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飲食事業者の業態転換支援事業助成金や事業再構築補助金についてわかりやすく解説

業態転換支援

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、多くの事業者にとって厳しい状況が続いています。従来のビジネスモデルを単に維持していくことは難しく、企業の積極的な構造改革が求められています。これまで実施してきた事業とは違う分野に挑戦する「新分野への展開」、既存事業の製造方法や提供方法を変更するなど、業態転換に活用できる助成金や補助金の代表的な制度を2つご紹介します。

この記事の目次

飲食事業者の業態転換支援事業

新型コロナウイルス感染症により、大きく売上が落ち込んでいる都内の中小飲食事業者が、新たなサービスとして「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を開始する場合、初期経費等の一部が助成される助成金です。

項目 内容
受付期間 2023年1月1日(日)~2023年3月31日(金)
※ただし受付期間中でも予算終了の場合は受付終了
申請先 東京都中小企業振興公社
対象者 東京都内で飲食業を営む中小企業及び個人事業主
助成対象経費
  • 新たに「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を開始する際の初期経費等
  • 販売促進費(印刷物制作費、PR映像制作費、広告掲載費等)
  • 車両費(宅配用バイクリース料、台車・自転車等の購入費)
  • 器具備品費(無線LAN導入費、タブレット端末、梱包・包装資材等)
  • その他(宅配代行サービスに係る初期登録料、月額使用料、配送手数料等)
助成金額・補助率 最大100万円 補助率4/5
申請方法 郵送

申請できる条件

主な条件は以下となります。

  • 都内にある店舗内で、調理した飲食料品を提供することができ、飲食可能なスペースを有する中小企業及び個人事業主(資本金の額または出資の総額が5,000万円以下または常時使用する従業員の数が50人以下)であり新たに「テイクアウト」「宅配」「移動販売」を始める者
  • 保健所の許可(必要となる食品関係許可)を取得しており、各許可書等の写しが提出できること

助成対象となる経費

例えば、テイクアウトや宅配の告知をするためのチラシや看板の作成費、宅配等に利用するバイク等のレンタル料、宅配等を行うためのシステム導入費、各種宅配代行サービス登録料などが対象となります。通信販売については、自店舗で製造したものを、自社のサイトで販売するEC販売のみ対象となります。

事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、経済社会の変化に対応するため、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取り組みを通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に取り組む企業を対象に、通常枠で最大8,000万円が支給される補助金です。

項目 内容
受付期間 第9回受付:2023年1月16日(月)~2023年3月24日(金)18:00
申請先 中小企業庁
対象者 中堅企業、中小企業及び個人事業主
助成対象経費 建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費
補助金額・補助率 <通常枠>補助上限8,000万円 補助率 中堅1/2(4,000万円超は1/3)、中小2/3(6,000万円超は1/2)
<最低賃金枠、回復・再生応援枠>補助上限1,500万円 補助率 中堅2/3、中小3/4
<大規模賃金引上枠>補助上限1億円 補助率 中堅1/2(4,000万円超は1/3)、中小2/3(6,000万円超は1/2)
<グリーン成長枠>補助上限 中堅1.5億円、中小1億円 補助率 中堅1/3、中小1/2
<緊急対策枠>補助上限4,000万円 補助率 中堅2/3~1/2、中小3/4~2/3
申請方法 gBizIDプライムによる電子申請

申請できる条件

主な条件は以下となります。

  • 2020年4月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、新型コロナウイルス感染症拡大以前(2019年又は2020年1~3月)の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している
  • 事業再構築指針に沿った事業計画を認定経営革新等支援機関と策定する
  • 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%以上増加又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%以上増加の達成を見込む事業計画を策定する

認定支援機関とは

中小企業を支援できる機関として、経済産業大臣が認定した機関です。全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けており、中小企業庁のホームページで、認定支援機関を検索することが可能です。事業再構築補助金では、事業計画書の確認書作成や作成支援、採択後のフォローアップの役割を担うことが期待されています。

事業再構築指針とは

「事業再構築」の定義等について明らかにしたものです。「事業再構築」とは以下の5つを指し、いずれかの類型に該当する事業計画を策定することが必要になります。

類型 定義
新分野展開 主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等することにより、新たな市場に進出すること
事業転換 新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、主たる事業を変更すること
業種転換 新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更すること
業態転換 製品等の製造方法等を相当程度変更すること
事業再編 会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換又は業態転換のいずれかを行うこと

