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【飲食店】開業したら欠かせない「売上管理」レジシステムの選び方から運用・分析まで

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

飲食店の売上管理は、末永くお店を続けていくために不可欠です。どれくらいの売上があるのか、過去と比較してどうか、目標にどの程度達しているかなど、数字で管理することで何か問題を発見し、それを解決するための手段を考えるヒントが得られます。
この記事では、売上管理の方法から、効率的な管理を手助けしてくれるレジの運用方法、さらに応用編として売上の分析についても、分かりやすく解説していきます。

この記事の目次

なぜ売上管理が必要か

売上管理と聞くと「毎日の売上額を記録して残しておくこと」をイメージされる方が多いと思います。もちろん、売上額の記録は作業として日々実施しなければなりません。しかし、それはあくまで次の2つの目的を達成するための手段であると理解しておく必要があります。

  1. 目標売上・利益を達成するため
  2. 数字の見える化による問題の早期発見、早期解決のため

まずは「1.目標売上・利益を達成するため」について説明していきましょう。日々の売上を記録することで、日次・月次の目標売上(あるいは目標利益)に到達しているかを数字で把握できます。仮に目標に届いていなかった場合、売上管理をしっかりしていれば「あと●円足りないから、●●の対策をしよう」と具体策を導き出しやすくなります。逆に売上管理をしていなければ、目標に届いているかどうかもわかりませんし、売上アップのための施策も感覚的なものとなってしまいます。

「2.数字の見える化による問題の早期発見、早期解決のため」はどうでしょうか。売上管理をしていれば、ほんの数日売上が下がっただけで「何か問題があるのでは?」と気付くことができます。しかし売上管理を怠ってしまうと、問題の発見が遅れてしまい、気づけば毎月赤字になっていた……となってしまうかもしれません。

このように売上管理は、お店の経営を続けるための重要な役割を担っています。いわば人間にとっての「健康診断」のようなもので、お店の状態を定期的に数字ではかり、何か問題があれば解決するためのヒントを得るために、必ずやるべきと考えるようにしましょう。

ただ、一方で毎日の売上管理のための作業は、現場スタッフにとって負担になりがちです。そこで、必要最低限の管理内容・管理方法を考えることも重要です。

それでは、次に売上管理の方法について、何をどのようにすれば良いかを見ていきましょう。

売上管理の方法

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

売上管理の方法は色々とありますが、飲食店経営においては次の2つをおすすめします。

  1. 予実管理(=月ごとの売上管理)
  2. 日報(=日ごとの売上管理)

それぞれ、詳しく解説していきます。

1.予実管理

予実管理とは、予算(予定)と実績を管理するもので、「目標通りの売上になっているか」「原材料費が予定よりも膨らんでしまっていないか」などを、一つひとつ確認できる管理方法です。予算とは、「売上高」「原材料費や人件費等の経費」の数値目標のことで、実績とは予算で設定した項目がそれぞれ実際にどうだったか、を指します。

予実管理はさらに、現場が数字を把握するために作る「現場用」と、経営判断のために作る「会社用」に分けて用意します。

現場用予実管理(店長など現場責任者が作成・管理)

はじめに以下の項目の予算(目標となる数字)を記入しておき、実績を毎日記録した上で、月次で目標に対してどの程度達成できたかを振り返ります。

  • 売上
  • 客数
  • 客単価
  • 総労働時間(※1)
  • 人時売上(※2)

(※1)1日あたり、出勤した全員で何時間働いたかの合計。例えば8時間働いた人が2名、4時間働いた人が1名いたら、8時間×2名+4時間×1名=20時間がその日の総労働時間となる。
(※2)1時間あたりの売上額。生産性の指標としたり、シフトの参考にしたりする。例えば売上が10万円で、総労働時間が20時間なら10万円÷20時間=5,000円が人時売上となる。

会社用予実管理(経営者など会社責任者が作成・管理)

月単位の売上・経費・利益を把握し、販促や経費削減など経営判断の材料とするために、以下の項目の予実を記録します。

  • 売上
  • 経費
    ┗原材料費(※)
    ┗人件費
    ┗家賃
    ┗水光熱費
    ┗販促費
    ┗その他経費
  • 利益

(※)原材料費は仕入原価ではなく棚卸し原価が好ましい。棚卸し原価とは、「実際に今月使った原材料費」のこと。例えば30万円分の原材料費を仕入れたが、実際に今月使ったのはその内20万円分でのみあれば、棚卸し原価は20万円となる。

2.日報

予実管理は、月次単位で目標達成度の把握や経営判断に活かすのに対して、日報は毎日の売上を把握するために作成します。項目はほとんど「現場用予実管理」と同じですが、それをスタッフにも情報共有します。

スタッフ一人ひとりがお店の現状を把握し、問題意識を持って業務に取り組んでもらうことが重要です。そのためには現場用予実管理を見てもらうのがベストですが、余裕のあるスタッフは少ないため現実的ではないでしょう。そこで、SNSのグループチャットなどを活用して「日報」という形で情報共有するのが効果的です。

具体的には、現場用予実管理の項目に以下の内容を添えて、毎日情報共有できる体制を作りましょう。

  • 本日の営業について(●●がいつもよりたくさん売れた、などトピックスがあれば共有する)
  • お客様のクレーム
  • 伝達事項(卵が切れてしまったので明日スーパーで購入お願いします、など翌日シフトでお店に入るスタッフに伝えるべきことがあれば共有する)

レジの運用方法

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

最近のPOSレジはどれも機能がたくさんあります。たとえば基本的な注文・会計だけではなく売上分析や顧客管理まで幅広い機能を揃えています。そこで、レジの運用を考える上でまず決めておきたいのが「どの機能を使うのか?」です。どんな機能があるのかを把握し、自分のお店ではどの機能を使う必要がありそうか、慣れてきたら追加で使う機能はあるか、などを決めましょう。

