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飲食店の深刻な問題である予約の無断キャンセルへの防衛策

Airレジ マガジン編集部

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

予約を入れたにも関わらず、連絡もなく来店しない「無断キャンセル」が問題となっています。予約の無断キャンセルはどれほどの割合で起きているのでしょうか。また、なぜ増加傾向にあるのでしょうか。本記事では、お店側の防衛策も含め予約の無断キャンセルについて解説します。

この記事の目次

予約の無断キャンセルとは?

そもそも予約の無断キャンセルとはどういったものなのでしょうか。

無断キャンセルの概要

飲食店における無断キャンセルとは、予約を事前に行っていたにも関わらず、予約日時になっても来店しないことです。また、お客様からのキャンセル連絡がなく、お店側が電話してもつながらないことがあります。こうした無断キャンセルは、お店側にとって大きな被害をもたらします。繁忙期に大人数の無断キャンセルが起きてしまうと、その損失はより大きくなります。

No Showとは?

「No Show」とは、飲食店だけでなく、ホテルや飛行機の座席を予約しておきながら、キャンセルせず結局姿を見せない人のことです。英語で「姿を見せる」を意味する「show」を「no」と否定することで「姿を見せない人」となります。「迷惑」というニュアンスも含んでおり、旅行や宿泊業界でも日常的に使われています。

予約の無断キャンセルによる現状と実害

無断キャンセルの現状と被害の例を実際に見てみましょう。

無断キャンセルの現状

以前、週刊女性PRIMEでも「飲食店「無断キャンセル」店側が激怒する4事例」という記事があったように、無断キャンセルの被害は深刻化しています。経済産業省の「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」によると、飲食店の予約全体でキャンセルされたのは9.3%。予約全体の1%弱を無断キャンセルが占めており、被害総額は年間約2,000億円ともいわれています。

被害の一例

無断キャンセルによる被害の一例を紹介します。

  1. 無断キャンセルによって、本来発生したはずの売上がなくなり、用意していた食材の仕込みにかかった食材費・人件費・光熱費が無駄となった。
  2. 50人の予約を無断キャンセルされ、その分の食材費が無駄になった上に、廃棄費用も発生した。
  3. お客様が予定時間になっても来られなかったので、席を確保したまま待機した。待機している間に予約のないお客様が来店されたが、予約のお客様が来店することを考え、入店をお断りした。しかし、結局お客様は閉店まで来店せず。予約のないお客様の売上が得られなかった。


参考:「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート」(経済産業省)を加工して作成

無断キャンセルは犯罪になる?

日時・席数・コース・金額などを双方で明確に決めた予約が無断キャンセルになった場合、お店は損害賠償金を請求することができます。

この損害賠償金は「民事責任」によるものですが、これとは別に著しく業務を妨害したということで犯罪が成立し、「刑事責任」が発生する場合があります。実際、飲食店で無断キャンセルした人が逮捕されたケースもあります。

無断キャンセルは「偽計業務妨害罪」という犯罪にあたる可能性があり、これは3年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられることがあります。他にも、他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害したとして、軽犯罪に相当する場合もあります。

こうした犯罪が成立するためには、故意に営業を妨害するため、無断キャンセルをしたかどうかが鍵になります。あまりにも悪質な場合は警察に相談しましょう。

予約の無断キャンセルがなくならない原因

では、どうして無断キャンセルによる被害はなくならないのでしょうか。

スマートフォンや予約ツールの進化

無断キャンセルの要因のひとつとなっているのが、スマートフォンの普及や予約ツールの進化だといわれています。飲食店以外にもいえることですが、手元の端末で気軽に予約が可能なことや、再度取り消しボタンを押すことでキャンセルが簡単にできてしまいます。そのため、「とりあえず予約しておこう」という軽い気持ちが、消費者の間にすっかり定着してしまっていると考えられます。

  • 当日になって食べたいものが変わったのでキャンセルする
  • 重要な取引先との会食に好まれそうな複数店舗を同一日時で予約、当日の気分に一番合いそうなお店に行く
  • 同じ日時でとりあえず複数の旅行日程を予約後に一番良かったコース以外はキャンセルする

キャンセル料金の未設定

また、欧米では一般的になっている「キャンセル料の発生・徴収」ですが、日本でも少しずつ導入している店舗・業態が増えていますが、まだまだ一般的ではありません。そのため「キャンセル料を徴収しない」という習慣と相まって、無断キャンセルという悪しき文化が根付いてしまっていると考えられます。

