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勘定科目「未払金」の定義とは?今年度の未払分はどう処理する?

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

勘定科目の一つに、「未払金(みばらいきん)」というものがあります。代金を支払っていないときに使う勘定科目ですが、どのような性質の支払に対して未払金を使えばいいのか迷うことがあります。そこで、未払金の使い方について、ケースを紹介しながら具体的に解説していきます。

この記事の目次

未払金とは

未払金とは、商品を購入したり、サービスの提供を受けたものの、現時点で代金の支払いが完了していない場合に用いる勘定科目です。また、支払う義務が発生しても支払が完了していないため、負債に分類されます。例えば、クレジットカード払いで物品を購入した場合やローンで車などを購入した場合が該当します。

どんなときに未払金を使うのか?

一般的に未払金を使うタイミングとしては、クレジットカードを利用したとき、車両等をローンで購入したときがイメージしやすいでしょう。

クレジットカードで商品やサービスを購入した際にはクレジット会社が販売元に立替払いをしていて、立替払いされた代金は月に一度まとめられて清算されます。しかしながら、会計処理上、収益や費用は物やサービスの提供など取引・行為が発生した時に処理する「発生主義」が求められているので、実際に口座からお金が引き落とされる決済時に経費処理していると発生主義ではなくなってしまいます。

そこで、クレジットカードで商品を購入もしくはサービス提供を受けたものには、その経費の発生タイミングで会計処理する必要があるので、経費と経費の相手科目として未払金を用いることになります。具体的な会計処理は以下のような形になります。

1. 事務所で使う物品をクレジットカードで11,000円分購入した

消耗品費 11,000円 未払金 11,000円

2. クレジットカードの引き落としがあった(前述の物品以外購入したものはない)

未払金 11,000円 現預金 11,000円

また、車両をローンで購入した際もローンを組んだ会社(ローン会社)が販売元に車両代金を先に支払っています。ローン契約では、その車両代金をローン会社へ分割で支払っていることになりますので、車両を購入したタイミングで未払金とし、支払時には未払金の返済として処理することになります。具体的な仕訳は以下の通りです。

1. 事業用車両100万円(本体価格93万円、自動車税等4万円、事務手数料3万円)をローンにて購入した。

車両運搬具 930,000円 未払金 1,000,000円
租税公課 40,000円    
支払手数料 30,000円    

2. 口座からローンの分割代金25,000円が引き落とされた

未払金 25,000円 現預金 25,000円

未払金、買掛金、未払費用など類似項目との違い

未払金に似た勘定科目として、買掛金や未払費用などがあります。買掛金は、主たる事業に関係した取引の際に用いる勘定科目で、未払費用はいずれ適切なタイミングに(時の経過とともに)収益や費用に変換される経過勘定科目(一定期間内の業績を正確に把握、損益計算するための貸借対照表に表示される勘定科目)の一つです。それぞれ、支払義務が確定しているものの、未だ支払いが完了していない点は同じですが、勘定科目の性質が若干異なります。具体的な違いを確認しておきましょう。

未払金と買掛金の違いは?

買掛金は主たる事業に関係して生じた負債に用いる勘定科目です。例えば、飲食店なら材料を購入したが支払が完了していない場合、小売店であれば商品を仕入れたが代金の支払いが完了していない場合、またサービス業ではサービス提供に直接関係するものを購入したが代金の支払いが完了していない場合に用います。未払金は「主たる事業以外」の支払が完了していない負債の際に用いる点で相違しています。

未払金と未払費用の違いは?

未払費用は、経過勘定科目の一つとして用いられます。経過勘定科目は「継続する契約」がある場合に適切な業績を把握するために用いる勘定科目です。一方で未払金は継続した契約ではない、つまり単発の契約に用いる勘定科目である点で相違します。

未払費用の具体例としては、インターネットや電話を継続利用する場合の通信費や、雇用契約がある場合の給与が挙げられますが、例えば給与の締め日が月末で支払が翌月15日の場合に、下記のように未払費用として適切な月に処理されることが求められます。

(参考)インターネット利用料の仕訳例

1. インターネットの利用料として22,000円の請求書が届いた

通信費 22,000円 未払費用 22,000円

2. 翌10日に口座から22,000円が引き落とされた

未払費用 22,000円 現預金 22,000円

(参考)給与確定から支払の仕訳例

1. 40万円の給与(社会保険料等62,000円、源泉徴収税額11,360円)が確定した

給与手当 400,000円 未払費用 326,640円
    預り金(社保) 62,000円
    預り金(源泉) 11,360円

2. 翌月15日に給与を支払った

未払費用 326,640円 現預金 326,640円

リースで購入したものはどう処理すべきか

ローンと同じような仕組みでリース契約がありますが、リースは元々「物品を賃貸」する目的の契約であり、契約内容によって「所有権移転リース取引(将来的に所有権が移転)」「所有権移転外リース取引(所有権の移転無し)」「オペレーティング取引(一件あたりの契約金額300万円以下と少額で所有権の移転が無い)」に分類され、それぞれの取引によって会計処理を判断することになります。

将来的に所有権が移転するかどうかや、金額の大小によって会計処理方法が異なりますが、リース契約をした場合には未払金を用いないので注意が必要です(オペレーティング取引の場合には未払費用が用いられる)。

未払金が年度をまたいでしまう場合はどうする?

