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【飲食店経営】利益率が上がらない…優先度の高い改善方法とは?

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)飲食店販促コンサルタント

「売上が思ったように上がらない…。利益が残らない…。でも、何から手を付けたらいいんだろう…」と悩んだことはありませんか? 今回は、こんな悩みを持ったときに行うべき利益率を上げる方法について解説します。優先度の高い順番で紹介しますので、ぜひやってみてください。

この記事の目次

売上を上げ利益を残す経営者の考え方を知る

筆者は飲食店販促コンサルタントとして今まで何百人もの飲食店経営者を見てきましたが、売上を上げ利益を残す経営者は共通した考え方を持っています。「繁盛店をつくるためには、経営者の考え方こそが大切だ」というのが、私の持論です。まずはあなたの考え方が、繁盛店を作る経営者の考え方になっているか確認してみましょう。

経営は全て自己責任。全て自分から始まる

2020年現在、新型コロナウイルスの影響もあり、飲食店にとっては苦難の時です。それでもあえて言いますが、繁盛店を作る経営者は「経営はすべて自己責任」だと認識しています。

たしかに今、飲食店は外部環境が非常に悪い状況ですが、売上を落としてもしっかりと利益を出している経営者もいますし、売上が昨年の実績を超えている飲食店もあります。

繁盛店をつくる源は、経営者であるあなたです。こんな時なら尚更、あなたしかお店を盛り上げられません。今一度、経営は全て自己責任。全て自分から始まるという大前提を心に留めてください。

経営者として劣っている点を認識する

経営は全て自分から始まるのですから、その次に考えることは、自らが経営者として劣っている点がないかを確認することです。お店を改善する前に「自分自身を見直す」これが成功へのスタートであり、私の知る繁盛店のオーナーが何度もやっていることです。

飲食店経営者は、プレーヤーとしての能力だけでは足りません。正しい情報を知った上で、ヒト・モノ・カネを動かし売上と利益を上げる。そのために必要な知らないことは、知らなければいけませんし、劣っている点は補わなければなりません。

「売上−経費=利益」は経営的に間違い

「売上−経費=利益」という誰もが知っている公式がありますが、これは経営者としては間違いです。この式は言い換えれば「たまたま売り上げて経費を引いたら利益が残った(マイナスになった)」です。

しっかりと利益を残すためには、「利益=売上−経費」という考え方が必要です。なぜならば、経営の最終目的は売上ではなく利益だからです。この公式の意味は「欲しい利益を得るために、必要な売上を算出し経費をコントロールして抑える」です。

そして次に「利益+経費=売上」という考え方も重要です。「欲しい利益を得るために、必要な経費を算出し売上を出す」ということです。

つまり繁盛店を作る経営者は、「利益を出すために経営を自らコントロールする意識がある」ということになるのです。

自分の店のあるべき売上を指標から導き出す

次に、具体的な数字を見ていきましょう。飲食店が利益を出すためには、飲食店の事業構造から考えて次の3つの数字目安があります。

飲食店が利益を出すための3つの目安

(1)初期条件の5倍以上の売上が上げられるか?

(2)家賃の10倍以上の売上を上げられるか?

(3)月商÷坪数 >10万円以上出せるか?

この3つの数字は、飲食店経営者は必ず知らなければならない指標でもあり、現状の売上とあるべき売上の差を知るために使いやすい指標でもあります。

これらの指標を参考に、あなたのお店の目標売上が今のままでよいのか、それとも改めて設定するべきなのか、割り出してみてください。

(1)初期条件の5倍以上の売上が上げられるか?

飲食店における初期条件とは、①家賃②減価償却費③支払金利のことを言います。この3つの数字の和が、売上の20%以内にならないと、利益を出すことが難しくなります。計算式にすると

月商目標=一か月分の(家賃+減価償却費+支払金利)×5倍

このようになります。また初期条件ですので、オープン前に決定する数字であり、開店後の努力では改善できない数字です。

初期条件の5倍以上の売上達成が不可能な場合は、経営者自ら、家賃交渉をする等の条件変更や業態転換等の検討もした方がいいでしょう。

(2)家賃の10倍以上の売上が上げられるか?

飲食店における家賃の比率は、売上の10%以内に抑えると利益が出やすいと言われています。開業を検討している際、その1ヶ月の家賃の10倍の月商が作れるイメージが持てれば契約します。お店の月商目標を立てる時も、この家賃の10倍を設定するのがひとつの目安です。

(3)月商÷坪数 >10万円以上出せるか?

もう一つの目安が、坪当たりの月商です。飲食店が利益を出すためには、最低でも坪月商10万円以上ないと難しいと言われています。坪数というのは、ホールだけでなくキッチンも含めた、お店全体として使っている坪数です。坪月商10万円が、黒字店になるための最低ライン指標ですが、地方では坪月商15万円、首都圏では20万円以上で繁盛店の仲間入りと言われています。超繁盛店と言われているお店の中には、坪月商100万円を超えるお店もあります。

多くのお店が、この坪月商を元に目標売上を設定しています。例えば15坪のお店であれば、目標月商を最低150万円(坪10万)、できれば175万円(坪15万)と設定します。

安定して売上を上げ利益を出すためには、このような数字の感覚が絶対に必要となります。また、このような目安を知ることで、目指すべき売上も明確になります。

利益を圧迫している経費を特定する

さて、飲食店が赤字になる理由は大きく分けて2つあります。ひとつは収益構造が悪いこと。もうひとつが絶対的な売上が足りないことです。本記事のテーマは利益率のアップなので、前者の収益構造について具体的な数字を基にお話しします。

収益構造の良し悪しを判断するためには、あなたのお店の理想のPL(損益計算書)を知り、それと現状のPLを比べなければなりません。

一般的な飲食店における理想的なPLをわかりやすくまとめると、次のようになります。 ※業種などによって異なるため、あくまで目安です

売上

100%

原価(F)

原価+人件費
60%以下

人件費(L)

家賃(R)

10%以内

水光熱費

5%前後

販促費

5%前後

その他経費

10%前後

利益

10%

利益が出ない多くの飲食店で割合が高くなりがちなのが、「FLコスト」です。FLコストとは「食材原価+人件費」。一般的には60%以下が理想ですが、食材費や人件費を削りすぎると、お店全体のの品質が落ちますので、だいたい60%程度に保つのが良いとされています。

FLコストが高い時に“優先度の高い”改善手法

原価率と、人件費。それぞれが高すぎる場合、どのように改善すればよいのでしょうか?

