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店長が「シフト表」をカンタン・正確につくるには。現場に基づくコツ・注意点も

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

シフト表

お店側にとっても従業員にとっても、予定を把握するために欠かせない「シフト表」。初めてシフト表を作る方や、適切なシフトの組み方がわからない方のために、“管理しやすく”“見やすい”シフト表の作り方をまとめました。知っておきたいコツや注意すべきポイントとあわせて、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

シフト表とは、変動する勤務予定をひとつの表にまとめたもの

シフト表とは、お店を運営する際「いつ」「誰が」働くのかを一目で見てわかるようまとめたものです。そうすることで、店長は「人員が不足していないか、お店が滞りなく回るかを把握できますし」、従業員は自身の勤務スケジュールを確認できるようになります。

それらのために1日ごとのシフト表には下記の項目が最低限必要になります。

  • 氏名
  • 出勤時間
  • 退勤時間
  • 休憩時間(オプション)
  • 総実労働時間(オプション)

シフト表

【よりお店の管理をしやすくするための工夫も】
上記のシフト表と一緒に「TODOリスト」「従業員の健康管理表」「衛生管理表」「HACCP(ハサップ)」※1といった、毎日確認すべきことをひとまとめにするなど、お店の管理がしやすくなるようアレンジするのもおすすめです。
※1:HACCPとは2021年6月1日から飲食店では完全義務化で取り組まないといけない衛生管理のこと
参考:HACCPに沿った衛生管理の制度化について

【練習問題あり】シフト表の作り方5STEP

※本段落は、あくまでシフト表作成の考え方の一例ですので、必ずこうしなければならないという訳ではありません

シフト表の作成は、店舗をつつがなく運営するために、必要なスタッフに「いつ」「どこで」勤務してもらうかを決めるためにあります。
さらに理想を言えば、お店の売上・利益を最大化するために、「どこにどう人材を配置するか」「人件費をどの程度にするかを見据え、どうコントロールするか」を考えながら作成できると良いでしょう。

人件費をコントロールする必要性については、こちらの記事もご参照ください。
シフト管理を見直せば、店長と従業員どちらもラクになる

それではここから、シフト表の作り方を5つのSTEPに分けて解説します。その後には練習問題も用意しているので、作り方を参考にしながらシフト作りを体験してみてください。

【事前作業】モデルシフトを立てる

シフト表のフォーマットを作成するためには、モデルシフトを立てることから始めましょう。モデルシフトとは、定型のシフトパターンを指します。お店の繁閑(想定)に合わせて、どの曜日のどの時間帯にどのくらいの人数が必要かを検討しましょう。平日のモデル、休日のモデル、連休のモデルなどいろいろなパターンのモデルシフト=必要人数を立てることで、各日ごとに確保できる人件費と人員数を把握し、シフトを割り当てる時のベースにすることが目的です。この作業は毎月行う必要はありません。

例:従業員7名のお店で、平日のモデルシフトを立てる場合

まず1日の売上目標とFLR比率から人件費→総実労働時間を算出します。

【1日の売上目標】10万円
【FLR】※2食材費30%、人件費30%、賃貸10%、その他経費10%、利益20%
と想定した時、1日の人件費は3万円になります。

※2:「Food(材料費)」「Labor(人件費)」「Rent(家賃)」の頭文字を取ったもの。一般的にこの3つのコストを70%以下に抑えるのが望ましいとされる。

その3万円を従業員の時給で割ると、総実労働時間を算出することができます。
従業員の時給が1,000円の場合、1日30時間の労働時間が確保できるということです。

「人件費(30%)」30,000円÷「時給」1,000円=「総実労働時間」30時間

次に、算出した総実労働時間を超えないように、時間を振り分け、各時間帯に必要な人員数を把握するようにしましょう。

ポイント①1日の流れの中でピークやダウンを考慮し、各時間帯に何人ずつ配置すべきかを決める

シフト表

上のイメージの様に総実労働時間内に、「いつ」「何人(誰が)」欲しいのかがわかるようなモデルシフトが構成されていると、シフト組に悩む時間の短縮にもつながります。

また、「人時売上高」のことも考えてモデルシフトを組み立てると、お店の売上・利益の最大化につながります。人時売上高とは、“従業員1人あたり1時間の労働で、いくら売り上げることができたか”という指標になります。一般的には、人時売上高は4,000円超えを目標とすることが多いです。

