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【2026年/令和8年最新】業務改善助成金とは?対象条件や金額・申請方法を解説

記事のメイン画像:「KAIZEN」や「改善」といった文字がプリントされた紙と、赤いマグカップ、ペンが置かれたテーブルの写真

業務改善助成金とは、業務の効率をよくするために必要なモノやシステムを導入し、事業場内最低賃金を引き上げる事業者に助成されるお金のことです。本記事では、厚生労働省の公式情報に基づき、令和8年度(2026年度)の最新の制度内容を、対象者・助成額・申請の流れ・注意点まで網羅的に解説します。

この記事の目次

業務改善助成金とは

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が「事業場内最低賃金」(事業場内で最も低い時給)を50円以上引き上げ、あわせて生産性を上げる設備投資をすると、その費用の最大5分の4(上限600万円)が国から助成される制度です。引き上げ額によって50円・70円・90円の3つのコースが用意されています。ポイントは次の3つです。

  • 賃上げが前提:事業場内最低賃金を一定額(コースに応じて50円・70円・90円のいずれか)以上引き上げること
  • 設備投資等とセット:POSレジ導入、業務用機器の購入、経営コンサルティングの活用など、生産性向上に資する投資を行うこと
  • 最大600万円の助成:設備投資等にかかった費用の一部(最大5分の4)が、上限額の範囲内で助成される

助成の対象になるのは、これから実施する賃上げと設備投資です。すでに引き上げた賃金や、購入済みの設備は原則として対象になりません。また、従業員がいない事業者(労働者0人)は制度の趣旨上、助成の対象外です。

出典:厚生労働省「業務改善助成金」
※掲載している情報は2026年7月末時点のものです。助成制度は予告なく終了したり、内容が変更されたりする場合があります。内容の詳細や最新情報は公式サイトを確認してください。​

(事例)生産性と賃金の関係

なぜ「設備投資」が「賃上げ」の後押しになるのでしょうか。同じ売上を、人手中心の生産体制と、設備投資による自動化体制のどちらで実現するかを比べると、そのしくみが見えてきます。例えば、同じ販売価格の商品を200個作るA社・B社のケースを考えてみましょう。

  A社(ハンドメイド/3人で製造) B社(オートメーション/1人で製造)
材料費 200,000円 200,000円
労務費 700,000円 400,000円
減価償却費 30,000円 200,000円
利益 70,000円 200,000円

ハンドメイドで製造するA社は労務費が高く、B社は減価償却費(設備投資したものを毎年経費按分したもの)が高いことが分かります。また、200個の商品を製造するのに、A社は3人で取り掛からなければならないのに対して、B社は1人で十分です。賃金平均で見てもA社は1人あたり約23万円、B社は40万円です。B社はオートメーション化が可能な部分を洗い出し、システムを導入して、生産性を高めた結果、賃金を引き上げることに成功しました。このように、設備投資による生産性の向上は、賃上げの原資を生み出す土台になるのです。

業務改善助成金の対象となる事業者の条件

業務改善助成金は、下記の3つの要件を充たしている事業場を保有する中小企業・小規模事業者を対象としています。

  1. 中小企業・小規模事業者であること(大企業と密接な関係を持つ、いわゆる「みなし大企業」は対象外)
  2. 事業場内最低賃金が、令和8年度の地域別最低賃金(改定後)未満であること
  3. 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと

申請は「事業場(工場や事務所など労働者が働く場所)」ごとに行います。複数の事業場を持つ企業は、事業場単位で個別に申請することになります。

業務改善助成金の助成率

助成率は、申請する事業場の「引き上げ前の事業場内最低賃金」によって決まります。

業務改善助成金の助成率
事業場内最低賃金(引き上げ前) 助成率
1,050円未満 5分の4
1,050円以上 4分の3

業務改善助成金の助成額

助成上限額は、引き上げる賃金額コース、引き上げる労働者数、事業場規模によって異なります。令和7年度までは30円・45円・60円・90円の4コースでしたが、令和8年度は50円・70円・90円の3コースに再編されています。制度を検討する際は、必ず申請年度に対応した最新のコース区分・上限額を確認してください。

50円コース(事業場内最低賃金を50円以上引き上げ)

50円コースの助成額は下記のとおりです。

50円コースの助成額
引き上げる労働者数 右記以外の事業者 事業場規模30人未満の事業者
1人 30万円 40万円
2〜3人 40万円  70万円
4〜5人 70万円 70万円
6〜7人 90万円 90万円
8人以上 110万円 110万円
10人以上(特例事業者のみ) 130万円 130万円

70円コース(事業場内最低賃金を70円以上引き上げ)

70円コースの助成額は下記のとおりです。

70円コースの助成額
引き上げる労働者数 右記以外の事業者 事業場規模30人未満の事業者
1人 40万円 50万円
2〜3人 50万円  100万円
4〜5人 130万円 130万円
6〜7人 180万円 180万円
8人以上 230万円 230万円
10人以上(特例事業者のみ) 300万円 300万円

90円コース(事業場内最低賃金を90円以上引き上げ)

90円コースの助成額は下記のとおりです。

90円コースの助成額
引き上げる労働者数 右記以外の事業者 事業場規模30人未満の事業者
1人 90万円 100万円
2〜3人 150万円  240万円
4〜5人 270万円 270万円
6〜7人 360万円 360万円
8人以上 450万円 450万円
10人以上(特例事業者のみ) 600万円 600万円
出典:厚生労働省「業務改善助成金」

