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【飲食店】メニューブックはなぜ重要なのか?魅力を伝え利益UPするための作り方

笠岡 はじめ(かさおか はじめ)販売促進士/飲食マーケター

メニューブックを作る_飲食

飲食店で、商品や値段をお客様に伝えるメニューブック(主にメニューを冊子状にしたものを指します)。実は、お店の評判から売上、さらにはオペレーション効率までも左右する、重要な役割を担っています。この記事では、メニューブックの役割や種類について解説し、実際作るのに必要な準備や、効果的な内容にするためのコツもお伝えします。「そもそもメニューブックって必要?」と悩まれている方も、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

飲食店でメニューブックが果たす3つの役割

これから飲食店を開業しようと考えているみなさん、メニューブックは必要だと思いますか? 結論から言うと、必要です。なぜなら、メニューブックには「メニューの商品と値段をお客様に知らせる」以外にも、大きく3つの重要な役割があるからです。

1.初回来店のお客様に看板メニューを伝える役割

初めて来店したお客様に「良いお店だ」という印象を持ってもらうためには、お店のコンセプトに沿った「看板メニュー」をオーダーしてもらうのが効果的です。初回来店のお客様は、お店にメニューブックがあればほぼ必ず目を通すので、メニューブックを通して看板メニューを伝えることができます。

2.飲食店の「メディア」として、お店や商品の価値を伝える役割

メニューブックには注文してもらうためのツールという側面もありますが、「飲食店でお客様に一番見てもらえるメディア」とも言えます。しかも、テレビや雑誌など他のメディアと違って、店舗運営者である自分が自由に内容や見せ方を変えられるメディアです。お店のこだわりなどの情報を盛り込んだり、見せ方を工夫したりすることで、お店や商品の「価値」を伝えられるのが、メニューブックの特徴です。いわゆる「お品書き(商品名が書き並べられたもの)」のように、商品と値段を伝えるだけの使い方では、もったいない気がしませんか?

3.オーダーをコントロールする役割

「この商品はたくさん頼んでもらいたい」「この商品は出数を抑えたい」といったお店側の希望を、メニューブックの表現の仕方によってコントロールすることができます。例えば、オペレーションが重いものより軽いものにオーダーを集中させる、ファーストオーダーで軽いものへ誘導する、など「オペレーションのコントロール」も可能です。

また、粗利の高いメニューを多く注文してもらうよう誘導する「利益のコントロール」も、ある程度ならばできます(ただし、利益効率の良いメニューはあくまでお店の視点なので、お客様視点を考えたバランスも重要です)。

「タッチパネル」の場合はフリーレイアウト等で工夫を

メニューブックを作る_飲食

最近の飲食店では、お客様にタブレット上のタッチパネルを使ってオーダーしてもらうお店も増えています。他にも、スマホメニュー・券売機・居酒屋さんなどに多い「壁に札を貼った簡易メニュー」など、メニューブック以外にメニューを示す方法はさまざまです。これらの手段でも、メニューの商品と値段をお客様に見せることは可能ですが、先ほど挙げた「飲食店でメニューブックが果たす3つの役割」を果たせない弱点があります。

メニューブック以外の手段を採用する場合、オーダーや利益、オペレーションをコントロールする、お客様にお店の魅力を伝える、といった役割を、他の形で補う必要があります。たとえばタッチパネルでも、フリーレイアウトでメリハリをつける、美味しそうな写真を切り抜きで載せる、文字や動画でこだわりや価値を伝える、などができれば、本来メニューブックが担う役割を果たすことも可能でしょう。

タッチパネルや券売機などを導入しているお店でも、簡単なものでも良いので、メニューブックは用意することをおすすめします。すると、お客様はメニューブックを見て商品を選んだ上で、タッチパネルで注文することもできます。

お店によっては、魅力を伝える役割を「スタッフの口頭による説明」で補完できているケースもありますが、そうした“接近戦”ができないのであれば、メニューを伝えるものが「タッチパネルだけ」という状態は避けた方が良いでしょう。

【メニューブックをなくすことで、売上が下がってしまうケースも】

人手不足などの理由で、メニューブックからタッチパネルに切り替える飲食店も珍しくありませんが、結果的に半年程度が経過すると、売り上げがゆるやかに落ちてしまうケースが散見されます。その原因は、メニューブックでお店の「価値」を伝えられなくなったのが大きいでしょう。

一般的に、ほとんどのタッチパネルメニューでは、自由なレイアウトができず、すべての商品が同じ大きさで表示されます。写真、商品名、価格がメリハリなく表組のように横並びになっている場合、多くのお客様はその中から、非常に無難なメニューを選択しがちです。無難なメニューばかりが売れてしまうと、他店と差別化ができず、お客様がそのお店に再来店する理由がなくなり、徐々に売上が低下してしまうのです。

