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【小売店】スムーズな開業を目指すなら「店舗ルール・マニュアル」を整備しよう

店舗ルールを作る_小売

小売店の仕事は大きく「商品管理」「お客様対応」の2つに分けられます。一見単純そうに見えますが、小売業といっても「雑貨」「衣料品」「食品」などさまざまなカテゴリーがあり、またそれぞれのカテゴリーには数多くの商品があることから、適切な店舗運営をしていくためにはどうしても覚えることが多くなります。
一人でもスタッフを雇用するのであれば、効率的に店舗運営していくためにルールやマニュアル整備は欠かせません。ここではルールやマニュアルの作り方、考え方について解説していきます。

この記事の目次

「店舗ルール」とは?

店舗ルールを作る_小売

店舗ルールの役割と意義

小売業を運営する際、多くの場合には店舗ごとのルール、「店舗ルール」が定められています。
小売業では商品の「仕入れ」「陳列」「接客」「販売」という業務が主体となりますが、代表者ひとりで運営しているのでなければ、スタッフを雇用することになり、スタッフに仕事を任せるような場面が出てきます。そんなとき、毎回業務について細かく指示したり相談されたりしていては仕事が進みません。
そのため、店舗を運営していく上で最低限必要なルールを定め、スタッフにもしっかりと理解してもらう必要があります。それが、店舗ルールです。

店舗ルールの大きな役割として、経営サイドから見て「業務の均一化、効率化」があることはもちろん、従業員サイドから見ると「安心して仕事ができる」ということがあります。実は従業員サイドも、ルールがわからないまま仕事をするのが不安という気持ちが強いものです。そのため店舗ルールは経営サイド、従業員サイドの両方ともにメリットのあるものになります。

なぜ、店舗ルールやマニュアルが必要なのか

店舗ルールが必要な理由は色々ありますが、大きな理由として「小売業には色々な業務がある」「複数の人間で業務を行う」という点があります。

小売業の場合、取扱品目が多数ある場合が多く、店が大きくなれば1000種類を超えることもあります。それぞれの商品には特性があり、その特性に合わせた仕入れ、陳列、商品管理をする必要があります。
また商品を置いているだけでは売れませんから、値札を取り付ける、接客して説明する、レジで精算できるように登録する、などの業務が必要になります。商品が売れ残れば廃棄や値下げ、返品などの作業も発生します。

そういった幅広い業務を複数の人間で役割分担して進めることになります。小売業の仕事は商品を仕入れて販売するという単純な仕事に見えますが、実際は思った以上に煩雑なものです。しかも「現場で判断を迫られる場面が多い」といった特徴もあり、担当した人間によって対応のバラツキもでてきます。

このような煩雑な小売業の仕事を均一化、効率化し、スムーズな運営に導くための取り決めが店舗ルールです。そしてより具体的に取り組むための手順を説明したものが「マニュアル」になります。
扱う商品数の量や従業員数などでその必要性や効果の高さは変わりますが、小規模な小売店であっても、また従業員が家族だけであったとしても、ある程度の店舗ルールは必要になると考えていた方が良いでしょう。

店舗ルール・マニュアルの種類

店舗ルールを作る_小売

店舗ルールやマニュアルの種類は、大きく「基本業務」「お客様対応」「店舗オペレーション」の3つに分けることができます。
「基本業務」は店舗スタッフ全員に関わる基本的な内容であり、全員が内容を理解して取り組む必要があります。「お客様対応」はお客様と接する仕事をするスタッフを中心に、また「店舗オペレーション」は実際に商品を仕入れたり販売したりするスタッフを中心に理解して、取り組む必要があります。

ではそれぞれに具体的な内容を紹介しましょう。

「基本業務」に関するルール・マニュアルについて

開業

従業員が知っておくべきルールを「基本業務」として作成し、具体的な手順をマニュアルとして整備していく必要があります。主な基本業務としてあげられる「就業規則」「服装・身だしなみ」「店内外の公衆衛生」の3つについて、ご説明します。

