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【小売店】商品ラインナップを決める時の流れや大切なことと考え方

商品を開発する_小売

小売店を経営する場合、「どのような商品を品揃えするか」は極めて重要です。商品は店の印象を左右し、売上にも利益にも大きく影響します。商品ラインナップ次第で店舗経営の成否が決まると言っても過言ではないでしょう。
ここでは、商品ラインナップを決定するまでの手順について紹介します。商品ラインナップを決定するまでには、大きく「市場を分析する」「商品の構成を考える」「売上と利益を計画する」「仕入れを計画する」の4つのステップがあります。この記事を参考に、商品ラインナップを決める上でポイントとなる視点や具体的な考え方を抑えておきましょう。

この記事の目次

商品ラインナップを考える時に最も大切なこと

自分好みの商品を揃えて店づくりを行うことは、開業の一番の醍醐味と言えます。自分のセンスを活かした店づくりは仕事のモチベーションにも繋がりますし、店の個性を築く上でも重要です。
ただし、商品ラインナップを考えるときに最も大切なことは、「お客様視点で品揃えをすること」です。

開業する際はどんな人も、販売側の視点で品揃えをしてしまいがちです。しかし販売サイドとお客様サイドでは、商品の情報量が大きく異なります。販売側からすると「こんなにこだわった良い商品」であっても、お客様がその情報を知らなければ「ただの値段が高い商品」になってしまいます。
そういった情報の差を埋めるのは、POPや接客による説明・提案になりますが、それをするにも事前の準備が必要になります。

店舗の品揃えを考える際には、「店舗コンセプト」や「何を販売したいか」だけに捕らわれず、必ず「お客様の視点」で商品ラインナップを見直すようにしましょう。

市場分析~ターゲットと競合のことを把握する

商品を開発する_小売

市場分析を行うには、これだけは押さえておきたい2つの観点があります。「商圏の把握」と「競合店の把握」です。以下で必要な調査内容について順に説明します。

1.商圏の状況を把握する

商品ラインナップを検討する際は、まずターゲットとなる顧客像を把握するために、商圏の状況を把握します。
商圏とは「お客様が来店する範囲」のことで、業種によって商圏の広さは異なります。商圏として考えられるエリアの世帯数、人口、性別、年齢構成のほか、可能な範囲でエリア内に居住している人々のライフスタイルなどを調査します。
調査方法としては、住民基本台帳、国勢調査などを活用するほか、周辺道路の通行量調査なども使いましょう。また、商圏内で働いている人をターゲットにする場合は、総務省統計局が実施している「経済センサス基礎調査」を使うと良いでしょう。任意の都道府県の市区町村別町丁目別の事業所数、従業者数を知ることができます。

これらの統計情報などを使って、対象とする商圏内のターゲット候補を把握し、「どのユーザー層をターゲットに設定するか」を明確にします。
そしてそのターゲット層が求める品揃え、商品規格、価格帯などを設定していきます。

2.競合店の状況を把握する

商圏の状況やターゲットを設定した後は、競合店の状況を把握します。
競合店を実際に訪れて「商品の構成や分類はどうなっているか?」「主力商品は何か?」「どのような店内販促を行っているか?」「どのような顧客層が来店しているか?」「プライスゾーンやプライスラインはどうなっているか?」などを調査します。

プライスゾーンとは、あるカテゴリーにおいての商品の最低価格と最高価格の幅のことです。例えば一番安いレトルトカレーが98円、一番高いレトルトカレーが800円だとしたら、プライスゾーンは98円~800円になります。プライスゾーンによって、その店舗の価格設定を把握することが可能になります。
またプライスラインとは、価格設定の種類(98円、128円、158円といった価格設定の数)のことです。プライスラインが多ければお客様の選択の幅が多くなり、利便性が高まります。

創業後には競合店と競争していく必要があるので、競合店の品揃えや価格設定、顧客層などを調査して競合店のイメージを把握し、それに対して優位性を確保できる・差別化できるような商品ラインナップを検討していきます。

