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【飲食店の経営指標】原価率とは?見直しのタイミングや抑えるコツを解説

福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士

飲食店の原価や原価率をどのように設定すればいいのか、あなたはすぐに答えることができますか? とくに開業準備中で事業計画書を作成している人は、適正原価率を何%にすればいいのか頭を悩ませてしまいがちです。この記事では、原価や原価率に関する情報を詳しく解説していきます。適正原価率を正しく設定することができれば、営業利益を確保することができるようになります。また、原価率を下げるにはどのような方法があるのかということも、併せて見てみましょう。

この記事の目次

原価率とは販売価格のうち原価が占める割合のこと

原価率

まず、原価とは、商品やサービスを制作するのにかかった元の費用のことです。原価率とは、販売価格のうち原価が占める割合のことで、原価を販売価格で割ったものをいいます。たとえばランチセットの原価が150円で販売価格が1,200円の場合の原価率は、およそ12.5%(=原価150円÷販売価格1,200円)となります。

原価率は常に一定水準を保つことが難しい

原価率は、お店の収益力を測る重要な指標です。常に原価率を意識してメニューを考えることは飲食店の経営にとって重要なポイントとなります。

当初想定していた売上率のままで経営ができればよいのですが、原価率は常に変動します。どのような場合に原価率が変動するのかということを見てみましょう。

売れ残りが発生した場合の原価率

すべての商品やサービスが販売できれば問題ないのですが、売れ残りや商品破棄が発生すると原価率が上昇するという問題が生じます。たとえば上記例であげたランチセットがすべて完売すれば、原価率12.5%を保つことができます。しかし、オーダーミスなど何らかの理由で商品を破棄しなければならなくなった場合はその原価分が上乗せされるため、利益を圧迫することになるのです。

食材の高騰による原価率

また飲食店の食材価格は、季節による価格変動を避けることができません。特に葉物野菜などは価格が高騰することがあり、原価率上昇の要因となることがしばしばあります。だからといって販売価格を季節によって変動させてしまっては、顧客満足度が下がり客離れの要因ともなりかねません。

このように原価は、さまざまな要因で常に一定水準を保つことができないという性質があるのです。それでは、変動する性質のある原価はどのくらいが許容範囲となるのでしょうか?

適正原価率は30%が目安

適正原価率は、30%を上限に考えるようにしましょう。適正原価率とは、利益を圧迫しない原価率のことです。

この場合の利益は、P/L(損益計算書)の売上高ー売上原価ー販売費及び一般管理費(変動費+固定費)=営業利益のことを指します。売上原価が先ほどの食材原価にあたる部分となり、一般的には30%を超える原価率は店舗経営を危うくする可能性が高くなります。もちろん原価率が高くなることは良い商品を提供することにつながるため、悪いことではありません。しかし、高いクオリティの商品を提供したいというオーナーの想いが強すぎる結果、お店そのものが続かなくなってしまうケースがあるのです。

先ほどのランチセット1,200円に適正原価率30%を当てはめると、原価は360円が上限となります。原価以外にも、家賃や光熱費、人件費などの兼ね合いもありますが、適正原価率は30%が妥当な目安であると考えておくようにしましょう。

原価率を下げながらメニュー開発する方法は、こちらの記事でご確認いただけます。

材料費を抑えてコスト削減、原価率を下げるためのメニュー開発

原価率を確認する4つのタイミング

原価率を確認するタイミングは主に4つあります。最低限でも1.と2.は実施するようにしましょう。

  1. 原価率を設定するとき
  2. 原価や仕入価格に変更があった場合
  3. 月次で粗利額の見込み計算をするとき
  4. 週単位で売上分析をするとき

1.原価率を設定するとき

販売価格と一緒に原価率を設定するときに、原価率が適正原価率を上回っていないかを確認しましょう。

2.原価や仕入価格に変更があった場合

一度設定した原価や仕入価格に変更があったら、原価率を確認しましょう。たとえば価格が変動しやすいバターや葉物野菜の値段が変更したときなどに行います。

3.月次で粗利額の見込み計算をするとき

1ヶ月単位で粗利額の見込み計算をするときに、原価率を確認しましょう。意外な食材が利益を圧迫していることがあるかもしれません。

4.週単位で売上分析をするとき

1週間の売上実績を集計するときに、原価率も合わせて確認します。朝礼などで売上データを共有するときに、販売個数や売上高だけでなく原価率も一緒に伝えるようにしましょう。オーダーミスなどで商品破棄すれば利益を圧迫するということを、従業員に意識させることができるようになります。

原価率以外にも、飲食店のオーナーが知っておきたい分析用語はこちらの記事で確認しておきましょう。

飲食店の経営者とは? 開業前と開業後の仕事について

原価率を抑えるコツ

メニューのクオリティを維持しつつ、原価率を下げることができるのであれば、それはお店にとって大きなプラスとなります。原価率を抑えるためにはどのような取り組みができるのか、まとめてみます。

メニューの見直し

扱う食材が減れば、在庫管理の負担も減り、食材廃棄も減るので原価率が改善されます。
たとえば、メニューには載っているけど、、ほとんど注文されないメニューがあれば、思い切ってなくしてしまうことで、扱う食材を減らすことができるかもしれません。また、一つのメニューにしか使っていない食材があれば、別のメニューで使っている食材で代替できないか検討してみるのもよいでしょう。

お店のコンセプトの見直し

これはブランディングにもかかわることですが、大衆居酒屋ということで幅広くメニューを提供していたものを、例えば「○○専門店」のように打ち出して、その分メニューを絞るということです。

仕入れ先の選定

少しでも安く仕入れることができる食材の卸業者があれば、そうしたところに切り替えることで原価を下げることができます。

まとめ

  • 原価とは【商品やサービスを制作するのにかかった元の費用】のこと
  • 原価率とは【販売価格のうち原価が占める割合】のこと
  • 適正原価率とは【利益を圧迫しない原価率】のことで、上限は30%が目安
  • 4つのタイミングで原価率が適正かを確認する
  • 使う食材を絞るなど原価率を下げる工夫をする

飲食店の原価や原価率に関する情報を詳しく解説しました。これらのポイントをおさえて適正原価率を正しく設定することができれば、利益を確保することができるようになります。ぜひ参考にしてみてください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

Airレジ マガジン編集部

Airレジ マガジン編集部

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この執筆者の記事一覧

福島 悠(ふくしま ゆう)経営コンサルタント/公認会計士

公認会計士、税理士。経営改革支援認定機関/SOLA公認会計士事務所 所長。

上場企業の顧客向け税書類の監修や経営コンサルティング、個人事業の事業戦略支援と実行支援まで幅広く対応。顧客収益最大化を理念に掲げ起業家を徹底サポート。多種多様な企業の税務顧問と年間約30件の戦略立案を行っている。

https://sola-cpa.com/