売上10万円・総実労働時間30時間の場合、人時売上高は3,000円です。人時売上高の目標を4,000円にすると、実総労働時間は25時間となり人件費が25%(25,000円)に抑えられるため、利益が5%UPとなります。

「売上目標」100,000円÷「人時売上高目標」4,000円=総実労働時間25時間
「総労働時間の差分」5時間×「時給」1,000円=5,000円利益UP

ちなみに、「人時売上高の目標を高く設定する」は即ち「人員を削り人件費を抑える」ということを意味しません。従業員一人一人のスキルを高めることによって、利益UPを実現する、ということです。例えば、アルバイトのAさん新人のとき2名がかりで取り組んでいた仕事を、1人で捌けるようになれば、人時売上高がUPします。

【STEP1】作業計画を立てる

シフトを作る期間の作業計画を立てます。作業計画とは「シフト希望の提出締切日」や「シフト提示日」といったシフト表作成に必要なタスクとスケジュールを計画立て、お店(店長)と従業員の間で認識を揃えることです。

多くの飲食店では月を前半・後半の2つに分け、2週間ごとにシフト表を作ることが多く、下の図のような流れで進めます。遅くとも実働日の5日前にはシフトを従業員に展開しましょう(9月1日~のシフトは、8月27日ごろには展開する)

シフト表

【STEP2】シフト希望を収集

次に、従業員のシフト希望を提出締切日までに収集します。

ポイント②シフト希望は「シフト希望表」など1つにまとめておく

シフト表

シフト希望の収集方法に決まりはありませんが、イメージの様にシフト希望を1つにまとめておくと情報の抜け漏れがないか確認しやすくなります。

ポイント③シフト希望を収集しながら、目星をつける
従業員が複数いると、どうしても希望が重なってしまう事があります。その場合、できるだけ労働時間に大きな偏りがないかを確認しながら従業員を選定しましょう。

例:9月2日(金)OPEN~13時で、田中さんと鈴木さんの希望が被り、田中さんを優先した場合

9月9日(金)OPEN~13時で、再度被りが発生した時は、鈴木さんを優先するといった形で調整をします。ここに関して決まりはありませんが、お店やスタッフの事情に合わせて、必要なスタッフ人数が満たせるように調整しましょう。

シフト表

【STEP3】シフトを割り当てる

次は、STEP1で立てたモデルシフトをベースに、シフト希望と照らし合わせながら人員を割り当てていきます。

ポイント④シフトを割り当てる時は、引き算の考え方で
シフト表に希望をすべて反映し、不必要な部分を引いていくと調整しやすくなります。

シフト表

ポイント⑤まずお店のオープンとラストをしてくれる従業員を確保する
店長はお店のピーク時や欠員が出た場合、柔軟に現場対応できるようスタンバイしておけることが理想です。そのため、従業員だけで対応できるオープンとラストは最初に押さえるようにしましょう。オープンとラストの従業員を確保したら、シフトが重なっている部分や休憩時間など全体調整を行います。

