心に残るキャッチコピーとは?つくり方のコツや名作事例をプロが解説
お店の開業準備や集客検討で多くの人が悩むのが「魅力をひと言でどう伝えるか」という点でしょう。店舗の提供価値を端的に言語化し、一瞬で興味を引き付ける役割を担うのが「キャッチコピー」です。
本記事では、キャッチコピーのつくり方のコツや名作コピーをご紹介しながら、キャッチコピーが店舗の認知や来店動機にどれほど大きく影響するかを解説していきます。キャッチコピーという言葉・文章ひとつで、あなたのビジネスは大きく、良い方向に動いていきます。
この記事の目次
キャッチコピーとは?
キャッチコピーとは、企業や商品、サービスなど、広告を行う対象を「端的でわかりやすく、印象深い言葉を用いてつくる」文章のことです。生活者に対して、瞬間的に、広告を行う対象の魅力を伝えることがミッションになります。
キャッチコピーの定義や目的
インターネットが普及した現代は、「情報大爆発時代」と言われています。日々膨大な情報が飛び交う中で、生活者がひとつの情報に触れる時間は一瞬です。そんな情報化社会において、瞬間的に企業や商品、サービスなどの魅力を伝える役割を担うのが「キャッチコピー」です。
キャッチコピーによって、広告の対象が生活者に認知され、購買意欲・利用意欲という感情を動かし、最終的に購買・利用という行動へとつなげることができます。
数多くの店舗が競合する中で、開業後の集客につなげるためには、短い言葉でいかに魅力を伝えられるかが重要です。だからこそ、キャッチコピーは開業準備の段階から意識しておくべきポイントだといえるでしょう。
キャッチコピーと類似用語の違い
キャッチコピーに似た言葉には「キャッチフレーズ」「タグライン」「スローガン」「ボディコピー」などがあります。それぞれの用語について、特徴とおもな用途を下記の表にまとめました。
| 用語 | 特徴 | おもな用途 |
|---|---|---|
| キャッチコピー | 企業や商品、サービスの宣伝に用いる、端的で印象深い言葉・文章 | 広告、販促物、Web広告など |
| キャッチフレーズ | キャッチコピーと近いが、より長期的かつ幅広い用途で使われる言葉・文章 | 理念、ブランディング、自己紹介など |
| タグライン | 企業や商品、サービスの魅力や特長、価値観を伝える端的な言葉・文章 | ロゴ周り、サイトのトップページなど |
| スローガン | 組織の理念や方向性、活動内容を短く印象的な言葉で表現したもの | 社内外へのメッセージ、キャンペーンなど |
| ボディコピー | キャッチコピーを補足する形で書く、ある程度の長文 | 広告本文、Webページ、チラシなど |
キャッチコピーと類似用語は混同されやすいですが、用途や役割が異なります。
キャッチコピーは“瞬間的に魅力を伝える広告文”であり、来店や利用につなげるための言葉です。一方、キャッチフレーズやタグライン、スローガンはより長期的・理念寄りで、ブランドや組織の価値を伝えるために使われます。
また、ボディコピーはキャッチコピーでは伝えきれない情報を補足し、広告全体を魅力的にする文章です。目的に応じて使い分けることで、伝えたいメッセージが、より伝わりやすくなります。
キャッチコピーの歴史と進化
「隣人を自分のように愛しなさい」「私は道であり、真理であり、命である」。これらは、イエス・キリストが残したとされる言葉です。キリストの言葉は、短く、シンプルで、印象深いものが多いです。もちろん、当時、キャッチコピーという概念は無かったはずですが、紀元前からそれに類するものはあったことになります。
日本では、江戸時代に平賀源内が考案した「土用の丑の日」という言葉が、最初のキャッチコピーだといわれています。日露戦争後には、化粧品業界を中心に生活者の印象に残る文章が広告に使われるようになり、高度経済成長期に広告業界が大きく発展して、キャッチコピーの存在が世の中に認知されるようになりました。
そして現代では、SNSや検索結果など「一瞬で比較される場」において、より短く、より的確に価値を伝える言葉が求められています。
なぜ、企業や店舗にキャッチコピーが必要なのか?
