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社会保険とは?個人事業主の加入要件やパートやアルバイトへの義務など手続きについて

雇用を管理する_社会保険_共通

開業する場合、まずは事業主自身が社会保険に加入できるかどうか、そして労働者を雇用するなら社会保険に加入させるかどうかを考える必要があります。「労災保険」はすべての労働者を加入させなければなりませんが、ほかの社会保険(「雇用保険」「健康保険(介護保険を含む)」「厚生年金保険」)は、労働者の働き方によって加入できる場合と加入できない場合があります。加入させれば、期限がある手続きと社会保険料の負担が出てきます。
そこで、社会保険についてどのような場合に加入できるのか、またその手続きはどうすればよいのかご紹介します。

この記事の目次

社会保険とは?

はじめに、事業主と労働者がどの社会保険に加入する必要があるのかをフローチャートでご紹介します。

雇用を管理する_社会保険_共通

例えば、夫婦で飲食店を開業する場合、配偶者は労働者ではないので「個人事業」→「1人で行う」に進みます。開業後、忙しくなって人を雇う場合、5人未満で週20時間未満であれば労災保険にだけ加入させることになります。

本記事では、社会保険の種類と加入する対象、またどのように加入すればよいかを詳しく解説します。

一般に社会保険と呼ばれている保険は、以下の5つです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 労災保険
  • 雇用保険
  • 厚生年金保険

通常は「健康保険(介護保険を含む)」「厚生年金保険」のことを社会保険、「労災保険」「雇用保険」のことを労働保険と呼びます。

「健康保険」「厚生年金保険」は、法人であれば事業主本人も加入しますが、「労災保険」「雇用保険」は労働者の保険なので、事業主本人は加入できません。
また個人事業主の場合は全て加入できませんが、労働者を雇った場合は、要件を満たせば労働者本人は加入することができます。

①法人の場合

「健康保険」「厚生年金保険」は労働者を雇用していなくても事業主本人に加入義務があり、加入すると適用事業所になりますので、必ず届けを出します。

社会保険に加入する際は、まずはお近くの年金事務所に「新規適用届」を提出します。年金事務所とは社会保険の窓口業務を行う機関で、ここに適用届を出すことで保険適用の事業所になることができます。とても大切な届け出ですので、法人となって5日以内に提出することをおすすめします。60日以上経過してしまうと別途添付する書類が必要となってきます。なるべく早めに提出しましょう。

②個人事業の場合

個人事業の場合、事業主本人は全ての社会保険に加入できませんが、人を雇った場合はその人数と業種によって対応が分かれます。

常時使用する労働者が5人未満

基本的には、個人事業で常時使用する労働者数が5人未満であれば、健康保険と厚生年金保険は業種を問わず加入は任意となります。雇用保険は加入要件に合った労働者を雇用した場合、労災保険はすべての労働者を雇用した場合に加入します。ここで注意したいのは「常時使用する労働者」という言葉です。正社員だけでなく、パートなども常態として働いていれば数に入ります。ただし、開業時には正社員だけを数えればよいでしょう。その後パートの方が契約を更新して常態として働くようになったら、その時点で数に入れます。

常時使用する労働者が5人以上

5人以上の労働者を雇っている場合は、業種によってさらに次の2つに分かれます。

【適用業種である事業の事業所の場合】

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の強制適用となります。

【非適用業種である事業の事業所の場合】

第一次産業、理美容事業、ホテルや飲食店の接客娯楽業、税理士事務所等の法務の事業などは非適用業種ですので、社会保険に加入するかどうかは任意となります。

ご自身の事業が適用業種かどうかわからない場合は、年金事務所に問い合わせをするとよいでしょう。

健康保険の加入について

健康保険は、多くの中小企業が加入する「全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)」と、会社や業種ごとの「組合管掌健康保険(組合健保)」に分かれます。