商品構成を考える~商圏や事業コンセプトに合った品揃えを考える

市場について把握できたら、次に商品構成を考えていきます。ただし、取り扱いたい商品をやみくもに挙げていくのは良い方法ではありません。「1.大きな枠組みを決める」「2.カテゴリー毎の品揃えを考える」「3.カテゴリー毎の利益設定を考える」という流れで決めていきましょう。順番に説明します。

1.大きな枠組みを決める~カテゴリーを決める

商品ラインナップを検討する場合、単品から一つずつ積み上げるのは難しく、偏りが発生する可能性があります。例えば自分が好きな分野の商品ばかりになり、商圏的に必要な商品が欠落する可能性があります。そのため、最初は大きな枠組みから考えて、バランスの良い商品ラインナップを検討していきます。

枠組みから考えるときは、まず取扱商品のカテゴリーを設定します。例えば雑貨店であれば「アクセサリー」「食器」「キッチン用品」「文房具」「時計」「植物」「書籍」など、数種類のカテゴリーが考えられます。
次に、これらのカテゴリーを売場のどこに配置するか、売場の割り振りを考えます。そしてそれぞれのカテゴリーについて商品点数などを考えていきます。
売場のスペースの位置や配分を決めることを「ゾーニング」と呼びます。

2.カテゴリー毎の品揃えを考える~取り扱う商品を決める

カテゴリーとゾーニングを決めた後には、カテゴリー毎にどのような商品をラインナップしていくかを考えます。
当初に設定していた商品点数を目安として、仕入先である卸売業者などから情報提供を受けながら、品揃えを考えます。

実際に商品を選ぶ際は、競合店の同一カテゴリーの品揃えとの比較や、自店舗のコンセプト・ターゲットも踏まえながら選定していきます。
また、カテゴリー毎に、売上の中心となる「主力商品」や、売場のこだわりを訴求する「見せ筋商品」、季節感を訴求する「季節商品」、地域性を訴求する「地域商品」などを効果的に組み合わせるように工夫すると、メリハリのある魅力的な品揃えになります。

なお、商品を選定するにはメーカーや卸売業者を探す必要がありますが、毎年、商品を探しているバイヤーを対象とした業界の展示会が首都圏や関西圏で開催されています。展示会では定番の商品はもちろん、最新の商品も多く提案されていますので、このような展示会に参加して、実際の商品を見ながら仕入先探しをするのもおススメです。
また最近ではインターネットで卸売業者を探すこともできますし、インターネットで直接、仕入れを行うことができる場合もあります。効果的に活用しましょう。

そして商品を選定した後は、陳列棚のどこに何を配置するかを決めていきます。これを「棚割」と呼びます。お客様と競合店を意識して、「競合店と差別化できてお客様に選ばれる」棚割を策定するように取り組みましょう。

3.カテゴリー毎の利益設定を考える~商品の売価と利益率を決める

カテゴリー毎の商品ラインナップを決めた後は、それぞれの商品の値入(商品の販売価格を決めること)を行います。商品の特性により想定される利益率が異なることから、それに合わせた売価設定を行いますが、売価については競合店の販売価格、インターネットの販売価格などを考慮して、「お客様に購入していただける価格」に設定する必要があります。

単品ごとに別々の利益率に設定すると作業が煩雑になるので、多くの場合、カテゴリー毎に利益率を揃えて行きます。例えば「アクセサリーは〇%」「食器は〇%」「時計は〇%」のように、カテゴリー別の利益率を設定していきます。

売上と利益の計画を考える~店全体の粗利率を計画する

カテゴリー別の利益率を設定した後は、売上構成を考えていきます。店舗全体の売上に対する割合をカテゴリーごとに算出することで、下記の図の通り「相乗積」を算出することが可能となります。
相乗積とは「売上構成比×荒利率」で算出される数値のことです。そしてカテゴリー毎の相乗積を合計すると、店舗全体の荒利率がわかります。