メニューブックの種類と特徴

メニューブックの重要性を理解できたところで、次はその種類を見ていきましょう。それぞれの特徴とともに解説します。

ランチメニューブック

ランチ営業をするなら必須。「ランチ」という言葉をお得に感じる人は多いので、ランチの時間に営業するなら、ランチメニューという名前を使用するのがおすすめです。通常メニューから商品を絞り込み、特定のメニューにオーダーを集中させることでキッチンの生産性が上がるという利点もあります。「大盛り無料」など、ランチだけのサービスもあるとなお良いでしょう。

ドリンクメニューブック

お酒の売上比率が高い、ドリンクを多く提供したい場合にフードメニューとは別で用意します。ドリンクの種類が少ない食事メインのお店は、分けなくてもOKです。

フードメニューブック

メニューブックは初回来店のお客様用に作るようにしましょう。つまり、初回来店のお客様にお店の価値や魅力を伝えられるメニューはどれかを明確にすることが大切です。ランチメニューは商品数を絞っているためオペレーションが重くならず、利益が適正になるようにオーダーをコントロールすることも可能になります。

差込メニュー

グランドメニュー(一般的には夜のフードメニューを指します)とは別に、季節限定商品や特別に売りたい商品などの情報を1枚にまとめたメニューのこと。例えば春限定スイーツの差込メニューをフードメニューブックの間に挟んでおき、お客様が手に取ったときにアピールできるようにしておきましょう。1冊のメニューブックに対して差込メニューは1枚、多くても2枚までにすると良いでしょう。特にここから注文してもらう目的で入れるので、差込メニューの枚数が多いと選ばれにくくなり効果が出にくくなります。

おまけ:食べ放題・飲み放題のメニューブック(オーダーバイキング形式の場合)

食べ放題・飲み放題がある場合、グランドメニューとは別に専用メニューを必ず用意するようにしましょう。できる限り利益を減らさないために、オーダーコントロールは必須。注文して欲しい商品は、種類を増やす・メニュー内での面積を増やすなどして、利益が出るようにします。

メニューブックの作り方5ステップ

メニューブックを作る_飲食

いよいよここからは、メニューブックの作り方を5つのステップに分けて解説します。「何から始めて、どう作ればよいか分からない」という方はぜひ参考にしてみてください。

【ステップ1】メニュー一覧をまとめる

カテゴリ・商品名・値段・原価を、Excelなどを使って一覧にまとめます。カテゴリとは、例えば「サラダ」「揚げ物」「麺」といったものです。まず各カテゴリを記入し、そこに含まれる商品名と、その値段・原価を記入します。

ちなみに、ここで原価まで記入するのは、お店にとって儲かるものがどれかをすぐに把握できるようにするためです。
※メニューのカテゴリや商品の決め方については、こちらの記事も参照ください。

【ステップ2】メニューの主役を決める

メニューブックの中でメリハリをつけるための基準として、「主役の商品(看板商品)」「主役カテゴリ」「カテゴリの中の主役商品」を決めます。主役のカテゴリからメニューブック全体のページ構成(主役はなるべく最初の方のページにする、など)を考え、カテゴリの中の主役から各ページ内の見せ方(詳細はステップ4にて解説)を考えます。

ちなみに、主役カテゴリはお店の看板商品が含まれるカテゴリ(看板商品が「鶏の唐揚げ」なら、主役カテゴリは「揚げ物」など)になります。

【ステップ3】商品の写真を撮影する

メニューブックに写真を掲載する商品を撮影します。基本的には全ての商品を撮影するのが望ましいですが、難しい場合は主役となる商品だけでも押さえておきましょう。また、写真のクオリティも重要なので、カメラマンに撮ってもらえるとなお良いでしょう。

【ステップ4】レイアウト案(ラフレイアウト)を作成する

メニューブック各ページの文字・写真の配置を考え、レイアウト案を作成します。レイアウト案とは、家を建てるときの「設計図」のようなもの。以下の画像のように、手描きで大まかに「各商品を、どこに、どれくらいの大きさで掲載するか」を描き込んでいきます。

※メニューブックの大きさの目安ですが、A4が最もおすすめです。文字も写真も見やすく、大きすぎないのでテーブルにおいても邪魔になりにくいためです。
いっぽう三世代のご家族等、広い世代が来店するお店(例:ファミレス)は、B4メニューにすることが多いです。理由は、年配者でも文字が読みやすく、子供も写真で選びやすい、またファミリーターゲットのお店はテーブルが広いことが多いためです。

メニューブックを作る_飲食

レイアウト案の例(画像提供:笠岡 はじめ)

経験がないと難しく感じてしまうかもしれませんが、まずは「主役をどう目立たせるか」を考えながらチャレンジしてみてください。一度描いてみて、お客様視点でどこに目が留まるかを確認し、「これだと主役が目立たないかも」と思ったら描き直す……を繰り返すと、段々慣れてきます。

【メニューブック内での「主役」の目立たせ方】
主役の目立たせ方には、いくつかのテクニックがあります。一例を紹介しましょう。

  • 写真を載せる(写真の有無で主役と脇役のメリハリをつける)
  • 写真または文字を大きくする(他のものと比べて「3割増」を目安に)
  • オススメマークをつける(つけすぎに注意、カテゴリ内で多くても2割までを目安に)
  • その他、装飾をする(囲む、線を引く、背景を変える、など)