1.「就業規則」

「就業規則」は、雇用主と従業員との雇用に関するルールを定めたものです。労働基準法89条により、常時10人以上の従業員を雇用する場合は作成と届出が義務付けられています。従業員の数が10人未満であれば作成と提出の義務は無いことになりますが、就業規則は法律だけではカバーできない「個別の会社のルール」を定めたものになるので、従業員とのトラブルを避けるためにも、人を雇用する場合には作成をした方が良いでしょう。

2.「服装・身だしなみ」

「服装・身だしなみ」は、店舗を持つ場合、接客業でもある小売業では必要不可欠なルールと言えます。店舗で働くスタッフがバラバラの服装では統一感が無く、だらしなく見える場合もあります。スタッフが着用する服や小物、アクセサリー、頭髪のスタイルなどについて一定のルールを設けることで、店舗の統一感を出すことができますし、店舗コンセプトを訴求することも可能になります。具体的には制服を揃えることもありますし、制服が無くとも共通の帽子やバンダナ、エプロンなどで統一感を出す場合もあるでしょう。
なお「派手過ぎないか」「清潔か」「爪は短いか」などの基準を個人の判断に任せるとバラバラで統一感が無くなるばかりか、従業員同士のトラブルの原因にもなります。こういった項目にも店舗ルール・マニュアルとして明確な基準を設け、チェックリストなどで定期的にチェックすると効果的です。

3.「店内外の公衆衛生」

「店内外の公衆衛生」には、掃除すべき場所や方法の取り決めはもちろん、商品の衛生管理に関するルールも含まれることがポイントです。清掃の場所、時間、担当、道具の場所などのほか、売場に陳列してある商品の埃の除去などもここで定めましょう。食品を販売する店舗で、店内加工する場合は食品衛生法に基づいた衛生管理も必要になります。
その他、トイレの製造、店舗入口や駐車場の清掃、ごみ箱の管理など、幅広い衛生管理全般が対象になります。

「お客様対応」に関するルール・マニュアルについて

店舗ルールを作る_小売

「お客様対応」は、顧客対応を行う上で一定のルールを取り決めておいた方が良い業務について定めますが、主に「接客対応」「レジ対応」「クレーム対応」の3つがあります。以下にそれぞれご説明します。

1.「接客対応」

「接客対応」は、お客様が入店されたときの挨拶の方法から、お客様の案内、お見送りまでの一連の接客方法にはじまり、目線の位置、お辞儀の角度、笑顔の作り方など、一連の動作に関するルールも含まれます。
挨拶ひとつをとっても、スタッフ個人に任せていると言葉遣いが異なったりお辞儀をしたりしなかったりと、対応がバラバラになり、お客様に不信感を与えたり、トラブルが発生したりする原因になりかねません。またスタッフも、接客が必要な場面でどのような対応をしたらわからないことはストレスになります。あらかじめルールを決めておいたほうが統一感のある接客対応ができ、スムーズに業務を行うことが可能になります。

2.「レジ対応」

「レジ対応」は、レジでの精算業務を行う際のルールになります。お客様が商品をレジに持ってこられた際の挨拶から、商品登録、金額入力、精算、お釣りのお渡し、お見送りまでの流れを基本として、レジ業務での対応をルール化していきます。また関連する業務である「包装対応」「熨斗対応」「宅配受付」などについても取り決めを行います。
加えてレジ操作そのものについても、操作手順をわかりやすくマニュアル化する必要があります。レジ操作には、業務終了時のいわゆる「レジ〆」集計業務なども含まれます。

3.「クレーム対応」

小売業の場合、数多くの商品を数多くの人に販売することから、商品に不具合があったり販売時の接客に不満あったりすることで「クレーム」が発生し、店舗にお叱りのお言葉をいただくことがあります。このような不測の事態が発生すると対応する人間はあわててしまい、お客様に満足いただける対応をすることは難しくなります。事前にこういった事態を予測して、マニュアルとして対策を講じておくことが「クレーム対応」のポイントになります。

