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在庫には金利がかかる?在庫について理解し、不要な支出を減らす基本知識

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

長期在庫はあまり良くない、というイメージを持っている方は多いものの、在庫を抱えているだけで在庫金利という余分な経費が発生してしまうのをご存知の方は多くありません。この記事では在庫と金利の関係について紹介します。在庫金利について理解することで、在庫のスリム化が実現でき、資金の流れを良くする働きが見込めます。また在庫にかかるコストを社員に周知し、会社全体で過剰な在庫を抱えない意識を持つことができるようになります。

この記事の目次

在庫に金利がかかるってどういうこと?

在庫金利とは在庫を持つことによって生じる借入金や資本金、また諸々のコストを指標化するための会計管理上の架空の金利のため、実際にお金を支払うわけではありません。

ではなぜ在庫金利を設定するのかと言うと、下記の理由があります。

  • 在庫を保有しているだけでかかるコストを社員が認識するため
  • 在庫を保有することのコストを明確化し、実際の利益を正しく評価するため

在庫を保有することによるコストや資金の例は下記の通りです。

  • 在庫となる商品を購入する代金
  • 在庫となる商品を購入する際に調達する資金を借り入れる金利
  • 倉庫の賃料
  • 倉庫の管理費・人件費

在庫金利の計算方法とは?

在庫金利の計算方法は社内事情に応じて決定しますが、多くの場合は加重平均資本コスト(WACC)という指標を参考に計算します。

加重平均資本コストとは、資金を1円調達するためにどれだけの費用がかかるのかを示すものです。資本コストの代表的な計算方法であり、借入にかかる費用と株式調達にかかる費用を使って算出します。

加重平均コストは下記の計算式で求めることができます。

D/(D+E)×rD×(1-税率)+E/(D+E)×rE

※D:負債総額、E:株式の時価総額(=株価×発行済み株式数または株主資本)、rD:負債コスト、rE:株主資本コスト

実際には在庫を抱える際に倉庫の賃料、棚卸資産減耗、商品評価損なども考慮する必要があるため、在庫金利は加重平均資本コストよりもやや高めに設定することが多くあります。

例えば加重平均コストが3.8%の場合、在庫金利は4%にするなど、加重平均コストよりもやや高めに設定するようにしましょう。

実際に4%の在庫金利を使った事業評価の例をご説明します。ある事業で1,000万円の在庫を使い、300万円の利益を上げた場合、在庫金利=1,000万円×4%=40万円となります。したがって在庫金利を考慮してその事業の実質の利益を評価すると、300万円-40万円=260万円となります。

また在庫は仕入れた時よりも、棚卸時に取得原価が下回ることがあります。在庫金利を設定する際は、この在庫の商品評価損についても知っておくと良いでしょう。在庫の商品評価損については、下記の記事をご参照ください。

在庫の評価損とは?棚卸資産の価値と評価手法を知ろう

在庫金利を把握する際、見落としがちなポイントとは

在庫金利を把握する際、見落としがちなポイントとして注意したいのが、売上債権の存在です。なぜなら製品を出荷すると在庫はなくなりますが、売掛金や受取手形で売り上げた場合、現金化されるまで金利は発生するからです。

そのため在庫金利を正確に把握するためには在庫だけでなく、売上債権の管理を徹底した上、売上債権も在庫の一種として考慮するように気をつけましょう。

まとめ

在庫について理解し、不要な支出を減らす基本知識は下記の通りです。

  • 在庫金利とは在庫となる商品を購入する際の借入金や資本金、また諸々のコストを指標化するためのもの
  • 在庫金利の計算は加重平均コストを参考に求めることが一般的
  • 在庫金利を把握する際には売上債権を考慮する必要がある

在庫金利について正しく理解し、考慮した運営をすることで在庫の抱えすぎを防ぎ、資金の流れが良くなる効果も期待できます。また会社全体で在庫を抱えすぎないようにするために、取り組みやすくなるメリットもあるでしょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

Airレジ マガジン編集部

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中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で6年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/