企業や店舗は、まずはその存在をお客さまに知ってもらわないことには、ビジネスとして成り立ちません。そのために広告が必要になるのですが、広告の中でも最も印象に残りやすいキャッチコピーを用いることによって、認知の可能性を高めることができます。
下記で、名作コピーとともに、キャッチコピーの必要性について解説していきます。
一瞬で特徴を伝え記憶を定着させる
数ある料理の中で、最も手早くつくれるのがサラダです。場合によっては、まな板も包丁も使うことなく、野菜を器に手で盛るだけで完成します。その“事実”を瞬間的に伝えたのが、2000年代初頭に使用されていたキユーピーマヨネーズの「speed!」というキャッチコピーです。忙しない日常の中で、野菜を盛ってマヨネーズをかけるだけでひとつの料理が完成することを訴求したこのキャッチコピーには、「商品・サービスの特徴をひと言で伝え、記憶に残す力」があります。店舗でも、看板やSNSで一瞬見ただけで“どんなお店なのか”が伝わる言葉を持つことで、初めてのお客さまに知ってもらうきっかけをつくることができます。
競合との違いを際立たせる
「いい空は青い。」。これは、全日空のキャッチコピーです。競合である日本航空のコーポレートカラーが赤なのに対して、全日空は青です。多くの人が「気持ちのいい青空が好き」という印象を抱くことに着目し、競合との違いを際立たせることで、自社のイメージを上手に言語化しています。コカ・コーラ社に対するペプシ社の、「ライバル商品より自分たちのほうが優れている」ことをアピールし、対抗意識を丸出しにした広告もおもしろいですが、優しい時代に合ったキャッチコピーとしては、これくらいの品のあるトーンで、さりげなく表現したほうが世の中に受け入れられやすいでしょう。
店舗でも、「他店とどう違うのか」「なぜこのお店を選ぶべきなのか」 を言葉にしておくことは非常に重要です。競合が多い業態ほど、キャッチコピーが差別化の役割を果たします。業種別のキャッチコピーの具体的なつくり方については後述しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ニーズが発生したときの第一想起につながる
地球温暖化や水資源の枯渇など、環境への関心が高まる中で、水の価値を見直す動きが広がっています。サントリーの「水と生きる。」というキャッチコピーは、こうした社会の変化に寄り添い、企業として水環境と向き合う姿勢を分かりやすく示した言葉です。「農家は土と生きる。漁師は海と生きる。詩人は言葉と生きる。ではサントリーは何と生きるか」という問いから生まれたこのコピーは、単なる商品訴求ではなく、環境問題が注目される瞬間に強く思い出されるスローガンとして機能しました。
このように、キャッチコピーは、関心やニーズが高まったタイミングで「そういえばあのお店があった」と思い出してもらえる役割を果たします。店舗でも、お客さまが何かを必要とした瞬間に頭に浮かぶような言葉を持つことで、来店や問い合わせにつながりやすくなります。
従業員のロイヤリティ向上、企業理念の浸透、採用活動の強化
「面白法人カヤック」という、ユニークな社名のIT企業があります。社名だけではなく、サイコロで給料を決める「サイコロ給」や、お金は発生しないものの、社員同士が良いところを見つけて気の利いた言葉を贈る「スマイル給」など、社内制度もユニークです。このカヤック社のキャッチコピーが「つくる人を増やす」。社員全員がクリエイターというカヤック社には、このキャッチコピーに魅力を感じて優秀なクリエイターが集まり、結果として、業績向上や上場にもつながりました。
これは、キャッチコピーがお客さまに向けてだけでなく、企業内部にも大きな影響を与えることを示しています。小規模店舗でも同様で、理念や「どんなお店を目指すか」をひと言で示す言葉は、従業員の働くモチベーションや採用の印象付けにも役立ちます。
キャッチコピーの種類(+名作コピー例)
