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開業で失敗しない『5つの法則』とは? ――店舗オーナー向けAirレジ ミニセミナー開催

渡辺 まりか (わたなべまりか)ライター

0円でカンタンに使えるPOSレジアプリの「Airレジ」が、8月23日に開催した「店舗オーナー向け Airレジ ミニセミナー」。第2回目は「〜3,000件の起業アイデアを見てきたコンサルタントが伝授!〜“失敗しないお店開業 5つの法則”」と題し、起業コンサルV-Spiritsグループ代表で起業コンサルタントの中野裕哲氏が登壇しました。

中野氏は、税理士、社労士、行政書士の資格も保有。起業のことならなんでも相談できる頼れる存在です。そんな中野氏が約1時間にわたり、“ここを押さえれば失敗しない”という法則を披露しました。

この記事の目次

成功するか失敗するかは周囲の環境ではなく本人次第

これまで3000件もの起業にかかわり、10冊以上の“起業本”を執筆してきた中野氏は「世間では、起業後にだいたい5年で半分ぐらいが失敗すると言われています。でも、わたしの肌感覚ではそんなに失敗しない。ちゃんと準備していてそうそう失敗する人を、わたしは知りません」と楽観視。

「成功に関する情報や失敗する確率に関する情報は多いけど、最低限の失敗しない法則についてはあまり触れられていません。そこで、今日は失敗確率を減らす5つの法則をお伝えします」

プロローグとして「これら5つの法則全体に共通の大原則は意外とシンプルです」と語り、2点を挙げました。

  1. どうしても成し遂げるという強い意志
  2. 正確な最新情報をもとにした準備と行動

1つめの大原則について中野氏は、「起業するときもした後も波があり、いつでも順調とは限らないから。絶対にやり遂げる、という強い意志を持ってください」と本人次第であることを強調。

2つめについては、「“正確な”と“最新の”というふたつの要素があることに注目していただきたい」と述べてから「起業しようとするとき、まず手軽にWebでなにが必要かを検索すると思います。しかしその中には誤った情報も多い。また、先輩起業家から『よし、10年前に起業した自分がアドバイスをあげよう』と助言してもらうこともあると思います。でも10年前と今では融資制度など起業をとりまく環境も変化します。間違っている、または当時は正確でも今では古くなってしまった情報をもとに行動してしまうと取り返しがつかなくなってしまうことがあります。そのため、正確で最新の情報をもとにした準備と行動が重要なのです」と解説しました。

「わたしのもうひとつの肩書は『レア補助金ハンター』です」と中野氏。「起業に関係する重要な部分、資金の勉強を毎年しており、常に最新情報を仕入れています。これらは本に書きにくく、知らない人が多い情報。ぜひ今日は正確な最新情報をお持ち帰りください」と、参加者に期待を抱かせていました。

中野氏がセミナー全体を通して事例として挙げたのは「アーミーフィットネスジム」。自衛隊の元教練教官だった伊藤誠朗氏が立ち上げた、自衛隊式トレーニングジムです。アーミーフィットネスジムは、中野氏が開業をサポートし、現在ではテレビ取材が訪れるほど成功を見ています。

なぜ伊藤氏は、起業において失敗どころか大成功を収められたのでしょうか。アーミーフィットネスジムから5つの失敗しない法則を見ていきましょう。

1.好きなこと、できること、ニーズがあること〜3つが重なるところで起業する〜

中野氏は「好きなこと したいこと」「できること」「ニーズがあること」と書かれた3つの円(ベン図)をスライドに表示しながら、「この3つが重なるところで起業すると失敗しません」と説明します。

  1. 好きなこと・したいこと→自分が好きでなければ一生懸命になれないし、打ち込めない
  2. できること→なんとなくできる、というレベルではなく、自分にとって得意なことが良い
  3. ニーズがあること→ニーズがなければお客さんは買わない。もしくは使ってくれない

アーミーフィットネスジムの伊藤さんは、自衛隊除隊後、しばらくは美容室で働いていました。でも教練教官という仕事が好きだったこと、またその経験を活かしたトレーニングは自分にしかできない、と思い起業を思い立ったといいます。

