在庫管理とは?正しい手順と効率化、低コストで行う方法を解説
店舗経営において、売上や利益を大きく左右する重要な業務である「在庫管理」。売れ残りが増えるとムダなコストが増えたり、逆に人気商品が欠品すると売上のチャンスを逃してしまったりする可能性があります。本記事では、店舗の在庫管理の基本的な知識をはじめ、在庫管理の正しい手順や効率化、低コストで行う方法を詳しく解説します。在庫管理のムダをなくして経営改善につなげていきましょう。
この記事の目次
在庫管理とは?目的と重要性を理解しよう
はじめに、在庫管理の基本的な知識を解説します。目的と重要性を踏まえて在庫管理について理解しましょう。
在庫管理の基本と業務内容
在庫管理とは、店舗が所有する商品の在庫を適切な状態・量になるように管理・調整する業務のことをいいます。在庫管理ではおもに、現在の在庫数の把握や、商品の発注・払い出しの調整、商品の品質のコントロール、商品を保管する倉庫の整理などを行います。
在庫管理の目的と重要性
在庫管理を行う目的と重要性について、3つの観点から解説します。
過剰在庫や欠品リスク(販売機会損失)の低減
過剰在庫と欠品リスクを減らすことは、安定した経営に必要です。在庫が多すぎると、保管コストや商品の劣化、資金繰りの悪化につながります。反対に在庫が少なすぎると、お客さまのニーズにタイムリーに対応できず、販売機会を逃してしまうおそれがあります。適切な在庫管理は、この両方のリスクを避けることにつながります。
業務効率化と生産性の向上
在庫管理を適切に行うことで、オーナーや従業員の負担を減らし、店舗全体の生産性を高めることができます。手作業による在庫確認や発注業務をシステム化すれば、時間と労力を大幅に削減できます。空いた時間を接客や商品陳列、マーケティングなど、売上を直接生み出す業務にあてることができるようになります。
需要予測の精度向上と正確な経営判断
過去の売上データや季節変動、トレンドなどを分析できれば、将来どの商品がどれくらい売れるかを予測することもできるようになります。例えば「昨年のデータから、カレーがよく売れるこの時期は、関連するスパイスが月に50個売れる」といった具体的な予測が可能になります。この予測にもとづき適切な発注を行うことで、過剰在庫や欠品を減らします。
在庫管理の方法にはどんな種類がある?

手書きによる在庫管理の方法から最新のツールを使用した方法まで、店舗オーナー向けの在庫管理の方法を解説します。
方法1.目視と紙の在庫管理表(アナログ管理)
紙に手書きで商品の入出庫や在庫数を記録する方法です。特別な設備が不要で、すぐに始められるのがメリットですが、手作業のため記入ミスや計算間違いが起こりやすく、正確な在庫数をリアルタイムで把握するのが難しいというデメリットもあります。商品の種類が増えると管理が複雑になり、棚卸にも時間がかかります。紙で不正確に管理することが、販売機会の損失や、多量の廃棄につながるリスクもあります。
また、アナログ管理は初期投資が不要なため一見コストがかからないように見えますが、在庫管理に作業時間がとられ、結果的に人件費がかさむ要因にもなります。
| アナログ管理の具体例 | 目視・手書きで在庫管理表を作成 |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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| コスト |
ほとんどかからない |
| 向いている店舗・業種 | 個人店や規模が小さい店舗。商品数が少ない店舗 |
方法2.Excelやスプレッドシート(汎用ツールでの管理)
ExcelやGoogleスプレッドシートを使う方法は、特別なソフトウェアを購入する必要がないため、コストを抑えることができます。Excelなどの操作に慣れている人にとっては導入が容易で、テンプレートや表計算機能を使えば紙に記録するよりも効率的に管理できるでしょう。
一方で、手入力が基本となるため、入力ミスや重複が発生しやすいほか、Excelに関数やマクロを組み込むなどカスタマイズしすぎると、担当者以外の操作に不慣れな人は利用しにくくなるといったデメリットもあります。小規模で商品の種類が少ない店舗であれば有効な手段ですが、店舗の成長に合わせてシステムの導入を検討するのがおすすめです。