【相乗積の例】
カテゴリー 売上構成比 荒利率 相乗積
A 10% 30% 3%
B 30% 20% 6%
C 20% 20% 4%
D 30% 30% 9%
E 10% 40% 4%
合計 100% 26%
(=店舗全体の粗利率)

店舗全体の荒利率で経費も賄うことができるように、カテゴリー毎の売上構成比を検討しましょう。必要に応じてカテゴリーごとの荒利率を見直し、それに合わせて売価設定を変更するなどし、最終的な荒利計画を策定します。

カテゴリー別の売上構成比を計画した後は、店全体の売上計画を策定します。
売上計画は基本的に、客数×客単価で算出します。1日の来店客数を推測し、お客様一人当たりが購入する平均金額を推測したものと掛け合わせて1日の売上予測を算出します。
競合店の客数などを調査し、確度の高い売上計画を策定すると良いでしょう。

具体的には、自店と同じような業態、立地、規模の店舗を視察します。一時間あたり何人くらいの来店客がいるのかを午前、昼頃、夕方頃に調べ、1時間あたりの平均客数を割り出します。次に来店客のレジ精算の様子を10人程度観察して、平均で何円程度購入しているかを調べます。
パン屋さんを例にすると、1時間平均10人×8時間営業だと1日80人の客数になります。150円のパンが3~5個購入されていれば、平均客単価は600円程度になります。売上の算出は客数×客単価で求められるので、80人×600円で、48,000円が1日の売上予測になります。

それに営業日数を掛け合わせることで月売上、年間売上を算出していきます。
そしてこの店舗全体の売上を、相乗積を算出する際に設定したカテゴリー別の構成比に分配すれば、カテゴリー別の売上計画になります。

仕入れ計画を立てる

商品を開発する_小売

売上計画を策定した後は、実際に商品の仕入れを行います。店舗全体の商品を一度に仕入れる計画を立てるのは難しいので、カテゴリー毎に考えると良いでしょう。棚割を見ながら、カテゴリー毎に売場に陳列する数量を単品別に計画していきます。

その際、それぞれの商品が売れると思われる頻度(商品回転率)を考えながら、良く売れそうな商品(単価が低いものなど)は売場陳列量以上に在庫として仕入れ数量を多く計画し、逆に売れる頻度が低いと思われる商品(単価が高い商品や用途が少ない商品)は、なるべく仕入れ数量を少なく計画します。その他、注文できる頻度が少ない商品、例えば輸入品など仕入れが安定しない商品は多少の在庫を持つ計画を立てると良いでしょう。
高額商品や売れる頻度が低い商品は多く持ちすぎると在庫過多になってしまうので、陳列を工夫して売場の陳列数量そのものを少なくし、在庫を少なくするような工夫も必要です。

ひと通りの仕入れ計画を策定した後は、実際に仕入金額を算出し、売上計画と突き合わせながら、売上計画に対して仕入金額が多すぎないか、などのチェックを行います。仕入れについては手元資金との兼ね合いもありますので、仕入れ過ぎて店舗を運営する資金が足りなくならないように、注意が必要です。

まとめ

  • 商品ラインナップは独断ではなく、お客様のニーズや競合店の状況を踏まえて計画する
  • 商品の偏りを防ぐため、大枠としてのカテゴリーを決めてから品揃えを検討する
  • カテゴリーごとに利益率を設定する。それを元に相乗積を求めると、店舗全体の粗利率がわかる
  • 商品の回転率を踏まえ、資金が足りなくならないようにて仕入れ計画を立てる

店舗を運営する場合、自分自身が好きな商品だけを販売していても商売は成立しません。商圏内のお客様のニーズを把握し、競合店の品揃えや取り組みを把握し、それらに対応した品揃えを検討していきます。創業して初めての仕入れを行うときは、つい仕入れ過ぎてしまったり、逆に少なすぎたりする事態も発生します。事前にしっかりと計画して、お客様に喜ばれ、且つ、円滑に店舗運営できる商品ラインナップを目指しましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

渡貫 久株式会社ユーミックプロデュース 代表取締役

中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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