ニーズについては「珍しいため、今では遠くからも通う人がいる」ほどで、競合もありません。トレーニングだけではなく、随時開催するイベントで着実にファンも増やしているようです。

2.計画を具体化するには〜競合に勝てるビジネスモデルで起業する〜

次に中野氏が挙げたのが、「計画を具体化するには、競合に勝てるビジネスモデルで起業する」ということ。「1」で出した事業アイデアをどのように具体化していくのか、です。

これにも3つの要素が関係しています。それは「だれに、なにを、どのように売るか」ということ。

誰に

ここを間違えたり、設定していなかったりすると、コンセプトが揺らいでしまい中途半端なものになってしまいます。

アーミーフィットネスジムの事例では、伊藤さんは「越谷在住の30〜40代男性」をターゲットに絞り込んだそうです。

何を

「何を」の部分はターゲットが決まればある程度見えてきます。

アーミーフィットネスジムでは「自衛隊流のハードなトレーニングを」「30分」で提供します。また、護身術も提供しています。「越谷在住の30〜40代男性」が忙しいため、帰宅途中に寄れることから、このような設定になりました。護身術は、競合対策のため取り入れたそうです。

どのように

「どのように売るか」という要素には販売価格も関係してきます。

アーミーフィットネスジムでは最初「月4000円」という価格設定をしていました。これもやはりターゲットを考えてのこと。その年代の男性であれば家族を抱えており、1万円以上の出費をトレーニングのために捻出できないから、というのが理由になっています。

また、どのように集客するかということも売り方に関係してきます。アーミーフィットネスジムの場合は、Webサイトを開設したり、チラシを刷って撒いたり、ホットペッパーなどよく知られているフリーペーパーに広告を出したりという低予算で行ったそうです。

現在のアーミーフィットネスジムは、主婦も参加するようになってきたため、間口を広げてペア料金や子供料金も設定。起業前に具体的に3つの要素を考えたからといって、起業後にかたくなにそれを守らなければならない、というわけではないようです。

3.事業にいくらかかるかを計算する〜計数管理を徹底して失敗を避ける〜

ここからさらに現実的な話に入ります。中野氏は「やりたいことが決まったとしても、実際にそれにいくらかかるのか、ということを具体的に計算していないことが多い」と述べてから、起業時に必要な資金を計算する「積算方法」を説明しました。

「基本的に必要な資金は2つ。『設備資金』と『運転資金』です。その合計が起業時に必要な資金になります」

設備資金とは、大まかにいえばハードにかかるお金。「お店になにがあるかを想像すれば必要なものがわかると思います」と中野氏。運転資金は、毎月の運営費。「家賃、仕入れ費用、人件費などが含まれます」と中野氏。「最低限、運営費の3カ月ぶんは用意しておきましょう」と(表をスライドに映しながら)解説します。

アーミーフィットネスジムでは、設備資金に840万円、運転資金に360万円、合計1200万円を起業にかかるお金として積算したことも説明しました。

起業に必要な資金の積算は重要ですが、「きちんと検証しないと失敗するポイントが5つあります」と中野氏は注意喚起します。それは「家賃(立地)、人件費、広告費、内装工事費、事務費」。ひとつひとつ、検証内容を見ていきましょう。

  • 家賃(立地) : 想定売上の10〜15%を限度額に。立地場所の良いところに構えたいと考えるかもしれないが、背伸びしない
  • 人件費 : 必要以上に雇わない。ついてきたいという人がいても「半年待って」と勧める
  • 広告費 : 競合企業は、ある程度の資金を使っている。売上の5%程度を組み込んでおき、どのように効果的に使うかを考える
  • 内装工事費 : 業者は立派なものを勧めてくるので、そこで舞い上がらない。店を持つことがゴールではないと心して、節約できるところは節約する
  • 事務費 : 税務や労務などほんとうに必要な部分は専門家に手伝ってもらい、自分は本業に専念したほうが効率的。とはいえ、かける費用は売上の2〜3%にとどめておく

