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経営者が知っておきたい法人税の計算方法と仕組み

小森 良美(こもり よしみ)税理士

法人の利益に対して課される税金である法人税。会社の資金繰りを考える上で、税負担は気になるところです。今回は、法人税の計算方法と仕組みについて解説します。

この記事の目次

法人税の種類

法人を設立して初めて申告をすることとなった際、何枚も法人税の納付書が届いて驚かれた方も多いと思います。ここでは、まず法人税の種類について見ていきましょう。

国税と地方税

国に納める「国税」と事業所の所在地の地方自治体に納める「地方税」を合わせて法人税等と呼んでいます。

国税には、法人税と地方法人税があります。地方法人税は2014年度の税制改正によって創設されました。目的は地方財政の均衡を保つことにあり、国に納付後、地方に配分されます。

地方税には法人住民税と法人事業税があり、法人の所在地の自治体に対して申告納税します。支店がある法人の場合には、支店の所在地の自治体に対しても申告納税するものです。自治体ごとに税率や基準が異なる場合があります。

法人実効税率とは

法人の所得金額に対する法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税の合計額の割合(法人の所得金額を100%とした場合)、つまり実質の税負担率を「法人実効税率」といいます。当然ながら法人税率よりも高くなります。

法人税は国が徴収する国税で、所得に課税されます。地方法人税も国税ですが、地方交付税の財源となります。法人住民税は、事業所の所在地がある地方自治体に対し納税するものであり、法人であっても公的なサービスを受けていることから収める義務が生じます。法人事業税も地方自治体によって所得に対し課されるものです。

【法人に関係する税の種類と計算方法】

種類 計算方法
①法人税 所得金額×標準税率
②地方法人税 ①×標準税率
③法人住民税 ①×標準税率
④法人事業税(所得割含む)+地方法人特別税 所得金額×標準税率

法人実効税率は以下のように計算します。

法人実効税率= 法人税率×(1+地方法人税率+法人住民税率)+(法人事業税率+標準税率×地方法人特別税率)/1+(法人事業税率+標準税率×地方法人特別税率)

法人実効税率は、事業所の所在地や外形標準課税の適用の有無で税率が変わるため、一概にはいえませんが30~35%程度となります。

法人住民税における均等割

法人住民税については、法人税割と均等割で算出されます。やや複雑ですので、少し詳しく解説したいと思います。

法人税割は、課税標準となる法人税額に、該当する税率を掛けて出すものです。従業員数や資本金等の額によって税率は異なり、所得によっても額は変動します。

法人住民税のうち、利益に関係なく法人が存在することに対して課税されるものを均等割といい、こちらも従業員数や資本金等を基準として課税されます。均等割の金額は、事業所が所在する自治体によって異なります。

詳しくは、以下のHPにてご確認ください。

参考:東京都主税局HP

参考:総務省「法人住民税・法人事業税の税率採用状況」

大阪府における均等割の例を見てみましょう。資本金5,000万円で従業者50人の大阪市に本社がある法人の場合、大阪府の均等割75,000円+大阪市の均等割130,000円=合計205,000円は赤字であっても納める必要があります。

支店がある場合には、本社だけでなく支店の所在地の均等割も負担する必要があります。上記の会社が、堺市に10名在籍する支店を出した場合、均等割として130,000円を堺市に対して納税する必要があります。

法人税の計算

法人税は具体的にどのように計算するのでしょうか。税金が課される所得金額から実際の税額の計算方法を確認してみましょう。

法人税の計算方法

法人税は、単純に会社が儲けた会計上の利益(収益-費用)に対して課税されるものではありません。会計上の利益をもとに、益金(税務上の収益)になるものと損金(税務上の費用)にならないものを加算し、(会計上は計上したが税務上は)益金にならないものと、(同前)損金になるものを減算したものが課税対象となる部分です。これを課税所得と呼びます。また、法人税は所得税のように累進税率(所得が高いほど高い税率が適用される)ではない点も覚えておきましょう。

課税所得

収益と益金、費用と損金はすべてが一致しているわけではありません。利益と課税所得が異なるのは、企業会計と法人税法の目的が違うためです。したがって、課税所得は以下の式で算出する必要があります。