| 汎用ツールでの管理の例 | Excel、Googleスプレッドシート |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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| コスト | 低 |
| 向いている店舗・業種 | 個人店や規模が小さい店舗。商品数が少ない店舗 |
方法3.倉庫管理システム(WMSでの管理)
倉庫管理システム(WMS)は、商品の入庫から出荷まで、倉庫内のすべての業務を効率化・自動化するシステムです。ハンディターミナルを使って商品のバーコードを読み取るだけで、在庫数や商品保管場所をリアルタイムで正確に把握できます。手作業による入力ミスや在庫差異を減らし、より効率的なピッキングや棚卸ができます。
導入、運用コストが高い点は注意が必要です。また小規模店舗の場合は機能過多(オーバースペック)になるケースもあるでしょう。扱う商品数が非常に多く、倉庫作業が複雑な店舗であれば、人件費の削減や販売機会の損失防止、在庫の廃棄減少につながり、費用対効果を考えるとよりよい経営につながるかもしれません。
コストの目安としては、パッケージ型で400万円~500万円程度、クラウド型で初期費用無料~50万円程度、月額5万円から20万円程度です。資金繰り計画も考慮して、相見積もりをして妥当なシステムを導入検討してください。
| 倉庫管理システムの例 | 倉庫(在庫)管理ソフト |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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| コスト | 高 |
| 向いている店舗・業種 | 中~大規模の店舗、複数の倉庫を持つEC |
方法4.統合基幹業務システム(ERPでの管理)
統合基幹業務システム(ERP)は、在庫管理だけでなく、販売、会計、人事など、店舗のあらゆる業務を一元管理するシステムです。各部門の情報がリアルタイムで連携されるのが特徴です。在庫変動データは、会計システムと連携されて売上や会計に反映されます。
複数の店舗やECサイトを運営している場合、全体の在庫状況を正確に把握し、よりスムーズな経営判断が可能になります。導入コストはかかりますが、長期的に見て大幅な業務効率化と利益向上につながります。
クラウド型であれば中堅企業のユーザー型課金モデルで1ユーザーあたり月額1万円〜3万円、モジュール型課金モデルで月額5万円〜30万円程度が相場です。他にも特定業種向けモデルでは500万円〜1,000万円のものもあります。金額の幅は企業の規模状況などによって大きく異なるので詳細を相見積もりするなどして導入を検討してください。比較的料金を抑えられるクラウド型がハードルが低く導入できますが、一般的には中規模以上の企業向けであり、小規模店には機能過剰となるケースが多いです。
| 統合基幹業務システムの例 | Oracle NetSuite、グランディットなど |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット |
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| コスト | 特に高い |
| 向いている店舗・業種 | 大規模な店舗・企業 |
方法5.POSレジ機能の活用(レジアプリでの管理)
POS(Point of Sale)レジの在庫管理機能を活用する方法です。レジで商品が売れるたびにそれに合わせて自動で在庫数が変動するため、手動でシステムに入力する手間がなくなります。リアルタイムで正確な在庫数を把握でき、発注のタイミングを逃しません。
スマートフォンやタブレットで使えるアプリ型のPOSレジは、例えば『Airレジ』のようにアプリが無料で使えるケースもありコストを抑えて手軽に始められる点が魅力です。在庫管理だけでなく、売上分析や顧客管理も一元化できるため、店舗全体の業務効率と生産性を大きく向上させることができます。
| POSレジ機能の例 | Airレジなど |
|---|---|
| メリット |
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| デメリット | 高度な管理機能は別途料金がかかる場合がある |
| コスト | 低~中 |
