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【データのプロが教えます】はじめての「売上分析」飲食店・小売店のオーナー必見

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

「思ったように売上が上がらない…」とお悩みではないでしょうか。飲食店や小売店オーナーにとって、売上を上げることは経営上もっとも重要な課題です。そしてそれは、レジ等に日々蓄積されているデータを使うことで可能となってきます。「売上分析」は店舗経営していくにあたり、とても重要な分析です。はじめて「売上分析」をするにあたって有効な分析方法をお伝えします。ぜひ店舗売上を上げるために、役立てていただければと思います。

この記事の目次

売上を上げるために必要なデータとは

「売上を上げる」
これは、店舗経営するにあたって、最も重要な経営目標かと思います。売上分析をするにあたって必要なのは、出来る限り粒度の細かい販売実績のデータです。

例えば、レジ等のPOSから抽出されるローデータに、商品マスタや顧客マスタ等のマスタデータを紐づけることで、精度の高い分析をするためのデータとなります。

ビジネス(商売)とは、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)の5W1Hで成り立っています。
この中で、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)の4つはPOSデータから抽出できる場合があります。

例えば、店舗業態である場合、POSレジを使っていれば、POSから抽出されるデータから、だれが(顧客ID)、いつ(●月●日)、どこで(◆◆店舗)、なにを(▼▼商品と★★商品)購入したのかデータを摘出できると、このうち「だれが(顧客ID)」については、会員カードなどがないと把握できませんが、少なくともレシート№から、レジ客ごとにいつ、どこで、なにを購入したのかを把握することが可能です。

顧客IDごとの情報が入っている顧客マスタと組み合わせることで、より詳細な情報も把握できます。従って、顧客情報が取れる仕組みを持っておくことも大切です。
システム化するのはコストがかかってしまいますが、アナログでも十分取得することはできます。

例えば、紙のカードでも良いので会員カードを作って、そのお客様が購入した際にはレジにて会員番号を打つなどして販売実績データと顧客マスタを紐づけることができるようになるでしょう。一方で、Why(なぜ)やHow(どのように)については、顧客アンケートを取るようなことをしなければ把握できませんが、なぜその店舗でその商品を買ったのかや、どのようにして店舗に来たのかなどが把握することで、より具体的なアクションプランへと繋げることができるため、定期的に取るようなことも心掛けると良いと思います。アンケート回答者に次回使えるクーポン券などを付けることで、リピート化にも繋がるのでお勧めです。

POSデータを使って売上分析する方法

POSデータを確認する

では具体的にPOSデータを使って、どのように売上分析をしていくのか説明していきます。
例えば、次の表は、ある小売店のPOSデータになります。
※分かりやすく伝えるため、Airレジの管理画面から抽出したものを加工しています。

先ほどお伝えしたように、POSデータには、「誰が・いつ・どこで・何を」購入したのかが把握できる情報が蓄積されています。
このデータを使って、売上を上げるための分析ができます。

顧客軸での分析と商品軸での分析により売上アップを

さて、POSデータを使って売上分析するにあたってのスタートは、顧客軸、商品軸、それぞれの軸による売上の因数分解になります。
売上分析とは、「売上を上げる」ことを目的とした分析となります。
従って、今、売上が増加しているのか、減少しているのか、またその増減の要因はどこにあるのかを把握することで、何をすべきなのか見えてきます。

例えば、上図はある小売店における売上を顧客軸で因数分解し、毎年の前年対比を表にしたものになります。
直近期である14期において、会員、非会員ともに1回あたりの購買点数が減少していることが分かります。店舗においてクロスセルをしていくような仕組みが必要でしょう。
また、会員については、ユニーク客数が減少していることが分かります。
毎年購入してくれている会員数が減少しているということなので、新規会員獲得や会員のリピート率を向上させるような取り組みが必要でしょう。

同じように商品軸においても売上を因数分解することで、売上を上げるポイントが見えてきます。

例えば、上図はある小売店で販売しているTシャツカテゴリの売上を、因数分解して推移を表したグラフになります。
売上を上げていくために、品揃えを強化すれば良いのか、単価を上げる必要があるのか、ヒット商品を開発しなければならないのか等、売上を因数分解することで打つべき施策が明らかになるのです。

お客様の傾向を知る:RFM分析

顧客軸でのデータ分析において、必ず行うのがRFM分析になります。
ご存知の方もいるかもしれませんが、お客様の購入状況に応じた打ち手を考えるには、RFM(Recency frequency monetary analysis)分析という「よい顧客を見分ける」方法が有効です。
もっとも最近購入したのは誰か、頻繁に購入する顧客は誰か、一番お金を使ってくれている顧客は誰か、という3つの側面から分析します。
RFM分析を行うには、データベースに購買履歴が記録されていることが前提となりますので、会員カード等、顧客情報を取得している場合であれば行えます。