「キャッチコピー」と一口に言っても、複数の種類があります。ここでは、「ブランドコピー」「イメージコピー」「セールスコピー」「キャンペーンコピー」について、代表するコピーをご紹介しながら解説します。
ブランドコピー(理念、ビジョンを伝える)
| キャッチコピー | 好きだから、あげる。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | 丸井 |
| 業種 | 百貨店 |
1980年代前半、お中元・お歳暮に強かった百貨店が、三越でした。考えてみると、お中元やお歳暮は、義務感で贈ることが多いです。そうなると、三越にあえてキャッチコピーをつけるならば、「義務だから、あげる。」かもしれません。これに対し、丸井は「好きだから、あげる。」というキャッチコピーを展開し、「丸井には、義務ではなく、心を込めてプレゼントしたい商品が揃っています」というブランド訴求に成功しました。
このように、ブランドコピーは “どんなお店であるか” を伝える言葉 です。店舗でも、「大切な人と過ごすためのお店」「地域に寄り添うパン屋」など、理念を言葉にすることで、お客さまの共感を得やすくなります。
イメージコピー(印象・共感を訴える)
| キャッチコピー | おいしい生活。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | 西武百貨店 |
| 業種 | 百貨店 |
西武百貨店の「おいしい生活。」というキャッチコピーは、「高い・安い」「大きい・小さい」「良い・悪い」という価値観の基準から、「おいしい」という主観的な視点に戻すことによって、デパートの幅広い楽しさ、もっと言うならば、世の中のより良い楽しさを生活者に強く印象づけた名作です。
イメージコピーは、お店の印象や価値をひと言で感じてもらうためのコピーです。例えば「ほっと一息つける喫茶店」など、感覚的な言葉が効果的です。
セールスコピー(購買行動を促す)
| キャッチコピー | 元カレがサンタクロース。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | NANBOYA(なんぼや) |
| 業種 | 質店 |
いわゆるキャッチコピーと呼ばれるものの多くは、上記のようなブランドコピーやイメージコピーです。というのも、よほど興味のある商品やサービスの広告でない限り、広告は立ち止まってジッと見るものではないため、瞬間的なキャッチコピーのみで購買行動まで促すのは難しいからです。
そんな中で、購買行動までつなげるのがセールスコピーです。その名作が「元カレがサンタクロース。」です。質店のポスターに使われたキャッチコピーですが、有名なヒット曲のタイトルを模したことで覚えやすく、かつ、不要になったプレゼントを売る、という行動を促した例です。
セールスコピーは、来店・購入といった具体的な行動につなげたいときに有効な表現です。店舗なら、「〇食限定」「当店人気No.1」など、購買行動を促す言葉が当てはまります。
キャンペーンコピー(短期で行動を促す)
| キャッチコピー | フレッシュマンも、リフレッシュ。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | HIS |
| 業種 | 旅行代理店 |
「五月病」という言葉があるように、新入社員の多くが、ゴールデンウィーク前頃には心身ともに疲れ切ってきます。そこで、そんな新入社員をターゲットとして、大手旅行代理店のゴールデンウィーク海外旅行キャンペーン用につくられたキャッチコピーが「フレッシュマンも、リフレッシュ。」です。このキャッチコピーを掲載したポスターを、丸の内で4月に展開したところ、ゴールデンウィークの旅行予約が、若い社会人を中心に殺到しました。1カ月に満たない短期間のキャンペーンで成功した例です。