| 向いている店舗・業種 | 個人店、小~中規模店舗。小売店、飲食店、サービス店 |
在庫を最適化する指標と実践手法(計算式も解説)
適切な在庫管理を行うために押さえるべき実践手法と、現状を把握・改善するための主要指標について、計算式を交えて解説します。
ロケーション管理(実践:場所の明確化)
在庫管理のすべての土台は、「どこに何があるか」を正確に把握することです。
ロケーション管理とは、在庫をどこに置いたかを正確に記録し、管理することです。商品に棚番号や場所を示す記号を割り当てることで、誰でも迷わず目的の商品を見つけることができます。これにより、商品を探す手間が省け、ピッキング作業の時間を大幅に短縮できます。
特に商品の種類や数が多い店舗では、この管理方法を導入すれば、作業効率が上がり、スムーズな商品補充や出荷が可能になります。規模の大小にかかわらず、商品の置き場所や管理の仕方をルール化することは、作業の標準化や効率化の第一歩であり、次項の棚卸の精度を上げるための大前提でもあります。
棚卸と自動化(実践:数量の正確性)
場所を把握したら、次は「現物の数」を正確に把握します。
棚卸とは、実際に保管されている在庫(実在庫)を一つひとつ数え、その数量と状態を確認する作業です。この実在庫の数を、データ上の在庫(帳簿在庫)と照らし合わせ、在庫数にズレがないかを確認します。正確な在庫数を把握するために不可欠ですが、時間と労力がかかります。
この棚卸作業を効率化するのが自動化です。ハンディターミナルやICタグなどのツールを導入することで、商品を手で数える代わりに、バーコードやタグで読み取って在庫数をカウントします。これにより、作業時間が大幅に短縮され、人為的なミスも減らすことができます。比較的大きな規模の事業で利用される場合が多いです。
適正在庫の把握(目標:目指すべき状態)
「どこに、何が、いくつあるか」が正確に把握できて初めて、「いくつ持つべきか」という目標設定ができます。
適正在庫とは、欠品や過剰在庫による損失を防ぐことができる、最適な在庫量のことをいいます。適正在庫を把握することで、売上機会を逃さず、無駄な在庫コストを削減します。
商品の売れ行きやリードタイム(在庫を確保してから販売して代金を回収するまでの期間)、季節変動(クリスマスシーズンや年度末はよく売れる)などを考慮して算出することが重要です。適切な在庫量を維持することで、お客さまの満足度を高め、経営を安定させられます。
適正在庫の把握方法はさまざまです。店舗にあった適正な在庫を予測して準備しましょう。例えば下記の2通りがあります。
一定期間の需要量を見込んで決定する
シーズンにより需要の高くなる商品を年間事業計画に組み込んだり、売れ行きの良し悪しから傾向を掴んで在庫量の参考にします。
適正在庫金額を算出する
ある期間の売上原価を目標の在庫回転率で割って、目標とする在庫金額を予測算定します。
適正在庫金額=期間売上原価÷目標在庫回転率
在庫回転率(指標:効率性の評価)
目標(適正在庫)に対し、現状の在庫がどれだけ効率的に機能しているかを測る指標が「在庫回転率」です。
在庫回転率とは、一定期間内に店舗の商品在庫がどれだけ入れ替わったか(売れたか)を示す指標です。この数値が高いほど、商品がスムーズに売れていることを意味し、売れ残りによるコストや陳腐化のリスクが低い状態です。
逆に、回転率が低い場合は、商品が売れるのに時間がかかっており、保管コストや廃棄リスクが増えている可能性があります。算出方法はおもに2つあります。
方法1:金額ベース(財務分析・経営判断向け)
在庫回転率=売上原価÷平均在庫金額
※売上原価:売上にかかった原価金額
※平均在庫金額:期首と期末の在庫金額の平均値
金額ベースでの在庫回転率の計算は、インフレや売上、値引き交渉など価格の変動の影響を受けます。事業全体の財務分析、経営方針決定に適しています。
方法2:個数ベース(現場の在庫管理・発注向け)
在庫回転率=期間中の総出庫数÷平均在庫数
個数ベースでの在庫回転率の計算は、金額的影響を受けない出庫、在庫数量のみでの分析のため、在庫の動きを把握し発注や倉庫管理を最適化することに適しています。商品ごとの回転率を把握し、発注量や発注タイミング(発注点)を決定するのに役立ちます。インフレ、値引きなどの金額的影響を除いて分析できます。
在庫回転期間(指標:スピードの評価)