加入義務

法人であれば、事業主本人にも加入義務があります。
また労働者を雇用している場合はその働き方によって対応が異なります。正社員であれば加入が義務となっています。正社員以外は、週30時間以上働く場合は加入義務が生じます。

個人事業の場合は、事業主自身は加入できません。
一方で労働者については、前述した社会保険の強制適用に該当する場合は、法人と同様に働き方によって加入します。

加入手続き

まず年金事務所に「新規適用届」(「健康保険」「厚生年金保険」共通)を提出します。

法人であれば事業主本人だけでも加入しますので、同時に「被保険者資格取得届」(「健康保険」「厚生年金保険」共通)も提出します。さらに扶養家族がいれば「健康保険被扶養者届」を提出します。

「新規適用届」を提出した場合、事業所の確認を行うため登記簿謄本などの添付書類が必要となりますので、事前に年金事務所に確認するとよいでしょう。この届け出は、法人となってからなるべく5日以内に行うことをおすすめします。5日を超えても問題はありませんが、注意点があります。それは、届け出が遅れた分、健康保険証が手元に届くのも遅れ、その期間は自費で医療機関にかからなければならなくなることです(ただし、申請すれば7割の医療費は返ってきます)。なるべく早めに届け出を行いましょう。

労働者の「健康保険」の加入手続きは、同じ年金事務所で「厚生年金保険」と同時に行うことができます。つまり、「健康保険」に加入できる人は「厚生年金保険」にも加入できるので、両方の書類を同時に提出することが可能です。
労働者を雇用した場合は、入社日から5日以内に「被保険者資格取得届」を提出します。扶養親族がいれば「健康保険被扶養者届」を提出します。

なお介護保険は、健康保険に加入している労働者が40歳に達すると自動的に被保険者となるため、特別の書類の提出は必要ありません。

厚生年金保険の加入について

雇用を管理する_社会保険_共通

前述の通り、加入の手続きは年金事務所にて「健康保険」と同時に行いますので、共通の書類を使います。
「厚生年金保険」にだけ必要な書類は、扶養している配偶者に対する「国民年金第3号被保険者資格取得届」ですが、この書類は「健康保険被扶養者届」とセットになっているので、確認をします。
また年金手帳で番号を確認しますので、年金手帳の添付も必要です。

労働者を雇っている場合は、「健康保険」と同様に正社員であれば必ず、パートの場合は週30時間以上かどうかで判断をします。

健康保険と厚生年金保険の手続きは同時に年金事務所で

「健康保険」と「厚生年金保険」の手続きを同時に行う際に必要な書類と期限を、表にまとめました。

  必要な書類 提出期限
健康保険・厚生年金共通 新規適用届
被保険者資格取得届
法人化してから5日以内
健康保険 被扶養者届 法人化してから5日以内、もしくは採用してから5日以内
厚生年金 第3号被保険者資格取得届

労災保険の加入について

「労災保険」は労働者のための保険ですので、労働者以外は加入できません。法人個人にかかわらず、事業主は加入することができないのです。
注意すべきは、全ての労働者が加入対象となる点です。たとえたった1日しか働かない人でも労災の給付対象となります。

労災保険の場合は、労働者を1人でも雇用した日の翌日から起算して10日以内に届け出が必要です。労災事故が起きたときにまだ届け出をしていないと、加入しなかった理由を聞かれ、理由が正当でない(悪質な)場合は保険金が下りないケースもあります。そのため、できるだけ早めに届け出をしましょう。

加入手続き

労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出し、「事業主控」をもらいます。そして、雇用された労働者が「雇用保険」の被保険者に該当する場合(週20時間以上)は、この「事業主控」をハローワークに持参することになります。「保険関係成立届」を提出するときは、「労働保険概算保険料申告書」の提出が必要となりますが、これは保険関係が成立してから50日以内に提出します。