このタイプのコピーは、特定の時期やイベントに合わせて来店を促したい場合に有効です。店舗であれば、「母の日限定ケーキ」「週末だけの朝市」など、期間が明確なときに使うと効果が高まります。
心を掴むキャッチコピーのつくり方
キャッチコピーは、次の6つのステップを踏むことで、コピーライターでなくても誰でもつくることができます。
STEP1.目的とゴールを決める
STEP2.ターゲットとなる人物像(ペルソナ)を明確にする
STEP3.自店の強みや特徴を書き出す
STEP4.強みをもとにキーワードを洗い出す
STEP5.キーワードを絞り込み、組み合わせて言葉にする
STEP6.実際に試し、結果を見て改善する(ABテストなど)
これらステップの詳しい手法を下記でご紹介します。
STEP1.目的とゴールを決める
キャッチコピーづくりの最初のステップは、「何のために」「どこを目指しているのか」をはっきりさせることです。
例えば、「新規のお客さまに知ってもらいたい」「リピート利用を増やしたい」「お店の想いを伝えたい」など、目的によって言葉の方向性は大きく変わります。
頭の中だけで考えるのではなく、紙に書き出したり、メモに残したりして整理するのがポイントです。目的とゴールが決まると、その後の作業が一気に進めやすくなります。
STEP2.ターゲットとなる人物像(ペルソナ)を明確にする
「ペルソナ」とは、心理学者・ユングが提唱したもので、「仮面」を意味する心理学用語です。広告業界では、「商品やサービスのニーズがあると想定される架空の人物像」の意味で使われます。広告のターゲットは、つい広くしがちですが、的が大きすぎると逆にボールは当たりません。
そこで、1人の架空のターゲットをつくりあげます。氏名、年齢、性別、職業から、居住地、学歴、趣味、好きな食べ物などまで、できる限り細かく設定するのがコツです。
STEP3.自店の強みや特徴を書き出す
キャッチコピーをつくりたいお店、商品、サービスなどの対象に関して、まずは思いつく限りの特徴を書き出していきます。このとき、良い点=強みだけを書く必要はありません。悪い点=弱みも書いておくと、逆にそれが魅力や差別化のヒントになることもあります。
できるだけ書き切ったあとに、「これは強みかも」というポイントを拾い上げていきましょう。
STEP4.強みをもとにキーワードを洗い出す
STEP3でピックアップした「これは強みかも」というポイントを精査します。この時点では、「強み」という確信が無くても大丈夫です。じっくりと精査し、「世に出しても間違いなく強みである」というポイントを見つけていきます。数多くあるに越したことはありませんが、少なくても問題はありません。また、ここでは、コピーになっている必要もありません。あくまでキーワードとしてピックアップしてください。それらが、キャッチコピーの“種”になります。
STEP5.キーワードを絞り込み、組み合わせて言葉にする
ピックアップしたキャッチコピーの“種”の中から、よりペルソナに響きそうなものを絞り込みます。肝心なのは、「響くもの」ではなく「響きそうなもの」であることです。なぜなら、広告はあくまで想定として世に出すものだからです。絞り込んだキーワードを組み合わせ、なるべく端的で、印象深い言葉を用いることによって、キャッチコピー化します。キャッチコピーで大切なのは、「どう言うか」よりも「何を言うか」です。それができていれば、キャッチコピーとして成功です。
STEP6.実際に試し、結果を見て改善する(ABテストなど)
キャッチコピーは、つくって終わり、ではありません。どれだけの売上を生み出したか、どの程度、生活者やマーケットに影響があったかなど、いわゆる「効果測定」を行います。
手軽に行える効果測定の方法が、「ABテスト」です。これは、制作物をAとBの2パターンつくって、同一期間内にどちらが成果を出したかを検証するものです。そのデータを元に、次の改善策を立てます。重要なのは、一度で終わらせず、テストと改善を繰り返すことです。
【コラム】コピーライティング費用の相場は?
