従業員の退職金制度に関して経営者が知っておきたい3つのポイント
従業員の退職の際に支給する退職金。大手の会社なら当たり前のようにある制度ですが、小さなお店では退職金の制度を整備するのは難しいものです。一方で、退職金制度があれば、従業員の満足度も高まります。今回は、小さなお店でも導入できる退職金制度について見ていきましょう。
この記事の目次
ポイントその1 退職金制度を定めるかどうかは自由
そもそも退職金制度を定めるかどうかということは、事業主の自由です。ボーナスを支給するかどうかを決めるのが事業主次第であるのと同じです。従業員がいつまで勤続してくれるかわからないといった場合や、アルバイトが多いといった場合には、そもそも退職金制度を定めるということ自体が難しいでしょう。実際、小規模な飲食店などは人の入れ替わりも多いため、退職金の制度を定めているところはほとんどありません。
退職金制度を定めるには、雇用するときの労働契約で退職金制度について、従業員に明示しなければなりません。(就業規則を定めている場合には、就業規則にも記載する必要があります。)
具体的に明示する事項は、下記の3つです。
- 退職金制度が適用される労働者の雇用形態(正社員、契約社員、等々)
- 退職金の決定、計算・支払の方法
- 退職金の支払時期
明示の方法は労働契約の際には口頭でもよいということになっていますが、書面で明示したほうがよいでしょう。退職金制度がないという場合には、特に何も明示する必要はありません。ただ、アルバイトはともかく、正社員については退職金制度はない旨は伝えておいた方が親切かもしれません。
ポイントその2 中小事業者のための退職金制度がある
いつ辞めるかわからない従業員のために、退職金のお金を引き当てておくということは、中小の事業主にとっては大きな手間になります。また、お金に困ればきっと使ってしまうでしょう。そんな中小の事業主の味方になる制度が、「中小企業退職金共済制度」、通称「中退共」です。
中退共は、独自では退職金制度を作ることができない事業主が、互いにお金を拠出しあって、退職金制度を作っている共済制度です。会社でも個人事業主でも加入することができます。
加入する場合、正社員は全員加入する必要がありますが、アルバイトやパートについては任意加入です。一人当たりの掛金は5,000円~30,000円で、一人一人金額を設定できます。ただし、掛金は全額事業主負担で、従業員の給料から天引きしたり、別途従業員から掛金の一部を徴収したりすることはできません。
中退共の掛金は、独立行政法人勤労者退職金共済機構(以下、機構)という組織で管理されます。いったん拠出した中退共の掛金は、機構で積み立てされて事業主は返金してもらうことができません。あくまで、従業員の退職金の原資を支払っているため、拠出した時点で事業主のお金ではなくなるのです。他方で、従業員が退職すれば、中退共で積み立てられた拠出金から退職金が支払われるため、退職時に事業主が退職金を支払う必要はありません。外部に積み立てる保険と同じようなものです。
ポイントその3 従業員への退職金は経費になる
事業主が支払う退職金は、通常の給料と同じように経費となります。中退共に加入している場合、掛金を支払った時点で経費にすることができます。あとは、退職時には、従業員と機構の間でやり取りになるため、機構からの退職金支払い時には事業主側では何の経費も発生しません。
まとめ
- 退職金制度を定めるかどうかは事業主が決める
- 中小事業主のために、中小企業退職金共済制度(中退共)という制度がある
- 従業員への退職金の支払いは経費になる
退職金制度を定める場合は、必要なお金を別口座で管理したり、中退共に加入したりするなどして、計画的に運用するようにしましょう。
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この記事を書いた人
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/