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【abc分析活用術】飲食店・小売店の売上アップにつながるデータ戦略とは

売上を上げるためのデータ分析の一つとして有用だとされるabc分析。しかし、実際には売れている商品、売れていない商品の把握で終わってしまっているケースがほとんどです。本来あるべきabc分析とは、分析結果から、販売している各商品の具体的な打ち手に繋げられることです。abc分析のあるべき活用方法を学び、店舗経営に役立てていただければと思います。

この記事の目次

何故abc分析が必要なのか

早速ですが、abc分析はなぜ行うのでしょうか。
ビジネス(商売)とは、「誰に何を売るか」です。「商品」を買ってくれる「お客様」がいてビジネスが成り立っています。
売上を上げるためには、この「商品」と「お客様」の傾向を掴むことが非常に重要になってくるのですが、abc分析は「商品」の傾向を掴む上で、とても有用なデータ分析になります。

abc分析とは、販売している商品をA、B、Cという3つのランクに分ける方法で、それぞれのランクに応じて商品の管理方法を決めていきます。
Aランクだけを重視するというわけではなく、各ランクそれぞれで管理方法を考えることが大切です。
一般的には、Aランクが累積売上構成比70%程度まで、Bランクが累積売上構成比70%~90%程度まで、そしてCランクが累積売上構成比90%~100%です。
重要度の高い商品、すなわちお客様の支持を得ている(売れている)商品については強化し、一方でお客様から支持を得ていない(売れていない)商品については改善、あるいはメニューや商品ラインナップから外していく、ということを行います。
販売方法や販促施策、売場構成比等、abc分析の結果をもとにして改善を実行していくことで、売上向上に繋げていくのです。

具体的なabc分析のやり方については、下記記事をご覧ください。

【飲食店の経営指標】「ABC分析」とは?売れ筋・死筋商品を見極めよう

abc分析の限界

上図は一般的なabc分析の表です。
商品Hと商品Dが最も重要度の高いAランク、続く商品B、E、IがBランク、商品F以下がCランクとなります。これにより、どの商品をテコ入れして販売していくのかはわかるようになりました。

しかし、分析はこれだけで本当によいのでしょうか?
冒頭にお伝えしましたが、ビジネス(商売)とは、「誰に何を売るか」です。
上図のような分析ですと、商品ごとの優劣はわかりますので「何を」展開していくのかはわかるものの、「誰に」が明確でないため、具体的な打ち手まで落とし込むことができません。
結局、例えば「昨年と同様、●●商品を中心に販売していこう」というあくまで店舗全体での施策で終わってしまい、売上成長の最大化にはつながらないでしょう。

本来は、顧客別に商品別の売上データを抽出し、顧客別に強化する商品を明確にし、その上で打ち手を講じることが重要なのです。
「誰が」購入しているのか、顧客の顔が見えれば、次の打ち手を構築することができます。

もう一点、abc分析によってランク分けされた各商品の売上実績ですが、果たしてその結果は各商品の力を最大限引き出せたものでしょうか。

売上の最大化を妨げている大きな要因の一つに「売り逃し」が存在します。
小売店においては、本来であればもっと売れたであろう商品が、店舗に在庫がなくなってしまったが故に売上が立たない、ということがよく起こります。欲しい商品がないため売上が立たないことはもちろん、目的の商品がない、というイメージを与えてしまい、将来に渡っての売上減少にも繋がりかねません。
飲食店においても、人気のメニューが品切れにより客単価を上げ切れないことや、商品によっては客数も減少させることにも繋がりかねません。
abc分析に基づき、重要度の高い商品の売上を上げ、重要度の低い商品の効率性を高めていくためには「在庫」という概念もとても重要なのです。

abc分析のあるべき活用方法

それでは、abc分析の本来あるべき活用方法とは、どのようなものでしょうか?

商品×顧客別abc分析

一つ目は、商品のabc分析を、顧客別に行うことです。「誰が」「何を」購入しているのかを把握することで、顧客別に訴求すべき商品が定まり、一つ一つの商品の売上最大化に繋げることができます。

上図は、先ほどのabc分析において、各商品の年代別の構成比を組み合わせたものになります。
例えば、商品Bを見てみると、30代が全年代の半数近くを占めていることが分かります。
商品Bは全体でもランクBの商品に当りますが、30代にとってはランクAの商品と同じように重要度高い施策が必要だと言うことが分かります。
上図はabc分析を顧客の年代別に分析した一例となりますが、他にも例えば、

(1)ランチ顧客・ディナー顧客別(飲食店)

飲食店においては、全てのメニューを一緒くたにしてabc分析を行っても正しい示唆は出ません。
ランチ顧客とディナー顧客では、来る層が変わってくることはもちろんあるのですが、回転重視のランチと、客単価を取っていくディナーとではビジネスの成り立ち方が異なります。
ランチとディナーそれぞれでabc分析をすることで、それぞれの時間帯の強化に繋げる商品施策が検討できるはずです。
またディナーにおいては、ドリンクとフードも分けた方が良いでしょう。

