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【美容サロン】経営ビギナーこそ「事業計画書」で起業を成功させよう

事業計画書をつくる_美容

エステサロンの開業を考えるとき、最初に準備を始めたいのが「事業計画書」です。これまでに「事業計画書」をつくったことがある人は少ないでしょうし、取り掛かるのに大きなハードルを感じるかもしれません。しかし、お店を立ち上げるならば必ず作成しておきたいのが、この「事業計画書」です。
本記事では、エステサロンを開業する際、事業計画書を作成するメリットや、作成する上での具体的なポイントについてお伝えします。

この記事の目次

事業計画書とは

事業計画書とは、サロンの開業から3~5年の中期経営方針、事業計画、資金計画などをまとめたものです。

事業計画書を作成することで、ご自身が今まで頭の中だけでイメージしてきた事業概要やコンセプト、スケジュールなどが、より具体的に、現実可能なものに近づきます。また、サロンを維持していくための経費等も明確になるため、開業後にどのくらいの売上や客数が必要なのかもおのずと見えてきます。

事業計画書によって、現実を目の当たりにすれば、やらなければならないことの優先順位も明らかになります。

事業計画書を作成するメリット

エステサロンの開業時に、金融機関から創業融資を受ける方も多いと思います。その際、必ず「事業計画書」の提出を求められます。事業計画書の内容の精度・説得力によって、融資を受けられるかどうかが決まります。

自分がお金を貸す立場で考えれば分かりやすいと思いますが、融資審査の担当者がまず見ているのは、「この人にお金を貸して返済できるか?」ということです。金融機関はお金を貸すことで利益を得ています。返済される可能性の低いお金は貸してくれません。事業計画書を通して、「きちんと計画的に経営できそうか」「それによって、確実な返済をしてくれそうか」をチェックするのです。

創業融資を受けない方もいるでしょう。では融資を受けない場合、事業計画書を作る必要はないのでしょうか。
仮に第三者に事業計画書の提出を求められなかったとしても、具体的な事業計画を立てておくことは、サロンを経営していく上でとても大事なことです。もちろん天性の勘で、事業計画書を作成せずに、成功されているサロンオーナーさんもいらっしゃいます。ただそれはほんの一握りです。

頭の中でイメージしただけの内容を事業計画書に落とし込み、それを第三者に見せ、フィードバックをもらうことで、見落としていた点に気づき、計画の見直しや修正をすることもできます。したがって、エステサロンを開業する際には、融資を受ける・受けないに関わらず、事業計画書を作成する必要があると考えて良いでしょう。

事業計画書作成のポイント

事業計画書をつくる_美容

それでは、事業計画書は具体的にどのように書けばよいのでしょうか。

創業融資を申し込む際、国が100%出資をしている「日本政策金融公庫」を選ぶことが多いと思いますが、日本政策金融公庫には、事業計画書のフォーマットが用意されています。今回はその項目にならって、ポイントを以下にまとめました。

もちろん、他の金融機関に融資を申し込み、専用フォーマットが用意されていないケースでも、まずは日本政策金融公庫のフォーマットの項目にならって、まとめてみるのがよいでしょう。

日本政策金融公庫の項目は、以下の8つです。①創業の動機、②経営者の略歴等、③取扱商品・サービス、④取引先・取引関係等、⑤従業員、⑥お借入の状況、⑦必要な資金と調達方法、⑧事業の見通しです。それぞれについて、以下にポイントをまとめました。(融資を受けない方は、⑥のみ必要ありません)

①創業の動機

「創業の動機」は、新たにエステサロンを始めるための想いや熱意、目論見を伝える項目です。何の準備もなく開業するわけではないと思いますので、「なぜ起業しようと思ったのか」「なぜエステサロンなのか」など、創業の原点について、熱意が伝わるようにまとめてみるとよいでしょう。

自らの創業の原点を書面化しておくことは、中長期的に考えても、とても大切です。経営をしていると、様々な不測の事態が起こり、経営が厳しくなることもあります。長く経営していると、「何のために経営しているのか」を、いつの間にか見失ってしまうこともあると思います。そんな時に「創業の原点」を読み返すことで、忘れていた気持ちを思い出して踏ん張れたり、再度自分を奮起させるきっかけになったりもするのです。創業の想いに共感して、応援してくださる方も出てくるでしょう。