「原価率」が高い場合にやるべき改善3つのこと

食材の原価率が思った以上に高い、抑えられないという悩みを持っている飲食店経営者はたくさんいらっしゃいます。食材の原価率が高い場合に行うべき優先度の高い改善手法は次の3つです。

(1)ポーションを見直す

原価率が高いお店は、1皿の量(ポーション)が多い飲食店が多いです。パターンは、2つあります。1つは経営者が、ポーションが多いと喜ばれた時代の考え方で今でも商品設計をしている場合。2つめは、スタッフや料理人がいつの間にか自分の感覚で、ポーションを増やしてしまっていること。

今は少量多品種が喜ばれる時代です。ポーションが多いことは、必ずしもお店の価値になりません。また後者の場合は、お店のルールやマニュアルをつくる・守らせることが必要です。

(2)毎月棚卸原価を出す

食材原価を抑えたいのに、原価率を出していない飲食店が多く見受けられます。また原価率の出し方が、仕入れ伝票から計算をする「仕入原価」のお店舗もたくさんあります。高い原価率を適正値に戻したいのであれば、毎月棚卸しをし、その月に使った原材料を割り出して原価率を計算する「棚卸原価」で管理しなければなりません。棚卸原価を出すことにより、適正発注量が可視化され、過剰在庫による食材ロスも少なくなります。

(3)調理マニュアルを作る

料理の適正ポーションを保つためにも、また食材原価を正しく管理するためにも大切なのが調理マニュアルです。特に個人店は「調理マニュアルはオレの頭の中にある」とか「小さいお店だし、自分で料理するからいいや」などと、調理マニュアルが用意されていない店舗が多く見受けられます。しかし調理マニュアルがないと、食材原価を適正値に保つことはできません。

「人件費」が高い場合にやるべき改善3つのこと

人件費もまた、多くのお店で理想の比率より高くなってしまいがちです。人件費が高すぎる場合に優先度が高い改善手法を3つお話します。

(1)人時売上から適正なスタッフ人数を割り出す

まずはあなたのお店の事業構造において、適正なスタッフの人数を割り出すことから始めましょう。ここでは人時(にんじ)売上という指標を使います。人時売上とは、1人のスタッフ(アルバイト含む)が、1時間でいくら売上をあげているか、という指標です。計算式は次の通りです。

人時売上 = 売上高 ÷ 総労働時間

業種業態によって異なりますが、飲食店の人時売上の目標は、だいたい4,000円〜5,000円です。例えば、今日の売上が10万円、社員が1人・アルバイト3人、それぞれが8時間シフトインしていたとします。その場合の人時売上は10万円÷8時間✕4人=3,125円となります。目標の人時売上が4,000円だとした場合に適正なスタッフの人数は、10万円の売上を目標人時売上4,000円で割って、10万円÷4,000円=25時間(今日使ってよい労働時間)となります。改善するためには、アルバイトの労働時間を7時間分シフトから減らす必要があります。

(2)シフト管理をきちんとする、見直す

人時売上指標からスタッフの適正配置が分かったら、それに近づけるべくシフトをきちんと管理・見直します。急に変えることは難しいですが、少しずつ理想に近づける努力は必要です。スタッフの生活も大切ですし、急な労働時間削減はできないと思われることでしょう。ですが、シフト管理がいつのまにか緩く・甘くなっているお店は多く見受けられます。長期的な経営を見据えて、是正を図りましょう。

(3)売上を上げる

スタッフは簡単にクビにできませんし、すべきでもありません。スタッフの雇用を守りながら、あるいはお店をまわせる最低限の人数で運営しながら利益を出すためには、売上の絶対高が足りないというお店もあるでしょう。

そうなると売上を上げる努力をするしかありません。このようなお店は、意外とたくさんあります(売上の上げ方は、今回のテーマではないため割愛します)。

まとめ

  • 繁盛店の経営者に共通する思考「経営は全て自己責任」であることを再認識する
  • 自分の店のあるべき売上目安を各種指標から導き出す
  • 店舗の理想のPL(損益計算書)と現状のPLを比較する
  • 原価率が高い場合は、①ポーションを見直す②棚卸原価で管理する③調理マニュアルを作る
  • 人件費率が高い場合は、①人時売上から適正なスタッフの人数を知る②シフトをきちんとする③売上の絶対数を上げる

利益が出ない場合は、きちんとした経営の心構えを持ち、数字で考え目標を定めましょう。今回の手順を踏んで対策すれば、必ず上向いてきます。ぜひやってみてください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)飲食店販促コンサルタント

飲食店コンサルティングの(株)飲食店繁盛会の代表。一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。全国の飲食店の売上・収益アップのコンサルティングや業態開発、業態転換、通販事業構築などを行う。著書に「売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)」等。セミナー・研修は年間30〜100本。メディア掲載も年間数十件。ITコーディネータとしてITの専門家としても活躍中。(ホームページは「飲食店繁盛会」で検索。FacebookやTwitterでの友達申請歓迎)