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両立支援等助成金の出生時両立支援コースとは?助成対象や支給要件をわかりやすく解説

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

両立支援等助成金

両立支援等助成金とは、仕事と家庭の両立支援や、女性の活躍推進に取り組む際に活用できる助成金です。両立支援等助成金には6つのコースが用意されていますが、本記事では、男性が育児休業を行う際に申請できる「出生時両立支援コース」について詳しく解説します。

この記事の目次

両立支援等助成金の出生時両立支援コースとは

両立支援等助成金(出生時両立支援コース)とは、男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作り(育休制度の周知など)に取り組み、実際に育休等を取得させた事業主に支給される助成金です。男性の育休等の取得促進を目的とした助成金で、いわゆる「子育てパパ」や「イクメン」を支援する狙いがあります。

出生時両立支援コースの助成対象となる取組

出生時両立支援コースで助成対象となる取組は次の3種類になります。

  1. 育児休業:男性労働者について、育児休業の利用実績があった場合
  2. 育児目的休暇:育児目的休暇制度を導入し、男性労働者について、利用実績があった場合
  3. 個別支援加算:①の育児休業を取得する男性労働者に対し、育児休業の取得前に、個別面談など育児休業の取得を後押しする取組を実施した場合

③は①とセットの取組・申請になります。

出生時両立支援コースの支給要件

次のいずれにも該当する場合に支給されます。

No 育児休業 育児目的休暇
1. 育児目的休暇制度を新たに導入したこと
2. 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りを行っていること 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りを行っていること
3. 【個別支援加算を申請する場合】男性労働者の育児休業の取得前に、後述する(イ)~(ニ)の取組を行っていること
4. 男性労働者が、連続14⽇以上の育児休業を取得したこと(中小企業は連続5⽇以上) 男性労働者が、合計8⽇以上の育児目的休暇を取得したこと(中小企業は5⽇以上)
5. 育児休業制度などを就業規則に定めていること
6. 次世代法に基づく一般事業主行動計画を策定し、届出、公表、周知を行っていること
7. 男性労働者を支給申請⽇まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること

以下、順番に見ていきましょう。

1. 育児目的休暇制度を新たに導入する

当助成金の育児目的休暇制度とは、小学校に入学するまでの子について、配偶者の出産支援や育児のために従業員が取得できる休暇制度をいいます。以下の規定例などを参考に、育児目的休暇制度を就業規則に規定し、労働者へ周知します。

<規定例>

第○条(育児目的休暇)
1. 子が6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出生予定の従業員及びその配偶者(日雇従業員を除く。以下同じ。)並びに出生後8週間以内の子を養育する従業員は、配偶者の出産支援や育児のために、1年間につき○日を限度として、育児目的休暇を取得することができる。
また、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員も、1年間につき○日を限度として育児目的休暇を取得することができる。なお、この場合の1年間とは4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2. 育児目的休暇は、1日単位で取得することができる。
3. 取得しようとする者は、原則として、事前に所定の様式により申し出るものとする。
4. 育児目的休暇中の賃金については、有給(または無給)とする。

2. 男性が育児休業/育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りを行う

男性を対象にした育児休業制度の利用を促進するための資料配布などを行います。こちらの参考資料(男性育休周知リーフレット、育児目的休暇周知リーフレット)は厚生労働省のホームページに掲載されていますので活用しましょう。

<男性育休周知リーフレットの例>

出典:厚生労働省のホームページ

3. 男性労働者の育児休業の取得前に、(イ)~(ニ)の取組を行う

個別支援加算を申請する場合は、下記の取組を行います。

(イ) 対象者に対し、育児休業に関連する制度をメール等又は書面で個別に明示したこと
(ロ) 対象者に対し、育休取得を促すための個別面談を実施したこと
(ハ) 対象者の上司に対し、育休取得を促している旨を説明したこと
(ニ) 対象者の上司に対し、対象者に明示した(イ)の書面等を明示したこと

2の職場風土作りは「男性労働者全員に対する取組」である一方、こちらの3は「育児休業を取得する男性労働者に対する取組」になります。このため個別支援加算を申請する場合は、2と3はそれぞれ実施する必要がありますので注意しましょう。

4. 男性労働者が育児休業/育児目的休暇を取得する

男性が育児休業、育児目的休暇を取得します。必要な取得日数、取得期間は以下のとおりです。

項目 育児休業 育児目的休暇
取得日数 連続14日(中小企業は連続5日)以上 合計8日(中小企業は合計5日)
取得期間 子の出生後8週間以内に開始すること 子の出生前6週間から出生後8週間以内に取得すること

育児休業の取得日数には、育児休業期間中の所定労働日だけでなく、所定休日も数えることができますが、以下の要件を満たす必要があります。

  • 取得日数が5~14日未満の場合は、所定労働日が「4日」以上含まれていること
  • 取得日数が14日以上の場合は、所定労働日が「9日」以上含まれていること

土日が所定休日の中小企業で、以下2パターンの育休取得例で考えてみましょう。

項目 A B
4/1(木) 育休 育休
4/2(金) 育休 育休
4/3(土) 育休 育休
4/4(日) 育休 育休
4/5(月) 育休 育休
4/6(火) 労働 育休
4/7(水) 労働 労働
判定 ×

