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スタッフが辞めない・成長していくお店の秘訣とは?――店舗オーナー向けAirレジ ミニセミナー開催

0円でカンタンに使えるPOSレジアプリの「Airレジ」が、2017年11月21日に開催した「店舗オーナー向け Airレジ ミニセミナー」。第5回目は「スタッフ採用・教育実績延べ2万人の店舗経営コンサルタント直伝!スタッフが辞めないお店の秘訣 」と題し、株式会社チームのちから 代表取締役で店舗コンサルタントの植竹剛氏が講師を務めました。

植竹氏は、過去に11店舗での店長経験を持ち、現在は店舗を経営しながら店舗コンサルタントとしても幅広く活躍。その経験に基づく深い話をお聞きできました。

この記事の目次

プロローグ――不安感と承認欲求の不満感がスタッフの辞めていく大きな原因

まず植竹氏は、「スタッフが辞めていくときは、必ず退職面談をしてください」と勧めました。その理由は「お店の改善ポイントがわかるから」というもの。スタッフがいなくなるのは痛い経験だったとしても、そこから改善への気付きが得られる、というわけです。

そして、植竹氏は次のように断言します。「評価すること、不安にさせないこと。これだけでスタッフは長く働いてくれます」。

では、スタッフが不安に感じるのはどのような場合でしょうか。その4つの要素は次のようなものです。

  • 人間関係
  • ルールの未整備
  • 教育の未整備
  • 評価の未整備

人間関係

人間関係は、決して自分と周りの人というものだけではありません。店長と社員、または社員と先輩スタッフなどの関係も見ています。店長と社員の仲が良くないと、自分への指示が異なることもあり、戸惑いから不安になり、やがて辞めていくことにつながります。

ルールの未整備

オーナーが店長も兼ねている場合、オーナーそのものがルールであることがあります。そして、頭の中が変化すると同時にやりたいこと、店内でのルールも変わりがち。問題は「それを表に出さないこと」。他人の心を読むことができないので、ルールが変わったことがスタッフにはわからず、以前の指示と違う、と不安感を抱くことになるのです。

教育の未整備

辞めていくスタッフに何が一番つらかったか尋ねると、かなりの頻度で出てくるのが「簡単な初期教育だけで、あとは放置された」というもの。教育の仕組みやルールの作成や改善があれば、「3カ月以内の退職は減る」と植竹氏は断言しました。

評価の未整備

評価されないことはスタッフの不安につながります。「そのスタッフの辞めてしまう理由に関心がないのであれば、雇わず、自分ひとりだけで回してください」と植竹氏。評価により時給が上がる人事制度の整備は、取り急ぎ手を付けるべき課題です。具体的な方法は事例を交えて後半で語られます。

スタッフが辞めていくお店にはコミュニケーションが足りない――コミュ充させるたった3つのポイント

ガマンが足りないと言われがちの「今の子たち」は、実はかなりガマンをしていると植竹氏は言います。「人間関係になじめそうになかったり、コミュニケーションが少ないと寂しくなり、そのために『辞めたい』と思ってもしばらくガマンして働きます。そして耐えきれなくなったときに辞めてしまうのです」。

では、どうすればコミュニケーションを充実させることができるでしょうか。それはたった3ポイントを押さえるだけで叶います。

  • 観察【変化に興味があるか】
  • 会話【変化を確認しているか】
  • 協働【ポジティブに変化する王道】

観察――人材の変化に興味があるか

植竹氏は、「入社早々、休憩室に入って先輩にあいさつしたら、スマホなどから目を離すことなく返事をされたらどうでしょうか」と、語りかけます。「とてもありがちな場面ですが、うまくやっていける気がしない、と不安になりそうですよね」。