在庫回転率とセットで使われる指標が、在庫がどれくらいの「期間」で入れ替わっているかを示す「在庫回転期間」です。
在庫回転期間は、仕入れた商品がどれくらいの期間で売れているかを示します。この期間が短いほど、商品の現金化が早く、キャッシュフロー(資金繰り)が良好であることを意味します。在庫回転期間が長い場合は、月の売上原価に比べて商品が多くあることを示し、保管コストや資金繰りへの負担が増えている可能性があります。算出方法は下記のとおりです。(在庫回転率(金額ベース)と連動して算出するのが一般的です)
在庫回転期間(月)=12(カ月)÷在庫回転率
これらの数値を定期的にチェックすることで、商品の売れ行きを把握し、仕入れ計画や販売戦略を見直すための重要な手がかりとなります。
在庫管理の基本的な手順・流れ

適切な在庫管理の実現に向けた、具体的な手順と流れをわかりやすく解説します。
STEP1:入庫処理・検品
仕入れた商品を店舗の在庫として登録する最初のステップです。
商品が届いたら、まず発注書・納品書の内容と、実際に届いた商品の内容が一致しているか、不良品がないかを確認します。この確認作業を「検品」といいます。
商品の数量などをしっかりチェックすることで、在庫数のズレを防ぐことができます。
STEP2:保管(ロケーション管理、3定の徹底)
検品を終えた商品を正しい場所に置く作業です。どこに何を置いたかがすぐにわかるように、先ほど紹介したロケーション管理を導入するととても便利です。
「3定(定位置・定品・定量)」を徹底することで、ムダな在庫をなくし、必要なものがすぐに取り出せるようになります。保管場所がしっかり決まっていれば、探す手間が省け、業務効率が大きく向上します。
STEP3:出庫(販売、出庫処理)
出庫とは、販売や返品などで商品が在庫から出ていくことです。
商品が売れたり、ほかの店舗へ移動したりする際には、商品の在庫数を記録から減らす出庫処理を行います。
POSレジと連携していれば、お客さまが商品をレジで購入した瞬間に、在庫数が自動で更新されるため、在庫数のズレを防ぐことができます。正確な出庫処理は、在庫の正確性を保つためにとても重要です。
STEP4:在庫確認と在庫差異の確認
在庫確認とは、帳簿上の在庫数と実際の商品の数を比較し、ズレがないかをチェックすることです。
在庫数のズレを在庫差異と呼び、棚卸の数え間違い、システムへの入力ミス、紛失、記録忘れなどが原因で発生します。
棚卸で、在庫差異を認識して、正しい在庫数を把握します。在庫管理を適切にすれば、正確な在庫確認ができ、店舗の在庫状況を常に最新の状態に保ち、経営の安定につなげられます。
STEP5:データ分析と発注
データ分析で、過去の売上データを活用して、いつ、どの商品が、どれくらい売れるかを予測します。
勘や経験に頼るだけでなく、POSデータや在庫回転率などを分析することで、売れ筋商品や季節ごとの需要を正確に把握できるようになります。ムダな仕入れを減らし、必要な商品を必要な分だけ発注します。データにもとづいた発注は、欠品や過剰在庫を抑制します。
在庫管理でよくある課題と解決策
店舗の在庫管理で直面しやすい課題と、それを解決するための具体的な方法を解説します。
課題1:人的ミス(数え間違い、入力ミス)が多い
在庫管理で最も多い課題の一つが、数え間違いや入力ミスといった人為的なミスです。
手作業で商品の数を数えたり、紙の帳簿やExcelに手入力したりすると、どうしても間違いが発生しやすくなります。帳簿上の在庫と実際の在庫にズレが生じ、発注ミスや欠品につながります。特に商品の種類が多い店舗では、この問題が深刻化しやすいです。人的ミスを防ぐための解決策として、在庫管理システムの導入による自動化や作業ルールの標準化とマニュアル化、在庫のチェックがしやすい倉庫レイアウトの見直しがあります。
課題2:在庫差異(理論在庫と実在庫のズレ)が発生する
理論在庫と実在庫のズレは、事前に在庫を確認したお客さまが、いざお店に来て商品を買おうとすると「品切れ」になっているような事態を招きます。こうしたズレはお客さまの信頼を損なうだけでなく、販売機会の損失にも直結します。お客さまは次から店舗に来なくなり、競合店やオンラインストアで購入するようになるかもしれません。
