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副業の雑所得は20万円以上で確定申告が必要?経費や税率の計算をわかりやすく解説

個人事業主にとって確定申告といえば、事業についての所得がメインです。しかし、内容によっては雑所得に該当するかもしれません。今回は、どのような所得が雑所得に該当するのかということを見ていきましょう。

この記事の目次

雑所得に該当する所得の種類とは?

そもそも雑所得とは、下記の所得の種類のどれにも当てはまらない所得のことをいいます。

  1. 利子所得
  2. 不動産所得
  3. 給与所得
  4. 退職所得
  5. 譲渡所得
  6. 事業所得
  7. 配当所得
  8. 山林所得
  9. 一時所得

しかし、どのような所得がこれらの所得に当てはまるのかということを覚えるのは非常に大変です。そこで、雑所得に該当する代表的なものを覚えておけばよいでしょう

代表的な雑所得その1 原稿料や講演料など

代表的な雑所得その1 原稿料や講演料など

原稿料とは、本を書くということに限らず、例えばライターとしてインターネットなどの記事を書くことも含まれます。

講演料は、例えばセミナーで講師として呼ばれて話すということが該当します。

本業で本を書いたり、講演を行っているという場合は事業所得になります。しかし、店舗経営者にとって、これらの所得は本業とは別に行っているという扱いになりますので、確定申告の際には、雑所得として申告します

個人に対する原稿料や講演料は、所得税を源泉徴収されて支払われます。いくら源泉徴収したかということを知らせるため、たいていの支払者は支払調書という書類を送ってくれます。支払調書の数字を参考に確定申告書を作成するとよいでしょう。原稿料や講演料についての雑所得は、確定申告の時には事業所得と合算して税率を計算することになります

ちなみに、記事や講演の内容を作るために、本などの取材費がかかれば、その金額は経費として雑所得の申告上引くことができます。

代表的な雑所得その2 先物やFXなどの取引利益

代表的な雑所得その2 先物やFXなどの取引利益

先物取引や、FXの取引で利益を上げた場合も雑所得として申告します

原稿料や講演料は事業所得と合算して確定申告しますが、これら投資系の雑所得は、合算せずに、独立して15%の所得税が課税されます。どれだけ稼いでも税率が変わらないのが特徴です

原稿料や講演料と違って、先物やFXは赤字になる場合もあります。これら投資系の雑所得は、3年間は赤字を繰り越して、翌年以降に先物やFXの取引で黒字が発生した場合に相殺することができます。ただし、事業所得などほかの所得との相殺はできないことに注意が必要です

似たような話に仮想通貨があります。仮想通貨の儲けも雑所得に区分されますが、先物やFXと異なり、仮想通貨の儲けは原稿料や講演料と同じく、事業所得と合算して税率を計算します。合算するということは、仮想通貨の取引で赤字が発生すれば、事業所得と相殺できるのでしょうか? 残念ながら、仮想通貨の赤字は事業所得と相殺はできません

代表的な雑所得その3 年金

代表的な雑所得その3 年金

厚生年金や国民年金、退職年金などの年金を受け取っている方については、これらの年金も雑所得に該当します。年金以外に所得がなければ基本的に確定申告は不要ですが、他に事業をしている場合は、事業所得の金額が20万円を超えれば確定申告が必要です。

年金については、その他の所得と合算して確定申告します。年金には給料と同じように源泉徴収票がありますので、源泉徴収票に書かれた数字を記載すれば、年金の確定申告自体はそれほど難しくありません。

確定申告はいくらから必要?

確定申告は納税額が出る限り、申告の義務があります。ただし、もし会社員などで年末調整を受けた場合は、雑所得その他の所得の合計金額が20万円以下であれば所得税の確定申告義務は免除されます。 ただし、所得税の確定申告義務が免除される場合であっても、個人住民税の申告は必要となります。住民税は所得税のように20万円以下であれば申告義務を免除するという規定がないためです。

必要経費の種類について

雑所得を計算する上では必要経費を引くことができます。必要経費とは、所得を得るためにかかった費用をいいます。雑所得の場合は、例えば原稿の執筆依頼があった場合に、記事を書くための取材にかかった費用などが代表例です。

雑所得と事業所得どちらで申告すればいい?

雑所得と事業所得、どちらに該当するか迷うこともあります。事業所得とは、「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得」となっています。雑所得は、どの所得にも当てはまらないものです。

事業所得であれば、青色申告特別控除の適用を受けられるなど、同じ収入でも雑所得に比べて圧倒的に有利です。また、事業所得であれば、赤字が出た際にほかの所得と相殺できるというのも一つのメリットです。その反面、損益計算書などの決算書類を提出するために、記帳をしっかりと行わなければならないという手間はあります。

雑所得であれば、事業所得ほど記帳が煩雑でない一方、青色申告特別控除が受けられません。雑所得の場合、同じ収入でも、事業所得に比べて納税額が高くなることがあります。

雑所得の税率の計算方法

雑所得は総合課税といって、他の所得と合算して、合計額に対して所得税率が適用されます。ただし、所得の合計額に対してそのまま税率が適用されるわけではありません。税率を適用する前に所得控除を引くことができます。

雑所得以外に所得がなければ、
(雑所得-所得控除)×税率=所得税額となります。
雑所得が300万円、所得控除が100万円の場合、課税される所得は200万円です。

所得税の税率は、こちらの国税庁のページに載っています。
200万円であれば、200万円×10%-97,500円=102,500円が所得税額となります。このほかに復興特別所得税といって、所得税に2.1%をかけた税額も加算されますので、実際の納税額はもう少し多くなります。

上記の例でいえば、102,500円×2.1%=2,152円が復興特別所得税となります。

申告書の書き方と添付書類

雑所得の確定申告書については、確定申告書(B)という様式を使用します。雑所得については、収入欄に雑所得の計算上の収入額を、所得の欄に必要経費を引いた所得額を記載します。雑所得の金額自体は、それほど苦労なく記載できると思います。ほかの所得控除の欄や、税額の欄については国税庁の確定申告の手引きなどを参考に記載しましょう。また、確定申告シーズンの確定申告会場で確認しながら作成するのも一つの手です。

雑所得に関する添付書類は特にありません。相手によっては支払調書を送ってくれることもありますが、支払調書は確定申告書の添付書類ではありません。添付がないから源泉所得税の金額を記載できないというわけではありません。源泉徴収の金額などの確認のために参考資料として使用すればよいでしょう。

申告の際に注意点

雑所得の確定申告の際には、源泉徴収された所得税の記載は漏れなく記入しましょう。受け取る側からすれば、源泉徴収された所得税は所得税の前払いのようなものです。漏れがあれば、その分所得税を多く収めることになってしまいます。こんな時は自分が発行した請求書と振込額の対比や、受け取っていれば支払調書の金額を参考にして一年間の源泉徴収された税額をしっかりと集計しましょう。

まとめ

  • 雑所得とは、他の所得区分に当てはまらないすべての所得である
  • 原稿料や講演料などの雑所得は、他の所得と合算して税率が適用される
  • 先物やFXに関する雑所得は、他の所得と区分して税率が適用される
  • 年金に関する雑所得は、他の所得と合算して税率が適用される
  • 雑所得の確定申告は、申告書(B)の様式を使用する

雑所得に該当する所得を受けた場合は、その金額は本業の数字とは区分して管理して、確定申告をスムーズに行えるようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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