その上で、次の順番で運用していきます。

1.基本操作をスタッフに覚えてもらう

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「注文入力」画面

注文、会計など基本的な操作は、各スタッフが確実にできるようにしておきましょう。基本的には、レジの営業担当などが操作方法の研修をしてくれるので、スタッフにも参加してもらうと効率的です。

2.顧客管理のために入れる情報を決め、スタッフに覚えてもらう

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「顧客登録」画面

例えば常連のお客様に関する情報を入れておくと、関係性をより深くするのに役立ちます。お客様情報を入力するか/入力する場合どの情報を入れるかのルールを決めて、スタッフにも入力方法・何を入力するかを覚えてもらいましょう。

3.管理・分析に必要な商品情報を入力する

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「商品詳細」画面

原価率管理やABC分析といった管理・分析に必要な商品情報を入力しておきましょう。

売上と帳簿・管理会計

管理会計とは、いわゆる事務としての経理をわかりやすくまとめたものです。経理の帳簿はかなり細かい項目に分かれ、専門知識がないと理解するのが難しいため、必要最低限のデータで経営に関する数字を記録する管理会計が必要になります。

管理会計で記録する項目は、先に解説した「会社用予実管理」と同じです。以下を記録することで、売上・経費のバランスと、利益が出ているかを確認できます。

  • 売上
  • 経費
    ┗原材料費
    ┗人件費
    ┗家賃
    ┗水光熱費
    ┗販促費
    ┗その他経費
  • 利益

管理会計による予算(売上)管理の方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

売上を分析する

売上管理をすることで、日次・月次の売上がどのように推移しているかを把握したら、次はそのデータを分析して売上アップのための施策を考えてみましょう。

ABC分析

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「商品別売上一覧表」画面

商品別売上を出して、売れ筋商品を見極めるABC分析に活用できます。ABC分析の結果を受けて、商品の追加・強化・削除、値上げ判断、仕入れの改善、メニューブック改善などにつなげていきましょう。

ABC分析について、詳しく知りたい方・実践してみたい方はこちらの記事をご覧ください。

曜日別・時間帯別の売上分析

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「時間帯別表示」画面

曜日や時間帯別での売上を見ることで、仕込みやシフトの調整の最適化に活用できます。例えば、平日の中でも水曜日は売上が多い傾向にあるから、シフトで人数を多めに入れておこう、などの判断ができるようになるでしょう。

カテゴリ別の売上分析

売上管理・レジシステムを準備する_飲食

例:Airレジの「販売商品」画面

「揚げ物」「サラダ」などのカテゴリ別で売上を見ていけば、カテゴリの強化や利益率改善、オペレーション改善に活かすことができます。例えば揚げ物の売上が高かった場合、揚げ物で新しい種類の商品を増やせばさらに売上を伸ばすことができるかもしれません。日本酒の売上が伸びているけれど、日本酒は原価が高くて利益率が下がってしまうので、種類を絞って利益率を改善しよう、といった施策を考えるきっかけを得られる場合もあります。

売上管理よくあるQ&A

最後に、売上管理について飲食店経営者の方よりよくいただく質問・疑問にお答えしていきます。

Q1.経営者の人件費はお店の人件費に入れるのですか?

A1.経営者が現場で作業をした場合は、その分をお店の人件費として入れることが多いです。時給は経営者ご自身で決めて問題ありません。

Q2.クローズ時のレジ金の扱いはどうすれば良いですか?

A2.銀行のATMにすぐに入金できるのがベストですが、夜には開いていないことが多く、コインを入金できない問題もあります。クローズが夜遅いお店の場合は、店内に金庫を置いて監視カメラを設置、翌日銀行に入金するのが現実的な扱い方でしょう。

Q3.レジ打ちをしないで現金を抜くなどの不正について、どう対策すれば良いですか?

A3.不正ができない環境を作ることが重要です。具体的には、監視カメラを設置すること。あとは、オープン時・中締め時・クローズ時に毎回現金をチェックすれば、何かあった場合でもすぐに気づくことができます。

まとめ

  • 売上管理が必要な理由は「目標売上・利益達成」「問題の早期発見、早期解決」のため
  • 売上管理には月ごとの「予実管理」、日ごとの「日報」がある
  • レジの運用で最初にするのは「使う機能・使わない機能」を決めること
  • レジシステムを活用し売上を分析して、売上・利益アップにつなげる

ゆっくりと進む環境変化に対応できない比喩で「ゆでガエル理論」というものがあります。これは、カエルを水の中に入れて、少しずつ温めていくと、逃げ出すタイミングを逃し気づいたら熱湯でゆで上がってしまっていた……という寓話が由来です。売上管理をしないお店は、このゆでガエルと同じようなもの。売上減少などの状況悪化に気づくことができず、いつの間にかお店の存続すら危うい事態に陥ってしまうかもしれません。ゆでガエルになってしまうことを避けるためにも、日ごとや月ごとの売上管理をしっかり行うことで、問題を早期発見できるようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

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笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」を育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」の資格講座を提供している。
また、年間3桁の飲食店の売上アップのコンサルティングや開業支援、業態開発などを行う飲食店専門コンサルティング会社「飲食店繁盛会」の代表も務める。
著書に『売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)』等。セミナー・研修は年間約100本。メディア掲載も多数。
●販売促進士日本フードアドバイザー協会
https://spfaaj.or.jp/
●飲食店繁盛会
https://hanjoukai.com/
●Instagram『1日1分で学べる販促&メニュー戦略』でノウハウ共有中
https://www.instagram.com/hansokushi/