②経営者の略歴等

「経営者の略歴等」は、言い換えれば、自己PRの項目です。

特に創業融資の場合は、経営者としての実績がないため、経営者自身を最も見られると言われています。もちろん面談で人柄なども見られますが、その前の段階であるこの自己PRは最も大事な項目のひとつです。

「経営者の略歴等」の項目には、過去のエステサロンでの経歴を記載することによって、現在のエステティシャンとしてのスキルや、エステサロンの経営者としての適性をPRしましょう。例えば、エステティック業界の経験年数、資格や許認可などの取得状況、今まで勤めた会社で受賞した賞、マネジメントや数字管理などの経営に必要な業務経験、新店舗立ち上げ実績、個人売上実績などです。

もちろん経営者として実績を出すことと、従業員としての成果は大きく異なりますが、従業員として成果を出せていないのに、経営者として高い業績を上げられるかというと、難しいところだと思います。従業員として、特に同業種で成果を出しているかは重視されていると言われています。

③取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」は、事業計画書の骨子となる項目であり、ご自身のエステサロンの事業戦略をお披露目する項目となります。この「取扱商品・サービス」も5つに分かれていますので、1つずつ見ていきましょう。

取扱商品・サービスの内容

「取扱商品・サービスの内容」は、エステサロンで提供するサービスの詳細を説明する項目です。サロンのコンセプトを説明することはもちろん、エステティックのメニューについても細かく列挙します。メニューには大きく分けて、フェイシャル、痩身、リラクゼーション、脱毛、物販等がありますが、どのメニューをサロンの柱として事業運営していく予定なのかをまとめるとよいでしょう。

セールスポイント

「セールスポイント」では、上記の「取扱商品・サービス」をさらに具体化し、例えばフェイシャルメニューの中でも、具体的にどのような技術を使って行うつもりなのか、他のお店のサービスとの違いを説明します。
ご自身の今までの経験や実績などもPRしながら、他のサロンのフェイシャルメニューと比較し、どのように差別化できるのかをまとめると分かりやすいでしょう。

販売ターゲット・販売戦略

「販売ターゲット・販売戦略」は、どのような人をターゲットに、どのような手段で新規集客し、どのようにリピート客を増やしていくかをまとめる項目です。従業員としてエステサロンに関わっていた頃は、この部分を経験している人が少ないため、新規開業してから苦戦する人が最も多い部分でもあります。

この項目をまとめることをきっかけして、エステサロンの経営やマーケティングについて書かれた本を読んだり、セミナーに参加したり、または実際に繁盛しているエステサロンに一定期間通ってみて、どのような取り組みをしているのか、実際にお客様の立場で経験することも有意義です。

競合・市場など企業を取り巻く状況

「競合・市場など企業を取り巻く状況」は、実際にエステサロンを開業する地域特性や、その地域の競合となるエステサロンと比較しての差別化ポイントをまとめる項目です。最寄り駅から近い、道路から視認性が高い、柱になるメニューがある、など競合と比較した自サロンの優位性をまとめるとよいでしょう。

また、意外と実行する人が少ないのですが、開業する前には、ホームページやSNSでチェックするだけではなく、競合となりそうなサロンには必ず実際に足を運び、体験に行っておきましょう(実際に開業すると、競合店には訪れにくくなるので、開業する前が唯一のチャンスです)。

実際に現地へ行ってみないと分からないことはとても多いです。その経験から自サロンの優位性を考えることもできます。

④取引先・取引関係等

「取引先・取引関係等」は、開業後にどのくらい売上見込みがあるかをPRする項目です。エステサロンの場合は、顧客は「取引先」でなく一般消費者になりますので、開業したら通ってくれそうなお客様のリストをこのタイミングでまとめるとよいでしょう。

リストを作成してみて、現実に直面すると思います。見込みが思ったよりも少ないのであれば、まずは知り合いからでも良いですので、開業後に来店してくれるようなきっかけづくりを今から進めていくことも必要になります。

⑤従業員

エステサロンを開業するにあたり、1人で開業するのか、スタッフを雇用して開業するのかによって、事業計画も大きく異なってきます。サロンのベッド数や営業日数、営業時間などにより、必要なスタッフ数は異なってきます。ただし、お客様が安定的に通ってくださるようになるまでは、収益との兼ね合いも考えながら採用しないと、人件費が経営を逼迫してしまう可能性もありますので、慎重に考えてみてください。