高度成長期から1980年代にかけて、コピーライターは花形の職業でした。現代でいうところの、YouTuberのような存在だったといって良いでしょう。しかし、バブルが弾けると、広告業界も衰退の一途を辿り、コピーライターも影の職業になっていきました。本記事をご覧の読者の方も、キャッチコピーという言葉はご存知でも、コピーライターは知らない、という方もいるかもしれません。反面、かのスティーブ・ジョブズは「情報化社会の中にあって、端的で印象深い言葉を操るコピーライターの存在は重要である」という言葉を残しています。
バブル期のように「キャッチコピー1本でウン百万円」ということはさすがにありませんが、短い広告文であれば数万円、サイト全体のコピーライティングで数十万円というのが相場です。ただし、超一流のコピーライターになると、依頼料も相応のものになるとお考えください。
業種別・店舗規模別キャッチコピーのつくり方と例文(+名作コピー例)
キャッチコピーは、業種や店舗の規模などによって、つくり方が変わってきます。ここでは、名作コピーの例をご紹介しながら、各業界・店舗規模別のキャッチコピーのつくり方を解説します。ぜひ参考にしてください。
飲食業
| キャッチコピー | うまい、やすい、はやい。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | 吉野家 |
| 業種 | 飲食業 |
飲食業のキャッチコピーは、まず、何を一番アピールしたいかを考えることから始まります。もちろん、おいしい看板メニューが真っ先に考えられますが、お店のアピールポイントはそれだけでしょうか。アクセスの良さ、お店の雰囲気、店員さんの人柄。赤ちゃんや小さいお子さんのいるパパ・ママなら、少々騒いでも大丈夫なお店なのか、なども気になるはずです。
飲食業の名作コピーとして知られているのが、吉野家の「うまい、やすい、はやい。」です。味・価格・提供スピードという、飲食店に求められる代表的な価値をそのまま3つの言葉にまとめ、わかりやすく伝えています。このように、自店の強みを整理し、シンプルで記憶に残る表現を目指しましょう。
小売業
| キャッチコピー | 近くて便利。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | セブンイレブン |
| 業種 | 小売業 |
小売業は、ターゲット層が広い場合が多いです。だからこそ、ペルソナを詳細に設定する必要があります。そして、そのペルソナに「響きそうな」強みを見つけていきましょう。利便性を伝えるのか。低価格であることをポイントにするのか。お客さまに特別感を感じてもらえるキャッチコピーを考えるべきか。お店の方向性とペルソナとが合致する強み探しを慎重に行ないましょう。
小売業の名作コピーには、セブンイレブンの「近くて便利。」を挙げます。以前のセブンイレブンは「セブン、イレブン、いい気分。」をキャッチコピーにしていましたが、やや抽象的な言葉でした。「近くて便利。」は、まさにセブンイレブンの最大の強みを表現しています。
美容・サービス業
| キャッチコピー | 敏感を愛そう。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | カネボウ化粧品 |
| 業種 | 美容業 |
美容業界のキャッチコピーで気をつけなくてはならないのが、医薬品医療機器等法(薬機法)に触れる表現です。「これを塗るだけでキレイになります」や「これを飲むだけで、1カ月で5kgダイエットに成功」などは、薬機法違反になるため使用できません。ここで使いやすいテクニックが、「皆まで言わない」表現です。例えば「敏感を愛そう。」というキャッチコピーでは、「敏感肌用に設計されたスキンケア商品」であることを直接的に言わず、「敏感」という言葉のみで、印象を伝える工夫が施されています。
「効果を断定しないこと」はほかのサービス業にも共通していえます。例えば、整体やリラクゼーションでは「必ず治る」「必ず痩せる」などの表現はNGですが、「肩がふっと軽くなるような施術」のように体験イメージを伝える表現は有効です。また、接客業や生活サービスでは、安心・丁寧・気持ちよさといった印象をどう言葉にするかがポイントになります。
医療、その他
| キャッチコピー | みんなで支え合う医療。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | 公立森町病院 |