労働者を雇用したときは労働基準監督署へ

労働者を1人でも雇用したら、労災保険加入の手続きが必要になることを覚えておきましょう。必要な書類と提出期日を表にまとめました。

  必要な書類 提出期限
労災保険 保険関係成立届 採用した日の翌日から起算して10日以内
労働保険概算保険料申告書 保険関係が成立してから50日以内

雇用保険の加入について

前述のとおり「雇用保険」は労働者しか加入できず、法人であれ個人事業であれ、事業主本人は加入できません。加入義務があるのは正社員はもちろん、正社員以外には週20時間以上で31日以上の雇用の見込みがある労働者です。

加入手続き

加入の手続きは、事業所を管轄するハローワークで行います。要件を満たした労働者がいる場合、雇用した翌日から10日以内に「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。この時に労働基準監督署に提出した「保険関係成立届」の「事業主控」のコピーを一緒に提出します。
そして、採用した日の属する月の翌月10日までに、労働者から提出された「雇用保険被保険者証」を添付した「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

雇用した労働者が週20時間以上働くときはハローワークへ

雇用保険の加入義務がある労働者を雇用したら、管轄のハローワークにて手続きを行いましょう。

  必要な書類 提出期限
雇用保険 労基署に提出した「保険関係成立届の事業主控」のコピー 採用した翌日から10日以内
被保険者資格取得届 採用した日の属する月の翌月10日まで

パート・アルバイトの社会保険

「パート」も「アルバイト」も短時間で働く労働者のことを指し、主に若い人をアルバイト、そのほかの人をパートと呼ぶケースが多いようです(以下、「パート等」)。パート等の場合、社会保険に加入できるかどうかは、その働き方により異なります。

働き方によって変わる社会保険の加入

雇用を管理する_社会保険_共通

パート等の社会保険の加入は、週何時間働くかによって異なります。
これまで「健康保険」「厚生年金保険」は週30時間以上働くと加入できると書いてきましたが、正確には、同じ事業所で働く正社員と比べて1日または1週の労働時間と1カ月の労働日数の両方が「4分の3以上」の場合に加入できます。
正社員の1日の労働時間は8時間・週40時間、週休2日が多いので、パート等では週30時間以上で月16日以上働いている労働者が対象となるのが一般的です。

プロ(社会保険労務士)に相談する場合

社会保険の手続きに関して、煩雑で難しかったり忙しくて時間がなかったりする場合は、社会保険のプロである社会保険労務士に相談することをお勧めします。
数多い社労士の中で誰に相談をすればよいか迷う場合は、やみくもに検索をするよりも、各都道府県にある「〇〇県社会保険労務士会」のサイトで社労士の名簿を公開していますので、その中から社労士の候補を選んで検索をするとよいでしょう。
その際、相談料や社会保険の書類作成の料金、さらには年金事務所への提出まで含んだ料金かどうか、を確認するのがポイントです。

まとめ

  • 「健康保険」「厚生年金保険」を社会保険、「労災保険」「雇用保険」を労働保険と呼ぶ
  • 法人の場合、正社員の労働者はすべての保険に加入義務がある
  • 法人の場合、労働者がパート等の場合は勤務時間等によって加入義務が異なる
  • 個人事業主の場合、労働者5人未満の場合は社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入義務はない
  • 個人事業主の場合、労働者5人以上の場合は業種によって加入義務の有無が異なる

開業した場合、法人でも個人でも社会保険の手続きは必要不可欠なものです。社会保険の加入は法律的に義務付けられているので、その要件に合う労働者であれば必ず加入させなければなりません。また、加入させる場合は労働者にかかる社会保険料の半額を負担しなければなりません。パートやアルバイトを雇用する場合は、週何時間働いてもらうのかをよく考えることがポイントです。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

菅田 芳恵(すがた よしえ)特定社会保険労務士

社会保険労務士・キャリアコンサルタント・産業カウンセラー・ファイナンシャルプランナー・ハラスメント防止コンサルタント等13の資格を活かして、人事労務コンサル、研修講師、カウンセリング、労働トラブル相談等様々な分野で活躍している。

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