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【参考例付き】店舗の開業資金はいくら必要?設備資金と運転資金を計算しよう

お店を開業するには、店舗や備品などさまざまなものを準備していかなくてはなりません。「何にいくらかかるか」を把握することは、開業準備の第一歩です。ここでは店舗開業に必要な開業資金や運転資金などの費用の計算方法について解説していきます。計算表や金額の例を参考に、あなたのお店の開業資金を計算してみましょう。

この記事の目次

お店にはどんなものがあるかでかかるお金をイメージしよう

これから開業するお店には、どんなものがあるかをイメージしていきましょう。業種業態により多少の違いはありますが、一般的には以下のものが揃えばお店は始められると言えます。

1.店舗

当たり前のことですが、まずは店舗そのものが必要です。中には、もともと土地を持っていて、その土地に店舗を新築で建てるという方もいますが、多くの方には難しいことです。そこで最も多いのが、大家さんから店舗を借り、経営する方法です。では店舗を借りる時にはどのようなお金が掛かるのでしょうか。

<敷金>
敷金とは、不動産を借りる際、大家さんにある一定のお金を預けておくというものです。預けているので契約が終われば基本的に戻ってきます。店舗の場合は4~10ヶ月分くらいを納めるケースが多いです。

<礼金>
礼金とは、契約時に大家さんへのお礼として納めるものです。家賃の1ヶ月分が一般的ですが、礼金なしという条件の物件もよくあります。

<保証料>
当然ですが、大家さんは家賃の支払が滞ることを嫌います。賃貸経営に大きな影響が出てしまうからです。そこで、大家さんとしては、テナントが家賃を払えなくなったとき、代わりに払ってくれる人がいたら、リスクなく貸すことができると考えます。

そこで登場するのが保証会社です。保証会社は、何かあったときにテナントに代わって払ってくれる役割をします。一方で、テナントは保証会社に保証料を払うことで、そのような役割をしてもらうというわけです。保証料は概ね家賃1ヶ月分です。

<仲介手数料>
仲介手数料とは、不動産を紹介してくれた不動産会社へ払う謝礼です。概ね家賃1ヶ月分です。

<前払賃料>
家賃は、当月分を前月に払う前払い制度が一般的です。契約時に1~3ヶ月の家賃を先に払うことが多いです。

合計すると結構かかり費用がかかります。店舗を借りる際には、概ね家賃の10ヶ月~12ヶ月程度の現金が必要だと考えておきましょう。狙っている物件のチラシなどを参考に、計算してみましょう。

2.設備

基本的にお店を借りる時は、器具や備品はもちろんのこと、壁紙やカーペットなどがない状態で借ります。こうした、なにもない状態のことを「スケルトン」といいます。

一方で、前のテナントの内装や備品などをそのまま引き継ぐ契約で借りる「居抜き」物件も存在します。

(参考)居抜き?スケルトン?お店を開業するときに知っておきたい物件選びの基本

スケルトンの場合、このまま飲食店としては開店できないため、一から工事を行ったり、什器・備品を揃えたりすることになります。居抜きの場合は、ちょっと内装を手直ししたり、足りない什器・備品を買い足したりします。以下に一例を紹介します。

<内装・外装工事>
店舗を開店するための工事です。内装として、電気設備やガス、給排水、空調、造作、塗装、配線、サインなど、外装として看板や塗装など様々な工事を行います。

<什器・備品>
一般に内外装工事には、厨房機器やテーブル、イス、棚などは含まれていません。別途用意し据え付け、場合によっては工事を行います。

飲食店の設備は、厨房にはシンクや冷蔵冷凍庫、製氷機、コンロ、グリル、食器棚、サーバーなどが必要です。ホールには客席用のテーブルやイス、カウンター、レジスタ、レジカウンター、電話やパソコンなどが必要です。お客様に料理を提供するために、お皿やカップ、ナイフやフォーク、ワイングラスやビールジョッキ、おしぼりなど細かいものも必要ですね。

設備については、何にいくらかかるか検討がつきにくいため、工事会社や設備会社から見積もりをもらいましょう。同じものでも複数の会社から見積もりをとることで価格引き下げ効果も期待できます。コストを下げるために、新品ではなく、中古を購入するという選択肢もあります。

店舗を運営していくために必要なお金をイメージしよう

ここまでは店舗を用意するために必要なものを見てきました。ここからは店舗を運営していくために何が必要かみていきましょう。

1.食材仕入

お客様に料理を提供するためには、材料が必要です。これがなければ何も提供できません。売上の何%の食材費になるかをイメージして、毎月どのくらいかかるかを想定します。

2.人件費

料理人やホールスタッフ、店長など様々な役割の人がいて店舗は成り立ちます。規模により兼務する場合がありますが、最低限料理人は必要ですね。給料が毎月いくらかかるかを計算してみましょう。通勤交通費など、付随して発生する人件費も考慮します。また個人事業か法人か、労働時間がどのくらいかなどによっては雇用保険料や社会保険料もかかるため注意しましょう。

3.家賃

前払いしている家賃が終わると、毎月支払いすることになります。お店を借り続けるためには、毎月きちんと家賃を払い続けなければなりません。

4.光熱費

電気やガス、水道代です。料理する、食器を洗う、食材を保存するなど光熱費は必ずかかりますね。

5.電話やインターネット

電話で問い合わせや予約を受けたり、食材をFAXで発注したり、飲食店には電話が必須です。最近はWebからの問い合わせや予約もあるため、インターネットをつなげているお店が多いです。