| 業種 | 医療機関 |
医療機関を探している人は、病気にかかっている人や、その家族など、大小さまざまな不安を抱えていることが多いです。そういう人たちが病院に求めるものは何かを考えてみましょう。まずは、「安心して医療を受けられるか」ではないでしょうか。静岡県にある公立の病院では、「みんなで支え合う医療。」をキャッチコピーにしています。「みんなで支え合う」という言葉は、いろいろな意味にとらえることができますが、患者さまの不安に寄り添う姿勢があらわれています。
この「相手の不安や悩みを見つけ、それに寄り添う言葉を使う」という考え方は、その他の業態でも応用できます。ターゲットが抱える悩みや不安に目を向け、それを受け止める言葉がそのままキャッチコピーになります。どのような業態でも、お客さまの気持ちを丁寧に想像することが基本です。
小~中規模、個人店
| キャッチコピー | おはよう、かまくら。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | 朝食屋コバカバ |
| 業種 | 飲食業(個人店) |
大規模なショッピングモールなどのお店よりも、小規模・中規模のお店や個人店などを好む生活者は少なくありません。その理由を探っていくことで、ペルソナも見えてきます。小~中規模店や個人店には、お客さま一人ひとりに対する気配り・気遣いができるというメリットがあります。大規模店とは異なる、静かな雰囲気が好き、というお客さまもいらっしゃるでしょう。
まずは、あなたのお店に「来ていただきたいお客さま像」から、じっくりとペルソナを考えてみてください。例えば、神奈川県鎌倉市にある朝食専門店のキャッチコピーは「おはよう、かまくら。」です。この言葉は、鎌倉のまち全体に対する挨拶であり、鎌倉市民や鎌倉を訪れる観光客への挨拶にもなっています。このように小さなお店でも、地域性や店主の想いを言葉にすることで、強い個性を打ち出せます。
大規模、多店舗
| キャッチコピー | ハピネスモールをいっしょに。 |
|---|---|
| 企業名・ブランド名(広告主) | イオンモール |
| 業種 | 商業施設(大規模店) |
大規模店、多店舗のキャッチコピーづくりには、独特のポイントがあります。まず押さえておきたいのは「ここでしか味わえない特別感」です。いろいろなお店や施設が楽しめることで、お客さまは多様な特別感を一度に体感することができます。その感情に訴求すると良いでしょう。地域のシンボルであること、休日の楽しみになることなども訴求点になります。
また、大規模店、多店舗の場合、ペルソナを1人だけに絞るのは困難です。ファミリー、若者、シニアなど、いくつかのターゲット層に分けたうえで、ペルソナを設定しましょう。イオンモールのキャッチコピーは、「ハピネスモールをいっしょに。」です。世代を問わず、イオンモールを訪れるお客さまの喜びや幸福感が見事に表現されているコピーです。
キャッチコピー作成時の注意点と法的配慮
キャッチコピーづくりでは、言葉選びだけでなく注意すべきポイントがいくつかあります。ここでは、特に重要な点を3つに分けて解説します。
「何を伝えたいか」を明確にする
キャッチコピーの多くはブランドコピーやイメージコピーですが、注意したいのが「何を言いたいのかわからない」コピーになってしまうことです。いわゆる「空気コピー」と呼ばれるもので、雰囲気に寄せすぎた結果、生活者に何も伝わらない言葉になってしまいます。キャッチコピーはポエムではありません。伝えたいことを明確にし、それを端的に表現することが大切です。
専門用語・業界用語を避ける
専門用語や業界用語は、一般の生活者には意味が伝わらないケースがほとんどです。ターゲット(ペルソナ)が業界関係者である場合を除き、キャッチコピーにはなるべく使わないほうが無難です。誰に向けて書くのかを踏まえ、わかりやすい言葉を選ぶことで、より多くの生活者に届くキャッチコピーになります。
法規制や権利関係に配慮する
美容業界での薬機法をはじめ、各業界には広告表現に関する法規制があります。キャッチコピーが法律に抵触しないかは、事前に必ず確認しておきましょう。また、著作権や商標登録の関係で使用できない文言がある場合もあります。キャッチコピーそのものには一般的に著作権は発生しませんが、自由に使えるわけではない点は覚えておく必要があります。
キャッチコピーの効果を高める11のテクニック