シフト表

全体調整を行い、出勤予定者全員の総実労働時間が、売上目標のうち人件費となる30%以内(この場合は、3万円分=30時間以内)に収まっていれば完成となります。

シフト表

また、シフトを組む際には、下記の項目に注意を払いましょう。

  • 休憩時間をきちんと確保しているか
    実働6時間以上の場合は最低45分、実働8時間以上の場合は最低1時間の休憩が必要です。
    きちんと休憩時間を確保できているか確認が必要になります。また、休憩は労働時間の合間に取らなくてはいけないため、タイミングにも気を付けましょう。
  • スキルバランスはとれているか
    前述の人時売上高の考えになりますが、この組み合わせ・体制で上手くお店が回るのかの確認が必要です。例えば、お店のピーク時に新人だけでお店を回すと、まだ作業に慣れていないためスピードが遅いなど、スキルの問題で売り逃しが多くなってしまうので、ピークはベテランで固めるようにしよう!など、人数だけでなくスキルの調整も心がけましょう。
  • 従業員同士の相性
    スキルバランスだけでなく、人と人との相性も大切です。従業員が働きやすい環境を作るためにも配慮が必要になる場合があります。

【STEP4】シフトを調整する

最終的な調整作業を行います。2週間分のシフトが完成したら、従業員に展開しましょう。

ポイント⑥シフト表は1日ずつまとめる

シフト表

上イメージのように1日単位でシフト表を作るようにしましょう。そうすることで、従業員自身が「何をするのか」「誰と入るのか」など働くイメージを持ちやすくなります。

また、従業員がお店の状況を把握しやすくなるため、シフト調整が円滑になるメリットもあります。例えば、16時~21時まで人員不足(上イメージの赤で色付けしている時間帯)が発生した場合でも、1日単位のシフト表ならその状況を共有しやすいことが分かると思います。勤務時間の延長やシフト希望を出していない従業員への出勤依頼がしやすくなるのです。

【練習問題】実際にシフトを組んでみましょう

ここまで解説してきたSTEP1~5を参考にしながら、以下問題①~問題③の順に沿って、架空の9月3日(土)のシフトを組んでみましょう。売上目標のうち人件費となる30%以内に抑えられるように、シフトを組んでください。

シフト表

【問題①】
Q.9月3日(土)の希望シフトは上記のように集まりました。これを元にモデルシフトを立てる場合、総実労働時間は何時間になるでしょうか?
(条件)【1日の売上目標】15万円【人件費率】30%【従業員の時給】1,000円

【問題②】
Q.問題①で算出した総実労働時間で、シフトを組んでみましょう。

【問題①の解答】
A.総実労働時間=45時間

「人件費(30%)」45,000円(※)÷「時給」1,000円=「総実労働時間」45時間
(※)【売上目標】15,0000×0.3(30%)=45,000

【問題②の解答例】

シフト表

想定する総実労働時間でシフトを組むと、例えば上イメージのようになりますが、これはあくまで解答例です。皆さんが作成したシフトが上イメージに近いかどうかではなく、下記のポイントが押えられているかが重要です。

  • 総実労働時間内に収まっているか
  • 各従業員が休憩時間(実働6時間以上は最低45分、実働8時間以上は最低1間の休憩)をきちんと取れるシフトになっているか
  • お店の運営における「必要人数」を、ピーク等の時間帯に合わせて確保できているか

現場の店長に聞いたシフト管理のお悩み

ここまでの解説や、実際に練習問題をやってみて、シフト表を作成するにも様々な要素を考えながら進める必要があると実感された方が多いと思います。実際、現場の店長にシフト表作成の悩みを聞いたところ、次のような声が集まりました。

  • 本当に人がいなくて困っている……(41歳・居酒屋さん店長)
  • スキルバランスを考えて組むのが難しい(31歳・やきとり店店長)
  • シフトを組むのに時間がかかってしまう(35歳・カフェ店長)

このように、人員配置するにも人不足のカバーや従業員のスキルバランス、利益の出し方など、様々な観点を合わせて考えなくてはいけないため、シフトを組むのに時間と手間がかかってしまう、という意見は多くあるようです。

毎月このような作業があると、店長にとっては大きな負担になってしまいます。例えば、シフトを固定すれば、シフト作りの手間を省けますが、学生を雇用している場合などは、授業があるため完全固定が難しく、急な欠員が出た場合の調整が難しくなります。

シフト表作りは毎月必ず行わなければならない重要な作業だからこそ、最初は時間をかけてでもしっかりとモデルシフトを立て、その後のシフト表作成を効率化することも必要でしょう。