【STEP5】デザインを作成する

レイアウト案をもとにデザインに落とし込み、完成品を作ります。参考として、下に先ほどお見せしたレイアウト案と完成品を並べました。

メニューブックを作る_飲食

レイアウト案(画像提供:笠岡 はじめ)

メニューブックを作る_飲食

上写真のレイアウト案から作った完成品(画像提供:笠岡 はじめ)

デザインの経験がある人がいれば自作できますが、多くの場合デザイナーにお願いすることになります。その場合は、ステップ4のレイアウト案をベースにデザイナーと打合せをし、発注します。

デザインはプロに外部発注するのがベター

メニューブックをデザインまで自作できれば、費用を抑える・修正がしやすいなどのメリットがあります。一方、デザインに精通していなければ効果的なメニューブックを作れない、思った以上に時間がかかってしまうといったデメリットもあります。

効果的なメニューブックを作れなければ、「お店の魅力を伝える」「オーダー・利益のコントロール」などメニューブック本来の役割を果たせないことにつながり、機会損失のリスクにもなります。デザイナーなど外部に発注すると費用はかかってしまいますが、最終的には利益につながるメニューブックになる可能性が高くなります。

結論として、基本的にはメニューブックのデザインは外部発注がベターでしょう。ただ、チェーン店ではなく1店舗目のオープンなら“最初の1カ月”だけ自分で用意するのも有りです。

1店舗目の場合は、オープンしてからメニュー変更が生じることも多々あります。そんな時、最初から外部発注すると修正費用や手間が余計に発生してしまいます。それを避けるために、最初は自分で作成した簡易的なメニューブックを使うのも良いでしょう。オープンから1カ月くらいしてメニュー内容がある程度固まってからの発注にすると、余計なコストをかけずに済みます。

【メニューブックを発注するならどういうデザイナーがいい?】

デザイナーの力量や経験によって、メニューブックの仕上がりも大きく左右されます。発注する際は、次の2つの観点で依頼者を決定すると良いでしょう。

①飲食店のメニューブックを作ったことがあるデザイナー:
「飲食店にとっての効果的なメニューブックとは」を熟知していることは必須。たとえば「食品を美味しそうに見せる」こと一つ取っても、衣料品など別ジャンルのカタログとは異なるデザインのコツが必要。過去に作ったメニューブックを見せてもらい、デザインの意図などを聞いてみるのも良い。

②お店視点で目的を持ったデザインをしてくれるデザイナー:
デザインについて、飲食店というビジネス視点で説明できるデザイナーが望ましい。目立たせたい=多く販売したい、などビジネス上の意図を汲んだ上でデザインをしてもらえるかが大事。

飲食店のメニューが得意なデザイナーは、インターネットで検索して探すことができます。印刷会社の中には、メニュー制作を請け負っているところもあります。またデザイナーを始めとするプロが多く登録されている、紹介サイト等で依頼をするのも良いでしょう。

まとめ

  • メニューブックは、お店にとってのメディアでもある
  • メニューブックでオーダー(オペレーション、利益)のコントロールができる
  • メニューブック作成は「自分のお店の魅力をどう伝えるか」を考えながら進めるのが重要
  • デザインを頼むなら、飲食ビジネスを理解しているデザイナーが良い

冒頭でもお伝えしたように、メニューブックはただ商品や値段を伝えるだけではなく、お客様にお店の魅力を伝える重要なメディアです。あなたのお店の「らしさ」を伝えるメニューブックはどんなものか、ぜひこの記事を参考に考えてみてください。

※この記事は公開時点、または更新時点の情報を元に作成しています。

この記事を書いた人

古閑 信気(こが としき)編集者・ライター

広告代理店勤務を経て、現在は編集プロダクションにて編集・執筆に従事。旅行、ライフスタイル、恋愛からビジネスまで幅広いジャンルの記事に携わる。「読者が記事を読んだ後に、刺激を受けて行動に移すこと」を目指してコンテンツ制作に取り組んでいます。

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笠岡 はじめ(かさおか はじめ)販売促進士/飲食マーケター

飲食店販売促進コンサルタントを育成する一般社団法人販売促進士日本フードアドバイザー協会代表理事。同協会にて飲食店販売促進コンサルタント育成のための資格講座と飲食店販売促進コンサルタントである「販売促進士」を認定する資格の提供している。また、年間3桁の全国の飲食店の売上・収益アップのコンサルティングや開業支援、業態開発、業態転換、通販事業構築などを行う。著書に「売れまくるメニューブックの作り方(日経BP社)」等。セミナー・研修は年間30〜100本。メディア掲載も年間数十件。ITコーディネータとしてITの専門家としても活躍中。また、飲食店専門コンサルティング会社の株式会社飲食店繁盛会の代表でもある。(「販売促進士日本フードアドバイザー協会」、「飲食店繁盛会」FacebookやTwitterでの友達申請歓迎)