ここまで、キャッチコピーのつくり方の基礎をお伝えしてきました。コピーライターでなくてもキャッチコピーはつくれることをおわかりいただけたかと思いますが、より効果を高めるテクニックをご紹介します。
短く、簡潔に
キャッチコピーの文字数の目安は、一般的に10〜20文字程度とされています。広告とは、基本的には嫌われ者です。ポストにチラシやDMが入っていれば読みもせず捨てる。録画したテレビや動画のCMはスキップする。身に覚えがある人は多いのではないでしょうか。だからこそ、広告は瞬間的な伝達が勝負になります。
そのために、キャッチコピーはできるだけ短く、簡潔なものが求められます。絶対的なルールではありませんが、お店のキャッチコピーを考える際は、まずは短さを意識してみてください。
数字を入れて具体性を出す
スーパーマーケットで閉店間際になると、商品に値引きシールが貼られることがよくあります。普段は買わない500円の商品でも、「100円引き」のシールが貼られているとお得感があり、思わず手に取ってしまった経験がある人も多いでしょう。このように、具体的な数字は生活者の心理に大きく影響します。
「全品50%オフ」「合格率95%」「定着率100%」など、キャッチコピーに数字が入ると、説得力が高まります。店舗でも、価格、実績、数量、時間など、数字で示せる強みを積極的に盛り込むことで、興味を惹きやすくなります。
得られるベネフィットを盛り込む
商品を購入するときも、サービスを利用するときも、生活者が知りたいのは、「それによって、どんなベネフィット=価値や満足感が得られるか」という点です。
競合が多い現代の市場においては、ただ商品やサービスの特徴をキャッチコピーで表現するだけでは、生活者の納得を得るのが難しくなっています。商品やサービスを使うことで、こんなにも素晴らしいことが待っているというベネフィットをキャッチコピーに盛り込むことで、生活者の心は動きます。店舗でも、味・価格・雰囲気といった特徴だけでなく、「あなたに〇〇が手に入ります」という視点をコピーに盛り込むことを意識するとよいでしょう。
五感に訴える(シズル感)
キャッチコピーは文章の一種なので、視覚にのみ訴えるものです。しかし、書き方次第では、味覚や聴覚にも訴求することができます。三国志に登場する曹操は、喉の渇きを訴える兵士たちに向かって、梅干しを想像するよう命じます。すると兵士たちは梅干しのすっぱさを思い浮かべ、唾がわき、喉の渇きを凌ぐことができたといいます。
キャッチコピーにも味や音などの表現を盛り込み、五感に訴求することで、生活者の購買意欲の向上が見込めます。
限定性、緊急性を出す
人間の心理として、数に限りがあるもの、急がないと入手できないものに強く惹かれるものです。商品やサービスによっては、この心理をキャッチコピーに利用することができます。
「限定100名様に販売!」「〇月〇日までの緊急特価!」のようなキャッチコピーを目にすると、自然と購買意欲がわいてくるでしょう。通信販売のCMなどでは、合わせ技で「このCM放送後30分以内、1000名様限定でお売りします!」といったキャッチコピーも見られます。決して大げさなものでなくても、ちょっとした限定感を出すだけで効果はあるので、上手に取り入れてみてください。
ただし、限定性や価格表現には景品表示法などのルールがあり、実態と異なる表示は誤認につながるおそれがある点も理解しておきましょう。数量限定や値引き表現を用いる場合は、必ず事実に基づいて行うことが大切です。
意外性やユーモアで惹きつける
キャッチコピーのテクニックとして、驚き=!や、なぜ=?が含まれていると、生活者が惹きつけられるというものがあります。人は「!」や「?」があるものを見たくなるという心理が働くからです。「ウソ、大げさ、まぎらわしい」にならない程度に、キャッチコピーに活かしてみてください。また、ユーモアのある表現は、好感や共感を呼びます。ウケを狙う必要はありませんが、クスッと笑えるくらいのキャッチコピーは非常に有効です。
声に出しリズムや語呂を意識する
キャッチコピーは短ければ短いほど良いと前述しましたが、それは、生活者の記憶に残りやすくするためです。この観点でいくと、声に出したときのリズムや語呂が良いキャッチコピーもまた、記憶に残りやすいです。ダジャレのようなキャッチコピーの名作が多いのも、このためです。
名コピーライターだった眞木準さんが「ホンダ買うボーイ」など、その類のキャッチコピーを多く残しましたが、眞木さんはそれらを「ダジャレ」ではなく「オシャレ」と表現していました。店舗でも、言いやすいフレーズやリズムの良い言葉を選ぶことで、お客さまに覚えてもらいやすいコピーになります。
