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【キャリアアップ助成金とは】概要から条件や申請方法までわかりやすく解説

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

両立支援等助成金

企業の競争力を上げるために生産性の向上が重要視されています。生産性を向上させるための一つの方策として、非正規雇用労働者の待遇改善によるモチベーションアップがあります。そのための助成金がキャリアアップ助成金です。今回は、キャリアアップ助成金を受給するための要件や受給額について解説します。

この記事の目次

キャリアアップ助成金とは?

キャリアアップ助成金とは、有期契約社員やアルバイトなど非正規雇用労働者について、雇用形態の転換などを行うなどスキルアップにつながる施策を行う事業者に対して支給される助成金です。
非正規雇用労働者の待遇改善を事業者に促すことで、非正規雇用労働者のやる気やスキルを向上させて、労働生産性を高めることを目的とした助成金です。

キャリアアップ助成金の対象となる事業主

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者を正規雇用に転換させた場合に受給できる正社員化コースと、非正規雇用労働者と正規雇用労働者の待遇の差をなくすなどの施策を行った場合に受給できる処遇改善関係コースの2つに分かれています。主に活用されているのは正社員化コースなので、以下では正社員化コースを中心に解説していきます。

キャリアアップ助成金の対象となる事業主は以下の通りです。これはどのコースでも共通の要件となります。

  1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を事前に受けていること

特に重要なのは、キャリアアップ計画書を事前に認定を受けておくということです。正社員化コースであれば、正社員への転換を行う前に認定を受けておくことが必要です。

キャリアアップ助成金を申請できる条件

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するための要件は以下の通りです。

  1. 有期契約社員(または派遣社員)を正社員など期間の定めがない雇用形態に転換する制度を、就業規則などで規定すること
  2. 有期契約社員を正社員に切り替える日の6か月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険の被保険者を解雇など事業主の都合により離職させていないこと
  3. 有期契約社員として雇用される期間が6か月以上あり、正社員に転換した後6か月以上の期間継続して雇用され、転換後6か月の賃金が支給されていること(有期契約の期間と正社員の期間を合計して12か月以上の雇用期間が必要です。)
  4. 正社員に転換した後に、その正社員を雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者として加入させていること

※対象の労働者が、訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族及び姻 族をいう)以外の者であること

キャリアアップ助成金で支給される金額

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額は以下の通りです。

項目 中小企業 大企業
有期契約社員から正社員への切り替え 57万円(72万円) 42万7,500円(54万円)
無期契約社員から正社員への切り替え 28万5,000円(36万円) 21万3,750円(27万円)

この他にも、有期契約社員から無期契約社員に切り替えた場合にも、無期契約社員から正社員への切り替えと同額の助成が受けられます。

()の中の金額は、3年前の決算に比べて、生産性が原則として6%以上伸びている場合に適用される金額です。

生産性=(営業利益+従業員給与+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)/雇用保険被保険者数

の数式で計算し、各数字は決算書のものを使用します。ざっくりいうと、3年前に比べて少ない人数でより多くの利益を稼いだ場合に助成額がアップするということです。3年前と比較するため、会社であれば4期目、個人であれば4年目以降の申請にのみ適用されます。

キャリアアップ助成金の申請先

キャリアアップ助成金は、各都道府県の労働局に申請します。ただし、東京都のように、各管轄のハローワークが書類の提出先として指定されているケースもあります。各労働局のホームページで申請先を確認しておきましょう。

キャリアアップ助成金の申請方法

必要書類を管轄の労働局またはハローワークに提出することで行います。非対面の流れもあり、今では原則として郵送での提出となっています。
必要書類を揃えて、郵送にて提出を行います。郵送の際には書留やレターパックなど履歴が残る形で発送するようにしましょう。

キャリアアップ助成金の申請期限と流れ

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給までの流れは以下の通りです。

  1. 就業規則に契約社員から正社員への切り替え制度を規定
  2. 最初に契約社員が正社員に切り替えする日までに、キャリアアップ計画を労働局やハローワークに提出
  3. 実際に正社員への切り替えを実施
  4. 正社員への切り替え後6か⽉分の賃⾦を⽀給
  5. 正社員への切り替え後6ヶ月分の給与支払いを行った日から2ヶ月以内に労働局やハローワークへ必要書類を提出

所定の申請書以外の主な必要書類は以下の通りです。

  • 転換制度が規定されている就業規則
  • 対象の労働者の労働条件通知書、賃金台帳、タイムカードのコピー
  • 中小企業事業主であることを確認できる書類(会社であれば登記事項証明書のコピーなど)

キャリアアップ助成金の利用に関する注意点

どの助成金でもそうですが、支給申請書を提出してから受給を受けるまでに数か月間かかります。まずはこの点はしっかりと認識しておきましょう。
また、書類の審査にあたっては、一度提出した書類を差し替えることは基本的にできません。事前にしっかりと内容を確認して、間違いのない書類提出を行いましょう。

「書類さえそろっていれば助成金は受給できる」といったことを言われることもありますが、その書類の中身まで受給要件を満たしているかしっかりと精査されます。その過程で、書類の中身について確認事項があれば、審査を担当している審査官から連絡が来ることがあります。そうした問い合わせに的確にこたえることができるように、提出前に必ずコピーを手元に残しておきましょう。

また、キャリアアップ助成金の正社員化コースには、転換前と転換後の6か月間で給与が5%アップしていることが要件となっています。この要件については、月給を5%アップさせるか、賞与の形で5%分を支給するかいずれかの方法が必要となってきます。特に、賞与を充てる場合には、あらかじめ就業規則に定められた支給月に支給していることが必要です。制度化されていない賞与で、キャリアアップ助成金の受給要件を満たすために支払ったようなケースは対象外となります。

また、重要なのがあらかじめ正規雇用となることを約束していないということです。非正規雇用労働者の正規雇用へのキャリアアップを通して生産性を高めるというのがこの助成金の趣旨なので、当然といえば当然ですが、もともと正規雇用で雇用することを予定していて、キャリアアップ助成金の受給のために、あたかも非正規雇用労働者のように雇用を開始することはNGということです。

まとめ

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)とは契約社員を正社員に切り替えるときに受給できる助成金のことである
  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給には、最低でも12か月間の雇用期間が必要
  • 生産性が向上した場合には助成額がアップする
  • 書類の提出は定められた期限を厳守しなければならない

キャリアアップ助成金は、多くの事業者が活用している助成金です。特に非正規雇用労働者が多い事業者にとっては、活用しやすい制度といえます。助成金も受給しつつ、労働者にとっても正規雇用への道が開けることで働く意欲の向上にもつながります。要件に当てはまる労働者がいれば、ぜひ活用してみましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/