課税所得=益金-損金

なお、会計上の利益は以下の式で出します。

会計上の利益=収益-費用

法人税の計算に重要な益金と損益

法人税の計算にかかせない「益金」と「損金」について、どのようなものが該当するのかを見ていきましょう。

益金とは

益金とは、法人税法上の収入のことです。商品を販売して得られる売上はもちろんのこと、保有している不動産を売却して得られる収入等も含まれます。

益金になるもの

基本的には会計上の収益とほとんど同じですが、法人税法では益金になるものについて以下のように定めています。

  • 資産の販売
  • 有償又は無償による資産の譲渡
  • 有償又は無償による役務の提供
  • 無償による資産の譲り受け
  • その他の取引

例えば、商品の販売、保有する土地建物の売却、顧客へのサービスの提供等、会社が一般的に行う取引は益金の対象となります。ポイントは、無償の取引であっても益金として課税の対象となる点です。法人に経済的利益をもたらしたものは益金となり、時価相当額の収入が発生したものとして取り扱われます。例えば無料(タダ)で土地をもらった場合、土地受贈益としてその土地の時価相当額の収入が、法人に発生したものとして課税されます。

益金にならないもの

「別段の定め」として益金にならないものが規定されています。例えば、受取配当等の益金不算入の規定と法人税等の還付金です。これらは一度課税されている利益のため、二重課税となることを防ぐ意味合いがあります。これらの項目は、法人税の申告書上で課税所得から減算(マイナス)して課税所得を計算します。

損金とは

損金とは、法人税法上の費用のことです。商品の仕入等の売上原価はもちろんのこと、減価償却費等も含まれます。ただし、課税の公平の見地より、意図的に課税所得を減少させるようなものを排除しようとします。そのため、費用と損金は必ずしも一致しません。

法人税法では、損金に算入する販売費、一般管理費その他の費用は、減価償却費を除き、原則として事業年度終了の日までに債務の確定しているものに限るとされています。債務が確定していないものまで見積金額で経費に算入することを認めてしまうと、課税の公平が守られないためです。

損金になるもの

ほとんど会計上の費用と一致しています。しかし、上記で述べたように課税所得を意図的に減少させるようなものや決算日において債務が確定していないようなものを損金にすることはできません。

  • 商品の原価
  • 販売費や一般管理費といった費用
  • 損失

損金にならないもの

損金にならないものをここですべて挙げることはできませんが、代表的なものに役員給与や交際費等があります。役員給与の損金算入を無制限に認めると役員の給与の額を意図的に多く支給し、課税所得を減らすことができてしまうからです。そのため、毎月の支給額が一定であるもの(定期同額給与)や、賞与として支給することをあらかじめ決めておいたもの(事前確定届出給与)などの利益操作を目的としていない場合には、損金に算入できます。役員報酬を変更する場合には、変更の理由や時期、金額等に気を付ける必要があります。

交際費等は、取引先や事業に関係する者に対する、接待や贈り物などにかかる費用ですが、原則として損金不算入となります。

注意点として、期末資本金の額が1億円以下の会社の場合には、①飲食費の50%まで、②年間800万円までのいずれか有利な方を選択することができ、これを超えた金額が損金不算入となります。

法人税の計算例

では、実際に大阪市の例をもとに法人税を計算してみましょう。

【大阪市の例】

<設例>

資本金1,000万円(大法人との間に完全支配関係がない)、課税所得400万円の大阪市所在の法人

<国税>

法人税:400万円×15%=60万円

地方法人税:60万円×10.3%=61,800円

<地方税>

大阪府民税法人税割:60万円×1%=6,000円

法人事業税:400万円×3.5%=140,000円

特別法人事業税:140,000円×37%=51,800円

市民税法人税割:600,000円×6.0%=36,000円

上記の場合、国税と地方税の合計額(均等割除く)は895,600円で、実効税率は895,600円÷4,000,000=22.39%となります。

※資本金等の額や、所在する自治体、所得金額等により実効税率は変動します。また、上記の場合は均等割205,000円を別途納付する必要があるのでご注意ください。

まとめ

  • 法人税には国税と地方税がある
  • 法人税は各事業年度の所得金額に税率を乗じて計算する
  • 法人に経済的利益をもたらしたものはすべて益金に
  • 役員給与や交際費は損金にならない

法人税と一言でいっても国や地方へ納めるものがあり、赤字であっても納めなければならない税金もあります。法人税の仕組みを理解した上で、期限までに申告納税しましょう。フリーランスの方や個人事業主の方は、(設立費用や社会保険料の負担もありますが)「法人成り」のシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

小森 良美(こもり よしみ)税理士

平成26年5月税理士法人絆入社。平成28年11月税理士登録。
平成30年TKC全国会入会。得意分野は消費税。
http://kizuna-tax.jp/