6.広告

知名度が低い開業時は、どうにかしてお店をしてもらわなければなりません。そのためにチラシを作成し近隣にポスティングしたり、ポータルサイトに出稿したり、Webサイトを作って、Web広告を打ったりなど、様々な広告を行います。忘れがちなコストですが、売上を伸ばすためには、重要な支出です。広告販促展開を検討しながら、コストも想定しましょう。

7.その他経費

スタッフの定期代や顧問税理士への顧問料、仕入れ用車両のリース代や駐車場代、スタッフの採用費用や教育費用、おしぼりの月額レンタル費用など、その他にも様々な経費がかかります。

設備資金と運転資金を考えよう

さて、ここまで「かかりそうなお金」を概算で把握してきました。ここからは、具体的に表にあてはめて、具体的な金額を計算します。その際、設備資金運転資金とに分けて計算し、両者を合計した金額が起業全体で必要な金額ということになります。

1.設備資金

設備資金とは、文字通り設備投資に掛かったお金です。まとまったお金で、1回支払ったらしばらく払うことのないお金とイメージしてください。具体的には、店舗契約時の敷金や保証金、内外装工事、什器・備品などとなります。

<設備資金の把握>
次の表にどの設備にいくら掛かるかをまとめていきます。

敷金・保証金
礼金(※)
保証料(※)
仲介手数料(※)
内外装工事
キッチンまわりの機器
机、テーブル、イスなどの備品
パソコン・プリンタなどの機器
設備資金合計(①)
※注釈:厳密にいうと融資を借りる際には、設備資金としては扱われず、運転資金とされます。ここでは、初期に支払う費用を把握するという意味合いからわかりやすく設備資金としています。

2.運転資金

仕入れや家賃、人件費などのお金は、売上が軌道に乗れば、売上代金から支払うことができますが、開店当初は知名度が低く予定通り売上が上がらないため、支払いに不安が残ります。売上が軌道に乗るまでの支払い資金が、開業当初の運転資金となります。毎月継続して払うものの概ね3~6ヶ月くらいで設定します。

<運転資金の把握>
次の表で毎月継続して払うもの月額支払額を把握し、その金額を軌道にのるまでの月数をかけます。

食材仕入
役員報酬
従業員等給与
社会保険料
家賃
水道光熱費
通信費(電話やインターネット)
広告宣伝費
1か月分の運転資金小計(②)
運転資金合計(③)(②×3~6か月分)

設備資金の合計(①)と運転資金の合計(③)を足したものが、開業に必要な資金となります。

【必要資金の例】東京都にある20坪の飲食店

それでは東京都にある以下のお店をイメージし、開業資金の例を紹介します。

  • エリア:東京都豊島区
  • 業態:お好み焼き
  • 広さ:20坪
  • 席数:20席

設備資金

店舗の敷金・保証金 1,250,000円
内外装、看板作成費など 4,710,000円
車輌など 0円
机、テーブル、イスなどの備品 2,055,000円
パソコン・プリンタなどの機器 100,000円
ソフトウェアなどの開発費 0円
フランチャイズの加盟金など 0円
設備資金合計・・・(①) 8,115,000円

運転資金

 仕入資金  700,000円
 役員報酬  300,000円
 従業員等給与  600,000円
 社会保険料  115,000円
 外注費  0円
 旅費交通費  30,000円
 通信費  20,000円
 家賃  250,000円
 水道光熱費  100,000円
 広告宣伝費  50,000円
 会議費  5,000円
 交際費  10,000円
 消耗品費  50,000円
 税理士等顧問料  35,000円
 リース料  15,000円
 支払手数料  17,000円
 荷造運賃送料  0円
 支払利息  12,500円
 1か月分の運転資金小計・・・(②)  2,309,500円
 運転資金合計(②×3か月分)・・・(③)  6,928,500円
 必要費用=①+③  15,043,500円

まとめ

  • 狙っている物件をイメージし、店舗そのものを借りるときにかかるお金を計算する
  • 内外装工事や什器・備品でいくら掛かるのか、見積もりをとって確認する
  • 店舗を運営していくために毎月必要となるコストをイメージし計算する
  • かかりそうなお金を表にあてはめ設備資金と運転資金を計算する
  • 設備資金に運転資金の3~6ヶ月分を足したものが起業で必要な資金となる

お店を開業するにはいろいろとお金がかかりますね。この段階での想定が甘いと、後で思わぬ支出ということで慌てることになりかねません。スムーズな店舗開業の為にも、表にあてはめながら、正確に開業資金を計算してみましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

中野 裕哲(なかの ひろあき)氏

中野 裕哲(なかの ひろあき)起業コンサルタント(R)

起業コンサルタント(R)、税理士、特定社労士、行政書士、CFP(R)。起業コンサルV-Spiritsグループ/税理士法人V-Spirits代表。年間約200件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。起業支援サイト 「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。「一日も早く 起業したい人が『やっておくべきこと・知っておくべきこと』」など、起業・経営関連の著書・監修書多数。http://v-spirits.com/

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