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【開業前の3つの心得】飲食店の経営で失敗しないためには?

飲食店 開業

飲食店を開業してからの生存率は、2年で50%、3年で30%、10年で10%と言われています。
私は今まで飲食コンサルタントとして16年間、1,000を超える飲食店をサポートしてきました。その経験上、2年後に50%のお店が閉店してしまう理由のほとんどは、「飲食店経営で失敗しないための心得」を知らないことにあると考えています。
今まさに「開業したい」と考えている方は、まずはこの記事で紹介する3つの心得を知るところからはじめてみましょう。

この記事の目次

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)飲食店販売促進コンサルタントを育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント育成のための資格講座と飲食店販売促進コンサルタントである「販売促進士」を認定する資格の提供している。また、年間3桁の全国の飲食店の売上・収益アップのコンサルティングや開業支援、業態開発、業態転換、通販事業構築などを行う。著書に「売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)」等。セミナー・研修は年間30〜100本。メディア掲載も年間数十件。ITコーディネータとしてITの専門家としても活躍中。また、飲食店専門コンサルティング会社の株式会社飲食店繁盛会の代表でもある。(「販売促進士日本フードアドバイザー協会」、「飲食店繁盛会」FacebookやTwitterでの友達申請歓迎)

心得1:経営のすべてを「自分事」と捉える

例えば、新型コロナウイルス感染症による時短営業で売上が減り、閉店してしまったお店を見て「無理もないな」と思った方は、なんとなくこの苦境を他人事のように思っているのではないでしょうか。

厳しいことを言うようですが、今回のような環境変化をどう乗り切るか? も、最終的にいちばん大事なのはオーナーの経営手腕です。

「すべてを自分事と捉える」とは、どういう意味でしょうか?

特に個人店で小規模のお店を開業する場合、あなた自身が商品です。
お客様は、最終的にあなたに付きます。あなたの考えた料理が美味しくなかったら、あなたの良しとするお店の雰囲気がいまいちだったら、お店は潰れてしまいます。しかし、あなたに会いたいと思うお客様が多ければ、それだけでお店は存続します。それが個人店です。

そして、あなたが環境の変化に対するリスクを想定できていなかったら、あなたがお金の管理を怠ったら、確実にお店は潰れてしまいます。
お店が潰れると店主であるあなたが全責任をとらなければなりません。これはとてもつらいことです。

そうならないために、自分を磨き続けなければなりません。
そして、自分次第でお店の未来が変わると自覚し、お店に関するすべてを自分事と捉えましょう。

「素人」の開業が多い飲食店

「すべては自分事」という心構えも重要ですが、飲食店経営についての知識を得ることも重要です。
飲食店経営をするには、「飲食業の知識」と「経営の知識」両方を押さえておかなければなりません。
そう考えると、多くの飲食店開業者は、経営のことだけでなく飲食業の知識も足りない方が多いように感じています。

ここで、たとえば長きにわたり飲食店の従業員として働いたことがある方は、「自分は10年飲食業に携わってきたのだから素人じゃない。良く知っている。」と思ったかもしれません。しかし、飲食業経験者であっても、多くの方はホールかキッチンのどちらかしか十分な経験がありません。
自分が経営するなら、当然ホールもキッチンも含め「飲食業全体」を知らなければなりません。

経営に関しては、ほとんどの飲食業経験者が知らないのが現実です。
しかし、お金に関すること、商品や営業に関すること、人材の教育に関することなど、知らないと経営が立ち行かなくなります。

これらは「知らなかった」ではダメなのです。
知っておくべき情報を自分から探して、知識として蓄えることも「経営のすべてを自分事と捉える」のひとつの要素です。
開業を目指すなら、「素人」ではなく「プロの経営者」となることを自覚して行動しなければなりません。

以上がひとつめの心得「経営のすべてを自分事と捉える」です。
私は今回紹介する3つの心得の中でも、これが一番重要だと考えています。
今までたくさんの経営者を見てきた中で、このような当事者意識の有り無しで数年後の結果が大きく変わることを、目の当たりにしてきたからです。

だからこそ、特にこの心得はみなさんの心にしっかりと留めておいていただきたいという想いで、あえて少し厳しめの内容にしました。
開業した後、経営が思うようにいかないことがあれば、「すべてが自分事」に立ち戻ってみてください。
そうすれば、きっと現状を打破する「自分のやるべきこと」が見えてくるはずです。

心得2:飲食業の特徴を理解する

飲食店 開業

次の心得は、飲食業の特徴を理解することです。
先ほど、「飲食業全体を知らなければならない」と説明しました。
ホールやキッチンなど現場に関することはもちろんですが、それに先んじて「意外と理解していない人が多い、飲食業ってこういうもの」を理解しておきましょう。
押さえておきたい特徴は3つあります。

特徴1:売るのは料理ではない

もちろん、お客様は商品に対してお金を払うので、普通に考えれば売っているのは料理や飲物です。
しかし、飲食店の本来の姿は「モノを通して心を売る商売」です。
料理や飲物といったモノだけではなく、サービスを付加価値として提供することこそが、これからの飲食店が生き残る上で重要なテーマとなります。

美味しい料理を提供することは、飲食店でなくてもできます。
例えばコンビニエンスストアやお弁当屋さんのような「物販」を主とした業態がそうです。
近年は、自宅に料理を届けてくれるお店やサービスも増えてきました。

なのに、お客様はなぜわざわざお店に足を運んでくれるのか?
それは、お店の雰囲気や人との交流といった「体験」に価値を感じてくれているからです。
「この店に来ないと食べられない料理があるから」「自分の家のように寛げる場所だから」「店長とのおしゃべりが楽しいから」……これらすべてが、飲食店が売っているものなのです。

