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【2019】年末調整とは?わかりやすい解説~いつ?どうする?流れや確定申告との違い~

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

毎年、年末になるとよく耳にする年末調整という言葉。さまざまな書類があって、どのように進めていけばよいのかということが、よく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。年末調整の基礎知識、どのようなスケジュールで、どのような書類をあつめればよいのかということを見ていきます。

この記事の目次

年末調整とは?

年末調整は、所得税を精算する制度です。
所得税は1年間の給料の総額から確定するので、給料の支払いを受けている人を対象に年間の所得税を計算し、毎月給料やボーナスから天引きしていた所得税との差額を精算します。

年末調整の計算方法と流れ

会社員であれば、会社に年末調整の書類を提出すれば、あとは会社が計算してくれます。しかし、経営者としての立場では、従業員の年末調整をする義務があります。個人事業主であっても従業員に給料を支払っている場合は、年末調整を行う義務があります。個人事業主の場合、青色事業専従者ということで、家族に給料を払っている方もいらっしゃいます。この場合、青色事業専従者も年末調整の対象となるということも合わせて覚えておきましょう。

確定申告との違い

年末調整は給与所得者を対象に、事業主が行う手続きなのに対し、確定申告は各個人が自ら税務署に対して確定申告書を提出して行う手続きです。

  年末調整 確定申告
実施時期 12月 2月16日~3月15日
実施側 会社 各自(個人)
対象者 会社従業員 個人事業主
控除内容
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 配偶者控除または配偶者特別控除
  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 基礎控除

など

年末調整の控除に加えて、

  • 医療費控除
  • 寄付金控除
  • 雑損控除

年末調整は、毎年最後の給与支払い時に給与を支払う事業主が所得税を計算します。従業員は事業主から案内される必要書類を提出すれば、あとは事業主が所得税を計算してくれます。

これに対して、確定申告については、個人事業主や副収入がある会社員が、自ら年間の所得や、所得税額を計算して、翌年の2月16日~3月15日の間に税務署に確定申告書を提出します。ただし、計算の結果、所得税が還付されるという場合には、翌年1月になればいつでも確定申告書の提出が可能です。

年末調整の仕組み・流れ

年末調整において重要なのは、どれだけスピーディーに従業員から必要書類を集められるかということです。11月の早い段階から従業員に通知して、11月中には集め終わるようなスケジュールが理想です。

従業員としては、10月半ばから自宅に届き始める年末調整に関する控除関係の書類を保管して、会社にいつでも提出できるようにおきましょう。また、年の途中で転職した人については、前職の源泉徴収票もしっかりと準備しておきましょう。

以下に年末調整の詳しい流れを説明します。

年末調整のスケジュール

①12月支給までの、年内に支払う給料を確定する

年末調整を行うには、各従業員に支払う年間の給料・ボーナスの金額を確定させなければなりません。たとえば、給料が月末締め翌月25日払いという場合には、11月分を12月25日に支払いますので、11月分の給料が確定している必要があります。

②11月末日までに従業員から証明書を集める

申告書や証明書等は、遅くとも11月末日までには従業員から回収している必要があります。多くの控除の証明書は10月中には各従業員宛てに届いていますので、11月末日でも十分余裕があります。

③年末調整の計算

年間で支払う給料・ボーナスの金額が確定して、従業員からの各種必要書類の収集が完了すれば、従業員のその年の所得税を計算することができます。あとは、1月から12月までに支払った給料から天引きした所得税の合計額と、年末調整で計算した所得税の差額を、12月に支給する給料に上乗せ、または差し引いて支払すれば、年末調整は完了です。年末調整が完了したら、源泉徴収票を各従業員に渡します。年末調整で使用した扶養控除等申告書や、各種控除証明書などの書類は税務署への提出は不要ですが、事業主が保管しなければいけません。

④税務署への納税

年末調整で確定した所得税については、集計の上、翌年1月10日までに管轄の税務署に納付します。ただし、源泉所得税の納期の特例を受けて、半年ごとに所得税を納付している事業主については、翌年1月20日が納期となります。

⑤自治体への住民税の届出

年間の給与所得が確定したら、各従業員が翌年1月1日(例えば2018年末の年末調整であれば、2019年1月1日)にお住まいの自治体に「給与支払報告書」という書類を提出します。給与支払報告書の記載内容は、源泉徴収票の内容とほぼ同じですので、年末調整さえ完了していれば、それほど難しいものではありません。各自治体への提出期限は翌年1月末日です。提出期限に間に合うように準備しましょう。

専門家への相談や給与計算ソフトの使用で作業がスムーズに

言葉で書けば、年末調整の仕組みは非常に単純なことなのですが、実際の所得税計算は、配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除などの主な控除のほかにも多くの所得控除があり、各所得控除の金額も、年齢などによって変化します。
従業員から証明書を預かっても、それをどのように処理すればよいか分からないといったことにもなりかねません。
また、年末調整は所得税を計算する作業であり、間違いは許されません。年末調整の計算について少しでも不安があるなら、税金の専門家である税理士に年末調整の業務を依頼することも検討するとよいでしょう。
もし、自分で行う場合には、給与計算ソフトの年末調整機能を使用するなど年末調整の作業が楽になるような仕組みを導入すると作業が楽になります。

年末調整の対象者とは?