主なシフト作成の方法は、「表計算ソフト」「スプレッドシート」「シフト管理システム」がおすすめ

シフト表作成に決まったツールはありませんが、毎月2回作ることを考えると、「手書き」は時間がかかってしまうため、「表計算ソフト」や「スプレッドシート」、「シフト管理システム」がおすすめです。各ツールでのメリット&デメリットを見ていきましょう。

「手書き」メリット&デメリット

メリット ツールの使い方を覚える必要がない
デメリット ツールを利用するのと比べて、作業時間がかかる

「表計算ソフト」や「スプレッドシート」のメリット&デメリット

メリット
  • 手書きよりも作業時間が少なくなる
  • 汎用ツールのため、使いこなせれば他ツールとの連携など、応用が利きやすい
デメリット シフト管理システムと比較すると、使いこなすのが難しい

「シフト管理システム」のメリット&デメリット

メリット
  • 手書きよりも作業時間が少ない
  • 専用ツールなので、表計算ソフトやスプレッドシートと比べて使いこなすのが簡単
デメリット 専用ツールのため、他のツールとの連携など応用は効きづらい

「シフト管理システム」とは、自動でシフト表を作成するサービス

前章のような店長の悩みを解決してくれるのが、「シフト管理システム」です。システムに“売上目標”と“FLR率”を登録すると、概算で人件費を算出し、シフト希望を自動反映してくれるため、シフト表作成にかかる時間を短縮し、適切なシフト表を作成してくれます。

シフト管理システムでシフト表を作った場合、当記事で解説した「シフトの作り方」の内容の多くを、自動化することが可能になります。

【自動化の例】
STEP1(モデルシフトを作る)
人件費の算出やモデルシフトの組み立て

STEP2(作業計画を立てる)
作業計画内容を従業員のスマホに自動通達

STEP3(シフト希望を収集する)
従業員はスマホから希望を送ることができ、未提出の人には自動リマインドされる

STEP4(シフトの割り当て)
概算の人件費内でシフト希望を自動反映。従業員の勤怠状況も同時に管理

STEP5(シフトを発表/調整)
見やすいデザインで従業員に告知。スマホから簡単に確認できる
コメント機能などで、調整のやりとりも簡単

もちろん細かい調整など店長自ら行う必要があるタスクは残りますが、シフト管理システムを導入するとシフト表作りの負担はかなり軽減されます。

まとめ

  • シフト表とは、変動する勤務予定をひとつの表にまとめたもの
  • シフト表作成STEP「モデルシフトを立てる→作業計画を立てる→希望を収集→希望割り当て」
  • 主なシフト作成方法は「表計算ソフト」「スプレッドシート」「シフト管理システム」
  • シフト管理システムとは、希望を吸い上げ自動でシフト表を作成するサービス

シフト表は、シフトを間違いなく管理するための大切なツールです。モデルシフトの立て方や人件費の割り当てについての考え方など、本記事を参考にしてシフト表を作成してみてください。また「シフト表の作成に手間がかかっている」といった悩みがあるなら、システム導入を検討してみるのも良いかもしれません。自分のお店の状況や課題に応じて、適切なシフト表の作成方法を選択するようにしましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

この執筆者の記事一覧

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)シニア販売促進士/飲食店コンサルタント

飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」を育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント「販売促進士」の資格講座を提供している。
また、年間3桁の飲食店の売上アップのコンサルティングや開業支援、業態開発などを行う飲食店専門コンサルティング会社「飲食店繁盛会」の代表も務める。
著書に『売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)』等。セミナー・研修は年間約100本。メディア掲載も多数。
●販売促進士日本フードアドバイザー協会
https://spfaaj.or.jp/
●飲食店繁盛会
https://hanjoukai.com/
●Instagram『1日1分で学べる販促&メニュー戦略』でノウハウ共有中
https://www.instagram.com/hansokushi/