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エリアマーケティング・商圏分析とは?効率良く店舗への来店数を増やすためにできること

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

エリアマーケティングという言葉を聞いたことはありますか。
飲食・小売店にとって、もし自店舗の商圏のユーザー、しかも自店舗のお客様になり得るユーザに対して広告・販促をすることができれば、とても効率が良い集客施策となります。そのためには商圏分析により自店舗の商圏(エリア)を見極めることが必要です。それさえできれば、デジタルの力を活用することで最適なエリアマーケティングが可能となるのです。エリアマーケティングを理解し、店舗への集客に役立てていただければと思います。

この記事の目次

飲食・小売店に必要なエリアマーケティングとは

まずはじめにエリアマーケティングについて、共通認識を持っておきたいと思います。
エリアマーケティングとは、全国均一の施策を行うのではなく、店舗が出店しているエリアの特性を分析した上で、広告・販促などの主に集客に関連するマーケティング施策を取ることです。店舗運営において、売上増加や認知度向上を実現していく上では非常に重要な方法となります。

飲食店や小売店のほとんどは、自店舗が位置している周辺エリアに住んでいる、あるいは勤めているユーザで売上の多くを占めているはずです。もちろん業態や取り扱っている商品によってそのエリア範囲(「商圏」と言います)は異なるため、自店舗にとって重要なエリアを把握することはとても重要です。
自店舗の重要エリアが把握できれば、高効率な集客施策へと繋げることができます。

来店可能性の高いエリアにのみ

  • チラシなどをポスティングする
  • ポスターや看板を掲示する
  • 検索エンジン上にリスティング広告を掲載する
  • SNS上に広告を掲載する

といった、アナログ・デジタル両方の広告・販促施策に活用することができるのです。

最適な集客施策をする上で必要なこと

上述した通り、エリアマーケティングは自店舗の売上を上げるために非常に有効なのですが、エリアマーケティングをするにあたって最も重要なのが「自店舗の商圏を見定めること」です。
その際、●●市◆◆町▲丁目~▼丁目と■■町△丁目~▽丁目のように、出来る限り詳細に把握できるほど、エリアマーケティングの精度は上がっていきます。

また、もう一つ欠かせないのが、毎月の集客施策にかけられる予算の設定です。
広告・販促施策をするためには予算が必要です。しかしそれは限られているはずです。自店舗の商圏を細かく把握することで、限られた予算の適正配分が可能となります。商圏範囲が把握されていない状態ですと、お客様になりづらいエリアにもチラシを撒いたり広告を掲載している可能性があるのです。

しかし、例えば「お客様に最もなりやすいエリア」「お客様になる可能性のあるエリア」「お客様になりづらいエリア」といった、エリアごとにお客様のなりやすさの濃淡が付けられれば、まずは最も効果の上がる可能性のあるエリアに予算を投下することができます。
また、予算が余るのであれば、更なる集客増を目指すために次のエリアへ予算を配分するといった、データに基づいた集客施策が実行できるでしょう。

自店舗のお客様がどこから来ているのかを知る「商圏分析」

ではその「商圏」を知るためにはどうすれば良いでしょうか。
エリアマーケティングを実施する上で重要な自店舗の商圏の把握。その際に有用なのが「商圏分析」となります。
商圏分析とは、自店舗への集客施策などエリアマーケティングの他、出店候補場所を選定するにあたっての出店戦略立案の際にも活用します。自店舗の商圏を定めることはもちろん、商圏内における市場ボリュームや地域特性を把握するために行う分析方法です。

それでは、具体的な商圏分析のやり方について説明していきます。

1.顧客情報を集める

商圏分析を実施するためには、商圏を把握する必要があります。商圏を把握するためには、自店舗の顧客がどこから来ているのかを知る必要があります。企業や店舗によっては、会員カードやアプリ会員により、お客様の住所含めて情報の収集をしているかと思います。その場合は、それらのデータを使いましょう。