例えば、クレームはその発生理由を分解すると「商品の不具合」と「不適切な接客」に分けることができます。そして「商品の不具合」を更に分解すると「商品の破損」「使い方がわからない」「お客様が間違えて購入した」のように分けることができます。このようにクレームが発生する要因を分析し、それぞれの対応方法を事前に取り決めて、対応方法をマニュアル化するとスムーズなクレーム対応が可能となります。

クレームはあってはならないことではありますが、実際には小売業にクレームは多く、また、店舗スタッフの多くはクレーム対応に不安を持っています。事前にクレーム対応のルール化とマニュアル化を行うことで、業務の円滑化に大きく寄与することが期待できます。

「店舗オペレーション」に関するルール・マニュアルについて

「店舗オペレーション」の内容は幅広く、店舗を運営する際の現場での業務全般がここに含まれます。
小売業の現場での業務としては、仕入、陳列、売場演出、POPなどの販促物の作成などのほか、売れ残った商品の値引き、返品、廃棄の業務もあります。その他、在庫管理や計数管理など、店舗運営に関わるさまざまな業務が対象になります。
商品ひとつ仕入れるにしても、専用のシステムを使って発注する方法、ネットで発注する方法、電話で発注する方法、FAXで発注する方法などさまざまです。仕入先が多岐にわたる場合もあります。商品の発注日や納品日にもきまりがありますし、検品やストックする手順など、煩雑でありながらも間違えてはいけない業務がたくさんあります。
このような店舗運営に関わる重要な業務をルール化、マニュアル化していきます。

業務をルール化、マニュアル化する手順について

ルール化、マニュアル化する手順としては、まず商品を仕入れてから販売するまでの一連の業務を書き出します。

【ルール化、マニュアル化する際の考え方】

1.作業の流れを書き出す

店舗ルールを作る_小売

そしてそれぞれに判断が必要なポイントはルール化し、それぞれの業務を行う手順をマニュアル化していきます。

2.どこをどのようにルール化、マニュアル化するかを検討する

店舗ルールを作る_小売

フローチャートを使用して、見ただけで手順がわかるようにする方法も効果的です。

【マニュアルをフローチャート化する例】

店舗ルールを作る_小売

他のルールやマニュアルにも共通しますが、最初にルールやマニュアル作成をする際には、自分自身で業務を行いながらそれを書き出し、ときには写真や動画を撮影して、「あるべき姿」を決めていきます。それを店舗スタッフに見てもらいながら、「他人から見てもわかりやすいか」という点に注意しながらルールやマニュアルへと落とし込みます。
店舗オペレーションの場合は特に内容が複雑になるので、都度、内容を更新していく必要があります。

まとめ

  • 業務の均一化・効率化のほか、スタッフが安心して仕事をするためにも店舗ルールが必要
  • 店舗ルールは大きく「基本業務」「お客様対応」「店舗オペレーション」の3つに分けられる
  • 基本業務では「就業規則」「服装・身だしなみ」「店内外の公衆衛生」などについて定める
  • お客様対応では「接客対応」「レジ対応」「クレーム対応」などについて定める
  • 店舗オペレーションには店舗運営の業務全般が含まれる

ルールやマニュアルについて、「基本業務」「お客様対応」「店舗オペレーション」の3つに分けて解説しました。それぞれのポイントを参考にしながら、自店にあったルールづくりやマニュアル整備に取り組んでいただけたらと思います。
しかし、ルールやマニュアルをつくることが目的ではなく、実際に活用することが大切です。例えば、「お客様対応」については、対人スキルが多い特性上、ルールが守られないことも多くあります。このような場合、ルールやマニュアルを作成する際に、実際のスタッフを交えて意見を取り入れることも効果的です。誰しも自分で作成したルールは守る意識が高くなります。ルール、マニュアルを整備したあとは、その活用を意識して取り組み、良い店づくりを目指しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

渡貫 久(わたぬき ひさし)株式会社ユーミックプロデュース 代表取締役

中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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