人間関係で寂しさを感じるということだけでなく、人に興味を持って接しなければならないサービス業のスタッフとしてもあるまじき態度。即改善すべきと指摘しました。

会話――変化を確認しているか

観察するようになったら、次は会話です。とは言え難しく考える必要はありません。

「ときどきわたしはメガネを掛けるんですが、今日持ってきているのは赤いメガネです。観察している人であれば『お、今日、植竹くんはメガネを掛けているな。しかも赤いメガネだ』と気づきます。それをそのまま声に出せばいいんです。『植竹くん、今日はメガネだね。赤いメガネだ』。これだけでいいんです」

加えて「無理して褒めよう、お世辞を言おうと考えなくていいんです。『今日のシャツはオレンジだね』など、アクションを起こすことが大切なんです」と植竹氏。「観察と会話をシャワーのように浴びせ続けていけば、はじめうっとうしがっていても、言われないことを寂しく感じるようになってきます」と力説します。

協働――汚れ仕事も一緒にすれば、必ずやポジティブに変化を遂げる

最後のポイントは「協働」です。ここで植竹氏は、飲食業界でやりたくない作業に挙げられる「グリストラップ清掃」を例に説明しました。

「油を使う頻度の高いお店では、ニオイがきつくなりがち。グリストラップからグレーチング(排水溝)へと流れて溜まってしまったものを掃除するわけですが、その特殊なすごい臭いの“お汁”がはねたりするわけです。これが好きな人はいません。それを一緒にしてあげれば、喜んでもらえること請け合いです」

「大切なのは、観察したらそれで終わりではなく、会話する、協働するなどアクションを起こすこと。特につらい仕事を一緒にしてあげれば、パフォーマンスにもなりますし、これだけでかなりスタッフが辞めていくことを防げます」と植竹氏は述べて、このセクションを閉じました。

スタッフが辞めないお店の取組事例――不安になる要素をどのように減らしたか

次に植竹氏は、自身の店長時代や、現在のコンサルタント事例から、どのように不安要素を減らしていったかを次の6つの点から解説しました。

  • 朝礼/終礼
  • ガイド
  • マニュアル
  • チェックリスト
  • 定位置管理
  • 人事考課面談

朝礼/終礼の実施――目的をもって行えば実りある時間へと変わる

「全日の売上や客単価からオーナーはどうすれば、より売っていくことができるかという戦略を立てていることでしょう。でも、考えているだけで口にしなければ誰にも伝わりません」と植竹氏。「それを朝礼で話してあげるんです」と説明します。

そして「どこまで目標が達成できたかの途中経過も、営業中に教えてあげれば、スタッフのモチベーションも上がります」とも付け加えました。

終礼に関しては、「達成できなかった部分は反省点の洗い出しができますし、逆に達成できていれば、どうやったのかを聞き出し、褒めて評価する。このような日々の評価が、人の成長へとつながるのです」と述べました。

いずれにせよ大切なのは「目的を押さえておくこと」。「朝礼の目的は店舗としてやりたいことの確認。終礼の目的は朝礼で決めたことの検証。このふたつが必要だと思ったら、明日からでもやってください」と勧めました。

ガイド――認識合わせがスタッフ間の意識を高める

ここで植竹氏は、今年34回も現地に行きコンサルを行った沖縄の「ふくろうの楽園」の事例を紹介しました。ふくろうの楽園は、お客さまがフクロウをはじめとした猛禽類や爬虫類と触れ合うことのできるテーマパーク。オーナーは、有名テーマパークでトップコンシェルジュを務めていたこともある女性です。

はじめのうちスタッフたちには、お客さまに楽しんでいただくための行動指針(オリエンテーションガイド)がありませんでした。そこで、要請を受けた植竹氏が初版を作成。今ではスタッフたちが率先して臨機応変に改訂を重ねた結果、なんと第54版にまでなっています。