しかし、その場合に一点、気を付けなければいけないことがあります。それは、お客様が「自宅」から来ているのか、それとも勤務先等「自宅以外の場所」から来ているのかを分けて整理することです。
住宅街立地であれば、顧客情報をそのまま使えば良いですが、オフィス街立地であればそのまま使ってしまうと間違った商圏設定となってしまいます。
その場合は、店舗に来店されたお客様にアンケートを取ることで把握しましょう。オフィス街であればお勤めの企業名や企業の住所を記載いただくことで、商圏範囲が整理できます。

また、会員カード等により顧客情報を収集出来ていない店舗については、これをきっかけに顧客情報を取る仕組みをつくることをお勧めします。特に、どの顧客がいつ何を購入しているのかの情報がPOSデータとして蓄積されると、商圏分析だけでなく、様々な顧客分析が可能となります。顧客情報を取る仕組みをつくることが難しい場合は、前述のように来店顧客に対してアンケートを取りましょう。顧客情報については、多いに越したことはありませんが、400名程度を取得できれば誤差5%程度の精度で商圏を把握できます。

2.商圏を見定める

次に集めた顧客情報をもとに商圏を定めます。
マッピングシステム(地図と顧客データをデジタルに組み合わせて、商圏を可視化する仕組み)を使えば、手軽に商圏を導き出すことができます。とはいえ、そのようなシステムは有料であることも多いので、アナログ的な手法として、少し手間ではありますが地図上の顧客住所にシールを貼っていく、でも良いでしょう。まずは簡易的に住所の「町名」くらいまでを一覧にする、でも良いです。「市区町村」だとと範囲が広すぎるので「町名」までは落とし込みましょう。

3.シェアを算出する

商圏分析において、自店舗がどの程度の売上シェアを取れているのかを把握することも、とても重要です。
商圏内で十分なシェアが取れていなければ、競合他社に顧客を取られていることになるため、商圏内における競合店舗の調査をすることが必要となってくるでしょう。

(参考記事:飲食・小売店の「競合分析」に必要なデータは、たったの二種類

一方、商圏内で十分なシェアが取れているのであれば、別の打ち手が必要です。例えば更に商圏を広げるためにより遠くのエリアからの集客を目指したり、商品の幅を広げたりと、既存の商品や市場以外での売上を取るための戦略となってきます。
商圏分析する際には、自店舗の売上シェアまで求めることを目指しましょう。

自店舗の売上シェアを算出するにあたって、まずは商圏内の市場規模を求める必要があります。
そのために必要なデータは「世帯数データ」と「世帯当たり消費データ」です。
どちらも各市区町村の行政ホームページで取得することができます。
例えば、弊社オフィスのある渋谷区代々木エリアにおける市場規模を算出してみましょう。
※ぜひ皆様の店舗の出店エリアにおいても、下記説明を参考に調べてみてください。

2020年12月現在、渋谷区のホームページにおいて、町丁目別世帯数を確認することができます。
例えば、令和2年12月1日現在の弊社オフィス近くである渋谷区代々木1丁目、2丁目、3丁目の世帯数は6,937世帯となります。
続いて、世帯当たりの消費データについては、総務省統計局の「家計調査」にて調べることができます。
例えば、令和2年7月~9月合計の外食(一般外食 ※学校給食を除く)に使った金額は平均24,609円なので、月平均8,203円となります。

ここからは仮定にはなりますが、上記より計算すると、渋谷区代々木1丁目~3丁目における1ヶ月の外食市場は

6,937世帯 × 8,203円/世帯 = 56,904,211円

約5,700万円となります。
この市場規模5,700万円に対し、例えば、自店舗の月間売上が570万円だとすれば、売上シェアは10%となります。
シェアについてはランチェスター理論が有名ですが、一定のエリア内において20%を超えてくると、かなり高いシェアを取れていると言えます。