会計の目的は、適切な損益計算(正確な業績把握等)を実施し、財政状態(資産や負債の情報)を適切に処理することです。そのため未払金が決算を経て、決算書に記載されていても問題ありません。むしろ現在の経営環境において、未払金が記載されていない決算書は、「発生主義」により適切な会計処理がされていないのではないかと疑問視されることの方が多いと思います。なお、決算後は仕訳の修正などが出来なくなってしまうため、未払金を残したまま決算を迎える場合には以下の点を参考に注意してください。

  1. 未払金の内容を把握し、補助科目等(勘定科目を補助する科目)を用いて内容を明確にしておく
    例えば、クレジット会社からの決済期日がまだ到来していないため処理した未払金が決算時に残っているのであれば、「クレジット会社」のように補助科目を設定(入力)して、翌会計期間に入ってからもどのような未払金が残っているかを分かりやすくしておきます。現預金が動いた時点で、忘れずに会計処理を行うためです。会計ソフトによっては、メモタグや備考欄を使ってもいいでしょう。
  2. 未払金の残高が適切かどうか確認する
    例えば車両をローンで購入した場合、ローン代金は毎月引き落とされているものの、一部の処理がローンの返済として「未払金」を使うべきところを、間違って「車両費」として経費処理されている場合があります。そうすると、本来は経費にならないものが経費として処理されてしまうため、所得の過少申告になってしまいます。ローン残高と比較するとミスを発見しやすいので、残高を確認してください。

未払い金に関するよくある質問

未払金について、よくある質問をまとめましたので参考までにご確認ください。

Q1.【継続的な費用をクレジットカードで支払うケース】クレジットカードを使って物品の購入などをしているのですが、電話料金やインターネット代金などもクレジットカードを使って決済しています。この場合どのような会計処理が求められますか?

A1.前述の通りですと、厳密には物品購入などについては未払金を用いて、電話料金やインターネット代金などの継続取引が前提となるものについては未払費用を用いるのが適切です。しかしながら、未払金と未払費用を分類するのは煩雑ですから、クレジットカード会社への未払として「未払金」で一括して処理して差し支えありません。

なお、未払金と未払費用どちらを選ぶかの判断基準として、このクレジットカードを主にどのような目的で使用しているかで分類します。例えば主に物品を購入するために用いるのであれば未払金を用い、一方で電話代やインターネット代、水道光熱費などの継続取引が前提のものの決済に用いているのであれば未払費用とするほうが適切です。

Q2.【所有権移転リースのケース】先日リース契約にてオフィスPCを購入しました。このオフィスPCはリース期間満了後に自分のものになるのですが、会計処理ではどのようにすれば良いでしょうか?

A2. 車両や備品などをローンで購入した場合には、未払金を用いて処理することが求められています。リース期間満了後にリース物品が自分のものになる物については、ローン購入と似ているため「所有権移転ファイナンスリース取引」という取引内容に分類されます。この場合、実態としてローン購入と酷似していますが、リース取引に分類されるため以下の会計処理が求められています。

1. リース物品を100万円で購入した

リース資産 1,000,000円 リース債務 1,000,000円

2. 分割支払分の33,000円が口座から引き落とされた

リース債務 33,000円 現預金 33,000円

ローン購入の場合であれば、リース資産の部分が備品、リース債務の部分が未払金となり、使用する科目はリース購入と異なるものの、処理タイミングは一緒です。

Q3.【未払金と支払金額が一致しないケース】前期から引き継いで未払金として処理した金額より実際に支払った金額が小さかったのですが、この場合どのような会計処理が必要でしょうか?

A3.未払金として処理した金額と支払金額とに相違がある場合には、原因と内容の把握が必要です。単なるミスで二重登録してしまった場合や、ローン返済の一部を経費として処理されてしまったことが原因として考えられます。金額の大きさによっては修正申告(利益が増えるため納税額が増える申告)が必要になりますが、金額が少なく業績への影響が小さいと判断できる場合には、ミスした分の修正仕訳を行ってください。

1つの消耗品の購入を二重で未払金処理してしまった仕訳例

消耗品費 10,000円 未払金 10,000円
消耗品費 10,000円 未払金 10,000円

翌期の修正仕訳

未払金 10,000円 過年度修正益 10,000円

※金額が少ない場合には反対仕訳として「過年度修正益」ではく「消耗品費」を用いても差し支えありません。

まとめ

  • 未払金は、主たる事業以外に生じた代金の未払分
  • 発生主義による会計処理では未払金が当然のように発生する
  • 未払金を決算後も引き継ぐ場合、間違っていると修正が大変になるため内容の精査が必要

キャッシュレス化が進み、クレジット払いが一般的になっている現在では経費の計上時期と支払の時期がずれることが多くなりました。しかし、適切な損益計算(正確な業績把握)のためには未払金を用いるのが必須なので、この機会に内容をマスターしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

福島 悠(ふくしま ゆう)公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

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