4.スタート時にできるだけ多く借りておく〜創業融資は目一杯借りる〜

費用がわかったところで、次はどのようにそれを調達するかという内容です。

「まず、基本セットというのがあります」と中野氏。それは「自己資金」と「創業融資」だと言います。

「自己資金は自分で貯めた、退職金が出た、保険を解約したなどして自分で作ったお金。創業融資は日本政策金融公庫という国の銀行がやっている融資です。国の政策を実現するための銀行で、通常の銀行に比べて起業家への融資の審査が通りやすい傾向がある。どんどん起業して国を豊かにしてもらいたい、という考えからそのようになっています」

そして「創業融資を利用することをおすすめします」と中野氏。理由は「無担保、無保証で文面上は3000万円まで(実際は1000万円がほとんど)、自己資金が10分の1(実際は3分の1)あれば借りられる、金利が2.36%と低い、早ければ申請から1〜3日と審査が早い」こと。特に店舗を開業したいという人にとって「審査が早いのは大きなメリット。目をつけた物件に、ライバルより早く手を付けることができますから」とその利点を強調します。

創業融資にありがちな落とし穴とは?

しかし、注意点もあります。「創業融資 失敗あるある」と題して、中野氏は4つの落とし穴を解説しました。

1.自己資金はタンス預金ではダメ
 自己資金額が要件を満たしているかどうかを通帳で確認するため。親が援助する場合でも、手渡しではなく振込をしてもらうように
2.お金の管理ができることを示すため、カード、税金、携帯電料金などの延納はダメ
 返済能力の有無は重要。常に遅れがちだと、延納する人と見られてしまい融資を受けにくくなる。最低限、起業前半年間はきっちり管理を心がけて
3.副業した場合に確定申告をしていないのはダメ
 確定申告していないと納税義務を果たしていない、とみなされて門前払いされる可能性も
4.素人が自分で進めたときの勝率は3割なのでプロを頼らないのはダメ
 プロに頼ればほぼ100%成功。3割の確率で申請が成功するとはいえ、落ちてしまうと半年間は同じ内容で申請できなくなってしまうので、ブロを使ったほうが無駄がない

開業コンサルタントのプロが語る“融資4つの極意”とは?

融資に関する情報の最後に中野氏は次のような4つの“極意”も披露しました。

「起業後、半年以内に融資を受けましょう。半年経過すると『事業が芳しくないんだな』と悟られてしまいます。半年以内であれば、事業計画の見込みが甘かったということで許可が降りやすいのです。

2つめは、自己資金は温存して目一杯借りておきましょう。起業に必要な資金の積算をしたら、その3分の1だけを自己資金にして残りは取っておく。経営がうまくいかなくなってからでは借りられないわけですから、そのときのために取っておくわけです。

3つめ。親族からの援助もそれと同じ理由で最後の最後に取っておきましょう。困ったシーンでも親など親族なら貸してくれます。起業を知ったご両親がお金を出してくれると言っても『困ったときに頼るからそれまで待っててもらえる?』とお願いしましょう。

最後。融資は一発勝負。一度失敗したら半年間は再申請できません。万全の体制で臨むためにも、専門家を頼るようにしましょう」

5.もらえるものは全てもらうことが余裕を生む〜戦略的に補助金・助成金を獲得する〜

基本セットに加えて「補助金、助成金、自治体の制度融資などもあります」と中野氏。

補助金とは、行政上の目的に沿って、地方公共団体や個人に対して無償で交付される現金給付のこと。起業においては東京都が行っている「創業促進助成金」制度などがあります。一方、助成金は、一般的に厚生労働省が管轄している支援金のことです。

補助金、助成金ともに支給されるものなので、返済する必要がないという共通点がありますが、違いもあります。それは審査の有無、助成の対象など。

実例を交えながら中野氏はこのように説明しました。

「(起業に関係した)補助金は、東京都の場合、起業予定または起業してから5年未満の人に最大で300万円助成されるお金のこと。この金額は創業にかかった2年間の経費の3分の2以下。つまり450万円を経費として使ったら300万円が助成される、ということですね。先に経費を使ってから、その領収書を提出して後からもらえるというイメージです。経費の用途は主に家賃、人件費、広告費。経済産業省や市区町村などでもやっていますが、いずれにしても審査がありますので注意しましょう。