料理や飲物も大切ですが、それ以外も含めてお客様をもてなすことが重要と理解しておきましょう。

特徴2:飲食店経営者は「監督兼プレイヤー」

飲食店は、基本的にとても忙しいことを知っておきましょう。
お店にお客様がいなくても仕込みやお金の管理などやることは山ほどあり、ピークタイムには少ない人数で調理・提供・片付けをスムーズにこなさなければなりません。

従業員やアルバイトをたくさん雇えるほど余裕があれば良いですが、初めの内はそれも難しく、どうしても長時間労働になりがちです。
経営者がお店の指揮を取りながら、自らホール・キッチンの役割も全うすることが多くなります。
肉体的にも大変という覚悟が足りないと、お店を続けるのが困難になることを理解しましょう。

特徴3:目の前にお金があることの恐ろしさ

飲食店は基本的に現金商売です。
その名の通り現金で会計をする場合も多いですし、キャッシュレス会計の場合でも最近は1週間程度で入金されます。

つまり、入金が先、支払いが後。常に「目の前にお金がある」状況にあるということです。
人間というものは弱い生きもので、目の前にお金があるとつい使ってしまいます。
レジから1万円札をそっと抜き取り、そのお金で飲みに行ってしまうオーナーもいます。
「自分が稼いだお金なんだから、どう使おうが勝手だろう」という言い訳を添えて。

しかし、いま抜き取った1万円は、未来のお店のためのお金です。
いい食材を調達し、お店の内装を良くし、従業員に給料を払って、今よりも多くのお客様に喜んでもらうためのお金です。

数年後の経営まで見据え、金銭管理をしっかりとすること、きちんとした金銭感覚を持つことを意識しましょう。

心得3:飲食店開業の正しい知識とノウハウ

飲食店 開業

最後の心得は、飲食店を経営する上での「正しい知識・ノウハウが何か」を理解することです。後でお話ししますが、正しい知識とノウハウがなければ、目の前にある繁盛するための機会に気が付きません。廃業してしまうすべての飲食店経営者は、機会損失を少なからずしています。

正しい知識・正しいノウハウとは、大きく2つあります。それは、飲食店開業と開業後の飲食店運営です。
今回は、飲食店開業について、そもそも何を知って、どんなノウハウを学ぶ必要があるのかを押さえておきましょう。

飲食店開業の正しい知識・ノウハウの全体像

飲食店開業で失敗しないためには、以下の知識・ノウハウを知る必要があります。

  • 開業前の心得(本記事はこれに該当します)
  • 事業計画について
  • 資金調達について
  • 立地・物件探しについて
  • お店作りについて
  • 商品・メニューについて
  • 採用・シフト・人件費等人員計画について
  • 営業に必要なシステム等について
  • 販売促進について

「けっこうたくさんあるな」と思われたのではないでしょうか。しかし、これらすべてが飲食店経営において大事なことで、ひとつでも欠けてしまえば、オープンしてすぐにお店が苦しむ可能性が高くなります。

機会損失に気付かないことが機会損失

先に挙げた知識・ノウハウがすべて大事な理由を説明するために、飲食店の機会損失についてお話ししたいと思います。

飲食店が繁盛する機会は、目の前に無数に転がっています。
しかし、正しい知識・ノウハウが無ければ、その目の前にある機会を見過ごしてしまします。

例えば、商品計画。
開業当初から続く自慢の「看板料理」があったとします。
しかし、開業から数年経った今ではその料理は看板とは言えず、お店の売上や利益にほとんど貢献していない状況になってしまいました。

時代が変われば、お客様も変わり、昔は売れていた商品が売れなくなるのは良くあることです。
そこで商品開発や商品構成を改善する商品・メニューについての正しい知識・ノウハウを持っている経営者であれば、新しい機会を生み出すことが可能です。

でも、商品開発について知らなければ、同じ料理を作り続けて、ただただ機会を損失するだけです。
そもそも、「機会を損失していること」にすら気付かないでしょう。

機会損失の可能性に気付くことで、失敗のリスクを大きく減らすことができます。

そのためにあなたがやるべきことは、経営者として足りないところを補填するために勉強したり、情報収集したり、行動して自分のものにすることです。

事業計画の立て方なんてわからないというなら、そのための知識を学びましょう。
販促計画なんて考えたこともなかったというなら、そのノウハウを学びましょう。

あなたに今足りないことは何ですか?
それを考えることが、経営者としての第一歩です。

「開業前」に3つの心得を理解することに意味がある

経営のすべてを自分事と捉えること、飲食業の特徴や正しい知識・ノウハウを勉強すること。
これらを実行するのは簡単なことではないですし、大変なことかもしれません。

しかし、開業した後はもっと大変なのです。
日々の仕事に追われ慌ただしい中、何かを考え、勉強する暇はほとんどありません。
開業する前の今、この記事で紹介したことを胸に刻み、実行に移してみてください。
そうすることで、きっとあなたのお店は「10年後も残る10%のお店」になるはずです。

まとめ

  • 飲食店経営で失敗しないための開業前の心得は3つ
  • 心得1:経営のすべてを自分事と捉える
  • 心得2:飲食業の特徴を理解する
  • 心得3:正しい知識とノウハウが何かを理解する
  • じっくり考えたり勉強できるのは開業前の今だけと思うべし

あなたは、飲食業が好きですか? もちろん飲食店を開業しようと考えているくらいですから、好きだと思います。しかし、この記事で説明したように、飲食業は忙しく、つらいことも多いです。10年後にはほとんどのお店が潰れてしまう厳しい世界です。
それでも、自分でお店を持って、大好きな飲食業でお客様に喜んでいただきたい。心からそう思い続けられることが、飲食店を経営する上で最も重要な資質かもしれません。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

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この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

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