事業税は個人事業主で開業してもかかる?知らなきゃ困る事業税の計算方法
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
お店のオーナーが確定申告をする際に、事業税がかかるということに初めて気づくという方も多いことでしょう。事業税は、会社や大きな法人などに対してのみかかると漠然と捉えている方は、事業税の納付書をもらった段階で個人事業主に対しても事業税が課せられることに気づくことになります。事前にどのくらい事業税がかかるかということを把握しておいて、お店の経営を円滑に行えるようにしましょう。
この記事の目次
事業税とはいったいどんなものなのか?
そもそも、事業税とは事業を営んでいて所得や収入を得た額に応じて課せられる税金であり、地方税として納めるものとなっています。
事業税が所得や収入に応じて課せられるという点に関しては、所得税と似ている税金だと言えます。しかし、事業税と所得税には明らかな違いが存在しており、異なった性質の税金となっています。所得税が国に対して納めるものなのに対して、事業税は都道府県に対して納めるものとなっており、税率に関してもかなり違ったものになっていますので混同しないようにしましょう。
そして、事業税には法人に課せられる法人事業税と、個人事業に課せられる個人事業税の2種類があります。つまり、個人事業主であっても事業を運用していて所得を得ている場合には個人事業税が課せられることがあるのです。
個人事業主でも事業税がかからない場合がある
事業税と所得税のもうひとつの違いとして、事業税には課せられない業種が存在しているということも挙げられます。事業税は法律で定められた「法定業種」にのみ課せられるものであり、この業種に含まれていない事業を営んでいても事業税を課税されることはありません。
法定業種には70の業種が含まれており、以下のような種類があります。
- 商品取引業
- 保険業
- 不動産貸付業
- 飲食店業
このように世間でよく見受けられるメジャーな業種はほとんど含まれています。さらにこれらの業種が第1種から第3種まで3つのグループに分かれており、グループごとに異なった税率が定められているのです。
また、個人事業税には290万円の控除が設けられています。その他の控除を差し引いた課税所得が290万円以下の場合には、個人事業税が課税されないということも同時に押さえておくようにしましょう。
個人事業税の計算方法を押さえておこう
さて、個人事業税の計算方法を押さえておくことで、事前にどのくらい税金として納付しなければならないかが分かります。お店のオーナーの方はぜひとも押さえておくようにしましょう。
個人事業税の計算方法は非常に簡単であり、(控除後の所得額‐事業税控除290万円)×税率という計算で求めることができます。前述したように、税率に関しては業種によって違っているうえ、都道府県ごとに違いもあります。例えば東京都の場合であれば、以下のようになっています。
- 第1種事業(飲食店業、商品取扱業など) 5%
- 第2種事業(畜産業、水産業など) 4%
- 第3種事業(医業、弁護士業、公認会計士業など) 5%
- 第3種事業のうちあんま・マッサージ、はり・きゅう業など 3%
都道府県ごとの税率に関して調べてから、前述した計算方法で算出してみましょう。
まとめ
個人事業主が事業税について理解すべきこととしては、以下の3つのことが挙げられます。
- 所得税と事業税の違い
- 個人事業税がかかる条件
- 個人事業税の計算方法
事業税は後々に納付するものであり、利益が上がっているお店ほど大きな金額が課税されますから、事前に心構えがないとその金額に驚いてしまうこともあります。確定申告後に事業税についての納付書が送られてきた段階で慌てないように、事前にしっかりとした知識を身につけておきましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
Airレジ マガジン編集部
自分らしいお店づくりを応援する情報サイト、「Airレジ マガジン」の編集部。お店を開業したい方や経営している方向けに、開業に向けての情報や業務課題の解決のヒントとなるような記事を掲載しています。
中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)
起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/