例えば、複数の店舗への予約となれば、どこを予約していたか忘れてしまってもおかしくありません。航空券のようにキャンセルポリシー・料金が定められていれば、店舗側も損害を抑えることが可能ですが、複数予約が発生しやすいと考えられる飲食店では、キャンセル料金を設けていない場合が多く、忘れられたまま「当日来店しない」ということが起こってしまいます。

ただし、キャンセル料金の設定はメリットばかりではありません。キャンセル料金を設定することで、「他のお店では徴収されないので、このお店で予約するのはやめよう」とお店の印象や好感度を下げてしまい、お客様が予約を避けようとする心理が働かないともいえません。

予約情報の詐称や証跡が残らない場合も

飲食サイトや店舗のホームページを通じた予約であれば、氏名や連絡先を記入するので無断キャンセル後の対応も可能となりますが、虚偽の情報を用られてしまった場合相手を突き止めることは難しくなります。また「電話予約」のように、消費者とのやり取りが残らない方法のみを利用している店舗があることも理由として考えられます。

無断キャンセルの対応に時間や労力を割けないため

飲食店は、日々の仕込みや接客、食材の仕入れなど業務が多岐にわたり、無断キャンセルの対応にパワーや時間を割くことができません。ほとんどが泣き寝入りしているのが現状です。

予約の無断キャンセルへの防衛策

無断キャンセルの発生件数が増加傾向にある現状を踏まえ、様々な防衛策が生まれています。どんなサービスがあるかご紹介します。

事前決済サービス

事前決済サービスは、無断キャンセルを防衛する上で優れたサービスの一つです。このサービスでは事前決済が予約条件のため、無断キャンセルされてもキャンセル料を必ず徴収できます。また、予約の際にクレジットの事前登録が必要なサービスもあります。こちらもキャンセルが発生した際、キャンセル料の徴収が確実に行えるため安心です。

弁護士が代行でキャンセル料を回収するサービス

無断キャンセル対応に手が回らない飲食店に代わり、弁護士がキャンセル料を回収するサービスがあります。このサービスでは、回収金額のうち一定割合を弁護士の成功報酬としています。

依頼を受けた弁護士は、予約のあった電話番号にショートメールで督促を継続的に行い、キャンセル料を回収します。無断キャンセルした側は弁護士からメールが来たとなると事態を重く受け取るとみられ、回収率も高いようです。

飲食サイトがキャンセル料を補償するサービス

また最近では、予約補償サービスを導入する飲食サイトが増えています。このサービスは、無断キャンセルが発生した場合、サイト側がキャンセル内容に応じた補償金をお店側に支払うサービスです。補償金が支払われる条件や金額は飲食サイトによって様々ですが、お店側にとっては安心できるサービスです。

今後の展望

無断キャンセルのこれまでの動向について見てきました。ここからは、今後の展望について考えます。

「無断キャンセル=悪」という感覚が浸透する

昨今、無断キャンセルで逮捕されたとの報道もあり、社会問題の一つとして議論の対象になっています。そのため、利用者の意識の中に「無断キャンセル=悪」という感覚が浸透してきているのも事実です。

防衛手段の多様化で減少する可能性も

無断キャンセルからお店側を守る防衛策も増えつつあります。ネットでの予約の際に事前決済が必須になったり、クレジットカードの事前登録が必要になったりと、ネット予約の様相も変化しつつあります。今後は無断キャンセルの件数が減少していく可能性もあると考えられます。

まとめ

  • 無断キャンセルは飲食店の予約全体の1%弱を占めている
  • 無断キャンセルが発生しやすい予約は非対面での予約
  • 無断キャンセルは犯罪として成立する場合がある
  • 無断キャンセルの要因は、予約の手軽さとペナルティが課せられない現状にある
  • キャンセル料の回収を代行してくれるサービスや補償など防衛策が増えつつある

無断キャンセルは、人件費や食材代、光熱費等が無駄となり損失だけが残ってしまうため、飲食店にとっては甚大な損害になります。無断キャンセルの現状や原因を理解し、今回ご紹介した防衛策も活用しながら発生防止に取り組みましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

「0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ『Airレジ』」のメディア「Airレジ マガジン」の編集部。お店を経営している方向けに、業務課題の解決のヒントとなるような記事を制作しています。

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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