AとBはいずれも連続5日以上の取得要件は満たしていますが、育児休業期間中の所定労働日はAが3日、Bが4日になっています。Aは所定労働日が「4日」以上の要件を満たさないため対象外となり、Bはこの要件を満たすため対象となります。

5. 育児休業制度などを就業規則に定める

支給申請日時点で施行されている育児・介護休業法に則り、「育児休業」、「所定労働時間の短縮措置」などの制度を就業規則に整備します。

6. 次世代法に基づく一般事業主行動計画を策定し、届出、公表、周知を行う

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を作成し、労働局への届出、ホームページ等による公表、従業員への周知を行います。

  1. 一般事業主行動計画の作成
    厚生労働省のホームページにさまざまなモデル行動計画が掲載されていますので、こちらを参考に作成しましょう。
  2. 一般事業主行動計画の届出・公表・周知
項目 方法
届出 郵送、持参、電子申請など(届出先は都道府県労働局雇用環境均等部(室))
公表 自社ホームページまたは「両立支援のひろば」への掲載など
周知 事業所内に掲示、手渡し又はメールによる配布、イントラネットへの掲載など

7. 男性労働者を支給申請日まで継続して雇用する

出生時両立支援コースの支給申請について

項目 育児休業 育児目的休暇
申請期間 育児休業の開始日から起算して14日(中小企業は5日)をそれぞれ経過する日の翌日から2か月以内 育児目的休暇の取得日数が合計8日(中小企業は5日)の制度利用の最終日の翌日から2か月以内
申請先 本社等の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
申請方法 郵送または持参(郵送の場合は簡易書留で送付)
申請書類
(共通)
  • 就業規則及び関連する労使協定(本社及び対象者が所属する事業所分)
  • 一般事業主行動計画を届出、公表、周知したことが分かる書類
  • 母子健康手帳の子の出生を証明する該当部分
申請書類
(個別)
  • 男性が育児休業を取得しやすい職場風土作りを行ったことを証明する書類(男性育休周知リーフレット)
  • 育児休業申出書
  • 育児休業期間の所定労働日が確認できる書類(労働条件通知書、就業規則、シフト表等)
  • 育児休業前1か月分及び育児休業期間中の就労実績が確認できる書類(出勤簿及び賃金台帳)
    【個別支援加算を申請する場合】
  • 対象者に明示した育児休業に関連する制度のメール等または書面
  • 企業組織図
  • 男性が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りを行ったことを証明する書類(育児目的休暇周知リーフレット)
  • 育児目的休暇申出書
  • 育児目的休暇を取得した期間の所定労働日が確認できる書類(労働条件通知書、就業規則、シフト表等)
  • 育児目的休暇の取得実績が確認できる書類(出勤簿及び賃金台帳)
  • 生産性要件に該当する場合は、生産性要件算定シート、算定の根拠となる証拠書類が必要
  • 個別支援加算は、育児休業と併せて申請

上記のほか、所定の申請書が必要になります。フォーマットおよび記入マニュアルは、厚生労働省のホームページから取得できます。

出生時両立支援コースの対象となる労働者と支給額

項目 中小企業 中小企業以外
1人目の育休取得 57万円<72万円> 28.5万円<36万円>
  個別支援加算 10万円<12万円> 5万円<6万円>
2人目以降の育休取得
※育休の取得日数に応じ、右欄の額を支給
5日以上:14.25万円<18万円>
14日以上:23.75万円<30万円>
1か月以上:33.25万円<42万円>
14日以上:14.25万円<18万円>
1か月以上:23.75万円<30万円>
2か月以上:33.25万円<42万円>
  個別支援加算 5万円<6万円> 2.5万円<3万円>
育児目的休暇の導入・利用 28.5万円<36万円> 14.25万円<18万円>
  • <>内は生産性要件を満たした場合の支給額です。
  • 2人目以降の育休取得は1企業当たり1年度10人まで、育児目的休暇制度の導入・利用は1企業当たり1回まで支給されます。

出生時両立支援コースの利用に関する注意点

以下のいずれかに該当する場合は支給対象外となりますので注意しましょう。

  • 支給申請日の前日から起算して過去1年間において、「育児・介護休業法」「次世代育成支援対策推進法」「男女雇用機会均等法」「パートタイム労働法」「女性活躍推進法」の重大な違反があることにより、助成金を支給することが適切でないと認められる場合
  • 支給申請時点で「育児・介護休業法」に違反し、同法第56条に基づく助言または指導を受けたが是正していない場合

まとめ

  • 両立支援等助成金の出生時両立支援コースとは、男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得するときに受給できる助成金のことである
  • 育児休業等を取得する前に職場風土作りなどの取組が必要になる
  • 生産性が向上した場合には助成額がアップする

厚生労働省の最新の調査(2019年度)によると、育児休業取得者の割合は、女性が83.0%に対し、男性は7.48%に留まっており、男性の育休取得率は女性に比べて大幅に低いのが現状です。中小企業は5日間の育休を付与することで助成金を受給でき、男性労働者や家族にも安心を与えることができます。助成金を上手に活用しながら、仕事と育児を両立しながら活躍できる職場環境を整備し、優秀な人材の確保・定着を図っていきましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/