商圏分析結果をエリアマーケティングに落し込む

さて、最後に、商圏分析により得られた結果をもとにエリアマーケティングに落し込んでいきます。
先ほどもお伝えした通り、自店舗の売上シェアによって、大きく戦略の方向性が変わります。

  • 商圏内での売上シェアが低い場合:商圏内に対する集客施策
  • 商圏内での売上シェアが十分高い場合:商圏外への集客施策や新たな商品開発や販売方法(テイクアウト、デリバリー等)の実施

となるでしょう。

商圏内での売上シェアが低い場合における集客施策の場合、商圏分析で導き出された顧客の住所エリアを第一優先として広告・販促施策を行います。
アナログな手法であればポスティング、デジタルな手法であれば、最も細かくエリアを区切れるのはFacebook広告になりますので、そちらを活用しましょう。

商圏内での売上シェアが十分ある場合における集客施策に関しても、考え方は同様です。メインの商圏の外へ攻めていくことになりますが、その中でも既存顧客が既に住んでいる(勤務している)エリアを優先していきます。

更に、応用編として、会員情報から更なる効果が期待できるエリアマーケティングがあります。
Facebook広告は、広告配信するターゲットを定める機能がいくつかあるのですが、その中に「類似オーディエンス」という設定があり、自店舗の既存顧客に似たユーザへの広告配信ができるのです。
この機能を使うためには、自店舗の顧客メールアドレス(電話番号でも良いですが、Facebook登録にメールアドレスが必ず必要なのでアドレスがお勧め)が必要となりますが、それさえあれば自店舗の既存顧客の類似ユーザ、すなわち自店舗に来店可能性が高いユーザに対して広告配信できるのです。

しかも、自店舗の既存顧客において、新規客、ライト顧客、ヘビー顧客と、顧客の購買傾向に応じたセグメントをしておけば、新規客の類似ユーザに対しては新規客が求める商品やクーポンの広告、ヘビー顧客の類似ユーザに対してはヘビー顧客が求める企画キャンペーンの広告のように、顧客属性に応じた粒度の細かい集客施策が可能となります。性別や年齢などでも同じように可能です。

このように、【商圏分析によるエリア】×【会員情報を活用した顧客セグメント】により集客効果を最大化させるエリアマーケティングが可能となるのです。

まとめ

  • 飲食店・小売店にとって売上を上げるためには集客は必須であり、そのためにエリアマーケティングは最重要施策の一つ
  • エリアマーケティングを行うためには商圏分析が重要で、その方法とは顧客情報を集め、自店舗の商圏を把握し、売上シェアを算出すること
  • 商圏分析結果をもとにエリアマーケティングに落し込む
    売上シェアに基づいた戦略の方向性を決め、自店舗の顧客となり得るエリアに対して広告・販促施策を実行
    応用編として既存顧客の類似ユーザに絞った広告配信も可能

「エリアマーケティング」は店舗の売上を上げるために重要な施策です。そのためには「商圏分析」を行うことが必要で、これは自店舗の戦略や施策を決める上でも有用な分析方法なのです。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

齋藤 健太(さいとう けんた)データストラテジスト

慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。主に中堅規模(数百億)以上の企業をメインクライアントとしたプロジェクトに従事。小売業、飲食店、メーカー等、幅広い業種において、中期経営計画策定やマーケティング戦略の構築、M&Aにおけるビジネスデューデリジェンス等の実績を有する。独立後も製造業や小売業、サービス業に至るまで大小様々な企業の課題発見に従事、成果を上げる。特にデータ分析においては、複数のコンサルファームにもアサインされる実力を有する。その他、AI関連スタートアップや教育関連企業からもデータ分析支援の依頼を数多く受けている。
2013年9月「問題解決のためのデータ分析」(2019年2月に新装版)、2019年10月「会社の問題発見、課題設定、問題解決」を出版。
KUROCO株式会社では、中小企業向けのデータ活用支援(分析、可視化、教育)を展開。
https://cm-consulting.jp/