=美味しい酒」という固定概念も崩したかったので、高価なものも安いものも、全部同価格かつ少量提供し、いろいろ飲み比べできるようにしました。

青二才中野店の日本酒メニュー。独特な表現が並ぶ

メニュー表示も「辛口、甘口」という風に一括りにせず、各銘柄に「エレガントな」や「清々しい」といった形容詞をつけました。日本酒の知識がないお客さんにも、そのときの気分でオーダーしてもらえるように工夫しています。指を指されて「これちょうだい」でオーダーが終わるのではなく、できるだけ日本酒を通じてスタッフとお客さんが話せるきっかけを用意しておくのが大事だと思いったためです。メニューにも「遊び」を用意しています。

日本酒はグラスで提供するスタイル

いわゆる「酒のあて」にとどまらない和食をベースにした料理も展開

小椋:他に考えたのは、日本酒を楽しんでもらうためには美味しい料理も必要だということです。従来の日本酒専門の飲み屋さんでのフードメニューといえば、塩辛やたこわさなどの、お腹にたまらない「いわゆるお酒のあて」がメイン。しかし、それとは逆の方向に振り切りたかったのです。料理も、和食をベースにさまざまなものを提供したいと考えました。

しかし、課題がふたつありました。すべての食材を卸業者に直接買い付けをおこなっていたため、品揃えがある程度固定されてしまいフードメニューがルーティン化してしまうこと。もうひとつが、魚を安定して仕入れられないことです。魚介類はどうしても漁の状況や天候により、入荷状況は変動してしまします。安定して仕入れられるお肉メニューが多くなっていましたが、魚を食べたいお客さんも多かったのです。

それを解決したのがオンラインで食材を仕入れられるサービス「八面六臂」でした。このサービスでは魚を安定して入荷できるので、いつでも日本酒とお魚を楽しんでもらえるようになりました。

また、アイテム数が多く、珍しい食材も多く取り扱っています。新しいメニューにチャレンジしやすいんです。初めて扱う食材をどう調理するか考えるのは面白いし、刺激にもなっています。

現在中野店では、仕入れの比率は、リアル店舗5:オンライン5ほどです。仕入れ値は正直、近隣で購入した方が安くあがります。しかし、買いに行って目当ての食材がなくて手ぶらで帰ってくる徒労を考えると、オンライン注文は食材を確保しておける点でも便利です。

おもわぬメリットとして、メニューを考える時間に余裕が生まれたことも挙げられます。中野店では14時半に仕込みを始め、17時〜25時まで営業しています。閉店後、仕入れる食材を決めながらメニューを決められるようになりました。かつては仕込みの時間にメニューを考えていたので助かっています。

青二才という場所を通して、関わる人たちを元気に

小椋:中野店や阿佐ヶ谷店では街づくり、神保町店は入っているビル内テナント全体を活性化させることが当面の目標です。神保町の客層はビジネスパーソンがメイン。フードメニューではシェアしやすい料理を多めに構成しています。また、「おすすめのものを」と頼まれることが多いので、スタッフの個性を活かしながら的確なオススメができるよう勉強をしています。

美味しい日本酒を飲んで笑って、いろんな人が集まって来たら、集まった人の数だけ面白さが増すはず。青二才という場所を通して日本酒に関わる人や業界全体を元気にしていきたいですね。

後藤慎矢さん
1981年生まれ。代表の小椋と同じ高校の後輩。 大学卒業後SEとして数年働いていた時、休日に小椋の井の頭公園を手伝うようになり飲食業、人と接する仕事に興味が湧き思い切って転職。株式会社HUGEにて数年勤めた後に青二才に合流。現在全店舗の総務として在職。

後藤さん:仕入れた美味しい魚はその日のうちに提供するのがベストなので、八面六臂でそんなに多く仕入れているわけではありませんが、ちょっと変わったお魚を「○○食限定」という形で提供することができるようになり、お客さんにも好評です。

また、カツオや水茄子など旬ものや変わった食材は、オーダー時のフックになるので積極的に仕入れるようにしています。たとえば八面六臂でオーダーした食材を使ったメニューに「皮付きヤングコーン」があります。オーブンで焼いたコーンをお客さん自身で剥いて塩をつけて召し上がっていただくくというシンプルなメニューですが、お客さんには「いつもの小さいベビーコーンより大きめで、皮を剥いて召し上がって頂くというものなんですよ」と一言を添えて提供でき、会話のきっかけづくりに役立っています。

青二才は、関わる人を元気にしたいと考えています。美味しいお酒や珍しい食材を仕入れて、お客さんに笑って楽しんでもらいたいですね。

まとめ

ブルーシートからスタートした青二才は、現在都内で4店舗展開しています。「人と人とを結びつける中継地点」を作りたいという想いは変わらず、かつ、多くの人を元気にするため、お酒やお料理、接客などに力を入れている同店。その工夫のひとつ、バリエーション豊かなフードメニューの提供を支えている「八面六臂」は、使い勝手もよくスタッフから好評だそう。今後も、多彩なメニューと日本酒で訪れる人を元気にしてくれるでしょう。

青二才 中野店
中野駅から徒歩二分に位置する日本酒バル。普段日本酒を飲まない人でも気軽に日本酒を楽しんでもらえるよう、3勺から8勺までのミニサイズで提供。フードメニューは和食をベースに「燻製自家製ソーセージ」や「カルパッチョ」など、多彩なバリエーションで展開している。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

高根千聖(たかね ちさと)氏

高根千聖(たかね ちさと)編集者

株式会社ZINEの編集者。編集プロダクションで週刊誌の編集・ライター業務に従事。その後、制作会社にて紙媒体やWEBサイトのディレクション、編集・ライター業務に携わる。得意ジャンルはビジネスやグルメ、芸能など。

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