年末調整は、毎年12月31日まで在籍している、または在籍予定の方が対象です。
ただし、年収2,000万円超の人は年末調整を受けることができません。2か所以上から給料を受け取っている場合は、1か所でのみ年末調整を受けられます。
確定申告をする予定があるからといったことや、自分は扶養に入っているから、といった理由で年末調整を受けなくてもよいと思っている従業員もいます。これらの場合でも年末調整の対象となる旨を従業員に説明して、以下で述べる各種の必要書類を提出するように従業員に働きかけなければなりません。

個人事業主は対象外、会社を設立している場合は対象

経営者自身については、個人事業主であれば年末調整の対象とはなりませんが、会社を設立している場合は、年末調整の対象となります。個人事業主は自分に対する給料というものがありませんが、会社経営者は、役員報酬の形で会社から給料を受けているためです。

年末調整の必要書類

年末調整にあたって必要な書類は、以下の通りです。

主な書類

申告書名 概要 証明書の例
給与所得者の扶養控除等申告書 人に関する控除
  • 学生証のコピー
  • 源泉徴収票
給与所得者の保険料控除申告書 保険関係の控除
  • 生命保険会社が発行した証明書
  • 厚生労働省が発行した証明書
給与所得者の配偶者控除申告書 配偶者に関する控除 特になし
 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書  住宅ローン控除をうけるため
  • 金融機関からの住宅ローンの残高証明書

給与所得者の扶養控除等申告書

この書類は、年末調整で、人に関する控除を受けるために事業主に提出する書類です。具体的には、給料の支払いを受けている者がこの書類を提出することで、以下を受けることができます。

  1. 扶養控除
  2. 障害者控除
  3. 勤労学生控除
  4. 寡婦(夫)控除

この書類は、給料を受ける側が正しい内容を記載する責任がありますので、事業主としては基本的には記載してある内容をそのまま信じて年末調整を行います。
ただし、アルバイト学生などで年収103万円超130万円以下の者が対象となる勤労学生控除を受ける方については、実際に在学中であることを確認するために学生証のコピーを添付してもらいます。また、年の途中で転職している方の場合は、前職が発行してくれる、その年の退職までの源泉徴収票も必要になってきます。手元にないときは、早めに前職に連絡してもらって、源泉徴収票を取り寄せておいてもらいましょう。

この扶養控除申告書は、年末調整を受けるべき事業主にのみ提出します。通常はメインで働いている職場に提出します。従業員を雇用する際には、別の職場に既に扶養控除申告書を提出していないかどうかを確認するようにしましょう。

給与所得者の保険料控除申告書

この書類は年末調整で、保険関係の控除を受けるための書類です。具体的には、給料の支払いを受けている者がこの書類を提出することで、受けることができます。

  1. 生命保険料控除
  2. 地震保険料控除
  3. 社会保険料控除(給料から天引きしている社会保険料については、この書類の提出の有無に関わらず事業主側で集計する必要があります)
  4. 小規模企業共済等掛金控除

これらの控除については、配偶者特別控除と国民健康保険料については従業員の自己申告ですが、その他の控除については、基本的には従業員が提出した各種証明書の金額と照らし合わせて控除額を計算します。生命保険料であれば、生命保険会社が発行した証明書、国民年金であれば、厚生労働省が発行した証明書、といった具合です。

給与所得者の配偶者控除等申告書

この書類は年末調整で、配偶者関係の控除を受けるための書類です。具体的には、給料の支払いを受けている者がこの書類を提出することで、受けることができます。

  1. 配偶者控除
  2. 配偶者特別控除

配偶者の年収によって控除額が変わってきますので、正確な配偶者の年収を必ず確認してもらいましょう。

給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書

この書類は、年末調整で、住宅借入金等特別控除いわゆる住宅ローン控除をうけるための書類です。この書類自体は、住宅ローンを組んだ年に確定申告した人に対して、税務署から交付される書類です。この書類には、金融機関からの住宅ローンの残高証明書を添付してもらう必要があります。

注意点

年末調整は、人に給料を支払っている事業主の義務です。やり方が分からない、書類集めが間に合わないなどの理由で年末調整を行わないということは認められません。年末調整の対象となる従業員がいる以上、必ず年末調整を行うようにあらかじめ準備をしておきましょう。

まとめ

  • 年末調整は、原則として、給料の支払いを受けている人のうち、年収2,000万円以下の人全員が対象者となる。
  • 年末調整に関する書類は、扶養控除等申告書、生命保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書の3種類があり、それぞれに添付書類が定められている。
  • 年末調整の書類の収集は、11月末までに済ませておくのが望ましい。

年末調整は非常に複雑な手続きである一方、給与を支払う事業主の義務でもあります。12月になって慌てることが内容に、事前に必要書類の収集を行い、余裕をもって年末調整の作業が行えるようにしましょう。

※この記事は公開時点の情報を元に作成しています。

メールにて「軽減税率対策ツール」のダウンロードリンクをお送りします。

この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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