助成金は、厚生労働省が管轄しています。つまり“人”、人材に関連した経費を支援しよう、というものです。たとえば、アルバイトだった人が優秀なので正社員にしよう、と考えたときに1人につき57万円、最大で年間15人分までもらえます。条件さえ満たしていれば助成され、審査員による審査はありません」

このような“もらえる”お金があるとしても「融資が重要」だと中野氏は言います。「補助金も助成金も、言ってみれば“後払い”。先に使えるお金がないと、もらえないお金だということ。補助金、助成金、融資を組み合わせて戦略的に考えていきましょう」と説明しました。

もらえるものをもらえるようにする補助金・助成金の4つの極意

  1. 起業時の家賃・人件費・広告費の可能性を活用
  2. 4月、5月、10月、11月のタイミングを逃さない
  3. 対象経費がかぶらないように注意
  4. 面倒臭がらずに全部もらうつもりの心構えを持つ

特に、4番目の極意について中野氏は「利益率はほとんどのビジネスで10%と言われています。300万円の利益を得るには3000万円の売上を出さないといけないということです。でも、補助金をうまく活用すれば、それだけの売上を出さなくても300万円が“利益”として手に入る。起業家が困難を乗り越えて順調に利益をあげられるようになれば、納税額が増え、ひいては行政が潤うという狙いがあっての施策ですので、積極的に面倒臭がらずに活用しましょう」と強調していました。

セミナーの最後に、中野氏は参加者たちに向けて次のようなメッセージを送りました。「いちばん大事なのは皆さんがどれほどこれから立ち上げようとしているビジネスに自分の人生をかけたいと思っているかという意志。それをもって、今日お話しした正確な最新情報を活用していただければ、きっと不安なく起業に臨むことができるでしょう」。

和やかながらも目は真剣そのもの――Airレジにも興味津々の懇親会

セミナー後、中野氏は参加者たちのテーブルを順に回り、個別相談などに気さくに応じていました。また、スタッフたちによるAirレジのレクチャーも各テーブルで行われており、参加者たちは出された軽食をつまみつつ、真剣に見入ったり、質問したりしていました。その機会に参加者のうち幾人かからセミナーの感想を聞くことができました。

飲食店を開業するため、それまでの仕事をやめて準備中だというご夫婦は、「ほかのセミナーにも参加しているが、融資や補助金・助成金についての情報はなかった。この情報をしっかりと知れただけでも有意義だった。また、『好きなこと、できること、ニーズがあること』を見極める必要性について再認識させられた」と感想を話していました。

雑貨を販売するカフェを開業したいという女性も、「補助金や融資について知らなかったので、自己資金が貯まるまで開業できないのかと思っていた。でも、そういう制度に知った今、『だれでもやろうと思えばできるのかも』と希望が見えた気がする。失敗する人が間違えるポイントがはっきりしたので、計画さえしっかり立てれば自分でもきっとできるはず」と明るい表情で語っていました。

また、「相談したいと思ってもどこに行けばいいのかわからないから、このようなプロの話を聞けて、プロと知り合う機会があるのはありがたい」「本には開業方法は載っていても、助成金などの情報がないのでありがたかった。知らないと調べることすらできないから」といった声もあり、本セミナーは参加者のニーズを満たしているようでした。

 

第3回Airレジ ミニセミナーはこちらから参加登録ができます。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

渡辺まりか (わたなべまりか)氏

渡辺 まりか (わたなべまりか)ライター

ガジェットをこよなく愛するフリーライター。福島県郡山のビジネス専門学校で約10年、MS-Accessなどの講師を務めた経験あり。自ら足を運び、目で見て、手で触って取材するのが好きな行動派。小型船舶操縦士免許2級、乗馬5級、普通自動二輪免許取得を取得するなど趣味多し。

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