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居抜き?スケルトン?お店を開業するときに知っておきたい物件選びの基本

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

開業前の計画も立て終わり、店の物件を探そうとインターネットで検索を始めたり、不動産屋さんに行かれたりするのではないでしょうか?でも理想はあれ、現実に引き戻されるのはお金、開業までの資金に関してのはず。この記事では「居抜き」と「スケルトン」という2種類の物件を比較し説明します。この2種類の特長を理解して調査・内見をすることで、予算に見合った物件を見つけることがでるようになります。

この記事の目次

居抜き・スケルトンとは?

お店の物件は大きく分けて「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。

居抜き物件

前経営者が店舗の造作物をそのままにして退去した物件を指します。お店の出入口、ドアから始まり、天井・壁・床、時には内装から椅子・テーブル・食器類まで付いている物件もあります。

スケルトン

建物の構造躯体がむき出しになっている「コンクリート打ちっ放し」状態の物件を多くの場合指します。Skeletonと書かれ「骨・骨格」という意味から派生した不動産業専門用語が一般化してきた言葉です。例えば新築物件で最初のテナントオーナーになる場合には、お店の玄関、出入口から自費でつくらなければなりません。

居抜きとスケルトンの比較

一言で表現すると、二つの大きな特徴は、「内装がない」のがスケルトン物件、「内装がある」のが居抜き物件という点です。

物件選びはよく車の購入に例えられて説明されます。中古車は、状態にもよりますが購入費は安いが修理等の経費がかかる(可能性がある)、新車の場合購入費は高いがすぐに修理をするケースはほぼなく維持費はそれほどでもないというイメージです。

それでは、比較表で具体的な違いを確認しましょう。

項目 居抜き スケルトン
物件探しから見つかるまでの期間 概ね3か月 最短6か月
開業資金 造作がすでにあるので比較的安価 天井、壁、床からの工事が必要なので比較的高価
他店にはないオリジナル感 あまり出せない フルカスタマイズ可能
店内間仕切り ほぼ変えられない 自由に設計(思いのまま)
物件数 大都市・繁華街に多い 空き物件の出るタイミングによる
汚れ・臭い・匂い 何かしらの汚れ・異臭がある場合が多い 新築臭
芳香剤で対応しやすい
改修 比較的早い時期に部分補修の可能性あり 正常稼働していれば数年は必要なし
近隣からの目 看板かえた・オーナー変わった 新しい店ができる(できた)みたい
開店したことを示すインパクト 比較的小さい 比較的大きい
退去時 契約内容に基づき協議 基本原状回復工事費用負担

スケルトンの場合退去するときもスケルトン化(原状回復)をしてから契約解除が完了することになっていますので、解体費・産廃処理費等が掛かります。この費用を支出したくないので「現状のまま新しい契約候補者を紹介する」方法でお店の賃貸借権利を移管するという方法も執られるケースもあります。

居抜きのメリット・デメリット

居抜きのメリットとデメリットを紹介します。

メリット

比較表にもあるように、比較的安価に開店できることが居抜きの最大メリットです。加えて、開店するまでの空白期間もスケルトンの工期分を差し引いても早められることでしょう。つまり「家賃は発生しているが、商売ができない」期間が短いということです。

デメリット

開店後の予定外出費を覚悟しておかねばならない、という点になります。車の中古車と表現しましたが、どのように乗られていたか分からない中古車では、整備をしてから販売をしているとは言え不測の事態が起こらないとも限りません。居抜きも同様で、給湯器が機能しなくなった、雨漏り・漏水・排水管詰まりというような症状が出やすいのも事実です。

居抜き物件を選ぶときの注意点

居抜き物件を選ぶときは、既存の設備や内装をしっかりチェックしておかなければなりません。内見をするのは一度ではなく、複数回足を運んでしっかり確認しましょう。知人に詳しい人がいれば同行してもらうのも良いです。

内見するときのチェックポイントは以下の内容です。

  • 候補物件の近隣建物の確認
  • 天井・壁・床の塗装、クロスの汚れや剥がれ
  • 付帯設備の程度(例:冷凍冷蔵庫はしっかり冷えるのか)
  • 水回り(水を流してみて水流れはスムーズか、排水管のジョイント部分の水漏れ確認等)
  • 配管内洗浄の有無(実施済みならば管内画像を確認)
  • バックヤード・倉庫(四隅に穴、巾木に擦ったような汚れがないか)
  • 天候別に複数回の内見

