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売上管理がグッとラクになる!簡単エクセル活用術

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

日々の売上データがPOSレジ等に蓄積されているだけで活用できていない、そんな飲食・小売店は非常に多いものです。一方で、週次や月次、曜日別や時間帯別、あるいは商品別など、売上を簡単に管理したいと思っているオーナー様も多いのではないでしょうか。簡単な関数を使うだけで、エクセルで日々の売上を容易に管理することが可能となります。エクセルでの売上管理方法を学び、ぜひ店舗経営に役立てていただければと思います。

この記事の目次

「売上管理」で見るべき指標とは

「売上を上げる」
これはほとんどの飲食店、小売店が目指している指標ではないでしょうか。最終的に利益を出すことが必要ですが、利益=売上-コストであるように、売上とは利益の源泉になります。十分な売上を上げることができなければ、いくら効率的にコストを下げたとしても、ビジネスとして成り立つことは困難です。飲食店・小売店経営者にとって、「売上を上げる」ことは最重要課題の一つなのです。

やみくもに施策を打っても売上を上げることはできません。否、正確には、かけるコストに対して十分な売上を上げられません。しっかり利益が出るように売上を上げるためには、どこに対して施策を打つべきなのかを見極める必要があります。特に大きな資本力のない個人店、小規模チェーン店の場合は尚更です。限られた資金・リソースを、無駄撃ちせず適切に配分し、コスト以上の売上を上げることがとても重要になってきます。そのためには今どのような状態なのか、「売上管理」をしっかり行うことが必要です。

「売上管理」とは、単純な実績数値の記録だけでなく、「何故増えたのか・減ったのか」の分析まで実行できていることを言います。そしてそのような売上管理は、POSに蓄積されているデータの整理を工夫するだけで十分に可能となります。

まずはじめに、POSデータを使った売上管理において「見るべき指標」についてご説明しましょう。

【データのプロが教えます】はじめての「売上分析」飲食店・小売店のオーナー必見

こちらでも説明しておりますが、POSデータには、だれが(顧客ID)、いつ(●月●日●時●分)、どこで(◆◆店舗)、なにを(▼▼商品と★★商品)を購入した、というデータが蓄積されています。
この「だれ、いつ、どこ、なに」を軸に売上管理することで、売上目標を達成させるための管理が可能となります。

「だれ」軸による指標

顧客IDを取得していたり、レジ打ちの際に性別や年代を登録していることが前提となりますが、性別や年代別、新規会員・リピート会員別などの顧客属性別に売上を整理します。

「いつ」軸による指標

飲食店や小売店は、平日や休日、また時間帯別に集客状況が変わってきます。曜日別や時間帯別で整理することも重要です。また、月次や週次での売上推移も把握しましょう。こちらについては先ほどの「だれ」軸やこの後説明する「どこ」「なに」軸との組み合わせで推移を把握することも重要です。

「どこ」軸による指標

複数店舗展開している企業限定となりますが、店舗別に売上の違いを把握することで、各店舗の強みや課題を把握することが出来るようになります。

「なに」軸による指標

お客様から評価を受けている商品をしっかり提供することで売上は増加します。商品カテゴリ別に売上を把握することは必須です。

POSに蓄積されたデータをエクセルで整理しよう

「売上管理」する上で、見るべき指標はご理解いただけたと思います。では、どのようにPOSデータから各指標を確認すれば良いでしょうか。
それは、エクセルで簡単に実現することができます。
必要なデータは、

  • 販売ローデータ:日々の売上実績となるデータ
  • 商品マスタ:各商品について「アルコール飲料」「サラダ」「ご飯もの」といった商品カテゴリを整理したデータ
  • 顧客マスタ:各会員IDの性別や年齢などの情報が整理されているデータ ※会員取得をしている店舗のみ

となります。まずはそれらのデータをエクセルに貼り付けましょう。

①販売ローデータ

②商品マスタ

③顧客マスタ

では、先ほどご説明した「見るべき指標」で管理するための表に編集していきます。
今回は一例として「曜日別」と「商品カテゴリ別」に整理するための方法を説明します。

図2 曜日の求め方

曜日別の指標を作成するには、販売ローデータに「曜日」列を作り、購入日時が記載されているセルから関数を使って曜日を算出します。
上図の場合、セルJ2には

=TEXT(D2,”aaa”)

という関数を記入すると、「金」(曜日)が表示されます。
あとは記入した式をコピーして、一番下の行までペーストすると、下図のように各購入日時の曜日が表示されます。

図3 曜日の算出結果

同じように、例えば「月」を計算したければ、

=MONTH(D2)

月曜日はじまりの「週」を計算したければ、

=WEEKNUM(D2,2)

「時間帯」を計算したければ、

=HOUR(D2)

を記入することで、セルD2におけるそれぞれの項目が算出されます。

続いて、商品カテゴリを表示してみましょう。
今回の例では、K列に「商品カテゴリ」を出してみます。

図4 商品カテゴリの求め方

商品カテゴリ別の指標を作成するためには、販売ローデータに「商品カテゴリ」列を作り、それぞれの商品IDがどのカテゴリに属するのかを、「商品マスタ」シートから算出します。使用する関数はVLOOKUP関数です。
上図の場合、セルK2には、