逆に、在庫があるのに気づかず余分に仕入れてしまうと、売れない商品が場所を取り、新しい人気商品を入荷するスペースがなくなってしまいます。正確な在庫管理は、お客さまを逃さず、常に魅力的な商品を揃えるために不可欠です。在庫差異の発生を防ぐための解決策として、バーコード・QRコードシステムや在庫管理システムの導入、日次棚卸の実施、作業手順の標準化・マニュアル化が挙げられます。
課題3:作業に時間がかかりすぎる
在庫管理は、商品の入荷から棚卸まで、多くの作業が必要です。手作業でのカウントや記録、Excelへの入力などは、多くの時間と手間がかかります。
本来時間をかけるべき接客や販売促進活動に手が回らず、生産性や売上が低下する可能性があります。作業に時間がかかりすぎるという課題に対しては、作業の可視化、在庫スペースの整理整頓、在庫管理システムの導入、日々の在庫カウントと情報共有の徹底が解決策となりえるでしょう。
【業種別】在庫管理におけるポイント
適切な在庫管理を実現するために、店舗のオーナーが押さえておくべきポイントを業種別に解説します。
小売業・ECサイトの場合
小売業やECサイトでは、商品の種類が多く、販売のスピードが速いため、在庫の正確な管理が特に重要です。
実店舗とオンラインストアで在庫を共有する場合、リアルタイムで在庫が連携されるシステムの導入が不可欠です。在庫がずれると、お客さまが注文したのに商品がないといったトラブルにつながり、顧客満足度を大きく損ねます。
商品の回転率を分析し、売れ筋商品の在庫をしっかり確保することも、売上向上には欠かせません。
製造業の場合
製造業では、原材料、仕掛品(製造途中の未完成品)、完成品の3つの在庫を管理する必要があります。
原材料の在庫が不足すれば生産が止まり、過剰になれば保管コストが増えます。さらに、製造途中の仕掛品の在庫も、工程のボトルネックを把握するために重要です。
各工程の在庫状況を正確に把握することで、無駄のない生産計画を立て、効率的な製造とコスト削減を実現できるようになります。
倉庫業・物流業の場合
倉庫業や物流業では、多種多様な商品を効率的に保管・出荷することが最重要です。
在庫管理のポイントは、正確なロケーション管理を徹底すること。商品の保管場所を細かく設定し、システムで管理することで、ピッキング作業の時間を大幅に短縮できます。入荷・出荷のタイミングや数量を正確に把握することで、倉庫内のスペースを最大限に活用し、業務全体の効率を上げられます。
【規模別】在庫管理におけるポイント
店舗の規模に合わせた在庫管理のポイントと、具体的な方法を解説します。
個人商店、小規模店舗の場合
個人商店や小規模店舗では、在庫管理に多額のコストをかける必要はないかもしれません。ExcelやPOSレジなど、手軽に始められるツールの活用も検討しましょう。
商品の種類や数を絞り込み、売れ筋商品を中心に管理することで、効率よく業務を行えます。日々の売上を記録し、こまめに棚卸をすることで、在庫のズレを防ぐことができます。
中~大規模店舗、多店舗展開の場合
中~大規模の店舗や多店舗展開を行う場合は、在庫を一元管理できるシステムの導入を検討しましょう。
各店舗の在庫状況がリアルタイムで本部に共有され、迅速な商品移動や補充の判断が可能になります。特定の店舗で欠品が起きても、ほかの店舗から商品を融通して販売機会を逃すリスクを減らせます。
システムによるデータ分析は、仕入れの最適化や経営判断の精度向上にもつながり、安定した多店舗経営に貢献します。
在庫管理システムを選ぶ際のポイント
店舗の規模や業態に合った在庫管理システムを選ぶために、押さえるべきポイントを解説します。
規模にあった在庫管理システムか
適切な在庫管理システムを選ぶには、まず店舗の規模に合った方法かどうかが重要です。
小規模な店舗であれば、高機能なシステムはオーバースペックとなり、導入費用や維持費がムダになります。反対に多店舗展開している場合は、各店舗の在庫状況を一元管理できる機能が必須です。
業務内容をしっかりと見直し、必要な機能だけを備えたシステムを選ぶことで、費用対効果を高め、スムーズな在庫管理を実現できます。
必要な機能はあるか
システムを選ぶ際は、必要な機能が過不足なく搭載されているかをチェックすることが大切です。
商品のバーコードを読み取る機能や、在庫数が少なくなると自動で発注アラートを出す機能は、業務効率を大きく向上させます。ECサイトを運営している場合は、ECサイトの在庫とリアルタイムで連携できる機能があると、販売機会の損失を防げます。