「ガイドがあるおかげで、やらなければならないこと、というより認識の共有がスタッフ同士ででき、そのおかげで向かうべき方向が定まるのです」と植竹氏は解説しました。

開店閉店作業時などにおけるチェックリストや定位置管理で「考える」をなくす

さらに、ルーチンワークとなっていることについてはマニュアルやチェックリストを作ることで、「抜けや漏れ、作業のダブリ」を防止できるため、スタッフ(特に新人)が悩まずに済み、余分な不安感を抱かせずに済みます。

定位置管理も同様で、指示された作業を行う道具が定位置になければ、スタッフの不安につながります。また探す時間ぶんの給与はオーナーにっては損失に。そこで、植竹氏は「それぞれどこで何に使うものかをラベルに書いて道具の上に貼り付けておきましょう」と提案します。さらに、「整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の5Sが定位置管理の基本。清潔感はお店にもスタッフ教育にも有効に働きます」と力説。「使ったら戻す。閉店時に戻っているかを見る、といったことも閉店時のチェックリストに入れれば良いかもしれませんね」とも付け加えました。

スタッフが辞めない店舗が最も重要視している「人事考課面談」の事例を学び仕組みを作ろう

「スタッフが辞める最大の理由は『不安感』だと話しました。つまり、辞めないお店にするには不安にならないような仕組みを作って継続していけばいいのです」と植竹氏。そしてその仕組みでもっとも大切なのが「人事考課で評価する仕組みだ」と言います。

ではなぜそれがもっとも大切なのでしょうか。それには「承認欲求があるから」と植竹氏は。「正しいことをしていれば褒めてほしいと思うし、逆に手を抜いていることがバレれば、次からはしないようにしよう、と反省できます」と解説しました。

ここでまた、植竹氏は、ふくろうの楽園の事例を挙げました。

「このお店のスタッフは、平均年齢が21.5歳。16歳の高校生も働いています。なのに売上は対前年比1.5倍と右肩上がり。なぜでしょうか。それは、彼らが評価されることにより、自分を成長させてきたからです」

では、どのような人事考課をふくろうの楽園では行っているのでしょうか。使っている人事考課表にある3つの工夫が示されました。

  • ほぼ自分で記入してもらう
  • 毎月評価を行い、成長を証明する
  • 昇給額が明確

ほぼ自分で記入してもらう

「自分で記入する、ということは、オーナーが自主性を重んじていることのあらわれ」と植竹氏。スタッフの立場で見ると「自分でコミットしたことは忘れない、というメリットもあります」と付け加えました。

「自分で目標を立てれば忘れないし、やらされている感がないから自発的に行なうようになります。そして、建てた目標を忘れないために、次の工夫が生きてきます」

毎月評価を行い、成長を証明する

「自分でコミットしたことを忘れないうちにどこまでその努力が実ったか、仕事が充実していたかを確認できる間隔が重要なので、毎月行っているんです」と解説します。

「ただし、時給に反映させるところは能力効果のところだけ。できることが増えた、というこの部分が売上と直結するからです」と注意点も植竹氏は説明しました。

昇給額が明確になれば働き続けることがうれしくなる

「人事考課面談は、次回までの目標設定の場で、教育の場でもあります」と植竹氏は言います。「できなかったことではなく、できたこと、またできなかったのであればなぜそうなってしまったかを聞き出し、その阻害要因を取り除くようにする場でもあるのです」と説明します。

「人材に投資する仕組みをみんながわかりやすいように組めば、スタッフはこんなにもらっていいものか、とお店のためにさらに頑張ってくれるようになります。それにより、上がった人件費を吸収できるほどの売上が立つようになる。不公平感を抱かないから不安感もなくなり、スタッフが辞めない仕組みにつながっていくわけです」

店長が人事考課にかける時間は月の半分!

