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住宅ローンと年末調整の関係は?意外に知らない住宅ローンの会計基礎知識

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

住宅ローンと年末調整などの会計処理の関係に関して、完璧に理解しているという経営者の方は少ないのではないでしょうか。経営者の方は住宅ローンを自分で組んだ場合はもちろん、従業員が住宅ローンを組んだ際の源泉徴収などについても、正しい知識を備えておくことが大切です。控除時の扱い方や還付金の計算方法まで、正しく理解して適切に扱えるようになりましょう。

この記事の目次

住宅ローンとは?

そもそも住宅ローンとは、住宅を購入する際に低金利かつ借入期間を最長35年までと長く設定したローンのことであり、会計上における扱いが他のローンとは違っているものとなっています。

住宅ローンは「住宅借入金等特別控除」という控除を受けることができます。控除を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • ローンが10年以上の期間であること
  • 中古住宅の場合には、耐火建築で25年未満、耐火建築でない場合には20年未満の建築物であること
  • 床面積の半分以上が居住用であること
  • 取得してから6ヶ月以内に住むこと

このような条件を満たしている場合に、課税所得額から住宅ローンの金額を控除してもらうことが可能となります。給与所得の場合には源泉徴収時に、個人事業主の場合には確定申告時に、それぞれ控除が行われます。

確定申告と年末調整時の扱い方

では、実際に住宅ローンは、確定申告時と年末調整時に、それぞれどのように処理が行われるのでしょうか。

給与所得を得ている方

給与所得を得ている方が年末調整ではなく、確定申告で住宅借入等特別控除の申告を行う場合には、まず以下のような書類を用意します。

  • 確定申告書(Aタイプ)
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書の写し
  • 源泉徴収票
  • 住宅ローンの残高証明書

これらの書類をすべて用意したうえで、必要事項をもれなく記入して税務署に書類を提出することになります。

また、上記の用意しなければいけない書類は、基本的に1年目のみ必要なものとなっています。2年目以降に関しては、給与所得者の方は年末調整で控除が行われるため、特に確定申告は必要なくなります。ただし、2年目以降も控除を受ける場合には、税務署から送られてくる「年末調整のための住宅借入金等控除証明書」と、住宅ローンの残高証明書を必ず給与支払者に提出しなければいけません。

事業所得を得ている場合

個人事業主など、事業所得を得ている方の場合にも、確定申告書のタイプが変わるだけで用意する書類の種類は同じです。

ただ、住宅を事務所と兼用している場合には、居住部分が2分の1以上なければ、控除を受けることができません。2分の1以上ある場合には、以下の計算式で控除額を求めることができます。

100%の場合の住宅ローン控除額×居住部分の割合

また、居住部分が90%を超える場合には、100%扱いで問題ないということも押さえておきましょう。

個人事業主の場合には、2年目以降は通常の確定申告時に住宅ローンの残高証明書を提出すれば問題なく控除を受けることができます。

住宅ローン控除の計算方法とは?

さて、住宅ローンの控除は還付金を受け取れる場合があります。どのくらいの金額を受け取ることができるかということが、簡単な求め方で分かるようになっています。

まず、以下の計算式を用いて、控除額を算出します。

控除額=住宅ローンの年末残高×1%

この控除額をもとにして、控除額を計算します。

例えば、年末の時点で1,000万円の住宅ローンが残っていたとすれば、控除額はその1%である10万円となります。ただし、源泉徴収された所得税額がこの金額よりも少ない場合には、還付金の額は源泉徴収された所得税額と同じ金額になります。

つまり、上記の計算で還付金の額が10万円と出ても、源泉徴収された所得税額が9万円ならば、9万円が還付金となるのです。このような決まりも、合わせて押さえておきましょう。そもそも源泉徴収された所得税額がなければ、もちろん還付金も発生しません。

まとめ

個人事業主や給与所得者が住宅ローンの控除を受ける際には、以下のようなことがポイントになります。

  • 控除を受けるためにはローンの期間が10年以上であるなど、いくつかの条件がある
  • 控除を受ける際には1年目のみ給与所得者であっても確定申告が必要で、2年目以降は簡単な手続きで控除を受けられる
  • 還付金は「控除額=住宅ローンの年末残高×1%」という計算式で求められ、源泉徴収された所得税額がそれより低い場合、所得税額が還付金となる

住宅ローン控除は還付金の額も大きく、条件を満たしている場合にはぜひとも受けておきたい控除です。控除を受けるための必要書類を確認して、控除を受けられるようにしましょう。また、経営者の方は従業員が問題なく控除を受けられるよう、住宅ローン控除について押さえておくことも大切です。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

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中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/