回復・再生応援枠

回復・再生応援枠は、下記二つの要件を満たす必要があります。

  • 通常枠の申請要件を満たすこと
  •  以下の(ア)又は(イ)のいずれかの要件を満たすこと

(ア)2021年10月以降のいずれかの月の売上高が対2020年又は2019年同月比で30%以上減少していること(売上高に代えて付加価値額を用いることも可能)
(イ)中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受け再生計画等を策定していること

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~500万円 中小企業3/4
中堅企業2/3
6~20人 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円

回復・再生応援枠のメリットとして、

  • 通常枠よりも補助率がアップする(中小企業は2/3→3/4、中堅企業は1/2→2/3になる)

通常枠で求められる「主要な設備を変更する」という要件が課されないため、事業再構築に取り組むハードルが下がるなどが挙げられます。

  • 回復・再生応援枠で不採択の場合は通常枠で再審査される
  • 通常枠よりも採択率が良い傾向にある

緊急対策枠

緊急対策枠は、原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等の事業再構築を支援する枠で、第7回公募から新たに設けられました。主な要件は以下のとおりです。

「足許で原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響を受けたことにより、2022年1月以降の連続する6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、2019年~2021年の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること(売上高に代えて付加価値額を用いることも可能)。また、新型コロナウイルス感染症によって影響を受けていること」

従業員数 補助金額 補助率
5人以下 100万円~1,000万円 中小企業3/4(※1)
中堅企業2/3(※2)
6~20人 100万円~2,000万円
21~50人 100万円~3,000万円
51人以上 100万円~4,000万円

※1:「従業員数5人以下の場合500万円を超える部分」「従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分」「従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分」は2/3となります。

※2:「従業員数5人以下の場合500万円を超える部分」「従業員数6~20人の場合1,000万円を超える部分」「従業員数21人以上の場合1,500万円を超える部分」は1/2となります。

緊急対策枠のメリットとして、

  • 回復・再生応援枠よりも補助上限が高い
  • 通常枠等の場合、新型コロナウイルス感染症拡大前の売上高を要件確認に用いるため、2021年以降に創業した事業者は補助対象外となるが、緊急対策枠においては補助対象になる可能性がある
  • 通常枠の売上高減少要件を満たすことを示す書類を提出すれば、緊急対策枠で不採択の場合に再審査が行われる

などが挙げられます。

一方、補助金額の上限が下がりますので、「30%以上売上減少の要件を満たしているか」「原油価格・物価高騰等の影響を受けているか」「受給したい補助金額はいくらか」など、自社の状況に応じて通常枠、回復・再生応援枠、緊急対策枠のどの枠で申請するかを検討する必要があります。

業態転換支援助成金や事業再構築補助金の注意点

今回ご紹介した制度はいずれもコロナ禍に適応するビジネスモデルへの転換を支援する制度ですが、事業再構築補助金は、原則として「新たな製品やサービス等を新たな顧客に提供する」といった思い切った取り組みが求められるのに対し、飲食事業者の業態転換支援では、既存事業の非対面化(テイクアウト等の取り組み)に留まります。このように、助成金や補助金によって求められる業態転換の定義や程度は異なる点を認識しておきましょう。

また、助成金や補助金の多くは、最初に計画書を提出し、採択・交付決定を受けてから補助事業を実行する流れを取ります。この流れを経ずに、先に契約・支払などを済ませてしまった事業や経費は対象外になることがあります。業態転換を進める前に、予め申請できる補助金がないかチェックしておきましょう。

まとめ

  • 業態転換を実施するときに助成金や補助金を活用できる
  • 業態転換の定義や程度は助成金や補助金の制度により異なる
  • 予め申請できる助成金や補助金をチェックしてから業態転換を進めることがおすすめ

助成金や補助金は常に新しい情報に更新されていますので、こまめに情報をチェックし、自社にとって役に立つ制度を見極めることが大切です。制度が複雑でわかりにくいときは、詳しい専門家に相談することもおすすめです。業態転換の際は助成金や補助金の活用を検討しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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