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【小売店】顧客管理とは?メリットや必要な理由など成功のポイント解説

顧客管理の仕組みをつくる_小売

小売業を経営していく上で「お客様に自店を選んでいただく」ことは極めて重要なテーマになります。お客様に選んでいただくためには、「競合に対する優位性を確保する」ことに加え、「お客様のことを良く知り、お客様の期待に応える」ことが必要になります。そしてお客様のことを良く知るためには、お客様の情報を収集し、管理、分析する「顧客管理」が欠かせません。
ここでは小売業界における顧客管理の基本や考え方についてご紹介いたします。

この記事の目次

顧客管理とは何か?

顧客管理の仕組みをつくる_小売

顧客管理とは、お客様の情報を収集・管理・分析することでお客様のニーズを把握して、顧客満足度の向上に繋げる一連の取り組みのことです。

小売業の場合、お客様に来店していただき、店舗にある商品を購入していただくことで初めて売上が発生します。お客様のニーズを把握して売場やサービスの改善に活かす顧客管理は、小売業が行うべき重要業務と言っても良いでしょう。

昔の商店であれば、お客様一人ひとりと会話をしながら対面での販売を行い、自然とお客様の情報収集、そしてニーズを把握して店舗運営に活かしていました。しかし、現代においては非対面でのセルフ販売が主流となり、以前のような対面コミュニケーションによるニーズ把握は難しくなっています。昨今、来店客が多様化していることも、それを難しくさせている一つの要因です。

その半面、現代ではPOSレジや会員カードなどを活用することで、お客様と会話をすることなく情報が収集できるようになりました。しかもデータ化して、ストックしておく手段も揃っています。テクノロジーを活用することで、昔の商店以上に顧客ニーズを把握することができるのですから、これを活用しない手はありません。

もちろん、POSレジなどを導入していない小規模の店舗にとっても顧客管理は重要になります。店舗の大小や業態によって、適した顧客管理のあり方は異なります。物理的に、紙を使って情報収集する方が効果的なケースもあります。自店のスタイルにあった顧客管理を確立しましょう。

とはいえ、POSレジや会員カードを使った情報収集ではどうしても「定量的」な情報しか集められないため、昔ならば接客などでフォローできていた顧客の好みといった「定性的」な情報を得ることは難しくなります。定量的な情報だけで不足する場合には、会員顧客を対象にアンケート調査を実施したり、顧客からモニターを募集してモニター会議を開催したりといった手段で、ある程度、定性的な情報を集めることが可能です。

顧客管理を行うメリットと必要な理由

ここからは、顧客管理をすることで得られるメリットと、なぜ顧客管理が必要なのかについてもう少し具体的にご説明します。

既存顧客に効率よくアプローチできる

小売業は、生産者、メーカー、卸売業者から購入した商品を、最終的に顧客に販売することです。つまり、他店でも同じものを購入することができます。そのため顧客は自店以外の店舗を利用することも多く、そのまま顧客が流出してしまうといった状況も発生します。その点で小売業は競争が厳しい業種と言えるでしょう。

「顧客が他店に流出しないようなんらかの施策を講じたい」と、多くの店舗は考えます。その手法の一つが顧客管理です。

一般的に、既存顧客を維持するコストよりも新規顧客を獲得するコストの方が高いと言われています。
その理由は、顧客管理をしてメールアドレスやLINEなど顧客へ直接連絡が取れる状態になっている場合、ダイレクトメールなどさまざまな方法でコストをあまり掛けずに情報を伝えることができるからです。

その一方、自店を利用していない相手(潜在客)に対して情報を伝えることは難しく、不特定多数にチラシを配布するなど、コストのかかる手段を取らざるを得ません。

顧客を新たに獲得するよりもコストが低く、対象者が特定できて施策を講じやすく、効果が期待できるのが、顧客管理の大きなメリットの一つと言えます。

顧客を抽出して効率的に分析できる

小規模な店舗であれば個別の顧客ごとにデータを整理、分析することができます。しかし店舗が成長し、規模が大きくなってきた場合、個別の顧客の購入データを分析して施策を講じようとすると、顧客数が多く分析も対応も難しくなります。