⑥お借入の状況

「お借入の状況」は、既存の借入状況を記す項目です。新規で法人を立ち上げて、法人で融資を受ける場合は、既存の借入はないと思いますが、個人事業主として融資を受ける場合は、事業収入から生活費や融資の返済費を捻出するため、例えば住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど、個人での借入の状況を記す必要があります。

⑦必要な資金と調達方法

初めてエステサロン開業する場合は、そもそも何にお金がかかるのか分かっていない方が多いので、これを機に情報収集をすることをおすすめします。まずは既に開業されているエステサロンオーナーさんに聞いてみるとよいでしょう。

資金は大きく分けて、「設備資金」と「運転資金」に分かれます。「設備資金」は、物件の保証金、物件の内装費、ベッド、パーティションなどの設備、冷暖房設備、レジ、机・椅子、ホームページ作成費などが含まれます。設備資金の融資を受ける際には、必ず見積書の提出が必要になります。見積書は、購入先に依頼すれば作成してもらえます。また「運転資金」は、人件費、家賃、支払利息、広告費、備品費、水道光熱費、通信費などが含まれます。

開業時には、余裕をもって6カ月の運転資金を確保しておくと安心です。設備費など予想以上にお金がかかるものですので、最低でも、3カ月分の運転資金(売上はゼロとして見込む)は確保しておきましょう。

⑧事業の見通し

「事業の見通し」では、売上の根拠が分かるように計算式を記入します。売上の根拠が曖昧だと、事業計画が不十分だとみなされる可能性があります。そのため、計算式を使って、どのように売上を算出しているかを説明する必要があります。

たとえば、エステサロンの売上は、「1日あたりの来店客数」×「客単価」×「営業日数」から計算できます。実際に試算してみると、1人でも客数を増やすためにどうすればいいか、客単価を上げるためにはどうすればいいかを考える良いきっかけになります。現状の見込み客数で足りなければ新規集客が必要になりますし、客単価が足りなければ、オプションメニューや物販で客単価を上げる必要があるかもしれません。もしくはエステメニュー自体の料金を上げる必要があるかもしれません。

頭の中でイメージしているだけでは、なかなか現実と向き合いにくいですが、このような書面に落とすと、現実的なシミュレーションをせざるを得なくなります。しかし、これがお店の成功への第一歩なのです。

まとめ

  • 事業計画書は、頭の中にしかなかった事業のイメージを、より具体的に・現実可能なものに近づけるために制作する
  • 融資を受ける場合、既存のフォーマットに沿って作成。受けない場合も、協力者を増やすために説得力ある資料をつくる
  • 日本政策金融公庫のフォーマット場合、①創業の動機、②経営者の略歴等、③取扱商品・サービスなど8つの項目がある

苦労して事業計画書を作成しても、実際に開業したあとは、計画通りに行かないことがほとんどです。経験が少ないことにチャンレジするわけですから、想定外のことがたくさん起こりますし、数値計画も、どうしても楽観的に作ってしまいがちです。しかし、事業計画書をあらかじめ作っておくことで、様々なシミュレーションを事前に行うことができます。全くの無計画でスタートするより、様々な準備ができますので、事業成功の確率は飛躍的に上がると思います。
また、融資を受ける・受けないにかかわらず、事業計画書を作成したら、先輩経営者を中心に、1人でも多くの方に読んでもらい、フィードバックをもらうことをお勧めします。それにより、経験のある経営者から、想定していなかった点を指摘されて、あらためて事前に準備することができます。あなたの事業の応援者になってくれる可能性も、きっと高まるでしょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

榎戸 淳一(えのきど じゅんいち)株式会社ES-ROOTS代表取締役

大学卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。「エステティック業界の健全化」に使命感を感じ、エステティック業界のコンサルティングを立ち上げる。2009年8月同社退職後、株式会社ES-ROOTSを立ち上げ、代表取締役に就任。2010年1月に東京都目黒区にオーガニックコスメ&エステサロン「フルーツルーツ」をオープンさせる。第2回エステティックグランプリでは、モデルサロン部門、フェイシャル技術部門で2冠を受賞。ビューティーワールドジャパンのメインステージ、たかの友梨ビューティクリニックなど、様々な講演講師も務める。一般社団法人エステティックグランプリの2代目理事長も務めた。山野美容芸術短期大学で「サロン経営学」の授業も担当した。著書に「サロンはスタッフ育成で99%決まる」「サロンとスタッフが輝く28+8の成功法則」「愛されるエステティシャンの秘密」がある。https://www.fruitsroots.com/

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