もしも不備が確認された場合、どちらの負担で修繕するのかをあらかじめ契約書等で明文化しておくことも必要です。借主負担になるケースが多いですが、費用発生前の交渉によっては按分ということにもなります。

スケルトンのメリット・デメリット

スケルトンのメリットとデメリットを紹介します。

メリット

お店を自由に設計できるため、オーナーが表現したかったお店のコンセプトに限りなく近づけることができます。お店自体がオーナーの想いを形にすることができ、未来の顧客へのアピールにもなります。

デメリット

一からお店をつくることになるので、当然ながら初期費用はかさみます。工事内容の齟齬や追加工事はほぼ付き物として考えると、施工前の見積金額よりも高い請求額になる可能性もあります。併せて工期が長くその間家賃は垂れ流し状態になります。そして賃貸借契約を更新せず、他の物件へ引っ越すケースであれば原状回復工事を借主側の金銭負担で実施しなければなりません。

スケルトン物件を選ぶときの注意点

内装はスケルトンでも配管や電気系配線は中古の物もあります。居抜きと同様、管内洗浄は契約条件に加えてください。

そしてスケルトンに関しては着工後が要注意です。複数施工業者で工事をすすめるため、設計通りに工事が進んでいても必ず齟齬が出てきます。その際の責任者が現場監督になりますが、契約内容で「借主も率先して協力する」という条文が入っていると専門知識が必要な相談をされたりすることがあります。時間の許す限りお茶菓子を持参して職人さんをねぎらいながら状況を観察し、円滑な工事をオーナーとしても行いましょう。

ホールやフロアの確認で一番忘れがちなのは「床の水平さ・凸凹の少なさのチェック」です。これは可動式のテーブルを設定するときに脚の長さを微調整する頻度に差が出ます。パーティ仕様にするときには有効です。つまり造作の基礎工事がしっかり出来ているかで開店後のオペレーションにまで影響が出ることを把握しましょう。

どちらを選べばいいの?

結論はやはり「開業前資金額」によってしまうということです。居抜き・スケルトンのいずれにしても開業後の予定外出費を想定すると、開店前に資金が底を打つ、という状況は避けるべきです。

目安としては、地代家賃が100万円とした場合、1年分の家賃である1,200万円を残した状態で開店できるかを考えてみてください。総資金が2,000万円であれば800万円以内(当初2か月分の家賃を前倒しで支払う場合は計1,000万円)で「保証金・内外装工事資金・什器備品・厨房設備(リース含め)」等が賄えるようにしたいです。
物件の広さ、坪数にもよりますが、800万円の予算で「スケルトン」を借りるというのは難しい、だから掘り出し物件の内見には行くとして、居抜きメインで検討しようという結論になるかと思います。

しかし居抜き物件の場合、前経営者が何らかの理由で撤退したという印象は近隣住民に残る可能性があります。商売上何かしらの不利な条件があるかもしれないという認識は持っておきましょう。

まとめ

  • 物件には大きく区別して「居抜き」と「スケルトン」がある。
  • 居抜き物件とは、前経営者が店舗の造作物をそのままにして退去した物件。
  • スケルトン物件とは、建物の構造躯体がむき出しになっている「コンクリート打ちっ放し」状態の物件。
  • 居抜きのメリットは、比較的安価に開店できること。デメリットは、開店後の予定外出費を覚悟しておかねばならないこと。
  • スケルトンのメリットは、オーナーが表現したかったお店のコンセプトに近づけることができる。デメリットは、開業資金がかさむこと。

このように居抜きとスケルトンは表裏一体の関係があり、どちらの方がよい、とは一概には言えません。開業資金が少なく初めから居抜きを探すとしても、創意工夫次第で集客をすることはできます。スケルトンは「きれいな新店ができた」という最大アピールをし、開店当初より満席を維持する営業をすることができます。イメージにピッタリな物件を探して、開店後の楽しいイメージを膨らませてください。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

植竹 剛(うえたけ つよし)店舗コンサルタント

1971年、東京都板橋区生まれ。株式会社チームのちから代表取締役、「店長養成道場」道場主、店舗経営コンサルタント、AllAbout「店舗経営のノウハウ」オフィシャルガイド、一般社団法人インターナショナル・バリューマネジメント協会 代表理事。大学卒業後、株式会社ロッテリアに入社。その後店舗経営コンサルティング企業へ転職し、店舗の直接立て直しを100回以上経験。また、FC化事業にも多くの経験を持つ。

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