(2)店舗別(複数店舗展開企業)

店舗によっても来店する顧客層に違いが出ることが多いため、店舗ごとにabc分析を行いそれぞれの強みを明確にすることが重要です。
一方で、特に小売店においては、全店で在庫を最適化するために全店でのabc分析を行った上で、個店のabc分析にて商品配分を定めていきましょう。

(3)顧客のRFM属性別

RFMでなくても良いですが、お客様の購買傾向別にabc分析をすることはとても有用です。
例えば新規のお客様と、何度も足を運んでいただいているロイヤル顧客では商品の買い方は異なります。
新規顧客のabc分析、2回目顧客のabc分析、定期的に来ていただいている顧客のabc分析、そしてロイヤル顧客のabc分析をすることで、顧客属性別に商品の購買傾向を分析し、顧客育成していく、すなわちCRM強化に繋げる販売・営業施策へと繋げることができるでしょう。

注1:RFMとは、Recency frequency monetaryの略で、お客様の最新購入日、累積購入回数、累積購入金額別にセグメント分けする方法です。
注2:CRMとは、Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)の略で、顧客との継続的で良好な関係構築を表します。
(参考)リピーターを生み出そう。飲食・小売店の「顧客管理」とは?

販売実績と在庫実績のデータ連携

二つ目は、販売実績と在庫実績のデータ連携です。
商品のabc分析は、あくまで販売実績に基づいたランク分けになってきますが、その分析結果に在庫実績も組み合わせることで、「売れている重要度の高い商品の売上をもっと上げる」「売れていない商品を出来る限り現金化する」と言った、仕入や在庫も含めて商品戦略を組み立てることができるようになります。

例として、ある小売店の3期目と5期目の販売実績と在庫実績の分析グラフを見てみましょう。

上図のように、販売実績と在庫実績を組み合わせることで、更なる分析が可能となります。
グラフを見て分かるように、商品カテゴリによって傾向が全く異なることが分かります。企業ないしは店舗の戦略が戦略通りに数字に反映されているかも確認できます。

例えば、最も売上高の高いカテゴリFについては、期末在庫高が他カテゴリと比較するとかなり低く抑えられており、効率よく商品を販売できているように見えます。もちろんその側面もあるでしょう。しかし、グラフを見ていただくと3期と比較して5期は売上が減少しています。この企業にとって最も売上構成比の高いカテゴリであるため、このまま減少傾向が続くと全体売上を押し下げてしまう可能性があるでしょう。売上トップカテゴリとは言え、再度強化しなければならないカテゴリと言えます。
次に、3期から5期にかけて効率性を求めて在庫圧縮をしているカテゴリとして、カテゴリD、カテゴリC、カテゴリAが挙げられます。

しかし売上も減少してしまっています。もちろん、過剰な在庫保持は良くないですが、在庫圧縮により売り逃しを生じさせてしまっては意味がありません。在庫圧縮する際は、商品(SKU)単位で販売傾向を分析し、売れる商品は売れるだけの量を保持しておくことが売り逃しを防ぐために必要です。

一方で、カテゴリBとカテゴリGは在庫を増加させています。しかし、カテゴリBは売上は減少しているため、在庫増加に伴う売上増加ができていないことが分かります。カテゴリGについても増やした在庫ほどの売上増加にはなっていないため、在庫過多になってしまっている商品(死筋商品)が発生してしまっている可能性があることが分かるでしょう。

abc分析をすることで、強化したいカテゴリや商品が出てきます。販売数量を増やすためには、それだけ在庫も持たなければなりません。しかし、本当にそれらのカテゴリや商品が売れる可能性があるのかを見極める必要があります。
そのためにも、顧客別にて商品のabc分析を行ったり、販売実績だけではなく、在庫実績も一緒に分析することがとても重要です。

まとめ

  • abc分析は、「商品」の傾向を掴み、売上を上げるためにとても有用なデータ分析
  • 具体的な打ち手まで落とし込むためには、商品のabc分析だけでなく、顧客別でのabc分析をすることが重要
  • 販売実績だけでなく在庫実績も合せた傾向を分析することが必要

「abc分析」は店舗の売上を上げるための一つの分析方法としてとても有用です。しかし、単に商品の販売実績だけをもとにランク付けをするだけでは、具体的な打ち手にまで繋がりません。Abc分析は、顧客軸を踏まえて分析することと、在庫も踏まえて販売傾向を分析することが重要です。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。小売業、飲食店、メーカー等、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。
2013年9月「問題解決のためのデータ分析」(2019年2月に新装版)、2019年10月「会社の問題発見、課題設定、問題解決」を出版。
KUROCO株式会社では、中小企業向けのデータ活用支援(分析、可視化、教育)を展開。
https://cm-consulting.jp/

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