=VLOOKUP(E2,商品マスタ!A:C,3,0)

という関数を記入すると、「食卓小物/その他」が表示されます。
あとは記入した式をコピーして、一番したまでペーストすると、下図のように各購入日時の曜日が表示されます。

図5 商品カテゴリの算出結果

VLOOKUP関数の詳しい説明・使い方についてはここでは割愛しますが、この関数を使えば他にも、「顧客マスタ」から会員の性別や年代、住んでいる都道府県を導くなど、同じように算出できます。

データから見るべき指標を可視化しよう

では次に、整理されたデータを使って「見るべき指標」を可視化していきたいと思います。
今回の例では、「曜日別」の“客数”の推移を“年次”で整理します。

図6 「曜日別」の“客数”を“年次”で整理するためのデータ

2020年における月次の販売傾向を把握するため、L列にYEAR関数を使って「年」を算出しています。
また今回は客数を計算するため、M列に顧客数を算出していますが、こちらはA列の注文IDが同一である場合、その顧客は同じ人となるので、注文IDが同一のものは「0」としてカウントしないような計算処理をしています。例えば、6行目・7行目は、注文IDが501339と同一なので、セルN6には「1」を記載していますが、セルN7には「0」が記入されています。(例えばセルM7には「=IF(A7=A6,0,1)」とIF関数を使っています)。

この整理されたデータを使って、「曜日別」“客数”を”年次”で整理します。

図7 曜日別客数の推移表(計算前)

上図のように、式は少し長いですが、SUMIFS関数を使うことで各年の各曜日における客数を計算することができます。

=SUMIFS(‘販売ローデータ (曜日別、商品カテゴリ別)’!$M:$M,’販売ローデータ (曜日別、商品カテゴリ別)’!$L:$L,B$3,’販売ローデータ (曜日別、商品カテゴリ別)’!$J:$J,$A4)

図8 曜日別客数の推移表(計算後)

このように、蓄積されているデータを、指標を軸に可視化することが可能となります。
上図は年次での推移ですが、月次推移や週次での推移も同じように作成できます。曜日別以外にも、時間帯別や商品カテゴリ別、顧客層別(性別、年代別、新規・既存会員別等)などで整理することにより、様々な角度から売上の分析・可視化が可能となるのです。

データから見えてくる次の打ち手とは?

最後に、指標を軸に可視化されたデータから、どのように売上アップ施策に繋げていくのかを説明します。「だれ、いつ、どこ、なに」を軸にした売上管理表ができたとしても、それだけではスタート地点です。分析をし施策に落し込み売上を上げてこそ「売上管理」です。

「だれ」軸による打ち手

例えば、年代別の売上増減傾向を把握することで、お店を評価している年齢層が把握できます。その年齢層が購入している商品を強化することで、更に増加させることができるかもしれません。また、会員において新規会員と比較して既存会員(リピート)の構成比が悪化していれば、リピート率を高めるための施策が必要ということが分かるでしょう。

「いつ」軸による打ち手

時間帯別や曜日別の客数に偏りが見られるのであれば、シフトやオペレーションの改善によりコストの最適化ができるかもしれません。また、年代別などの「だれ」軸との組み合わせにより顧客層別に来店するタイミングに差があれば、時間帯別あるいは曜日別に打ち出すキャンペーンを顧客層に合わせて実施ができるでしょう。

「どこ」軸による打ち手

店舗別に顧客層や売れている商品の違いがあれば、地域や店舗ごとに施策に落し込むことが可能でしょう。また、店舗別の新規顧客の獲得状況やリピート率に差があれば、実績の良い店舗の施策を棚卸しして他店舗に横展開できるかもしれません。

「なに」軸による打ち手

商品カテゴリ別の売上構成比や増減傾向が把握でき、人気の商品が詳しくわかります。また、顧客層別・曜日別・時間帯別に違いがあれば、それに合わせた商品の企画・仕入れや販売促進に活用することができるでしょう。

このように「売上管理」する=データから見るべき指標を可視化する・指標ごとに分析をし打ち手を実施することで、データに基づいたロジカルな売上アップ施策ができるようになるのです。

まとめ

  • 「売上管理」は、POSに蓄積されているデータの「だれ、いつ、どこ、なに」を分析・可視化すること
  • 「売上管理」は、POSデータをエクセルに整理することで実現
    POSデータを貼り付け、指標項目を追加作成、「だれ、いつ、どこ、なに」それぞれの軸で編集
  • データを整理することは「売上管理」のスタート、そこから施策・打ち手に落とすことが重要

「売上管理」はエクセル活用で十分可能です。POSデータを見るべき指標でエクセルに整理することで、売上を上げるための施策に必要な示唆を導き出すことができるのです。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。小売業、飲食店、メーカー等、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。
2013年9月「問題解決のためのデータ分析」(2019年2月に新装版)、2019年10月「会社の問題発見、課題設定、問題解決」を出版。
KUROCO株式会社では、中小企業向けのデータ活用支援(分析、可視化、教育)を展開。
https://cm-consulting.jp/