細かい説明は省きますが、RFMのRはRecency(リセンシー)で、「最新購買日」になります。ある顧客が最後に商品を購入した日を判断材料とするもので、最近購入した顧客のほうが、何年も前に購入した顧客よりよい顧客と考えるものです。
FはFrequency(フリークエンシー)です。「購買頻度」になります。フリークエンシーは、顧客がどの程度頻繁に購入してくれたかを判断材料とするもので、頻度が高いほどよい顧客と考えます。
MはMonetary(マネタリー)です。「購買金額」になります。マネタリーは、顧客の購買金額の合計で、一般的にこの金額が大きいほどよい顧客と考えることができます。

RFMそれぞれの指標の見方は以下のようになります。

  1. Rが高いほど将来の企業収益に貢献してくれる可能性が高い
  2. Rが低ければFやMが高くても他社に奪われている可能性が高い
  3. Rが同じならFが高いほど常連顧客
  4. Rが同じならFやMが高いほど購買力がある顧客
  5. RやFが高くてもMが少ない顧客は購買力が低い
  6. Fが低くMが高い顧客はRの高いほうがよい顧客
  7. Fが上がらないか下がっている顧客は他社に奪われている可能性が高い

このRFMでは、その名前の通りの順番で優先順位が高くなります。
重要なのは活用の仕方になります。
自店舗なりにRFMそれぞれにランクを付けていきます。大体5段階評価をすることが多いです。

例えば、Rであれば、1ヶ月以内の購入者は「5」、1-3ヶ月の間であれば「4」というようにランクを付けていきます。同じようにFとMも付けます。
最終的にそれぞれ3つを組み合わせ、「555」となった顧客が最もロイヤリティの高い顧客になり、「111」がその反対で一元客あるいは休眠となってしまっている顧客となります。
そしてそれぞれのランクに応じて施策を変えていくのですが、「111」~「555」それぞれで分けてしまうと125通りにもなってしまうので、ある程度の塊にマージして、それぞれのセグメントで施策を打っていくことが重要です。
「555」に近い、すなわち最もロイヤリティの高いお客様には、更にロイヤリティを高めるような特別感を与えることが重要です。一方で、「111」に近い、すなわち一度購入して離脱あるいは休眠してしまったお客様には、もう一度来店し購入してもらえるような施策、例えば再来店クーポンの発行などを試してみましょう。

お客様が欲する商品を売る:ABC分析

商品軸での売上分析における代表的な分析方法が「ABC分析」になります。
ABC分析とは、重要度が高く、重点的に管理すべき対象を明らかにするために、商品をA、B、Cという3つのランクに分ける方法で、それぞれのランクに応じて管理方法を選択します。

例えば、ABC分析結果に基づき、販売方法や販促頻度、あるいは売場構成比などを変えていくといった施策を打つ際に使います。
お客様は商品を求めに店舗を訪れます。
売れる商品=お客様から求められている商品となるため、そのお客様から求められている商品をしっかり把握し、メニュー表や商品陳列へと活用することが重要です。

ただし、Aランクだけを重視するというわけではなく、各ランクそれぞれで管理方法を考えることが大切です。
一般的には、Aランクが累積売上構成比70%~80%まで、Bランクが累積売上構成比70%(あるいは80%)~90%まで、そしてCランクが累積売上構成比90%~100%です。
また、顧客情報とも組み合わせることで更に精度の高い分析となります。
ABC分析を例えば性年代別や、新規客・リピート客別、あるいはRFM分析と組み合わせて顧客セグメントごとに売上構成比の高い商品を把握することで、より適切なアプローチへと繋げることが可能となるのです。

まとめ

  • 売上を上げるためのデータ分析「売上分析」は、5W1H(What,Who,When,Where,Why,How)の情報をどれだけ精緻に取得できるかで決まる
  • Airレジ等のPOSレジに蓄積されたデータを活用することで、売上分析は可能
  • 売上を客数×客単価のように、因数分解することが売上分析のスタートであり重要ポイント
  • 顧客軸での売上分析の代表がRFM分析、RFM分析により自店舗の顧客の傾向が把握でき、「誰」に対して何をすべきかが明確になる
  • 商品軸での売上分析の代表がABC分析、ABC分析により自店舗で売るべき商品、打ち出す商品が明確になる

店舗売上を上げていくために「売上分析」は欠かせない手段の一つです。まずはPOSデータを使って自社の売上分析にチャレンジしてみましょう。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。小売業、飲食店、メーカー等、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。
2013年9月「問題解決のためのデータ分析」(2019年2月に新装版)、2019年10月「会社の問題発見、課題設定、問題解決」を出版。
KUROCO株式会社では、中小企業向けのデータ活用支援(分析、可視化、教育)を展開。
https://cm-consulting.jp/

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