自店舗の業務に本当に必要な機能かどうかを見極めることで、ムダなコストを抑え、最大の効果を得られます。
いくつまで商品登録ができるか(登録可能点数上限)
「商品登録可能点数」もチェックすべきポイントです。
システムによっては、登録できる商品数に上限が設けられている場合があります。現在の商品の種類だけでなく、将来的に店舗の品数が増える可能性も考慮して、余裕のある上限数のシステムを選ぶことが大切です。上限を超えると、追加料金が発生したり、システムを乗り換える必要が出てきたりして、余分なコストや手間がかかることもあります。
料金はいくらかかるか
在庫管理システムの料金は、提供される機能や規模によって大きく変わります。
一般的に、無料お試しなど、月額数千円から利用できるクラウド型サービスが多く、このタイプは、小規模店舗でも手軽に導入できるのがメリットです。
多機能なシステムやカスタマイズが必要な場合は、初期費用が数十万円から数百万円、月額利用料も高くなる傾向にあります。
料金体系が「ユーザー数」「商品登録数」「拠点数」などによって変動することもあるため、自店舗のビジネスモデルに合ったプランを選ぶことが重要です。
無料で使える『Airレジ』で在庫管理をラクにしよう

ここまでさまざまな在庫管理方法を紹介してきましたが、特に小売店や飲食店などの店舗ビジネスにおいては、0円でカンタンに使えるPOSレジアプリ『Airレジ』の活用が非常に有効な選択肢となります。
会計と在庫数が自動連携
『Airレジ』では、商品に在庫数を設定しておくと、会計処理をするたびに自動で在庫数が変動します。手動で在庫を更新する手間がなくなり、入力ミスも防げるため、在庫切れや過剰在庫の防止に役立ちます。
正確な在庫数をいつでもどこでも確認可能
在庫状況は、お持ちのiPadやiPhoneからいつでもリアルタイムで確認できます。店舗にいない時でも、外出先から正確な在庫数を把握できるため、発注のタイミングを逃しません。
バーコード読み取りで入荷処理
商品の入荷時に、バーコードリーダーやiPadのカメラで商品のバーコードを読み取るだけで、カンタンに入荷処理が完了します。手入力の手間とミスを削減し、スムーズな在庫反映が可能です。
在庫切れ通知
あらかじめ商品の在庫通知数を設定しておくと、会計処理と連動して在庫が設定数を下回った際に、ホーム画面で通知を受け取ることができます。これにより、発注漏れを防ぎ、販売機会の損失を最小限に抑えます。
まとめ
- 在庫管理の目的は、お客さまが欲しい商品をいつでも買えるようにすること。在庫が多すぎると保管費用がかさみ、少なすぎると販売機会の損失につながる。適切な在庫管理は、ムダをなくして利益を増やし、お客さまの満足度を向上させる
- 管理方法は、小さなお店なら、まずExcelやアプリ型のPOSレジがおすすめ。レジと在庫が連動していれば、売れるたびに自動で在庫数が減り、手間なく正確に在庫管理ができる
- 在庫管理は「適正在庫」を意識することが大切。お店の売れ行きに合わせて在庫量を調整することで、ムダをなくせる。商品の置き場所をルール化する「ロケーション管理」も、商品探しを楽にする有効な方法
在庫管理は、顧客満足度をあげて、お店の利益を増やすために欠かせない業務です。販売ロスや廃棄を減らし「適正在庫」を意識して取り組みましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
小池 秀昌(こいけ ひであき)公認会計士・税理士
関西学院大学総合政策学部一期生。米国での長年の教育・生活経験を活かし、国際会計や異文化対応に精通した実務家。TOEIC880 点、英語ネイティブレベルの語学力を持ち、IFRS(国際会計基準)にも対応。大手監査法人、上場企業の財務部門を経て、国内外の監査・経理業務、IPO 支援など幅広い領域で実績を重ねる。現在は個人会計事務所「FirstDay Consulting(ファーストデイ・コンサルティング)」を主宰し、企業顧問や英語教育、異文化共生の地域活動にも力を注いでいる。
【主な所属・役職】
・公認会計士(登録番号3037866)/税理士(登録番号150341)
・近畿税理士会豊能支部 幹事
・近畿公認会計士協会豊能支部 幹事
・在日米国商工会議所 会員
・池田英語推進協会
・スポイの会
・一般社団法人即戦力
・金融系ブログ 執筆・監修担当
公式サイト:https://www.firstday-consulting.com