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【特定求職者雇用開発助成金とは】概要から条件や申請方法までわかりやすく解説

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

厚生労働省は、労働者の雇用維持や離職する労働者の再就職の支援などを目的として、さまざまな雇用関係の助成金を用意しています。その中で「特定求職者雇用開発助成金」とは、労働者を新たに雇い入れる際に活用できる助成金です。本記事では、特に就職困難者を雇い入れる際に申請できる「特定就職困難者コース」について詳しく解説します。

この記事の目次

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは

特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者(60歳以上65歳未満)や障害者など、就職が特に困難な方をハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して支給される助成金です。これらの方の雇用機会の増大、雇用の安定を図ることを目的としています。

特定求職者雇用開発助成金の対象となる事業主

以下のいずれにも該当する事業主が対象になります。

  • 雇用保険の適用事業主であること
  • 対象労働者をハローワークまたは民間の有料・無料職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  • 雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上 (重度障害者等を短時間労働者以外として雇い入れる場合にあっては3年以上) あることをいう)が確実であると認められること
  • 対象労働者の雇い入れ日の前後6か月間に従業員の解雇をしていないこと

継続して雇用することが確実であると認められることが条件になるため、原則は正社員や無期雇用者(期間の定めはないけれど待遇は正社員と異なるという人)として雇い入れます。ただし、有期雇用でも、自動更新(更新条件なし、または本人が希望すれば更新するもの)であれば対象になります。勤務成績等により更新の有無を判断する場合は、継続して雇用することが確実であるとは認められず、支給対象とならないため注意が必要です。

特定求職者雇用開発助成金の対象となる労働者と支給額

対象労働者は、次の1.または2.に該当する求職者(雇入れ日時点において満65歳未満の者)になります。

分類 対象労働者 失業の要件
  1. 重度障害者等以外の者
60歳以上65歳未満の高年齢者
母子家庭の母等
身体・知的障害者 など
紹介を受けた日に雇用保険被保険者(在職者)である者は対象外
※失業中の者が対象
  1. 重度障害者等
重度身体・知的障害者
45歳以上の身体・知的障害者
精神障害者
紹介を受けた日に雇用保険被保険者(在職者)である者も対象

「1 .重度障害者等以外の者」については、就職が困難な方の就職を支援するという助成金の趣旨から、失業中の者が対象となります。一方、「2. 重度障害者等」の場合は、在職者であっても対象となります。

支給額は、労働者の所定労働時間、身体的な条件で決まります。一度に全額が支給されるわけではなく、下表の助成対象期間内に、2~6回に分割して支給されます。1期は「6か月間」を指しますので、半年ごとに支給されることになります。

例えば、中小企業の事業主が「母子家庭の母」を雇い入れた場合は、支給額は60万円となり、下記が支給されます。

  • 雇入れ日から6か月後(第1期)に30万円
  • 第1期終了日の翌日から6か月後(第2期)に30万円

【短時間労働者以外】

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
60歳以上65歳未満の高年齢者
母子家庭の母等
60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
身体・知的障害者 120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(25万円×2期)
重度障害者等 240万円
(100万円)
3年
(1年6か月)
40万円×6期
(33万円×3期)
※第3期は34万円

【短時間労働者】

対象労働者 支給額 助成対象期間 支給対象期ごとの支給額
60歳以上65歳未満の高年齢者
母子家庭の母等
40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)
身体・知的障害者
重度障害者等
80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円×4期
(15万円×2期)

※()内は大企業(中小企業以外の企業)に対する支給額および助成対象期間です。
※短時間労働者とは、一週間の所定労働時間が、20時間以上30時間未満である者をいいます。
※支給対象期ごとの支給額は、支給対象期において対象労働者に対して支払った賃金額が上限になります。

特定求職者雇用開発助成金の対象となる障害者

原則は障害者手帳などの交付を受けた方が対象労働者になりますが、条件を満たせば手帳を持っていない方でも申請できる場合があります。例えば、統合失調症、そううつ病(うつ病・そう病含む)またはてんかんの場合は、主治医の診断書・意見書(原本又は写し)でも申請が可能です。

特定求職者雇用開発助成金の申請方法

特定就職困難者コースの受給までの流れは以下の通りです。

  1. ハローワーク等からの紹介
  2. 対象労働者の雇入れ
    正社員または無期雇用者として雇い入れ、雇用保険に加入させます。
  3. 支給申請(第1期分)
    労働局やハローワークへ、支給申請のための必要書類を提出します。支給申請期間は、雇入れ日(賃金締切日が定められている場合は雇入れ日の直後の賃金締切日の翌日)から6か月経過した日から2か月以内です。
  4. 審査
    申請先が支給申請書の内容確認・支給要件の確認などの審査を行います。
  5. 支給・不支給決定
    申請事業主に通知書が送付されます。
  6. 助成金の支給(第1期分)
    第2期以降も3~5の手順で申請します。

「3. 支給申請」をする際の所定の申請書以外の主な必要書類は以下の通りです。

  • 対象労働者の労働条件通知書、賃金台帳、出勤簿のコピー
  • 雇入れ日において対象労働者であることを証明するための、障害者福祉手帳や母子家庭であることを証明する書類などのコピー
  • (職業紹介事業者等の紹介により対象労働者を雇い入れた事業主の場合)職業紹介事業者等の発行した職業紹介証明書のコピー

支給申請書のフォーマットおよび記入マニュアルは、厚生労働省のホームページから取得できます。

特定求職者雇用開発助成金の利用に関する注意点

雇い入れてもすぐに申請できるというわけではなく、各期ごとに、6か月間の支給対象期を経過した翌日から申請が可能になります。支給申請期間は2か月に設定されており、この期間を過ぎてしまうと、例え1日だけ過ぎてしまっただけでも申請できなくなりますので注意が必要です。

また、以下のいずれにも該当しない労働者が対象になりますので、雇い入れの際には必ず確認しておきましょう。

  • ハローワーク等の紹介以前に雇用に関する合意(雇用の予約)があった者
  • 職業紹介を受けた日に雇用保険の被保険者である者など、失業等の状態にない者
  • 雇入れ日の前日から過去3年間に、雇入れ事業主と雇用、請負、委任の関係にあった者
  • 事業主又は取締役の3親等以内の親族である者

まとめ

  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)とは、高齢者、母子家庭の母、障害者など、就職が困難な方をハローワーク等の紹介で雇い入れるときに受給できる助成金のことである
  • 支給対象期(6か月)ごとに、2~6回に分けて支給される
  • 支給申請期間を1日でも過ぎると申請できなくなってしまうので、スケジュール管理を徹底することが重要になる

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、就職が困難な方の就職を支援する制度です。高齢者や障害者といっても、業務能力は人それぞれです。隠れた才能をもつ人材を、負担を軽減しながら採用できるチャンスともいえます。助成金を上手に活用しながら、多様な人材を受け入れることで、事業の可能性を広げてみてはいかがでしょうか。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/