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摘要欄は何のためにあるのか?記載しないと税額が増えるってホント?

帳簿における「摘要(てきよう)」は取引内容を明記することであり、各取引の仕訳を記録するにあたり、勘定科目や金額と並んで重要な役割を持っています。ここでは、摘要について記載目的や記載例を挙げながら、どのような内容を記録すればよいか解説します。

この記事の目次

摘要とは

摘要とは、取引の内容をわかりやすくするためのメモのようなものです。会計ソフトで仕訳入力を行う際、その仕訳には勘定科目や金額とは別に、「取引先(支払先)」と「取引の具体的な内容」を記載しなければなりません。そのため、「取引先(支払先)」「取引の具体的な内容」を記載する欄として「摘要欄」が存在します。

摘要を記載する目的

摘要を記載する目的には、「取引内容の具体化」「税法を守り確実に控除を受ける」「税務調査などの外部対応」の3つが挙げられます。ここでは、それぞれの目的について解説します。

①取引内容の具体化

下記のような仕訳を参考に「取引内容の具体化」について解説します。

(例)取引先A社へのお歳暮代として、B商店に現金で5,000円支払った

借方 貸方
交際費 5,000円 現金 5,000円

このような仕訳のとおり、交際費と現金という勘定科目、その金額のみが記載されている場合、この内容を後で見直したときにどのような取引だったのか思い出すことは困難です。
1年間の事業活動で行う取引は様々あるので、その1つ1つの取引を勘定科目と金額だけで正確に把握することは難しいといえるでしょう。更には、仕訳入力者が別にいる場合、記録した担当者が取引の内容を覚えていても、他の人は仕訳内容を見ただけで、どのような取引が行われたのか判断出来ません。

現在の会計ソフトでは摘要を入力する摘要欄というものがあり、この摘要欄に記載したキーワードをもとにそのキーワードを入力した仕訳を検索することもできるため、摘要の記載はとても重要といえます。

②税法を守り確実に控除を受ける

消費税法において、課税事業者(消費税の納税義務者)が仕入税額控除(原材料費や外注費など仕入れ等にかかる消費税の控除)などの適用を受けようとする場合には、帳簿に「取引の年月日、内容、金額、相手方の氏名、名称」などの必要事項をはっきりと記載する事を求めています。
つまり、仕訳内容入力に際して、取引の発生日、金額、勘定科目、「摘要」をはっきりと記録していない場合には、売上金に含まれる預り分の消費税から、経費などに含まれる支払分の消費税を控除する仕入税額控除が使えなくなります。それにより、しっかりと記録していた場合と比較して多くの納税が必要になってしまいます。
なお、仕入税額控除は専門用語です。「仕入や材料購入」以外にも固定資産の購入や光熱費の支払いも対象になります。

上記と同様に、所得税法や法人税法でも所得金額が正確に計算できるように、総収入金額及び必要経費に関する事項について整然かつ明瞭に記録する必要があります

③税務調査などの外部対応

税務調査のように外部に対して仕訳が記載された帳簿の提出を求められた際、各仕訳に対する摘要を見ても不明なものが多い場合、仕訳のもととなるたくさんの資料の提示を求められます。また自身でも、その仕訳をみて資料が分からないという状況になってしまうと、税務署に対してずさんな管理だと心証を悪くしてしまいます。この結果、隅々まで調査する必要性がでることで実地調査後も追加の資料を求められ、税務調査完了までの期間が長引いてしまうことがあります。

摘要欄に記載すること

「摘要」の目的や重要性を確認したところで、実際の記載方法を具体的にみてきましょう。

摘要欄には、以下の2つの事項を記録します。

  • 取引の相手先(売上先、支払先など)の氏名・名称
  • 取引内容

取引の相手先の氏名・名称に関しては、その正式名称や略称で記録することが原則となっています。ただし、小売店や飲食店のように不特定多数の者への売上のある業種の場合、日々の売上を摘要に明記する際には、「本日分売上」などと記録することが認められています。
取引内容については、売上の場合であれば何を売ったのか、諸経費の場合であれば何に対して支払ったのかを記録することになります。

摘要の記載例

前述の仕訳例を参考に摘要を記録した場合、以下のように記録できます。

(例)取引先A社へのお歳暮代として、B商店に現金で5,000円支払った

借方 貸方 摘要
交際費 5,000円 現金 5,000円 B商店 取引先A社へのお歳暮代

他にも、1回の取引で2種類以上購入した場合、以下のように簡略化して記録できます。

(例)コンビニCでティッシュとトイレットペーパーを現金で1,000円分購入した

借方 貸方 摘要
消耗品費 1,000円 現金 1,000円 コンビニC ティッシュ等

※内訳を簡略化して記録する際は金額の大きいものを記載する

摘要を記録する際のルール決め

摘要を記録の際に一定のルールを設けることをおすすめします。
例えば、大手通販サイトであるアマゾンで何かを購入した際、摘要に書く名称として「アマゾン」と記すのか、それとも「Amazon」と記すのかで表記と文字数が異なります。どちらも摘要に記録する内容としては税法的にも問題ありません。しかし会計ソフトによるキーワード検索を行う際には別々のものとして判断してしまい、同一の支払先を調べたい場合に抽出できないというデメリットが生じます。入力が必要な項目であるなら、こうしたルールを整えておくことで、記録する摘要の定型化が図れるだけでなく業務の効率化にも役立ちます。

消費税改正後の注意点

2019年10月1日から消費税率が変更となり、軽減税率制度も開始されました。これに伴い、標準税率10%なのか軽減税率8%なのか区分して記録する必要があります。具体的な例として、取引先への手土産や贈答日に対して、食品を購入したのか、それとも食品以外を購入したのかによって摘要される税率が異なるため、金額だけでは判断できなくなりました。そのため、仕訳にはどちらの税率が適用されているか明記する必要があります。会計ソフトによっては、税区分を選択することが出来るものもありますが、選択できる税区分と摘要欄の二つで軽減税率か否かを判断出来るようになれば、入力ミスの抑制になります。
そこで、標準税率10%と軽減税率8%の両方を購入した際の仕訳例を参考に、軽減税率対応時の摘要の記録について解説します。

(例)ドラッグストアDでお茶(300円)と常備薬(600円)を現金で購入した

借方 貸方 摘要
福利厚生費 300円 現金 300円 ドラッグストアD お茶代(8%)
福利厚生費 600円 現金 600円 ドラッグストアD 常備薬

上記のように軽減税率対象の仕訳に対して、摘要にて軽減税率である8%と明記するのがわかりやすいのですが、毎回「(8%)」と入力の手間があって大変です。そこで「(8%)」の代わりに「※」マークを明記して記録するのがおすすめです。ただし、「※」マークを利用する場合、帳簿の表紙などに「※は軽減税率対象品目」と表記していなければ「※」マークが何を指すものなのかわからなくなってしまうので、記載をするようにしてください。

まとめ

  • 摘要は取引の相手先の氏名・名称と取引内容を記録すること
  • 一定のルールを設けて記録すれば業務効率化が図れる
  • 軽減税率の対象のものは別途表記が必要

消費税改正に伴い、摘要は取引内容を明確化を図るだけでなく軽減税率対象の明記にも必要となり、仕訳入力を行う上での手間が増えることとなりました。しかしながら、業務に合わせた摘要のルールを設けていけば、業務の効率化を図れるだけでなく、外部対応に合わせた資料作成に役立ちます。なお、仕入税額控除を受ける場合には、摘要の記載(取引先や取引内容等)が必要ですのでご注意ください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

https://sola-cpa.com/

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