問いかけや断定表現
人は、何かを問いかけられると、答えを見つけようと考えだします。また、言い切られると、「そうか(も)」と納得しやすくなります。キャッチコピーは、生活者とのコミュニケーションであり、一方的な押し付けになってしまうと、受け入れられにくいです。ぜひキャッチコピーの中に、問いかけや断定表現を盛り込んでみてください。生活者の多くがそのキャッチコピーに目をやり、コミュニケーションを始めるでしょう。これだけでも、キャッチコピーとして十分成功しているといえます。
VS構造(対比)
競合が多い現代の市場において、あえてライバルとなる商品やサービスを特定してキャッチコピーをつくるテクニックもあります。ライバルに特定するのは、できれば業界のトップランナーが良いでしょう。そのトップランナーに負けない、あるいは勝っている商品やサービスを提供することをキャッチコピーで表現できれば、生活者の目が自然と向きます。当然ですが、トップランナーと同等以上の商品やサービスを提供できる状況にあることが前提です。
権威付け
どうしても権威に弱いのが、人間です。広告に、有名なタレントやスポーツ選手などが多く起用されるのも、それが理由です。キャッチコピーにおいても、有名人・著名人の名前を借りて「人気メジャーリーガーの〇〇選手も使用!」「ノーベル賞作家の〇〇さんのお墨付き!」などの“権威表現”を用いることで、商品やサービスの信頼度が大きくアップします。もちろん、勝手に有名人・著名人の名前は出せないので、権威付けのキャッチコピーにはある程度の費用が必要になります。また店舗であれば、実績・口コミ・受賞歴など身近な“権威”も十分な武器になります。
売上データと便利なツールを活用する
「心を掴むキャッチコピーのつくり方」の章でも紹介したとおり、キャッチコピーはつくって終わり、ではありません。効果測定と改善の繰り返しが重要です。その際に、「売上データ」が必要になります。
例えば、『Airレジ』のようなPOSレジシステムを導入していれば、このキャッチコピーを打ち出したことで、どの客層に対して、どの商品の売上が伸びたか、逆にどの商品の売上が伸び悩んだか、といった分析がカンタンにできて便利です。
店舗の開業準備をラクにする「開業支援セット」のススメ
キャッチコピーの作成や効果検証だけでなく、店舗の開業にはやるべきことが山積み。開業準備は時間と予算がかかるものです。特に初めての開業で準備に不安を抱えている人は多いでしょう。そんな人には、Air ビジネスツールズの「開業支援セット」がおすすめです。
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まとめ
- キャッチコピーは、生活者の「認知・感情・行動」を動かす言葉である
- 手順を踏めば、コピーライターでなくてもキャッチコピーはつくれる
- キャッチコピーは、効果測定と改善を繰り返すことで精度が高まる
キャッチコピーは、企業や商品、サービス、そして店舗の魅力を一瞬で伝え、生活者の認知を促し、感情を動かし、行動につなげる重要な役割を担っています。
また、キャッチコピーはつくって終わりにしないことが非常に重要です。キャッチコピーは芸術作品ではなく、あくまでも商品やサービスの売上を上げるために用いる文章です。そのため、ABテストなどを通じて効果測定し、それにもとづく改善を繰り返しましょう。
キャッチコピーをつくるのに特別な才能は必要ありません。本記事で紹介したコツやテクニックを活かして、自店舗の魅力が伝わるキャッチコピーをつくってみましょう。
※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。
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この記事を書いた人
木村 吉貴(きむら よしたか)コピーライター・クリエイティブディレクター
テレビ番組制作、放送作家を経て、コピーライターとしてデビュー。学生時代に脚本家を目指し、勉強をした経験から、ストーリー性のあるコピーライティングを得意とする。脚本および広告賞受賞多数。2011年に神奈川県鎌倉市でコピーライター事務所「木村文章店」を設立。一般向けにも各種文章を販売する、”世界でひとつだけかもしれない文章の専門店”を経営している。