一方で、顧客管理を適切に行って顧客をカテゴリーに整理することができれば、分析が容易となり、施策を講じることが可能となるわけです。

例えば500人の顧客の中から50人の優良顧客というカテゴリーを抽出すれば、50人にピンポイントで優良顧客優遇策を講じることができます。意図していた優良顧客に情報を伝えることで店舗の利用促進が期待できる上、無駄にコストを費やさず50人にコストを集中できるので、結果的に販売促進費のコストダウンにも繋がります。

顧客管理が必要な理由

顧客管理によるメリットをまとめると、「分析対象をカテゴリー化することで手間を省ける」「カテゴリーに合った施策を講じることで効果が期待できる」「対象を特定カテゴリーに絞り込むことでコストダウンできる」などがあります。

もし自店が顧客管理をしておらず、競合店が顧客管理をして施策を講じている場合、競合店の顧客満足度は高まり、自店からの顧客流出は多くなり、自店の顧客が減少する=売上が減少するという事態になりかねません。

小売店の経営は、「お客様から店舗を選んでいただく」ことと「競合店との競争に勝つ」ことが重要なポイントになります。顧客管理はそれを実現する有力な手法であり、極めて必要性の高い取り組みと言えるでしょう。

顧客管理の方法

顧客管理の基本

顧客管理の基本は、データを収集することです。データには「属性情報」「履歴情報」の2種類があります。

属性情報とは、「お名前」「ご住所」「メールアドレス」「生年月日」「性別」など、顧客そのものが持っている特徴に関する情報のことです。登録した時点からの変更頻度が低い情報になります。
履歴情報とは、お客様の「来店日時」「購入情報」など、店舗を利用する度に蓄積していくデータです。お客様が来店する度に更新される情報になります。

顧客管理ではこの「属性情報」と「履歴情報」を組み合わせてさまざまな情報を整理し、その事実から特徴やニーズを導き出し、具体的なアクションプランを考えていくことになります。

例えば、生年月日のデータから誕生日に特典付きのDMを送付する取り組みや、前回の来店から一定期間が経過したら来店を促すDMを送付するような取り組みは、よく行われる基本的な施策です。

顧客管理の流れ

実際に顧客管理を行う際は、既存顧客をなんらかの基準で識別してカテゴリーに分け、そのカテゴリーごとにデータを整理、分析する、というのが大まかな流れになります。

多くの場合では、顧客を「累計の購入金額」「来店日時」などの履歴情報を使って識別し、「優良顧客」「一般顧客」「新規顧客」のようなカテゴリーに分けて分類します。そして、例えば「優良顧客」のカテゴリーを抽出して、「優良顧客を維持するために優良顧客だけにポイントを加算する」といった施策を講じることが可能となります。

その他の顧客管理の手法としては、「累計購入金額」「最終来店日」「累計来店回数」から顧客の分類を行う「RFM分析」、顧客を累計購入金額順に並べて10等分して顧客の分類を行う「デシル分析」などが有名で、よく利用されています。

これまでの説明をまとめると以下のようになります。最終的に顧客の情報をどのように分析・活用したいのかを見据えて、顧客管理の方法を考えるようにしましょう。

顧客管理の仕組みをつくる_小売

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顧客管理ツールの種類

顧客情報を集めるには、会員カードシステムなどを導入して顧客に入会してもらうことから始めます。POSレジを導入するなら、導入時に業者に相談してみると良いでしょう。POSレジなどを導入する規模でない場合でも、Airレジなどを使っていれば顧客管理の機能はあります。

ただし、顧客管理に取り組む際には、いきなりシステムを導入しても活用しないことが多くあります。事前に何に使うのかを明確にしてからシステム会社などに相談した方が良いでしょう。

1日の来店客が少ない小売業であれば市販の顧客管理ソフトでも管理できますし、ある程度パソコンが使えるならエクセルでの管理も可能です。実際、ある雑貨店の事例では、紙ベースで管理していた顧客毎の売上金額をエクセルに入力し、1年間の累計売上順に並び替えた「デシル分析」で「優良顧客」「準優良顧客」を抽出して顧客管理に取り組みました。

また、紙の顧客カードなどを作成し、購入履歴を記入していく方法もあります。あるコーヒー豆専門店では、顧客が購入したコーヒー豆の「種類」「焙煎度合い」「豆の挽き方」などを顧客カードに記録し、次回の利用時に前回とは違った豆や焙煎度合い、挽き方などを提案する対応を行っています。