助成額の計算方法

助成される金額は、生産性向上に資する設備投資などにかかった費用に一定の助成率をかけた金額と助成上限額を比較して、いずれか安い方の金額になります。

(計算例)

  • 事業場内最低賃金が1,040円→助成率は5分の4
  • 8人の労働者を1,130円まで引き上げ→90円コースに該当するので助成上限額は450万円
  • 設備投資などの額は600万円→600万円×4/5=480万円

このケースでは、低いほうの450万円が支給となります。

助成対象となる経費

対象となるのは「生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等」です。業種によって認められる経費はさまざまですが、代表的な例は下記の通りです。

対象経費の例
経費区分 具体例
機器・設備の導入 ・POSレジシステム導入による在庫管理の短縮
・リフト付き特殊車両の導入による送迎時間の短縮
経営コンサルティング ・国家資格者による、顧客回転率の向上を目的とした業務フロー見直し
その他 ・顧客管理情報のシステム化

一方で、下記のような経費は原則として助成対象外です。

  • 生産性向上に直接関係しない一般的な備品の購入
  • 人件費
  • 既存設備の修理・保守費用
  • パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末・周辺機器(特例事業者〈物価高騰等要件〉を除き対象外)
  • 自動車(特殊用途自動車を除き、令和8年度から対象外)

申請スケジュール

今年度の業務改善助成金のスケジュールは下記の通りです。申請受付は9月1日から開始します。

申請スケジュール
項目 内容
交付要綱・要領の公開日 2026年4月22日(水)
申請受付開始日 2026年9月1日(火)~
事業完了期限 交付決定年度の1月31日
出典:厚生労働省「業務改善助成金」

申請から助成金受給までの流れ

交付申請の流れは下記の通りです。

  1. 交付申請:事業場を管轄する都道府県労働局に、交付申請書・事業実施計画書等を提出
  2. 交付(不交付)決定:審査を経て、交付決定または不交付決定の通知を受け取る
  3. 事業の実施:交付決定後、計画に沿って賃金引き上げ・設備の導入・費用の支払いを実施
  4. 事業実績報告:事業完了後、労働局に事業実績報告書と支給申請書を提出
  5. 交付額の確定・助成金の支払い:報告内容の審査を経て、交付額が確定し、助成金が支払われる

重要なのは、交付決定を受ける前に設備投資を実施してしまうと助成対象外になることです。相見積りの取得や情報収集は事前に進めても構いませんが、契約・発注・支払いは交付決定の通知を受けた後に行いましょう。

また、事業計画に変更が生じた場合(対象労働者数の変動、経費内容の変更など)は、「事業計画変更申請書」などの提出が必要です。無断で計画と異なる実施をすると、助成金を受け取れなくなるおそれがあるため、変更が見込まれる時点で早めに労働局に相談しましょう。

申請時に知っておきたい注意点

下記のような事由に該当すると、助成金が支給されない(不交付となる)可能性があります。

  • 労働者を解雇するなど、不当な人員整理を行っている
  • 賃金の引き下げを行っている
  • 労働関係法令に違反している
  • 交付決定前に対象の設備投資を実施してしまっている

特に「交付決定前に設備を購入・発注してしまう」ケースは非常に多い失敗例です。業務改善助成金は、交付決定を受けたあとに設備投資等を実施することが前提の制度です。見積りや検討は事前に進めておいても構いませんが、契約・発注・支払いは交付決定後に行うようにしましょう。

なお、詳細な申請マニュアルや記入例については厚生労働省に様式がありますのでダウンロードしてお使いください。

その他の注意点

他にも下記のような注意事項があります。

  • 賃金引き上げは一度に行う必要がある:段階的な賃金の引き上げは認められません。就業規則等にも引き上げ後の事業場内最低賃金額を明記する必要があります。
  • 賃金引き上げは申請より後に行う:賃金引上げは、交付申請より後に行う必要があります。地域別最低賃金の発効に対応して事業場内最低賃金を引き上げる場合は、申請後から発効日の前日までに引き上げを完了させる必要があります。先に賃上げを実施してから申請しようとすると対象外になる点にご注意ください。
  • 対象労働者は雇用保険被保険者に限られる:週所定労働時間20時間以上の雇用保険加入者で、雇い入れ後6カ月を経過した労働者が対象です。
  • 同一事業所の申請は年度内1回まで:複数回に分けて申請することはできません。
  • 予算の範囲内での交付:予算が上限に達すると、申請期間内であっても募集が締め切られることがあります。早めの申請が重要です。
  • 不正受給は厳しく処罰される:代表者に限らず、役員・従業員・社会保険労務士・代理人など、申請に関わった者による不正行為も事業主の不正受給として扱われ、返還や事業者名の公表対象になり得ます。

まとめ

  1. 業務改善助成金は、賃上げと設備投資をセットで行う事業所に対し、費用の一部(最大600万円)を支援する制度
  2. 令和8年度は「50円・70円・90円」の3コースがあり、対象人数や事業場規模によって助成上限額が決まる
  3. 交付決定前に設備の契約や賃上げを行うと助成対象外になるため、必ず決定後に実施しなければならない
  4. 予算上限に達すると期間内でも募集が締め切られるため、早めの申請が必要

設備投資だけでなく、経営コンサルティングなどの活用も対象となるため、事業の生産性向上に直結しやすい実効性の高い制度です。業務効率化と従業員の待遇改善を同時に実現できるチャンスですので、ぜひこの機会に業務改善助成金の申請を検討してみてください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

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