スタッフが辞めない仕組みづくりの事例として取り上げられ、辞めないだけでなく、それぞれが自発的に行動し、売上もアップしているふくろうの楽園。人事考課をどれほど重要視しているのでしょうか。

植竹氏は「毎月ひとりにかける時間は5時間」だと説明。「16人いるので、合計すると80時間。労基法では、月の適正な労働時間はだいたい170時間ですから、店長はお店にいる間の約半分を人事考課に費やしていることになります」とのことで、その費やす時間の量で人事考課が重要な位置づけにあることがわかります。

「わたしが今年34回も沖縄に足を運んだのは、いわば『かまいに行った』だけ。みんなコミュニケーションを取りたがっているし、評価されることで承認欲求を満たしたがっている。売上が足りないと思ったら、『今日は4万円売上が足りないなぁ』と何度もぶやいてみたり、休憩時間中に『仕事楽しい? そう、じゃあ楽しいついでにあと4万円何とか達成できないかな?』と声をかけてみたりする。すると、面白いことにその日の終わりには達成できているんですよね」とコミュニケーションと評価がいかに大切かという事例も植竹氏は披露していました。

エピローグ――すぐやり始め、長く続ける

今回のセミナーで植竹氏が事例として出した沖縄のふくろうの楽園は「オーナーがなんでもできる人」だったといいます。ただ、「そのため、ほかの人への教育の必要性を理解しておらず、コミュニケーションも評価もルール作りも教育制度もできていなかった。だからスタッフが入ってもすぐに辞めてしまうお店の典型のようなところだった」のだそうです。

しかし、植竹氏がコンサルティングをし、それに沿ったスタッフ教育や評価をすぐに始めたところ、今では16人までスタッフが増え、それぞれが楽しく、自発的に仕事をこなしているといいます。

「評価軸を決めたら、すぐにでも評価をはじめてください。スタッフが20人ぐらいまでの規模であれば、1カ月という期間でも行えます。そして、すぐに効果が出ないとしてもあきらめず、最低でも1年は続けましょう。根気強く、時間を割いて。そうすればスタッフが辞めないお店へと成長できるのです」

参加者の反応

今回も、セミナー後に懇親会の時間が設けられました。お話から何を得られたか、お聞きすることができました。

幾つかの学習塾の経営経験を持ち、飲食店を開業予定の男性は、「スタッフへの根底にある精神は同じものだったが、それをどのように表に出せばよいのかがわからなかったので、具体的な方法を教えてもらえたことが良かった。人事考課に80時間も費やしている、という話からその大切さについて学べたし、紙に書いてもらう、といいうのもスタッフにとって考える良い機会になると感じた。これから店舗を経営していく際、是非活用したい」と話してくださいました。

また、食料品を販売するお店で店長として勤務されている男性は、ご自身ではパートさんたちと一緒に汚れ仕事もしてこられたそうですが「経営者がそれを避けているようなので、『こんな話を聞いてきましたよ』と、協働のススメをしてみたい。不安にさせないことがスタッフの辞めない仕組みとして大切だと学べたので、会話を通じ、コミュニケーションもはかっていきたい」と今後の決意を聞かせてくださいました。

外資系企業でのプロダクトマネージャーとして勤務経験があり、現在は開店準備を進めているという男性は、「『今日、10万円売り上げたいんだよね』とつぶやき続けたり、朝礼で目標を話すなど、頭の中を共有することは大切だと感じたし、すぐにできると思った。口に出し、共有することは店舗経営でも方向性を定めるのに有効だとわかった。すぐにスタッフを雇うかどうかはわからないが、二店舗目、三店舗目を出す際にはスタッフの助けが必要になる。開店してからではゆっくりとこういったセミナーに来ることもできないので、今のうちに聞くことができ、良い心構えができた」と話してくださいました。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

渡辺まりか (わたなべまりか)氏

渡辺 まりか (わたなべまりか)ライター

ガジェットをこよなく愛するフリーライター。福島県郡山のビジネス専門学校で約10年、MS-Accessなどの講師を務めた経験あり。自ら足を運び、目で見て、手で触って取材するのが好きな行動派。小型船舶操縦士免許2級、乗馬5級、普通自動二輪免許取得を取得するなど趣味多し。

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