このように、大規模なシステムを使わなくても顧客管理は可能です。試行錯誤しながら、自店にあった顧客管理のスタイルを確立していくとよいでしょう。

小売で顧客管理を成功させるポイント

顧客管理の仕組みをつくる_小売

小売業で顧客管理を行う場合、顧客カテゴリー毎に属性データをしっかりと分析して仮説を立てることが重要です。

例えば「優良顧客」に次ぐ「準優良顧客」のカテゴリーの購買データを調べて、Aの商品群を好んで購入していることが分かれば、「準優良顧客がAを利用した際のポイントをアップすれば購入が増えるかも?」といった仮説を立て、施策を講じることができます。もちろん効果があったかどうかを検証し、次の施策に繋げていくことも大切です。

顧客のカテゴリー分類が売上UPにつながる

小規模な小売店舗の成功例を紹介しましょう。

高級雑貨を販売しているある店舗で、従来はすべての顧客に会員優待イベントのDMを出していたのですが、優良顧客だけに絞ってDMを発送するように変更しました。
すると来店客は減ったものの、優良顧客にはゆっくりと買い物ができたと喜ばれただけでなく、落ち着いて提案販売ができたことから、結果的に売上を向上させることができたのです。DM発送にかかるコスト自体も大幅に減らすことができ、DMを送付した人の来店率はかなり高い結果となりました。

また、次の機会には「準優良顧客」に絞って品揃えを変えた会員優待イベントを開催し、「準優良顧客」の売上を大きく伸ばすことができました。

データ収集だけではなく分類や分析を実施しよう

一方、失敗例とまでは言えませんが、会員カードを導入してもまったく顧客データを分析せず、全ての顧客に同じ顧客優遇施策を講じているような場合、優良顧客以外にもコストを多く費やしてしまい、効率的な販売促進ができているとは言えません。

小売業の顧客管理で効果が出ていないパターンとしては、規模の大小を問わず「顧客データを集めるだけで顧客のカテゴリーを分類していない」「会員カードをポイント付与だけに使っている」「顧客カテゴリーの特徴に合った施策を講じていない」「発信している情報が一律で顧客にマッチしていない」「会員情報がメンテナンスされておらず利用していない顧客データが多く残っている」などがあります。

システム会社任せにせず、自分自身で顧客管理の仕組みを考え、具体的な施策を考え、アクション後には結果を検証し、改善して次に活かしていくような地道な取り組みが成功への近道です。

まとめ

  • 競争の激しい小売業界では、顧客管理によって顧客のニーズをとらえることは、競合店に勝つ意味でも大切である
  • 顧客管理の基本は、「属性情報」と「履歴情報」を収集して顧客をカテゴリーに分け、カテゴリーごとに施策を講じることである
  • 顧客管理は、POSレジなどのシステムに付属する機能を活用する以外にも、エクセル、紙のデータなどでも取り組める
  • 小売業で顧客管理を行う場合、顧客カテゴリー毎に属性データをしっかりと分析して仮説を立てることが重要である
  • 顧客情報は集めるだけでなく、分類・分析したうえで施策を考え、その結果を次に活かしていくことが成功のポイント

不特定多数の来店客が多い小売業は、来店客を特定して管理する「顧客管理」に取り組むことで、顧客ニーズを把握することが可能となり、次の来店に繋げる施策を講じることが可能となります。競合店との競争に勝ち、顧客に支持されるためにも顧客管理に取り組み、顧客満足度の高い店づくりに取り組みましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

渡貫 久(わたぬき ひさし)株式会社ユーミックプロデュース 代表取締役

中小企業診断士として、経営全般の相談や中長期経営計画の策定支援を専門分野に経営支援を行う。食料品小売業の経験が長いことから、食品系のマーケティング・販売促進・販路開拓・商品開発が得意分野。2006年から現在まで、公的機関や大学、民間企業において「マーチャンダイジング」「情報化」「ビジネスプラン作成」「商圏分析」「営業管理者研修」等の研修講師を務める。共著に『小売業のための利益改善&能力開発チェックリスト1000』がある。

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